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記事: カルティエの謎多き腕時計『プレマストタンク』についての研究報告

カルティエの謎多き腕時計『プレマストタンク』についての研究報告

こんにちは、ベルモントルの妹尾です😊

本日の動画では、カルティエの謎多き腕時計『プレマストタンク』についての研究報告という内容で解説して参ります。

ヴィンテージウォッチになりますので、カルティエのことを結構知ってる人でないと、プレマストタンクってなんですか?

って感じになってしまうんでしょうが、ヴィンテージ市場では結構求められているモデルでございます。

そんなプレマストタンクなのですが、謎が多いモデルでもありますので今回私なりに研究を行いその発表をさせて頂きます。

色々調べてからの報告なのですが、ここはこれだけどこっちはこのパーツは使ってあるんだぁ。というのが将来出てくると思われますので、今回の発表が100%正しいと解釈せずに80%程度の精度だろうなぁ程度で聞いてください。

それでは早速やって参りましょう!

 

 

 

プレマストタンクって何?

マストタンクはある程度知っている方も多いと思いますが、簡単に解説するとマストタンクは1978年に誕生して2005年まで製造が続けられていたモデルです。

ケースは純銀で作られており、とてもコスパが良い時計なので現代でも需要のあるモデルです。

その後、2005年にタンクソロに進化して確か2018年にタンクマストに進化していくことになります。

詳細なマストタンクの情報はこちらで解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください⬇️

そんなマストタンクなのですが、お客様から良く頂く質問に『白の文字盤はないんですか?』というのがあります。

実はこのマストタンクなのですが、白文字盤が存在せずあったとしても白のブレゲインデックスバージョンなどであり、あの伝統的なローマンインデックスの我々が想像する文字盤は存在しません。

 

しかし、ここからが本題でマストタンクには白文字盤が存在しませんが、プレマストタンクになると白文字盤が存在します。

 

ではここからは、そんなプレマストタンクを一緒に見ていきましょう。

 

プレマストタンクって何?

マストタンクの前に『プレ』ってワードが入っていますが、これは『〜の前』という意味が含まれています。

ですので、要約するとマストタンクの前のマストタンクって意味ですね。

もっと分かりやすく言うと、マストタンクの試作品みたいな感じで捉えて頂くと分かりやすいと思います。

そんな試作品ですので、思いもよらぬ問題が発生してしまいます。

これはこのプレマストについて噂されている内容なので、真相は分かりませんがプレマストタンクとタンクルイが結構似たデザインになってしまった問題です。

2つの良く似たカルティエのモデル『タンクルイカルティ』『プレマストタンク』.

 

左がタンクルイで右がプレマストですが、細部まで見ていけば違いはあるものの、ぱっと見でそれらを判別するのが難しいのが分かりますよね。

ここで多分カルティエで働いてる人たちが思ったんですね。

『この2つのモデルめっちゃ似てるやん・・・・』とですね。

そこでこれはちょっとまずいなぁってことで、まずはすぐに違いを出すために、マストタンクは白文字盤の採用を辞めよう。

となり、マストタンクの白文字盤が存在しないのだろう・・・・・と言われています。

文字盤もまだデザインが確定してなかったようで、マストタンクの代表的なロゴの

must de の刻印も入っておりません。

そんなプレマストタンクなのですが、製造期間もしっかりしたデータが残っているわけではなく、1972年にルイカルティエコレクションが誕生するのですが、そのコレクションが展開された時点で終了したと言われています。

ですので、おそらく1970〜72年の間に作られたモデルなのでは?

と言うことですね。

 

よってこの頃は、まだまだクオーツムーブメントは存在していませんので、プレマストには手巻きモデルしかありません。

 

 

ヨーロッパモデルとニューヨークモデルがある?

この頃のカルティエは、3つの支店で運営がされていたために、少しずつ微妙に違った時計が作られていました。

特にこのプレマストはパリ、ロンドンの2支店で同じデザインが採用され、ニューヨーク支店ではちょっと違ったデザインになっています。

これは地理的な問題で、パリとロンドンは比較的近いために情報の交換がやりやすく、パーツの共有も安易だったのが、ニューヨークは地理的に遠かったために独自進化というか、パリ、ロンドン支店とはちょっと違ったデザインになったそうです。

ちなみに、またここが謎なのですがヨーロッパモデルがアメリカで発売されていた履歴があったり、アメリカモデルがヨーロッパで販売されていた履歴があったりと、明確に棲み分けはされていなかったみたいです。

ですので私が考えるには、おそらく当時はそこまで深く考えておらず、それぞれの市場で在庫の共有をしていただけではないかと考えています。

といった感じで形はちょっと違うものの、一応同じプレマストタンクに分類されているのですが、メインで見分ける部分はケースの構造です。

ここからはパリ、ロンドンで製造されていたモデルをヨーロッパモデル、ニューヨークで作られたモデルはアメリカモデルと表現します。

 

まずケースの形状が違います。

ではそれぞれの違いを一緒に見ていきましょう。

 

左がヨーロッパモデルと呼ばれるもので、右がアメリカモデルと呼ばれるものです。

分かりやすいように、ベルトの色でも分かるようにしています。

ブラックがヨーロッパで、ブラウンがアメリカですね。

2種類のプレマストタンク左がヨーロッパモデルで右がアメリカモデル

ぱっと見では分かりませんが、ヨーロッパモデルはカルティエの伝統的なタンクのスタイルであり、ケースの表面は滑らかなアーチを描いています。

そしてアメリカモデルはと言いますと、こちらも綺麗にアーチを描いているのですが横から見るとまた様相が変わります。

2種類のプレマストタンク ヨーロッパモデルとアメリカモデルを側面から比較した画像

昔あった飛行機にコンコルドというのがあったのですが、このケースの形状もそれに似ていることからコンコルドと言われており、ケースの12時位置と6時位置のアーチは尖るような形状になっています。

よって、裏蓋と合体させた時には横から見た場合、完全フラット状態となり、ヨーロッパモデルのマロみがない形状が特徴的です。

そして、ケースの組み立て方法も違います。

まずヨーロッパモデルは、我々が一般的に見るデザインの横からビスで留めてあるデザインであり、実際にビスで裏蓋側と表側のケースがドッキングするようになっています。

アメリカモデルはと言いますと、そのビスがなくはめ込み式(他の言い方だとスナップバック式って言ったりするんですが)そのやり方でパチっとドッキングするような構造になっています。

そういった背景から、作りはヨーロッパモデルの方が良いと言われているのですが、私からすればどっちも良い時計であることは変わりませんね。

 

現行型のデザインとの違いは?ムーブメントは?リューズは?

文字盤のデザインが現行型と違うところが、このプレマストタンクの最も美しいと言える部分だと言えるでしょう。

現行型のCartierのロゴはゴシック調になっていますが、プレマストのロゴは筆記体で記載されています。

筆記体で記載されているプレマストタンクのロゴ

プレマストタンクだけに与えられた白文字盤に、ブラックのプリントでローマンインデックスとミニッツレールが引かれているのですが、シンプルでありながらも魅力が詰まったモデルです。

搭載ムーブメントはETA社製Cal.78-1であり、手巻きのムーブメントになります。

ムーブメントには78xと書かれていますが、これが78-1のムーブメントですね。

ちなみに、Cal.78と比較して精度と堅牢性が向上しています。

これはのちに誕生する我々が一般的に知っている、マストタンクも同じムーブメントが搭載されます。

2種類のプレマストタンク砲弾型リューズとタケノコ型リューズの比較

では次にリューズの話ですが、ヨーロッパモデルは現行のタンクルイと同じ、砲弾型のとんがりリューズが搭載されているのに対して、アメリカモデルは傾斜がないタケノコのような形のリューズが搭載されています。

オーガニックタンクで採用されていたリューズと同じ形状ですね。

ただしですね、これらのリューズも在庫の共有が行われていたようで、一般的には先ほど説明したようにヨーロッパモデルには砲弾型、アメリカモデルにはタケノコ型が搭載されていますが、逆のリューズがついていることもあります。

2種類のプレマストタンクヨーロッパモデルの針とアメリカモデルの針の違い

針も同様に、どうやらヨーロッパモデルのデフォルトはブルースチールの針で、アメリカモデルはブラックの針のようで、時々逆バージョンが存在しています。

 

繰り返しになりますが、デフォルトは上記のような設定のようですが、パーツの共有が行われていたためか、絶対にそうなっているというわけではない!ということを頭の中に入れておかないといけませんね。

 

 

ヴィンテージらしいプレマストタンクはとても人気

カルティエの腕時計が販売本数でロレックスに次ぐ2位になったことで、ヴィンテージカルティエも見直しが入り、ヴィンテージモデルもかなり高騰しています。

それはもちろんプレマストタンクもそうであり、大きく高騰している最中のモデルの1つです。

しかし、これまで話を聞いてきた方であれば分かる通り、これらの謎の多い歴史や3兄弟が3つの支店で店舗を構えていたことで起きたデザインの違いの背景などを知ると、誰もが欲しくなってしまうのは仕方のないことでしょう。

オシャレな時計でありながらも、時計のモノづくりは素晴らしいカルティエの腕時計は今後もたくさんの人々を魅了していくことでしょうね。

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