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記事: 腕時計を修理しながら長く使うという価値観。ここに合理性がある理由

腕時計を修理しながら長く使うという価値観。ここに合理性がある理由

こんにちは、ベルモントルの妹尾です。

本日は『腕時計を修理しながら長く使うという価値観。ここに合理性がある理由』という内容でお話しして参ります。

壊れたら直して使い続けるか、それとも新しいものに買い替えるか。

これは腕時計に限らず、あらゆるモノとの付き合い方において、多くの方が一度は考えたことのある問いだと思います。

ただ、腕時計に関して言えば、この問いへの答えが、より修理した方が合理性が高くなってきています。

その背景にあるのが、中古腕時計市場全体の値上がりという、動かしがたい事実です。

気軽に買い替えるという選択肢が、以前ほど当たり前ではなくなってきている今だからこそ、直しながら長く使うという発想に、改めて合理性が見えてくるんですよね。

今回は、その理由を一緒に見ていきます。

腕時計というのは本来、値段やブランド名だけでは、その一本が本当に納得できるかどうかは、決まらないんですよね。

その一本が持つ背景まで見えてきたときに、初めて『これだ』と思える自分の一本に出会えるんですよね。

そういった自分だけの1本をお探しの方は、是非とも青山にある店舗までお越し下さい。

またベルモントルでは、そうした背景や佇まいも含めて腕時計を選びたい方に向けて、公式LINEで一般公開前の新着商品や入荷予定品をご案内しています。

概要欄から公式LINEのお友達登録をよろしくお願い致します。

それでは話を進めて参ります。

 

 

手に入れる金額が上がるほど、買い替えの合理性は下がる

まず前提として、中古腕時計市場全体の値動きを示す指標によると、この5年間で市場全体の価格水準は、名目ベースでおよそ20%上昇しています。

つまり、特定の人気ブランドだけが値上がりしているのではなく、市場全体を見ても、5年前と比べて明らかに底値が上がっているという状況なんですよね。

これはもう視聴者の皆様も実感されてることだと思います。

ヴィンテージウォッチは、かつては「掘り出し物を安く見つける楽しみ」という側面が強くありました。

ただ、今の水準で考えると、その前提そのものが少しずつ変わってきているんですよね。

気軽に何本も買い替えられる価格帯ではなく、相応の金額を出して、きちんと選んで手に入れるものへと、ヴィンテージ腕時計というジャンル自体の性質が変わりつつある、もしくはもう変わってしまったという表現が適切かもしれませんね。

これはブランド側で新品の値段を上げてきたことと、実際にヴィンテージ需要そのものが積み上がってきた結果だといえます。

限られた個体数の中で、世界中の愛好家が同じ市場を奪い合っている以上、価格の水準が緩やかに上がっていくのは、ある意味では自然な流れなんですよね。

そしてこの傾向は、今後さらに続いていく可能性が高いと考ています。

気軽に手放して、また新しく買い直せばいい、という発想がこれまでのようには成立しにくくなってきているんですよね。

特に人気の高いモデルほど、この傾向は顕著に表れやすく、数年前の水準を基準に予算を立てていると、思わぬ差額に驚かれることも珍しくありません。

だからこそ、手元にある一本と、これからどう付き合っていくかという発想そのものを、見直す転換点にきています。

一度きちんと市場の実態を知っておくことが、これからの判断をより落ち着いたものにしてくれるはずです。

それでは、この前提を踏まえた上で、ヴィンテージウォッチの修理という選択肢の合理性を具体的に見ていきます。

 

 

「安く新しく」から「直して長く」へ。これまで以上の唯一無二感

「直して長く使う」ことが合理的である、もう一つの理由があります。

それは、今手元にあるその一本と、まったく同じ個体は、二度と手に入らないという事実です。

新品であれば、同じ型番を買えば、基本的には同じ仕様のものが手に入ります。

ただヴィンテージ腕時計の場合、話はまったく違うんですよね。

文字盤の経年変化、ケースの傷の入り具合、などなどその一本だけが持つ個体差は、たとえ同じ型番であっても、二度と同じ形では再現できません。

つまり、買い替えるという選択をした瞬間に、「同じモデル」は手に入っても、「同じ個体」は永遠に失われてしまうということなんです。

コンディションが良い個体になれば、それはより入手の難しさが上がります。

修理という選択は、この「同じ個体」を守り続けるための、唯一の手段だといえます。

数十年かけて刻まれてきた経年変化や、これまでの持ち主が積み重ねてきた履歴は、お金では買い戻せない価値なんですよね。

ここに修理をしながら、長く使うことの整合性が生まれます。

一方で買い替えは、新しい個体を迎えるという意味では前向きな選択ですが、これまでの一本が持っていた固有の物語は、そこで途切れてしまいます。

どちらが正しいということではありませんが、少なくとも「今の一本にしかない価値」を大切にしたいのであれば、答えは自然と修理という選択肢に近づいていくんですよね。

当店でお預かりするヴィンテージ腕時計も、同じ型番であっても、一本一本まったく違う表情をしています。

文字盤のパティナの出方も、ケースの傷の入り方も、まったく同じものは2つとありません。

だからこそ、お客様が長年連れ添った一本を手放すことなく、直しながら使い続けたいとおっしゃる気持ちは、当店としてもよく理解できるんですよね。

むしろ、その表情の変化そのものを、共に過ごしてきた時間の証として大切にされている方も少なくありません。

新しい一本には新しい一本の魅力がありますが、今の一本にしか刻まれていない時間は、どれだけお金を積んでも取り戻せないものなんですよね。

だからこそ、直すという選択は、単なる修繕以上の意味を持っているんですよね。

とは言ってもですね、流石にも引き出しの奥に眠ってしまってる使う予定のない腕時計を、引っ張り出して使い続けましょう。ってのも、もうそれに愛着がなくなってるから引き出しの奥にあるわけなので、ここら辺はしっかりと自問自答しないといけません。

というわけで、修理してまた使い始めるのか、売却すべきかの判断基準についてをこちらの『「もう着けていない腕時計」が引き出しに眠っている全ての人たちへ』の中で解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください⬇️

 

 

 

では次にですね、「自分の代で終わらせない」という選び方!という内容で解説して参ります。

 

 

「自分の代で終わらせない」という選び方

先日、大阪からわざわざ当店までお越しくださった、43歳の男性のお客様がいらっしゃいました。

選ばれたのは、こちらのロレックス デイトジャストのラベンダーダイヤルですね。

ロレックス デイトジャスト ラベンダー文字盤

派手さはなく、光の角度によってグレーにもラベンダーにも見える、控えめで奥行きのある文字盤を持つ一本でした。

売り切れた後に、凄くアクセスが増えてたので狙ってた方も多かったんじゃないかなぁと思います。

それでなぜこの色を選ばれたのか、理由を伺ったところ、こうおっしゃったんですよね。

「自分が使うのは当然なんですけど、使い終わったときに娘に託せるかなと思って、このラベンダーの色を選びました」

この一言が、とても印象に残っています。

派手なスポーツウォッチではなく、あえて控えめで上品な一本を選ばれたのは、ご自身の好みだけでなく、その先にいる娘さんの存在を、既に思い描かれていたからなんですよね。

ロレックスに限らず大切に使っている時計であれば、いずれお子様に継承することもできます。

そして、大切に扱われている時計を日常的に見ていたお子様は、いざ自分が受け取る番になったときも、その扱い方を自然と受け継いでいるのではないかと思うんです。

これはあくまで私自身の考えですが、そんな風に感じています。

いつかそれを譲るというのを事前に伝えておけば、適当に質屋に投げ出されることはないはずです。

腕時計を選ぶという行為は、実は自分一代だけで完結する話ではないのかもしれませんね。

特にこのように高額になっている現代では、この傾向はもっと進むかもしれません。

どんな色を選ぶか、どう大切に使うか。

その一つひとつの積み重ねが、次の世代へと静かに引き継がれていくものなんですよね。

今、目の前にある一本を選ぶとき、その先の景色まで思い描いてみるというのも、腕時計選びの一つの豊かな視点なのではないかと思います。

だからこそ、その方が選んだ「この一本」は、娘さんにとっても、単なるロレックスという以上の、かけがえのない一本になっていくはずです。

継承というと、つい高価なものを残すことばかりに意識が向きがちですが、本当に大切なのは、金額よりも、その一本をどう扱ってきたかという過程の方なのかもしれません。

その日、その方が娘さんの未来まで思い浮かべながら一本を選ばれる姿を見て、改めて腕時計というものの奥深さを感じました。

ではね、いつも通り最後にベルモントルの視点をお話しして締めくくりと致しますね。

 

 

ベルモントルの視点

ここまで、腕時計を修理しながら長く使うという価値観に、なぜ今合理性が生まれているのかを見てきました。

中古腕時計市場全体が5年間で値上がりを続けている以上、気軽に買い替えるという選択肢は、以前ほど当たり前ではなくなっています。

だからこそ、直して使い続けるという発想が、経済的にも、そして気持ちの面でも、自然な選択になってきているんですよね。

当店では、この流れを単なる時流としてではなく、腕時計本来の在り方への回帰だと捉えています。

もともと機械式の腕時計は、修理しながら何十年も使い続けることを前提に作られた道具です。

値段が上がっている今だからこそ、その本来の在り方に、改めて目を向けていただくきっかけになれば嬉しく思います。

手元にある一本を、これからも長く大切にしていきたいという方は、ぜひ一度、当店までご相談ください。

一本の腕時計と、丁寧に時間を重ねていくお手伝いができればと考えております。

新しいものを次々選ぶ楽しみ方も、もちろん一つの正解です。

その上で、一本と長く向き合っていくという選び方にも、これからの時代ならではの価値があるということを、今回お伝えできればと思っておりました。

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