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記事: 腕時計の相場どうやって上がる!?売り手目線解説

腕時計の相場どうやって上がる!?売り手目線解説

『腕時計の相場どうやって上がる!?売り手目線解説』を動画でご覧になる方はこちらから↓

この記事では、中古腕時計の相場がどうやって上がっていくのか?

と言うのを、売り手目線で解説させて頂きます。

 また、インフレ時特有の相場上昇を理解するのに3ヶ月かかった、私の未熟だった去年のこともお話しします。

売り手目線から見た時の仕組みが分かることによって、時計の買い方が少しだけ違って見えてくると思いますので、是非とも最後までお付き合いくださいませ。

 

去年の腕時計の相場が上昇した話

皆様が考える腕時計の相場が上がるというのは、ロレックスの腕時計が上がっていくことだと思います。

今日の話は、そう言った話ではありません。

私は普段、中古のカルティエの腕時計をメインに販売しているのですが、特に去年は明確に仕入れ値が大きく上がりました。

 

モデルによって、ピンキリなので上がってないものはそのままなのですが、大きいものでは2023年1月の仕入れ値と、12月の仕入れ値は10万円違うものもあります。

しかもそれは、もうこれ以上、下がることもないと思われます。

ここまで仕入れ値が上がったら、もう売り切るのは難しいのでは?

と以前はそういう考えで、動けない時期があったのですが、やはりインフレ時代の思考に切り替える必要があります。

インフレで仕入れの値段も高騰するのですが、事業を行う身としては仕入れないと売れなければ利益も出ません。

だからどうにか頑張って時計を仕入れております。

というわけで、これは当たり前の話ですが、なんで時計自体の値段が上がってるにも関わらず購入する人がいるかを考えてみましょう。

 

 

中古の腕時計相場が上がっていく1つ目の理由 新品価格の高騰

これは1つに新品の価格が影響しています。

例えば、新品の『サントス ドゥ カルティエのLMサイズ ステンレスモデル』が定価が118万円なのですが、この価格は年齢によって変わってくるのですが、買いたいなぁと思った時に、じゃあ頑張ってお金を貯めて買おう!

と決心しても、買える金額ではありません。

こうなってくると、じゃあ別のモデルで。中古も見てみよう。廃盤品を見てみよう。

って考えるのですが、こう考える人の母数が少なければ、中古の値段は上がってはいきません。

やはり、一定数の方が新品や新古品が高いなぁと感じるからこそ、その時に中古の腕時計が選択肢に入ってくるという感じです。

 

 

中古の腕時計相場が上がっていく2つ目の理由 あの時の憧れ

これは当時欲しかったものを購入できなかったけど、今だったら購入出来るという状態の人が購入するパターンです。

若い頃は、あれが欲しくても購入できなかったものが、今になったら買うことが出来るし、新品で購入するよりも安いからむしろ好都合ということになります。

 

日本人男性の平均年齢は、現在48歳と言われてますので、世の中の仕組みもある程度理解できてるし、生活もある程度余裕があるし、自分に使えるお金がやっと増えてきたところでしょう。

当時の憧れていたものというのは、懐かしい気持ちにさせてくれますし、思い入れが深いぶん手にしたくなるものです。

そういった考えを持ってる層の方も増えていると感じます。

 

 

中古の腕時計相場が上がっていく3つ目の理由 高齢化

先ほどの話に繋がってくるのですが、高齢化も影響していると考えています。

34歳の私でも42mm径の腕時計になると、モデルによっても変わってくるのですが結構重さがあります。

(もちろん大きい時計をつけるのは好きですが)

しかし、これをいつまでも続けられるかと考えると、ちょっと厳しいでしょうね。

人によって違うのでしょうが、どこかの地点で36mm前後とか30mm前後になっていくと思われるのですが、その割合が高い日本では、中古のヴィンテージウォッチは現行モデルよりも小さく作られている分、中古が求められることが多いと感じています。

 

 

この他にも、様々な理由があって買い手は中古の時計を選択肢として、候補に挙げるのでしょうが、おおまかに分類すれば上記の内容に収まると思います。

 

 

もちろん、人の考え方なんて100人いれば100人通りの考え方があります。

新品しか購入しない!という方のその気持ちは分かりますし、そういった方々がいらっしゃるからこそ、私のような中古を扱う時計屋さんが存続できていることも理解しております。

 

よって、腕時計を愛している皆様には感謝しかありません🙇

 

それではですね、ここからは売り手目線での中古相場が上がっていくことについて、解説していきますね。

 

 

 売り手から見た仕入れの考え

時計を仕入れる時に、現在そのモデルがいくらで販売されているのかをチェックします。

このモデルがいくらで販売されていて、これくらいの値段で売れてるから、仕入れ値はこれくらいにしないといけないよなぁ。

と、普通はこういった感じですね。

ですが、去年から始まったインフレの時はどうだったかと言いますと、この値段で売れているから、これくらいで仕入れないといけないというのは、通用してません。

普段ですね、ある場所で仕入れをするのですが例えば、マストタンクが大体26万円で売れていたとして、そのマストタンクを仕入れるには18万円が理想でしょう。

8万円の差額が出ますからね。

しかし、実際にその腕時計は別の人が20万円くらいで、仕入れた!というのも分かっています。

ここが問題だったんですね。

その時の相場が大体26万円だったとしたら、18万円で仕入れるとそこからオーバーホールを含めて、22万円になるので、26万円で販売したとしても成り立つわけです。

しかし、これが20万円の仕入れとなると、オーバーホールも含めて24万円になりますし、ここから25万円で販売してもかなり厳しいわけですよ。

利益が1万円になりますので、ちょっと割に合わないなぁ。

ということですね。

 

去年の前半くらいまでは、結構こんな流れが続いてました。

 

 

そんな流れが3ヶ月くらい続いたのですが、途中で気がつくんですね。

これ中古の相場、じんわり上がってるやん💦

とですね。

 

ですので、私はその瞬間の相場で仕入れをしていたのですが、他の方は翌月はまだ上がってるだろうからということで、上がった状態の金額で仕入れをしていたのです。

要するに、先ほどの例だと私は18万円で仕入れないと26万円では売れないと思っていたのが、我々が販売する時にはもう相場は28万円になっている状況だったんですよ。

 

 

そこからですね、先のことを見据えて時計の仕入れ値を決めないといけない、ということが分かったので、仕入れることが出来るようになったのですが、インフレの時には、こう考えないといけないのかぁと肌で感じたわけです。

今思えば、バカだなぁって思う話なのですがやはりその仕組みが分かってないと、なかなか思い切った行動が出来ないんですよね💦

 

と、ここまでは仕入れ値が上がっていく様子を解説しましたが、相場が上がっていく時の買われている状況について解説しますね。

 

ではここからはですね、先ほどの『先を見据えて』の部分にもうちょっとフォーカスしてお話しさせて頂きます。

 

先を見据えて仕入れをしないといけないということは、将来はどうなっているかを考えないといけないということです。

例えば、今日その時計を仕入れて明日とか1週間以内に、それを販売できれば特に先を読む必要はありません。

ですので、ネックレスやリングなどのアクセサリーなどを扱っていれば、その日に仕入れて1週間以内に売るというのは、結構現実的かと思います。

しかし、腕時計となるとまずは『腕時計をオーバーホールする』という工程を挟まないといけないので、その工程が入ると私の場合だと6週間から8週間かかります。

ここが先を読まないといけないポイントなんですね。

2022年までであれば、6週間後もほとんど相場は変わってなかったものが、去年は6週間で変わるくらいの勢いがありました。

その6週間後が見据えることができてなかったために、上手に仕入れができなかったということなんですね。

その反面、在庫を持つというのは今の状況は有利に働きます。

直近の1年の間に『現金を持っていても、資産は実質減りしているから、別のものに変えておいた方が良い』というのは一度は聞いたことがあると思います。

要するにこれは、今の私のような状況と同じで、今日仕入れておかないと6週間後の仕入れの値段は上がってるんですね。

ということは、それを価格にも転嫁しないといけないので、6週間後はまた値段が上がってるということなのです。

でも現金であれば例えば1万円だったとしたら、は6週間後にも同じ1万円ですよね。

つまり、ニュースが言ってることはそういうことなんです。

 

質屋と時計店の違い

ではここからは、相場が上がっていくことにおいて外せない『時計屋さん』と『質屋』の関係について解説して参ります。

質屋によって、そのスタイルというのは全然違いますが、基本的にはそこにはオーバーホール(修理)を挟んでいません。

ネックレスやリングのように、買い取った腕時計はそのままの状態で販売されることになります。

ここが大きな違いになるのですが、購入者はここをどう捉えるかが分かれ目になるでしょう。 

質屋で購入するメリットは、やはり安さにあります。

オーバーホールを通してない分、安くできるのはそうなのですが、一般の人から買取をやってるので、売値も安いのが特徴です。

何かのモデルを検索した時に、同じモデルでも価格差が結構あるのは、質屋が相場よりも安く販売してて、時計屋さんが大体相場通りに出してるから、価格差が出ているんですね。

これは中古の腕時計の場合の話ですね。

同じ時計だったとしても、そういう背景があって値段が違うんだぁ。ってのを知ってるだけでも、時計の買い方は変わってくることでしょう。

 

では、ここからは相場が上がる時の買われ方という、最も皆様が気になってる部分について触れていきます。

 

 

相場が上がる時の買われ方

こうやって、質屋と時計屋さんが時計を販売しているのですが、 例えばマストタンクが28〜30万円の間で売れているのだとしたら、基本的には28万円のものから購入されていきますし、大体そんなもんだろうなぁ。

ってのは、分かって頂けると思います。

じゃあ、なんで28万円のまま維持できないかと言いますと、売り手がさっきの私のような状態になるからです。

元々の仕入れが安いのであれば、28万円の売値をつけることが出来ますが、元々の仕入れ値が高いともうそれを下回ることが出来ません。

となると、自分が販売する時には30万がギリギリラインになります。

こうやって他の人が販売している、28万円台がなくなって、29万円台がなくなって、30万円台しか残らなくなって、30万円台に乗った時に自分の時計が購入されるということなのです。

これは時計屋さんが仕方なくそうしないといけないから、そうなるわけで質屋が本気を出せばもっと安く買取して安く販売出来るのでしょうが、大きく外れた金額での買取はしません。

これはやはり質屋も、仕入れないと回転しませんし、安く買取金額を提示して『じゃあ売るの辞めます』って言われるよりも一定の利率で回すことの方が大切だからですね。

 

こういった背景があって、中古の腕時計というのは相場が少しずつ上がっていきます。

 

 

 まとめ

腕時計の相場がどのように上がっていくのか?

を需要と供給が原因だから、というだけで止まっていたのが、売り手側の背景も一緒に見ていくことで、少しだけ納得できたと思います。

これは私の予想なので、適当に聞き流して欲しいのですが去年ほどではないにしろ、今年も全ての値段は高騰していくと思われます。

4月くらいにマイナス金利解除すると言ってるので、少しだけ円高に触れて高騰のスピードはちょっとだけ落ち着きそうですが、それでもまだ円安が続くと思われるのでですね。

それに比例して、みんなの賃金が上がることが望ましいのですが、実際には今くらいからがスタートでしょう。

34年生きてきて、世の中の全てのことを一通り経験してきたつもりでしたが、こう言ったインフレを経験するのは初めてで、まだまだ私も未熟だと実感しました。

今後も、腕時計について色々と解説して参りますので、こう言った動画を作って欲しいなどのご希望がございましたらお気軽にお申し付けくださいませ。

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