新品の時計とは何が違うのか?
ここもかなり重要なポイントです。
ヴィンテージウォッチを人に勧めるうえで、新品との違いを自分の中で整理できていないと、相手にも伝わりません。
そしてこの違いは、単に「中古か新品か」という話ではありません。
もっと根本的な、“価値の捉え方”の違いです。
新品の時計は、基本的には「完成された状態のもの」を買う商品です。
傷がないこと、精度が安定していること、保証があること。
こういった安心感も含めて価値になっています。
言い換えると、「減点されないこと」が大事な世界です。
一方でヴィンテージウォッチは、最初から完璧ではありません。
多少の傷や経年変化があることは前提ですし、精度も現代の時計ほど安定していない場合があります。
ただ、その代わりに、その時計が辿ってきた時間や、当時の作り、今では作られないデザインなどが価値になります。
つまり、「減点がないこと」ではなく、「どこに魅力を見出すか」が重要になってきます。
ここは前述した通り、感性の部分なんですよね。
腕時計なんだけど、ヴィンテージウォッチは機能50%、趣50%って感じじゃないですね。
ここを理解していないと、「新品の基準」でヴィンテージを見てしまいます。
そうすると、どうしても粗が目についてしまい、「なんでこんな状態でこの価格なの?」という感覚になってしまいます。
逆に、この違いを理解している人は、同じポイントを「味」や「個性」として捉えることができます。
例えば、少し焼けた文字盤を「劣化」と見るか、「美しい変化」と見るか。
ここが分かれるポイントです。
なので、ヴィンテージウォッチを勧めるというのは、単に時計を紹介するのではなく、
「新品とは違う価値の見方がある」ということを伝える行為でもあります。
この前提を共有できていない状態で勧めてしまうと、どうしてもズレが生まれます。
だからこそまずは、「新品とは全く違う軸で選ぶ時計なんだ」ということを、自分自身がしっかり理解しておく必要があります。
この事については、こちらの『完璧』を求める方には向かないヴィンテージウォッチの動画の中で解説していますので、気になる方はご覧下さい⬇️
では次に、ヴィンテージを勧める前に自分が理解しておくべきこと!という内容で解説します。
ヴィンテージを勧める前に自分が理解しておくべきこと
ここはあまり語られないポイントですが、実はかなり大事な部分です。
ヴィンテージウォッチを人に勧めるとき、多くの場合は「相手がどう感じるか」に意識が向きがちです。
ただ、それ以上に重要なのは、自分がどこまで理解しているか?です。
なぜなら、ヴィンテージは「曖昧さ」を含んだ商品だからです。
例えば、同じモデルでも状態は一つひとつ違いますし、「どこまでを良しとするか」という判断も人によって変わります。
視聴者様が良いと思っているものであっても、進める人が良いと思うかっていうとそうではありません。
つまり、明確な正解がある世界ではありません。
このときに、自分の中に基準がないまま勧めてしまうと、相手に対して一貫した説明ができなくなります。
「ここは味です」と言ったり、「ここは気にしなくて大丈夫です」と言ったりしても、その理由が自分の中で整理されていないと、どうしても言葉に説得力が出ません。
そして、その違和感は相手にも伝わります。
逆に、自分の中で基準がしっかりしていると、多少のデメリットがあっても、それを含めて説明することができます。
例えば、「この文字盤はクラックが入っていますが、当時はラッカー塗料を使っていて、それが金属文字盤に塗られているから伸縮性の違いによって、光に当たった時にクラックが見えるけど、これはヴィンテージだから生まれる味なんだよ」といったように、自分の見方として伝えられます。
ここで大事なのは、「良いか悪いか」を断定することではなく、「自分はどう見ているか」を言葉にできることです。
人によっては、クラックを劣化と捉える人もいますからね。
ただし、これはどちらが正解とかじゃなくて、正解は1人1人違うという事です。
ヴィンテージウォッチは、スペックや数値だけで語れるものではありません。
だからこそ、勧める側がどれだけその時計を理解し、自分なりの視点を持っているかが、そのまま伝わります。
そしてそれが、その時計の魅力として相手に届くかどうかを左右します。
つまり、ヴィンテージを人に勧めるというのは、「良いものを紹介する」というよりも、「自分の見方を共有する」という行為に近いです。
そのためにはまず、自分の中にある基準や価値観を整理しておくことが必要です。
ここが曖昧なままだと、どれだけ良い時計でも、相手には伝わりにくくなってしまいます。
では次に、逆にヴィンテージを楽しめる人の共通点という内容で解説します。
逆にヴィンテージを楽しめる人の共通点
ここまで「誰にでも勧められるものではない」という話をしてきましたが、逆にヴィンテージウォッチをしっかり楽しめる人には、いくつか共通点があります。
まず一つは、完璧を求めていないことです。
これはネガティブな意味ではなくて、「多少の不完全さも含めて受け入れられるかどうか」ということです。
ヴィンテージウォッチは、どうしても新品のような状態ではありません。
小さな傷や経年変化、個体差がある中で、それをマイナスとして見るのではなく、「その時計が歩んできた時間」として受け取れる人は、ヴィンテージを楽しめます。
前回も話しましたが、おじいちゃんをイメージして欲しいんですよね。
それでこの話を友人や親族にもこの例え話をして欲しいんですが、おじいちゃんに100mを走らせて、なんでそんなにおっせえの?って会話は存在しないじゃないですか。
それは世間の共通認識として、年を取ったら筋力も身体能力も落ちるというのは、知っているからです。
ただし、おじいちゃんには我々より長く生きてる事による、我々が知らない知識経験情報を持ってらっしゃるんですよね。
これをヴィンテージウォッチに置き換えるのであれば、精度は身体能力で、知識経験情報はエイジングとかパティナと言い直すことが出来ます。
このように説明してあげることで、相手の方は一気にヴィンテージウォッチの理解が深まると思います。
なんならこの動画を共有して頂くってのでも全然良いですよね。
次に、背景やストーリーに興味を持てることです。
例えば、その時計がどの時代に作られたのか、どんなデザインの流れの中で生まれたのか、どんなブランドの考え方が反映されているのか。
こういった要素に面白さを感じられる人は、単なる「物」としてではなく、その時計をより深く楽しむことができます。
さらに、自分で選ぶことに意味を感じる人も、ヴィンテージに向いています。
新品の時計は、ある程度「正解」が用意されています。
人気モデルや評価が高いものを選べば、大きく外すことは少ないです。
分かりやすいところで言えば、ロレックスでしょうね。
一方でヴィンテージは、同じモデルでも状態や雰囲気が違う中で、「どの一本を選ぶか」という判断が求められます。
このときに、人の評価ではなく、自分の感覚で選ぶことを楽しめる人は、ヴィンテージウォッチとの相性が良いです。
つまりヴィンテージを楽しめる方というのは、
「正解を求める人」ではなく、「自分の納得を大事にできる人」だと思います。
だからこそ、ヴィンテージウォッチは万人向けではありませんが、合う人にとっては非常に満足度の高い存在になります。
この違いを理解したうえで勧めることができると、相手にとってもより良い選択につながると思いますね。
では次に、本当に勧めるべきなのは時計ではなく考え方!という内容で解説します。
本当に勧めるべきなのは時計ではなく考え方
今回の話で、ここが今回の一番大事なポイントです。
ヴィンテージウォッチを人に勧めるとき、多くの場合は「この時計いいよ」といった感じで、物そのものを伝えようとします。
ただ、実際にはそれだけではうまくいきません。
なぜかというと、ヴィンテージウォッチの価値は、時計単体では完結しないからです。
例えば、同じ一本を見ても、ある人にとっては魅力的に映り、別の人にとってはただの古い時計に見えることがあります。
この違いは、時計のスペックや状態の問題ではなく、「どういう視点で見ているか」によって生まれています。
言い方を変えると、目で見えているものではなく、心でどう感じるのかが大きく影響を与えています。
つまり、ヴィンテージウォッチを勧めるというのは、「物を渡す」というよりも、「見方を共有する」ことに近いです。
例えば、経年変化をどう捉えるか。
それを「劣化」と見るのか、「時間が作った表情」と見るのかで、同じ時計の価値は大きく変わります。
この見方が共有できていない状態で時計だけを勧めても、相手にはその魅力が伝わりにくくなります。
逆に、「こういう視点で見ると面白いよ」と先に伝えることで、初めてその時計の良さが理解されやすくなります。
なので、本当に勧めるべきなのは時計そのものではなく、その時計をどう捉えるかという考え方です。
そして、その考え方に共感してくれた人に対して初めて、「こういう時計があるよ」と具体的な提案をします。
この順番が大事だと思います。
ですので、腕時計をお子さんに受け継がせると考えてらっしゃる方も、その日が来た時にサプライズで!とかって渡し方をすれば意思が伝わってないので、多分質屋に持って行かれてしまいます。
お渡しする際には、これはいつ買ったもので、どれだけの価値があって、こういう風に見えてるけど、これが正解なんだよ。
ってのを、1回じゃなくて定期的に伝えておかないといけません。
連休中に帰ってきた時に、その都度伝える必要があります。
ヴィンテージウォッチは、スペックや価格だけで選ぶものではありません。
だからこそ、最初に共有するべきなのは「何を大事にして選ぶのか?」という部分です。
そこが合っていれば、自然と選ぶ腕時計も合ってきますし、結果として満足度も高くなります。
結論として、ヴィンテージウォッチを人に勧めるのであれば、「これいいよ」ではなく、
「こういう見方をすると面白いよ」この順番で伝えることが大切だと思います。
ベルモントルでは、今回お話ししたように「価値観から腕時計を選ぶ」ということを大切にしています。
ただ並んでいる中から選ぶのではなく、実際に手に取って、着けてみて、その一本が自分に合っているのかをゆっくり考えていただく場所です。
初めての方でも、知識がなくても問題ございません。
むしろ、「どういうふうに選べばいいのか分からない」という状態の方こそ、実際に見ていただくことで感じられることがあると思います。
現在は、金曜と日曜をフリーオープンで営業しています。
ご都合の良いタイミングで、気軽にお立ち寄りください。
また、しっかりと見比べたい方や、ご相談されたい方はご予約も承っております。
動画で感じていただいたことを、実際の空間で確かめていただけたら嬉しいです。