1分ショート スイスのインフレで腕時計の物作りはどう変化するのか?
スイスのインフレで腕時計の物作りはどう変化するのか?
ブルームバーグの記事によると、2024年1-7月の時計輸出額は2.4%減少した。
インフレにより人件費が上がり、それを価格にも転化しないといけないために、腕時計の値段も上昇し、売り上げが鈍化していると説明されている。
そして、問題はただ単に時計の値段が上がるだけなのか、真実は分からないことである。
1960〜70年代にも同様に、スイスの人件費が高騰したことで起きたムーブメントの変化を見てみよう。
ではこちらの図をご覧頂きたい↓
上が古く下が新しいムーブメントである。
赤丸で囲ってる部分をご覧頂きたいのだが、これがコラムホイールとパーツである。
これら2つのムーブの最も大きな違いは、コラムホイールが『ある』か『ない』かである。
上側はクロノグラフの動作をコラムホイールで制御するのに対して、下側はカムと言ってプレス整形で作ることができるプレートで制御している。
とりあえずここでは、コラムホイールは高級なんだなぁ、程度で理解して頂きたい。
こちらがコラムホイールなのだが、これは職人が1つ1つ丁寧に、柱の角度を調整していかないと作ることはできない。
要するに、人の手がかなり必要なパーツである。
その反面カム式は、そこに人の手は介入しない。
よって、この2つのムーブメントは、ぱっと見は同じに見えてもこれが完成するまでの金額は大きな開きが出てくるのである。
人件費が嵩むことで、簡略されている箇所が出てくるかどうかは、未来にならないとわからないであろう。