ロレックス エアキングの歴史『Air-king』進化論
こんにちは。
ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では、ロレックスの代表モデルではございませんが、隠れた人気を誇るエアキングについて詳細な進化論を解説して参ります。
動画を見終わった頃には、エアキングの詳細や、そのモデルがいつの年代に作られたモデルかが、ある程度分かるようになると思いますので、是非とも最後までお付き合いくださいませ。
それでは早速やって参りましょう。
エアキングってどんな時計!?
ロレックスのエアキングは、ブランドのラインナップの中でも一定の人気を保っており、現在まで続いているロングヒットモデルです。
ロレックスの腕時計を購入するときの導入モデルとしても、ふさわしいと言えるでしょう。
エアキングは、サブマリーナやデイトナほどの一般的な認知度はないものの、控えめな優雅さと機能性が追求されていることが特徴です。
古いモデルのエアキングは、シンプルなデザインから生み出される魅力を放ち、現代でもコレクターに非常に人気があります。
一方、2016年に導入された現代のエアキングは、古いモデルと比較すると全くの別物に生まれ変わっていると言えるでしょう。
より大きな40mmケースサイズ、ブラックダイヤルに太いアラビア数字、頑丈なオイスターブレスレットを特徴とし、現代のエアキングはロレックスのカタログの中でもひときわ目立つ存在です。
ヴィンテージモデルのクラシックな魅力に惹かれる人も、最新モデルの現代的な魅力に惹かれる人も、ロレックスのエアキングはブランドの精密さ、信頼性、そして洗練されたスタイルという永続的な遺産を体現するタイムピースです。
ではここからは、歴代エアキングのコレクションを見ていきましょう。
ロレックス 初代エアキング
初代スペックの特徴
第一世代/4桁リファレンス(1945年~1956年)
リファレンスナンバー Ref.4925、4365、4499、6552
特徴: バブルバック・ケース、手巻き・ムーブメント
ロレックス エアキングの初代モデルは、1945年から1957年にかけて製造されたのですが、この時のエアキングは、第二次世界大戦中のイギリス王立空軍のパイロットたちのニーズに応えるために作られたものだったんですね。
名前から分かる通り、パイロットに向けて作られた時計だったのです。
エアキングは実際に、イギリス王立空軍のために作られた4つのモデルの中の一つでした。
「エア」シリーズには、エアライオン、エアジャイアント、エアタイガー、そしてエアキングで構成されていたのですが、実際には残りの3つはすぐに生産が終了し、エアキング1本に集約されることになります。
では実際の時計を見てみましょう。
ミリタリーテイストに仕上がっているのが特徴で、これらの初期モデルは4桁のリファレンスナンバーが与えられており、34mmのケースサイズでした。
この頃はまだ自動巻の技術は過渡期であり、初期型のムーブメントには信頼性が保証されている、手巻きが採用されていたんですね。
文字盤のロゴなどは、全てが大文字で全て手書きという、人件費が高騰している今では考えらない、職人の手作業が詰まっています。
インデックスも植字なので、立体的に浮かび上がっており、アラビア数字なのですが丸っこいスタイルのアラビアになってるので、時代を感じることが出来ますし、とてもオシャレです。
初代の製造の終わり頃である1950年代の初期には、Ref.6552が誕生します。
ある程度現代の形に近づいていますが、ムーブメントもこのモデルから世界初の両方向巻上自動巻Cal.1030が搭載されることになります。
12時位置のロゴは、オイスターエアキングからオイスターパーペチュアルエアキングに変わります。
6時位置には新しく、『SUPER PRECISION』のロゴが入り、スーパーを入れることで、自動巻の高精度ムーブが搭載してあることを全面的にアピールしたかったのではないかと考えられます。
では2代目をチェックしていきましょう。
2代目/エアキング(1957年~1989年)
2代目スペックの特徴
リファレンス: Ref.5500、5700
ケース径 34mm
ケース オイスタケース
ムーブメント Cal.1520かCal.1530
1958年から1989年にかけて、第2世代のエアキングが誕生しましたが、一般的にヴィンテージモデルのエアキングで知られているのは、このモデルか次のモデルかなぁと思います。
実際にこのモデルが、ロレックスの中のエアキングの地位を確固たるものにしました。
この時代もケースサイズは引き続き34mmで、当時の他のブランドの時計と比べても、ロレックスの別のモデルと比べても小ぶりな存在感を持っていました。
この世代のエアキングモデルは、スポーティなスタイルを採用し、より多くの文字盤のバリエーションが準備されることになります。
文字盤には、ブラック、シルバー、ブルー、クリームなどの色の組み合わせがあり、ロゴに入る文字などもいくつかのバリエーションが存在します。
6時位置に『PRECISION』というロゴが入りますが、Cal.1530を乗せているものは『SUPER PRECISION』となりCal.1520を乗せているものは通常の『PRECISION』表記となります。
1530の方が古いムーブメントなので、Cal.1520に載せ替えるときにプレシジョンも世間に認知されているし、文字盤からはもうスーパーを外そう!となったんでしょうね。
31年間も生産されたモデルなのですが、実際に歴代エアキングの中でも、1位か2位を誇る人気だと思いますね!
シンプルでサイズもちょうどいいし、最高の完成度を誇っていると言えるでしょう。
では3代目をチェックしていきましょう。
3代目/5桁モデル(1989年~2006年)
3代目スペックの特徴
リファレンス Ref.14000、14010、14000M、14010M
ケースサイズ 34mm
ケース オイスターケース
風防 サファイアクリスタル
3-6-9インデックス
ムーブメント Cal.3000か3130(クロノメーター未認定)
1989年から2006年にかけて、3代目のエアキングが製造されましたがリファレンスの14000と14010の違いは、スムースベゼルかエンジンターンドベゼルかの違いになります。
左が通常のスムースベゼルで、右側がエンジンターンドベゼルですが、エンジンターンドベゼルの方はベゼルの12,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11時の部分に鏡面仕上げされた装飾というかインデックスのようなものが見えますよね。
これをエンジンターンドベゼルと言います。
インデックスも、それまでの伝統的なバーインデックスを残しつつも、3-6-9のビッグアラビアインデックスが誕生します。
3-6-9のビッグアラビアはエクスプローラー1を彷彿とさせますし、これを34mm径で作ってくれているのは、とても嬉しいことですよね。
この年代というのは、どのブランドでもケースサイズが巨大化していく時代だったのですが、意外にもエアキングは34mmを維持したままでした。
素晴らしいというか英断ですよね!
ロレックスはこれらの時計に、素材、文字盤、ムーブメントの改良を含むいくつかの改良を施しました。
文字盤はより多彩になり、ホワイト、サーモン、ブルー、ブラックが準備され、Ref.14010のエンジンターンドベゼルでは、34mmケースではあるものの存在感と高級感が向上したまた違った雰囲気のモデルとなりました。
ムーブメントはクロノメーター未認定でしたが、当時のロレックス社の最先端技術を詰め込んだCal.3000が搭載され、これはサブマリーナにも搭載されていた、耐久性とメンテナンス性が向上しているハイビートムーブメントです。
4代目/6桁モデル、COSC認定(2007~2014年)
4代目スペックの特徴
リファレンス: 114200
ケース 厚めのラグとソリッドブレスレットリンク
ムーブメント クロノメーター認定cal.3130
4代目エアキングは、2007年から2014年にかけて製造され、6桁のリファレンスナンバーが与えられました。
4代目も引き続き34mmのケースサイズを継承しながら、ロレックスは耐久性と精度を向上させるために最新の素材と技術を取り込みます。
ムーブメントはクロノメーター認定のCal.3130が搭載されることとなります。
Cal.3000との大きな違いは、テンプを支えるブリッジが1本から2本になったことで、より精度の安定性が向上した作りになっているところです。
ブレスレットにも改良が施され、これまでのブレスは中央のコマが中空でしたが、このモデルからソリッドパーツに変更となり、重厚感と堅牢性がアップしました。
また、通常のクラスプからオイスタークラスプへと修正されており、こちらもまた手首にしっかりとホールドされる作りに生まれ変わりました。
ケースのラグも太くなり、より現代的なスタイルでベルトから流れるような一体型のデザインに変更されています。
こちらのモデルで特徴的な文字盤は、インデックスの内側にスモールローマンが配置された文字盤でしょう。
スポーツモデルではございますが、文字盤が変わるとかなりドレッシーな雰囲気に変わりますね。
5代目/6桁モデル 2016年から現在 40mmケース
5代目スペックの特徴
リファレンス Ref.116900と126900
ケース 40mmオイスターケース
文字盤 ブラック文字盤に2桁のインデックス
ムーブメント Cal.3131とCal.3230
2014年に一度ラインナップから完全に消えてしまったのですが、その2年後に2016年に40mm径となって復活することになります。
それまでのエアキングのイメージとは大きく違い、外観は伝統的なデザインから脱却し、他のロレックスのモデルとは一線を画す独特なデザインとなっております。
最大の特徴は、それまでの3時、6時、9時位置に大きなアラビア数字の配置は継承されているものの、そのほかの部分です。
5,10,15のように、ミニッツインデックスになっており文字盤もそれまでの多色展開からブラックだけの展開、また耐磁性も追加されているので本当の航空時計となっております。
ただしそこには、現代的なアクセントが効いたグリーンとイエローのカラーがロゴと針の部分に入っています。
またエアキングのロゴは、12時位置から6時位置に変更となっております。
ロレックス・エアキング素材の進化
エアキングはその進化の過程で、さまざまな素材を取り入れて各時代の要求に応えてきました。
初期にはステンレススチールが主に使用され、耐久性とクラシックな外観を提供しました。
リファレンス5500が30年以上にわたって製造されている間、ロレックスはイエローゴールド、ホワイトゴールド、ゴールドキャップ、そしてステンレススチールとゴールドの組み合わせであるロレゾールなどのバリエーションを導入し、ラグジュアリー感を加えました。
リファレンス114200の一部のモデルには、18Kホワイトゴールドのフルーテッドベゼルも装飾されていました。
現代では、エアキングはロレックス専用の高い耐食性を持つスチール合金であるオイスタースチールを使用しています。この素材は、過酷な環境でも時計が頑丈で美しい外観を保つことを保証します。
ロレックス エアキング サイズの進化
エアキングのサイズは、現代の好みやトレンドに合わせて進化してきました。最初は34mmのケースサイズで始まり、当時としては大きめとされていました。
2016年に初めて、ロレックスはエアキングに40mmの大きなケースを導入し、より大胆でモダンな外観を求める人々に応えました。サイズの増加により、時計の存在感が強まり、より多くの人々にとって魅力的になりました。この40mmのケースサイズは、ロレックスラインの新たな平均である36mmを上回る大きさとなっています。
ロレックスAir-Kingダイヤルとベゼルのパターン
ロレックス エアキングの文字盤は、その歴史の中で驚くべき進化を遂げてきました。初期の世代では、文字盤はクリーンでミニマリストな美学を保ち、シンプルな時刻表示と12時位置に配置されたアイコニックなロレックスのロゴが特徴でした。エアキングが進化するにつれ、ロレックスはさまざまな好みに応えるために幅広い文字盤オプションを導入しました。
リファレンス14000が市場に登場した際、ロレックスはブラック、シルバー、ホワイト、ブルーなどの異なる色の使用を試みました。いくつかの文字盤には、サンバーストパターンやギョーシェ仕上げのようなエレガントなテクスチャーが施され、深みと視覚的な興味を引き立てました。時刻マーカーと針は、最適な視認性を追求して設計され、しばしば低光量条件下での視認性を高めるために蓄光素材でコーティングされました。
初期モデルの時代を超えたエレガンスから、現代のエアキングのコンテンポラリーフレアまで、このアイコニックな時計の文字盤は、ロレックスの機能性とスタイルへのこだわりを反映しています。
まとめ
おそらくなのですが、ロレックス社はエアキングをエクスプローラー的なポジションに持って行こうとしてるのでは?
と考えております。
5桁までのエアキングは、34mm径ですので小ぶりな時計が好きな方には、たくさんの種類の中から選ぶことが出来るので、おすすめできます。
6桁になってからの40mmケースは、いかにも現代のサイズ感にブラッシュアップされていますが、こちらもこちらでまた別の時計になっておりかっこよさを感じます。
どのモデルも当時の最高の技術とデザインを取り入れて作られているので、手にすれば満足出来る作りになっていると言えるでしょう。
あとはこれらの特徴を知り自分の好みで、選んでいくのが1番良いお買い物になることでしょう。