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タンク ルイ カルティエ

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動画でタンクルイカルティエの進化の歴史をご覧になる方はこちら↓

今日のこのコレクション内では『タンクルイカルティエ』について解説して参ります。

カルティエの腕時計の普遍的なモデルであり、ラインナップの中で最上に君臨するのが、『タンクルイカルティエ』になります。

しかし、このモデルは常に同じ形で同じサイズで展開されて来たかというと、実はそうではありません。

よ〜く見ないと分からない部分ですが、タンクルイカルティエは原型を大きく崩さず、その年代に合うように微妙に違ったモデルが発売されていました。

この歴史を知ることで、タンクルイカルティエの幅がかなり広がると思いますので、是非とも最後までご覧くださいませ。

 

タンク・ルイ・カルティエの歴史

このパートでは、フランコ・コローニの著書『カルティエ・伝説の時計タンク』から引用する形で解説させて頂きます。

フランコ・コローニの著書『カルティエ・伝説の時計タンク』

フランコ・コローニの著書『カルティエ・伝説の時計タンク』

 

タンクの歴史は、1917年にタンクの原型のモデルが誕生してからになります。

このタンクの原型モデルなのですが、私たちはタンクルイカルティエこそが始祖だと考えるのですが、実はタンクの原型は『タンクノーマル』の形のことを指し、歴史を振り返るとこのノーマルが始祖に当たるんですね。

1919年に誕生した『タンク』の原型モデル『タンク-ノーマル』

では、タンクルイはいつ出てくるのかと言いますと、そこから2年後の1919年にタンクのケースの形に少しずつ変化を与えられたモデルが誕生しました。

当時はそれらのモデルに、正式な名前は与えられていませんでしたが、3年後の1922年に名称が与えられこの時に

 

・タンク シノワ

・タンク アロンジェ

・タンク LC(タンク ルイ カルティエ)

 

と名称が与えられたのでした。

 

あくまでも、これらのモデルはタンクノーマルからの派生系ということなんですね。

カルティエ・伝説の時計タンクより タンクの派生の系譜

この時に初めて、タンクルイカルティエが誕生したのですがこのモデルの特徴は、ケースの縁が丸みを帯びており長方形の形をしていることでした。

 

そして、どの年代かは特定出来なかったのですがタンクノーマルより、タンク ルイ カルティエのデザインの方が人気になって行った事により、タンクルイカルティエがカルティエの頂点に君臨するモデルと認識されるようになったのです。 

 

1920年代〜70年代のタンク ルイ カルティエ

まず1920〜70年代のタンクルイの特徴は、『ジャガールクルト社』のムーブメントを搭載していることです。

ジャガールクルトは、老舗マニュファクチュールブランドでありパテックフィリップや、オーデマピゲにもムーブメントを提供していましたが、最も古くから繋がりがあったのがカルティエ社になります。

元々は1907年に、エドモンド・ジャガーが超薄型時計用のムーブメントを開発したから、それを形にして欲しいとのことで、それに名乗りを上げたのがルクルト社でした。

そこで作り上げた超薄型ムーブメントを、カルティエ社に持ち込んだ時に同社が大変気に入り、このムーブメントを大量に注文することになります。

当時のカルティエとしては、時計の技術がまだ未熟だったために、デザインとケースを自社で行い、ムーブメントは外注で調達するのが1番理想的な流れでした。

しかも、そのムーブメントが超薄型で時計を薄くすることが出来るので、カルティエの思想と相性が良く、この時にジャガーとルクルト社が製造したムーブメントを15年間搭載し続けるという契約を交わしたんですね。

しかし、実際には15年と言わず契約終了が来た時には延長し、実際には70年代までこの関係は続いていました。 

 

詳細については、こちらのデプロワイヤントバックルの動画で解説していますので、お時間のある際にご覧くださいませ↓

 

では実際の時計を見てみましょう。

1925年製 タンクルイカルティエ

※1925年製 タンクルイカルティエ

 

こちらは『カルティエ伝説の時計 タンク』から引用した写真になりますが、初代の特徴は針はブレゲ針で、6時位置の製造国名は『PARIS』になっています。

 ただし、年代によってはソード針のもの、parisの印字がないものなど様々なので、1つのモデルとしてご理解ください。

 

そして、この時に搭載されていたムーブメントが、ジャガールクルト社製Cal.838になります。

ジャガールクルト社製Cal.838

 

そして1960年代になると、タンクルイカルティエから派生したモデルである『タンクルイカルティエ エクストラフラット』が誕生します。

1960年代 タンクルイカルティエ エクストラフラット

ピアジェやオーデマピゲでも展開されているので、時計好きの方であればすぐに分かると思いますが、エクストラフラットとは『極薄』と言う意味になります。

そんな薄い時計であるために、必然的にムーブメントも薄くなりエクストラフラットは、年代ごとにその時の最高の薄型ムーブメントを搭載していることが特徴です。

60年代に搭載されていたのは、同じくジャガールクルト社製cal.P838であり横から見れば、かなり薄く作られているのが分かります。

 

ここまでが、70年代までのタンクルイカルティエの解説になります。

 

 

1973年以降のルイ・カルティエコレクション

1973年代から展開されていた、タンク ルイ カルティエを見てみましょう。

1973年 ルイ カルティエ コレクションの中で作られたモデル Ref.78086

1973年になると、3代目社長であるルイ・カルティエがデザインした12個の古典的なモデルを復刻させるという形で、メンズモデル、レディースモデル共に手巻きモデル限定で12モデル生産されることになりました。

その12モデルの文字盤は、製造国表す6時位置の表記が『PARIS』になっていることが特徴でその中に、タンクルイカルティエも含まれていました。

PARIS表記のタンク ルイ カルティエは、メンズがRef.78086でレディースがRef.78087になります。

PARISというのは、カルティエが創業当初にパリに工房を構えていた事により、その時にデザインされたことから、swissではなくPARIS表記になってるんですね。

70年代に入ると、搭載されるムーブメントにETA社が入ってきます。

ETA社製Cal.2512-1 カルティエムーブメントCal.78-1 

ムーブメントだけを専門に作っている会社がETA社なのですが、現在でも存在しスウォッチグループに所属しています。

1970年頃から、人件費の高騰でムーブメントも価格が上昇し、汎用ムーブメントであるETA社などが台頭してくる事によって、カルティエもこの会社のムーブメントを採用することになっていくのでした。

ルイ・カルティエコレクションについては、こちらの動画で詳しく解説しておりますので気になる方はご覧ください↓

 

では70年代のエクストラフラットを見ていきましょう。

1970年代 タンクルイカルティエ エクストラフラット 搭載ムーブメントフレデリックピゲ社製Cal.21 Ref.96019 

12モデルの中にエクストラフラットは含まれてなかったのですが、どうやら後に追加されたようで、ルイ カルティエコレクションの時期に作られたものです。

時計自体の厚さは4mmと超薄型に仕上げられています。

今回のエクストラフラットの特筆すべき点は、フレデリックピゲ社が製造したムーブメントが搭載されている事です。

 

フレデリックピゲ社のムーブメントはどれくらい凄い?

フレデリックピゲ社は、知る人ぞ知る会社であり日本での認知はそこまで高くないと思いますので、簡単に解説させて頂きます。

現在では、スウォッチグループのブランパン専属のムーブメントブランドに組み込まれていますが、歴史は古く1858年スイスにて、ルイ・エリゼ・ピゲによって設立されました。

高度な技術を有していたことから、信頼性が高くパテック フィリップ、ヴァシュロン コンスタンタン、オーデマピゲの御三家や、ブレゲやパネライなどにもムーブメントを提供してました。

フレデリック・ピゲ社のムーブメントは、高い精度と耐久性が特徴です。

同社は、ムーブメントの製造において、精密な加工技術と厳しい品質管理を徹底しています。

その為、フレデリック・ピゲ社のムーブメントを搭載した時計は、長期間安定した精度で動作すると言われています。

 

ここまでが70年代のタンクルイカルティエの解説になります。

 

80年代のタンクルイカルティエ

80年代に入ると、タンクルイカルティエの手巻きモデルはそのまま残され、追加でクオーツバージョンと、自動巻バージョンが誕生します。

実際の時計を見てみましょう。

1980年代 タンクルイカルティエクオーツモデル Re.881052

クオーツモデルのRef.881052の特徴は、6時位置の表記がSWISSになっていることと、リューズが砲弾型ではなくマストシリーズのような、浅いサファイアが取り付けられているところでしょう。

2つ目の自動巻バージョンを見てみましょう。

1980年代 タンクルイカルティエ自動巻モデルRef.17002

画像の商品は18Kホワイトゴールドモデルなのですが、イエローゴールドバージョンも存在します。

この自動巻モデルの特徴は、XLサイズで展開されていたことです。

サイズは28mm x 34mmとタンクルイシリーズの中でもかなり大きいことが特徴です

おそらく、XLサイズを作りたくてXLサイズを展開したわけではなく自動巻ムーブメントを載せると、必然的に大きくなってしまうためにXLサイズとして作ったのではないかと考えられます。

XLサイズの自動巻モデルの特徴は、ムーブメントに厚さがあるのでケースに収まることが出来ず、裏蓋に膨らみを持たせて搭載させていることです。

ロレックスのバブルバックのような感じですよね。

しかし、やはりカルティエのデザインした腕時計なので、膨らみがあったとして全く違和感はなく、すんなり腕に馴染んでくれる素晴らしいモデルです。

エクストラフラットモデルは、そのままピゲ社のムーブメントを搭載し、大きな変更もなく販売が継続されました。

 

 

90年代のタンクルイカルティエ

90年代に入ると、手巻きモデルはCPCPと言って男性に向けての高級コレクションが誕生し、クオーツモデルはさらに進化しデイト表記とスモセコが文字盤に入るモデルと、ムーンフェイズのモデルが誕生しました。

では実際の時計を見てみましょう。

 通常モデルRef.81068

1990年代 タンクルイカルティエクオーツモデルRef.81068

通常モデルのデザインは、変更はなくムーブメントがCAl.81に載せ替えられるようになりました。

 

デイト&スモセコモデルRef.8110 

1990年代 タンクルイカルティエクオーツモデル デイト&スモセコRef.8110

この年代だけに見られる、デイトとスモセコのセットの文字盤です。

シンプルさを追求したタンクルイですが、クオーツの技術が極められることで普段では実現することが出来ない、これらの2つを搭載させたのだと考えられます。

とは言っても、やはりカルティエですので上品にまとまっています。

そして、この年代にしか見られないデザインですので希少と言えるでしょう。

 

ムーンフェイズモデルRef.81900

1990年代 タンクルイカルティエクオーツムーンフェイズモデルRef.8190

他の時計ブランドでもなかなかムーンフェイズは見ることはありませんが、この頃の時計ブランドは大体、ムーンフェイズのモデルをラインナップに展開しており、ムーンフェイズはおしゃれな時計として認識されてたんですね。

では次に、1998年から始まったCPCPコレクションを見ていきましょう。

 

 

2000年代 CPCPコレクションのタンクルイカルティエ

CPCPコレクションとは、コレクション・プリヴェ・カルティエ・パリの略で、意味はカルティエのこれまでのモデルを復活させて、素材を見直し最高傑作を作り上げたコレクションという感じです。

これは1998〜2009年まで継続されてました。

毎年個数限定で作られていたコレクションなのですが、全てが機械式でありモデルによっては製造数が少なく、非常に希少なコレクションになっています。

故に男性だけのモデルになります。

タンクルイからは、エクストラフラットがCPCPコレクションから2回展開されました。

CPCPの詳細については、こちらの動画で解説しておりますので気になる方はご覧ください↓

では実際の時計を見てみましょう。

2000年代 タンク ルイ カルティエCPCPモデル前期Ref.1601B

CPCPで作られた時計の特徴は、文字盤にギョーシェ彫が施されていることと、CARTIERのロゴの下にPARISのロゴが入ってることです。

CPCPの製造は10年近く続いたのですが、タンクルイシリーズは前期と後期が存在し上記のモデルは前期モデルになります。

この時にはイエローゴールドと、今回のプラチナモデルで製造されたのですがプラチナの方は、かなり数が少なく150本以下と言われています。

搭載ムーブメントは、引き続きフレデリックピゲ社製Cal.21でしたが、それまでのコートトジュネーブの装飾から、カルティエのダブルCの装飾が施され、ムーブメントも非常に手が込んだものになりました。

では後期モデルを見てみましょう。

 2000年代 タンク ルイ カルティエCPCPモデル後期Ref.2915

ぱっと見は前期とほとんど違いが分かりませんが、文字盤の中央に薔薇の装飾が入りそこから放射状にギョーシェ彫が施されています。

CPCP時代に作られたタンクルイカルティエ後期の薔薇の装飾の説明

また、裏面はムーブメントの装飾が見えるようにスケルトンになっており、機械的な美しさも感じることが出来ます。

サイズは大きくなり、XLサイズで展開されました。

当時、パネライやウブロのデカ厚ウォッチが人気になり、カルティエのクラシックな時計があまり注目されていませんでした。

その結果、市場のニーズに答える形でタンクルイをXLサイズで作り、サントスシリーズからはサントス100を誕生させたんですね。

ムーブメントは、カルティエ社製Cal.9701MCが搭載されていますが、実際のところはリシュモングループに種族している、ジャガールクルトやピアジェなどの薄型ムーブメントを得意とする会社から技術や製造をして貰っているので、完全なカルティエ社製ではありませんでした。

 

通常のラインナップには、クオーツモデルが展開され 旧モデルにあったスモセコはなくなり、デイト表示だけのシンプルなデザインに生まれ変われました。

2000年代 タンク ルイ カルティエ クオーツモデル Ref.2441とRef.2678

そして、このモデルは2017年まで続きこのモデルの生産が終了した時点で現在私たちが見ている現行ラインにモデルチェンジすることになります。 

CPCPが終わった後、オートオルロジュリーというムーブメントに力を入れたラインが展開され、そこでカルティエ社は自社でムーブメントを作れるようになりました。

その後に、タンクルイカルティエも自社製のムーブメントを搭載したものになり、現在のモデルに繋がったのでした。

 

2010年代〜現在までのタンクルイカルティエ

 2017年〜現代 タンク ルイ カルティエ

こちらのモデルは、現在もカルティエの公式サイトで見ることができるモデルなのですが、私のイメージでは基本に忠実で古典回帰していますが、デザインはカラーバリエーションが増えてることでより選択肢を増やしてくれている印象が受けられます。

タンクルイカルティエの王道のシンプルな2針のデザインは、誰が見てもその時計がカルティエだと分かりますし、文字盤の作りが精巧なので高級感もあります。

グレーと赤文字盤のモデルですが、デザインはアールデコのデザインを踏襲しており、非常にレクタンギュラーのケースと相性が良いと思いますね。


まとめ

最後にまとめになりますが、歴代のタンクルイカルティエを見ていくと微妙に違っててよく見ないと分からないことばかりだったと思います。

全てのモデルにおいて、その時代の流行を取り入れ顧客のニーズを満たそうとしてくれていたのが分かります。

タンクルイカルティエというモデルの特性上、薄さ、軽さを追求している姿勢は普遍でしたし、非常に手が込んで作られています。

高級素材しか使用されないこのタンクルイカルティエは、このシンプルさの中に美を見出せる人だけが辿り着く境地なのかもしれませんね。