ラドーニャ
動画で『ラドーニャ』の詳細をご覧になる方はこちらから↓
この記事では、廃盤になってしまったカルティエのモデルである『ラドーニャ』について解説致します。
カルティエの時計の魅力の一つは、もはや生産されていないが再評価に値するモデルを発掘することです。
今回ご紹介する『ラ・ドーニャ』はデザインが美しいから持ってます、とか、デザインがかっこいいから持ってます。
って方が多いと思いますが、このラ・ドーニャというモデルがどんなふうに誕生して、なんでこんな形をしてて、どんな歴史を辿ってきたのか?
というのを、もっと知りたいと思いませんか?
そして、これらが分かることで今持ってる方はもっと愛着を持って頂けると思いますし、これから購入したいなぁ、と考えてる方は自分の選択に自信を持てるはずです。
この動画をご覧頂くことで、もっとラドーニャのことが、そしてカルティエのことが好きになって頂けると思いますので、是非とも最後までお付き合いください。
ラ・ドーニャってどんな時計?
La Dona(ラ・ドーニャ)なのですが、私たち日本人からすれば、そのままラドーニャと繋げて読みますが、本来の呼び方はラ・ドーニャになります。
ではこのlaがどういう意味かと言いますと、これはフランスやスペインで使用される女性名詞になります。
そして、ドーニャが付くことで『女性』とか『女性の人』とか『レディ』という意味になります。
要するに、このモデルは女性のためのモデルだということなんですね。
では、この時計が誕生したストーリーを見てみましょう。
スペインで、1940〜50年代にかけて活躍していた女優で『マリア・フェリックス(1914-2002)』さんという方がいらっしゃいました。
※写真提供:Periὀdico Excélsior
日本で一番近いところで言えば、叶姉妹さんたちになると思うのですが、あんな感じで目立つジュエリーや大胆なアクセサリーを取り入れた、強烈なファッションセンスで知られていました。
そんな方なので、高級ジュエリーのトップブランドであるカルティエのことも大好きで、マリア・フェリックスは、素晴らしい特注品を作ってもらっていたそうです。
マリア・フェリックスのカルティエ・ジュエリーコレクションの中で最も有名なのは、スネークネックレスと、クロコダイルネックレスです。
画像提供:カルティエ公式サイト
これらのアクセサリーにも逸話があり、マリア・フェリックスが飼っている、実物の子供のワニをフランスのカルティエ本社に持ち込んで、職人たちができるだけリアルに、ワニを再現できるようにしたそうです。
カルティエ社からすれば、太客中の大太客くらいのポジションだったんだと思います。
その後2006年に、そのような関係があったカルティエはマリア・フェリックスとの関係を称えて、彼女のニックネームを冠した、新しいウォッチコレクションである「La Doña」を発表しました。
このようなストーリーがあり、ラドーニャという時計が生まれたんですね。
では、次にそのデザインを見ていきましょう。
なぜラ・ドーニャのデザインはこうなってるの?
そんなラ・ドーニャですが名前だけでなく、フェリックスが愛した動物である『クロコダイル』からインスピレーションを受けた独特なデザインをしています。
La Donaのケースは、上が狭く下が広くなっておりアシンメトリースタイルになっています。
なぜこのようなデザインになってるかというと、ワニの頭を模しているからなのです。
こちらの画像をご覧ください↓
並べて見るとわかりますが、ワニの頭を上空から見たときに、頭の付け根は広がり口元は狭まっていますよね。
この形からインスピレーションを受けて、デザインされているためにあのような非対称の形になっているのです。
では次に、ベルトの部分を見てみましょう。
ベルトは丸みを帯びており、鏡面仕上げが施されています。
可動式リンクの太めのブレスレットは、ワニの鱗からインスピレーションを受けており、重厚感となめらかな曲線はどの角度から眺めても美しく輝き、ケースと一体となった時に芸術作品へと生まれ変わります。
このラドーニャのベルトですが、カルティエはメタルブレスレットの他にも、カラフルなレザーストラップのLa Donaベルトも用意していました。
このことにより、女性の腕元をカラーでも楽しめるようにしてくれていたんですね。
やはり、レディース専用モデルであるためそういったニーズも、しっかり抜かりなく把握してますね。
ラドーニャはワニのそのままの複製ではありませんが、マリア・フェリックスの獰猛さと彼女が愛したエキゾチックなペットに対する敬意を、カルティエの解釈や哲学に基づき上手く作品に落とし込んでいます。
文字盤を見てみよう
文字盤を見てみると、その形状は大胆で美しいものの、カルティエの伝統的なスクエアスタイルに忠実で、黒いローマ数字がホワイトの明るい色の背景に配され、その陰影から視認性がよく実用的だと言えます。
そして、文字盤をよ〜く見てみると見ると分かってくる事があります。
まず、左の文字盤ですがこちらはステンレスモデルに採用されている、スタンダードな文字盤になります。
右側はステンレスモデル以外に採用されている『ギョーシェ彫』が施された文字盤になります。
一般的にカルティエの文字盤の装飾は、波状のギョーシェ彫が多いのですがラドーニャはソレイユという装飾が使われています。
ソレイユとは、フランス語で『太陽』という意味でありそれを連想させる通り、中央から外側に向かって放射状にラインが入っています。
では、ケースの隣にあるリューズも見てみましょう。
リューズは7角形であり、先端にはカルティエを象徴とするブルーのカボションが取り付けてあり、これはスピネルという人口で作られた石になります。
ダイヤモンドモデルになると、この先端の部分もダイヤモンドが取り付けられ天然のダイヤモンドがあしらわれるようになります。
どちらの石ともケースにマッチしており美しく、ケースに配置されたリューズの場所は、ベストでありカルティエのデザイン性の高さを証明してくれていますね。
サイズ展開を見てみよう
ラドーニャのサイズ展開は、ミニ、SM、LMの3つの展開がありました。
ミニとSMなのですが、どちらもケース直径が20mm前後なので華奢な日本人女性には、とても相性がいいと思います。
ここ最近のレディースウォッチは、一番小さいのでも30mm前後になってきてるのでここら辺のサイズで展開してくれているのは、とても嬉しいポイントだと思います。
本来であれば、SMの次にMMが来るのですがこのモデルにはありません。
そして次に来るのが、LMなのですが基本的にはカルティエの時計はLMはメンズラインになりますが、こちらはケースのサイズが小さいこととムーブメントもクオーツが入っているので、ここからもレディースウォッチ専用というのが分かりますね。
素材展開を見てみよう
ラドーニャの素材展開は、スタンダードのステンレス、イエロー、ピンク、ホワイトの18Kゴールド、ベゼルにダイヤモンドが配置されたモデルが展開されていました。
女性の方が、こういった素材の色味が肌に馴染みやすいですし、ゴールド系はより一層美しさを引き立たせてくれます。
ステンレスやホワイトゴールドは、落ち着いた印象を与えてくれますしピンクやイエローゴールドなどであれば、より可愛らしくフェミニンな印象を与えてくれます。
ダイヤモンドが入ってくると、フォーマル感が強くなりますが時計自体が大きくないので、目立ちすぎることなくおしゃれにワンポイントとして活躍してくれますよね。
まとめ
可愛いという表現よりも、エレガントと表現する方がしっくりくるのがこのラドーニャだと思います。
文字盤のデザインも、リューズが配置されてる場所も素晴らしいですがやはり、ケースから流れるようにつながるベルトがあることによって、またさらに上のランクの美しさを実現できていると思います。
カルティエが他社ブランドと比べて違うところは、ベルトも含めてデザインされているところです。
それは元々が宝飾品ブランドの出自だから実現できることであり、時間を知るための時計ではなく、宝飾品としての時計だから誰もが見ても一級品の時計が出来るのでしょう。
この動画を通して、視聴者様のお気に入りの『ラドーニャ』が見つかれば、私も嬉しく思います。