カルティエの腕時計 サントス100の様々なモデル解説
動画でサントス100についてご覧になる方はこちらから↓
この記事では、シンプルなデザインを採用するカルティエ社の中でも珍しい、巨大な時計である『サントス100』の様々なモデルについて解説して参ります。
こちらの記事は、80%が男性に向けての内容で、20%がおしゃれなデカ厚ウォッチが好きな女性に向けての内容となっております。
この記事を最後までご覧頂く事で、サントス100の魅力をご理解頂けると共にサントス100の素材や、種類についても知識が深まると思いますので、是非とも最後までお付き合いください。
サントス・デュモンの誕生
サントス100に繋がってくる話なので、サントス・デュモンの誕生ついて少し触れますが、当時の社長である3代目ルイ・カルティエが社交の場で友人となったアルベルト・サントス=デュモンという人物からある依頼を受けることとなります。
それは、飛行機の操縦桿から手を離さずに時間を把握することが出来る時計を、作って欲しいという内容でした。
その時に誕生したのが、1904年のサントスであり友人の名前をとって『サントス・デュモン』と名付けられました。
そして、2004年にサントス誕生100周年を記念して誕生したのがサントス100なんですね。
サントスの歴史についてはこちらの動画で詳しく解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください↓
では、なんでこの時にカルティエとは思えないくらい、巨大な時計が誕生したのでしょうか?
サントス100が誕生した背景
その理由は時代背景にあります。
1970年代後半から、段々と大きな時計が求められるようになっていきました。
その頃に誕生したのが、オーデマ ピゲのロイヤルオークや、パテック フィリップのノーチラスなどがそれにあたります。
そして、2000年代に入るとさらに大きくもあり、厚い時計が求めらることになります。
それはパネライの『ルミノール』やウブロの時計のような40mm以上あり厚さもある無骨な時計が人気になっていました。
ただし、カルティエ社には当時それに匹敵するモデルが存在しなかったので、サントスを巨大化させサントス100を作り上げたのです。
サントス100はどんなモデルがあるの?
ではここからは、そんなサントス100についてどんなモデルがあるのかを見ていきましょう。
サントスには、MMとLMが3針時計のタイプでXLにクロノグラフが準備されていました。
MMは女性でもつけられる33mm
LMからは男性用で38mm
XLはさらに大きく41.5mm
になっています。
サントス100なのですが、実はこんなにも種類があります。
基本的なラインは、ステンレス、18Kイエロー、ピンクゴールドなのですが特別モデルが存在し、正確に年代を掴めないのですが、時計にPVDやADLC、ラバーなどを使った時計が非公式に発売されていたようです。
PVDというのは、”フィジカル・ヴェーパー・ディポジション”の略で物理蒸着ともいわれています。
簡単に説明すると、金メッキみたいな感じで素材の表面に、チタンなどをイオン化して硬い皮膜を作る技術になります。
ADLCというのは、Amorphuos Diamond-Like Carbonの略でありダイヤモンドに近い耐傷性と耐腐食性を持つコーティングのことになります。
どちらも、表面を硬くするし黒になることで格好良くなるって感じですね。
ラバー素材というのは、G-ショックなどに使われている傷や衝撃性に強い素材のことですね。
基本ラインはレザーストラップが採用されていますが、その後に誕生したPVDやラバー、カーボンのモデルにはベルトにラバーストラップが採用されています。
ではサントス100に搭載されていた、ムーブメントを見てみましょう。
搭載ムーブメントは自動巻Cal.049(ETA 2892-A2)になります。
この頃のカルティエは、まだ自社でムーブメントを作ることが出来なかったので、ETA社のムーブメントを購入してそれを自社用にコンバートして搭載していました。
一応ここで、ムーブメントについて少し解説させて頂くのですが、基本的に自社でムーブメントを作れた会社というのはスイスの時計ブランドの中でも数えるほどしかありません。
例えば、ジャガールクルトとかは有名ですがそれ以外であればレマニアとか、ユニバーサルジュネーブとかIWCとかは自社で作れていました。
実際のところムーブメントを作るのは、非常に難しくあのロレックス、ホイヤー、ブライトリングまで汎用のムーブメントを搭載させてる期間があるくらいですからね。
そのような感じで、サントス100もETA社製のムーブメントが搭載されていますが、基本的には1980~2000年代中頃までに作られたスイスの時計の約半分はETA社のムーブメントが採用されていると考えていいと思います。
ETA社は現在スウォッチグループに種族していますが、現在でもムーブメントだけを作る専用の会社になります。
では、クロノグラフモデルを見てみましょう。
こちらは、3針モデルと比較してさらにサイズが大きいので、どちらかというとこっちで、パネライとかウブロと勝負する感じだったのでしょう。
やはりベースがサントス100ですので、クロノグラフになってもガッチリしてて力強さを感じさせてくれますね。
もちろん、クロノグラフモデルもETA社製ムーブメントが採用されており、自動巻Cal.8630 MC(ETA 7753) が搭載されています。
話は3針モデルに戻りまして、先ほど解説したブラックなどの特別仕様があったのですが、実はあまり知られていませんがその上を行く超高級モデルが存在します。
それが2009年に限定で誕生した、パラジウム製スケルトンモデルです。
サイズがそれまでのサントス100より大幅に拡大しており、46.5mm×54.9mmになっています。
パラジウムは、プラチナと近い素材特性を持っているのですが、プラチナと比較して比重が軽いために大きさがあるものの重さはさほど感じられません。
特筆すべきは、カルティエ社製のキャリバーを搭載しているところでしょう。
カルティエといえば、上記で話してきた通りCPCP以外は他社のムーブメントを搭載してきたのですが、CPCPを経て、オートオルロジェリーを経て、プリヴェ・コレクションで作られた腕時計以降は、自社製のムーブメントを搭載しています。
CPCPやプリヴェ・コレクションについてはこちらの動画で解説しておりますので、お時間のある際にご覧ください↓
とは言っても、やはりスケルトンにムーブメントの動きが見えることと、インデックスとそれぞれのブリッジを見ても、丁寧に面取りされているのが分かるので職人技を感じることが出来る素晴らしい1本ですね。
その後2018年にサントスが新しくリニューアルされたのですが、それにバトンタッチする形でそれまでのサントス100は2017年に生産が終了することになりました。
まとめ
最後にまとめなのですが、現代のサイズ感からすると38mmのケース直径というのは、普通か少し大きいくらいかと思います。
しかし、このサントス100というのはカルティエがデザインし、カルティエから誕生した時計というのがポイントなんですよね。
そもそもカルティエの歴史の中で、こういった無骨なモデルを誕生させるのはまずなかったですし、やはりフォーマルな時計こそがカルティエのイメージでした。
そんなカルティエ社が、ここまで大きい時計を誕生させ今のサントス ドゥ カルティエに繋がっているのを考えると、デカ厚ウォッチの始祖と言えるのがこのサントス100なのではないかと思います。