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タンク アングレーズ

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タンク アングレーズについての魅力を動画でご覧になる方はこちらから↓

この記事では、消えてしまった御三家の1つである『タンク アングレーズ / tank Anglaise

』について解説して参ります。

アングレーズというモデルの製造期間は、短かったので他のモデルと比べて知ってる人は少ないと思いますが、私の印象ではカルティエらしくおしゃれな時計だなぁと思っています。


カルティエの腕時計には、廃盤になってしまったものの中に、素晴らしい作品がありその1つは『アングレーズ』と言えるでしょう。

 

この記事を最後までご覧頂くことで、アングレーズの魅力や歴史はもちろんのこと、他のアメリカンやフランセーズとの関係性、まで理解することが出来ます。

アングレーズの魅力が分かれば、中古市場に流れるアングレーズの時計も候補に入ってくる方は多いと思いますので、私も気合を入れて解説して参りますので、是非とも最後までお付き合いください。

 

タンクがつくモデル名の意味

まず最初に、モデル名のどこかにタンクが付くものがありますが、これはどういう意味なのか?

ということについて、解説して参ります。

カルティエの腕時計の歴史を簡単に振り返ると、1917年にタンクのプロトタイプが完成し、正式に顧客向けに販売されたのが1919年になります。 

ちなみに、1917年に作られたプロトタイプは1918年にヨーロッパのアメリカ遠征軍の指揮官であった『ジョン・ジョセフ・パーシング将軍』に贈られたとされています。

そして、この1919年に一般販売されたものが現在にも残る『タンク ルイ カルティエ』とほぼ同じ形をしていることから、これがタンクの原型と言われてるんですね。

要するに、ルイ カルティエは全てのモデルのご先祖さまのポジションに値するのです。

では、最初の問いかけであったなぜモデル名のどこかに『タンク』がつくのかと言いますと、タンクが付くモデルはルイ カルティエの派生系ですよ。

という意味が含まれています。

よって、現行で展開されている『タンク アメリカン』『タンク フランセーズ』『タンク マスト』そして、廃盤になってしまった『タンク アングレーズ』はその派生系ということになるのです。

 

では次に、アングレーズのポジションを見ていきましょう。

 

 

タンク アングレーズってどんなモデル? 

カルティエ タンクシリーズ アメリカン・フランセーズ・アングレーズ

左からタンク・アメリカン、フランセーズ、アングレーズとなっておりそれぞれアメリカ、フランス、イギリスの国名が入るモデル名になっております。

これは、創業者であるフランソワから見て孫に当たるルイ(Louis)、ピエール(Pierre)、ジャック(Jack)がニューヨーク・パリ・ロンドンに拠点を置いたことへのオマージュから、このように国名の名前が当てられています。

 

要するに、『アングレーズ』という名前は、イギリス名が当てられているということなんですね。

これら3つのモデルの誕生年を見てみると、アメリカンが1989年、フランセーズが1997年、アングレーズが2012年でありアングレーズが一番新しいモデルになります。

そして、アメリカンとフランセーズは現在も残っており、アングレーズは残念ながら2019年に廃盤となってしまいました。

タンク アングレーズは、「ブリティッシュスタイル」のタンクと表現できます。

直線的なデザインでありながら、全体に優美な丸みがある形状は、1920年代にブームになった『アールデコ』を反映したロンドンスタイルから、インスピレーションを受けているとされています。

タンクのシリーズに統一されている、アールデコのど真ん中をいくデザインからは離れています。

このようにアングーレーズのデザインを見てみると、それ以前のアメリカンやフランセーズとは違い、新しくデザインされたモデルだと言えるでしょう。

 

独特なケースと文字盤を見てみよう

これまでのタンクのモデルとの大きな違いは、タンクシリーズでは珍しくケースの中にリューズが含まれているところでしょう。

9角形のリューズは、ブルーのスピネルがセットされていますが、先端はカットされておりケースの縦ラインの直線的なデザインに合わせられています。

ケースの側面には凹みがあり、リューズを引き出すことができます。

一般的には、リューズを引っ張ってそこで時刻を合わせるのですが、ケースに含まれてるリューズをひっぱたらケースとぶつかってしまいます。

もう少し、詳しくその動作を見てみましょう。

 カルティエ腕時計 アングレーズ リューズの動作の仕組み

 

私達がイメージするリューズは、9角形とカボションの部分が一体となった部分ですが、アングレーズは9角形の部分は通常は回転するだけで、そことカボションの部分が独立しています。

要するに、カボションの方を引っ張ることで9角形のリューズとドッキングし、こうすることでリューズを引っ張っても、9角形の部分はケースにぶつからないんですね。

これは他の時計ブランドにも採用されておらず、珍しいシステムですが技術的な要素と美学、遊び心を組み合わせたカルティエの哲学が投影されたものと言えるでしょう。

 

では次に文字盤を見てみましょう。

タンク アングレーズの文字盤の特徴

カルティエのデザインの中でも、最も伝統的ローマ数字が使われており、シルバーの文字盤には高級モデルにだけ使われる『ギョーシェ彫』の装飾が施されています。

ギョーシェ彫を簡単に解説しますと、文字盤をよ〜く見てみると中心から外側に向かって波状の模様が見えますよね。

この波状のことを、ギョーシェ彫というのですがアングレーズの凄いところは、これが3段階で入っているところです。

画像に入れている、ブルー、グリーン、レッドの線の部分にはギョーシェ彫が施され、おそらく機械で入れらたものだと思いますが、匠の技を感じさせます。 

また一般的に、ある程度のサイズ感がある文字盤からしか施されないのですが、驚くべきことに、アングレーズにはこの装飾が一番小さいサイズである、SMサイズにも施されています。

それと同時にアングレーズは、一番安価なステンレスケースであってもそれがあるのです。

 

サイズ展開を見てみよう 

 カルティエ腕時計 タンク アングレーズのサイズ展開

他のモデル同様に、SM、MM、LMが展開されていました。

 SMがレディース

MMがユニセックス

LMがメンズになります。

フランセーズ、アメリカンと比べるとタンクのスタイルを一番継承しているので、正面から見た時はリューズ以外はタンクにかなり近いです。

その反面、厚さがあるので立体感がありますが、それもケース全体に共通する優美な丸みのおかげで厚みを感じさせません。

XLになると、厚さが約1cmになるので太く感じられますが他社ブランドから出ているメンズモデルと比較しても、そこまで大きいと言えるサイズではなく、こちらも男性の腕に違和感なくすんなり馴染んでくれます。

 

 

素材展開を見てみよう

カルティエ腕時計 タンク アングレーズの素材展開

 

ステンレス以外には、18金のイエロー、ピンク、ホワイトゴールドのケースがラインナップされていました。 

また、そこからベゼルと文字盤にダイヤモンドをあしらってあるものがあり、レディースからメンズモデルまで様々なバリエーションが存在していました。

ここまでの展開があると、女性からすればステンレスでは物足りないときに、ピンクやイエローとのコンビが候補に上がってきますし、もっとフェミニンな感じにしたいときには、素材をピンクゴールドやイエロー、またダイヤモンドがあしらわれたモデルなどを選ぶことが出来たのは、嬉しいポイントだったと言えるでしょう。

基本的には、ベルトも一体となったモデルなので、ケースに良いものが使われていればその分値段が高くなってしまいますが、女性はそのままブレスレットとして代用できますし、男性はおしゃれのポイントは時計くらいしかないので、イエローゴールドモデルであれば、非常に華やかに演出してくれることでしょう。

  

 

価値を理解してこその値段

ここまでご覧頂くと分かる通り、アングレーズというモデルは他のモデルとは一線を画す、高級モデルであるというのが分かって頂けたかと思います。

ムーブメントも複雑機構を搭載しているので、そこでも製造に手間がかかり必然的に値段が上がってしまいます。

現在の中古市場で値段を見てみると、フランセーズのSMが大体22万円であるのに対して、アングレーズのSMが34万円ですので12万円程度の差が開いています。

もちろん素材が違ったり、サイズが違ってくると開きも大きくなっていきます。

ここで、値段についてどう考えるのが一番理想的かというと、アングレーズの魅力を理解しているかどうかが重要だと考えます。

 

・タンクでありながらも独創的なデザイン 

・文字盤のギョーシェ彫

・特殊なリューズ


これらが評価のポイントになってくると思います。

私の視点で見ると、LMは自社製ムーブメントが搭載されていることと、デザインがかっこいいので十分に選択肢に入ると思います。

女性の方であっても、ピンクやダイヤモンドモデルの展開があるので他のモデルと比較しても、検討の対象に入ってくるのではないかと思います。

値段は少し高いですが、それでもこの時計に含まれる価値を理解していれば高い買い物ではない、というのが分かってきますね。

 

 

まとめ

最後にまとめなのですが、2010年代のカルティエの腕時計はリューズを見せない時計を作ろうとしていたようです。

それが分かるのが、パンテールミニやベニュワールであり、これらもリューズは表面からは見えないようにデザインされていました。

このように時代の流れに合わせて、デザインを変更しているところを見るとカルティエという会社は、常に顧客のニーズを汲み取り、自社の価値観を反映させた腕時計を作っているのが分かります。

その時代を象徴するブームはありますが、カルティエという会社が作ったものであればどれだけ時間が経とうとも、普遍的な美しさを感じるのかもしれません。

デザインに賛否があるものの、かなり力を入れて作ってあるのが分かりますし今後の中古市場の値段は高騰していくのではないかと思われます。