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ブシュロン 腕時計

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ブシュロンの腕時計の歴史

ブシュロンはフランスの宝飾品ブランドで、比較的早い段階から腕時計の製作をスタートさせた会社です。

他のブランドで言うならば、『カルティエ』と近い歴史を持ってると言えるでしょう。

創業は1858年ですが翌年の1859年に懐中時計の製作をスタートし、1885年に腕時計の最初のコレクションを発表しました。

創始者である『フレデリック・ブシュロン』が頭角を表し始めたのが、1900年代から始まったアールヌーボーの芸術様式を採用した作品であり、ブシュロンで作られた商品は富裕層を中心に大変人気となっていきました。

フレデリックの息子であるルイは、シンプルなラインと幾何学模様を好み、ブシュロンはアールデコの美学の次に来たアール・デコの美学を取り入れました。

ヌーボー、アール・デコ時代に成功を納めたブシュロン社ですが、第二次世界大戦の後は、人々の価値観も変わりパリの嗜好は、手の込んだ超高額な作品よりも、一般大衆でも購入出来る上質な造りの物が求められていくのでした。

ブシュロンの最高の腕時計がデザインされたのは、この革新の時代からです。

リブ仕上げのイエローゴールド製リフレット
リブ仕上げのイエローゴールド製リフレット 写真提供:Kevin O'Dell

 サテン仕上げのホワイトゴールド製キャリバー

 サテン仕上げのホワイトゴールド製キャリバー

 

リフレットによく見られる、1944年に申請されたBT 908247

リフレットによく見られる、1944年に申請されたBT 908247

 

 

ブシュロンの腕時計の特徴

ブシュロンは、腕時計製作の初期段階から『時計がどのように手首に装着されるのか』にこだわっていたようです。

ブシュロンは少なくとも3つのクラスプ・システムの特許を取得しており、それらはそれまでの時計にはないものでした。

多くのブシュロンの裏蓋には、ブランド名の下に "BT 908247 "や "BT 1203255 "と刻印されています。

これらはフランスの特許番号であり、シリアルでもリファレンスでもありません。

いずれもブシュロン独自のものであり、時計界ではまったく斬新なものなのです。

上記はいずれも、"ラグ "をスライドさせることでシングルピースのベルトを着脱できるようにしたものです。

 1970年に申請されたBT 7023160は、デプロワイヤント・スタイルのバックルのようにかさばることなく、調節可能なレザーストラップを可能にするクラスプ・システムです。写真提供:アレクサンドル・トリッツ

1970年に申請されたBT 7023160は、デプロワイヤント・スタイルのバックルのようにかさばることなく、調節可能なレザーストラップを可能にするクラスプ・システムです。写真提供:アレクサンドル・トリッツ

 

これらの特許について、説明する理由があります。

と言いますのも、これらの刻印はブシュロンが『使いやすさ』と『革新性』に重点を置いていたという考えを、実証する為だからです。

ジュエリー・ブランドとして、各モデルは一から設計されました。

1947年に発表された「リフレ」は、バネ棒、フード付きラグ、2ピースストラップ、ピンバックルなどを採用することで、女性の方であっても簡単にベルトを交換し、洋服を着替えるようにベルトのカラーを楽しむことが出来る様に最初から設計されていました。

この機構を使い、1960年に発表された『カレ』も同じように設計されています。

『カレ』にはリフレとは違うアプローチが求められ、カレに与えられた役割は『時を告げる美しいジュエリー』でした。

スクエアの形状をしており、リフレとはデザインが大きく異なりますが、この時計の特筆すべき点は薄型で作られていることです。

カレは紳士淑女の佇まいを際立たせるために、フォーマルスタイルに一番親和性がある薄型のドレスウォッチとして誕生したのでした。

1958年に申請されたBT 1203255は、カレによく見られ、1964年にこの時計が世界で最も薄い時計として宣伝された理由のひとつです。

1958年に申請されたBT 1203255は、カレによく見られ、1964年にこの時計が世界で最も薄い時計として宣伝された理由のひとつです。

 

2つの特別なカレの事例。写真提供:アレクサンドル・トリッツ

2つの特別なカレの事例。写真提供:アレクサンドル・トリッツ

文字盤にサインの入ったブシュロン ルフレ。写真提供:アレクサンドル・トリッツ

文字盤にサインの入ったブシュロン ルフレ。写真提供:アレクサンドル・トリッツ

 

 

初期のブシュロンの腕時計の作り

ブシュロンは時計のムーブメントを製造しておらず、オメガなどのムーブメントを作ることが出来る会社からそれらを購入して時計に搭載させていました。

特に、宝石が取り付けられたり、天然石の装飾が施された高級時計や、1970年代までのほとんどのリフレには、オメガのムーブメントが使用されていました。

オメガのムーブメントを搭載した時計のケースバックには、小さなオメガのロゴが刻印されています。

ケースは、カルティエやティファニーのために製造していた『クリストフォール』や、「ファブ・スイス」のものが使用され製造されていました。

 

ブシュロンの時計のコレクション

ブシュロンの時計のコレクション
写真提供:アレクサンドル・トリッツ

この数十年間にブシュロンが提供した時計の種類は膨大です。

最もコレクターの多いモデルは「リフレ」と「カレ」ですが、ブシュロンは当時これらの名称を使用しておらず、それぞれが単に "腕時計 "として販売されていたことに留意する必要があります。

より合意されたモデルであっても、ケースメタル、サイズ、仕上げに非常に多くのバリエーションがあります。

いずれも少なくともイエローゴールド、ローズゴールド、ホワイトゴールド製で、クル・ド・パリ(またはホブネイル)仕上げ、縦ブラシ仕上げ、より顕著な縦リブ仕上げなど、さまざまな仕上げが施されています。

通常、文字盤にはサインはありませんが、特に1970年代には、ケースの仕上げと同じサインが入っているものもあります。

クル・ド・パリ・ケースには、クル・ド・パリのテクスチャーが施された文字盤があります。

リフレやカレ以外では、ガレやエッグと呼ばれる後期モデルにコレクターが注目し始めています。

大きな卵形のベゼルが小さな文字盤を囲むという、これまた興味深いケース形状をしています。

外側はオニキス、アカシアの木、亀の甲羅のような有機的な素材や、それにマッチするサテン仕上げのゴールドで表現されることが多いです。

他にも様々な形状の時計があるが、見つけるのはかなり難しく、多くのモデルはタンク風の長方形の時計です。

写真提供:ケビン・オデル

 

アレクサンドル・トリッツは、アクリヴィアとレシェップ・レシェピの専属ストラップメーカーです。それ以外では、インスタグラムのハンドルネーム@thewatchamで「ブシュロン・ガイ」として活動しています。

アレクサンドルは、モバードのバッグウォッチや、もちろんブシュロンの腕時計のような、彼が「秘密のメカニズム」と呼ぶ腕時計が好きです。

ここで明らかに類似しているのはカルティエでしょう。

少し大げさではありますが、この比較がまったく見当違いというわけではありません。

現代の時計界における両ブランドの位置づけはさておき、このヴィンテージ時代において、両ブランドは確かに競合相手であり、同じ市場で、同じような数量で、同じようなモチーフに焦点を当てて販売されていました。

もちろんデザインや言語は同じではないし、ブシュロンのデザインでタンクやサントスのように時の試練に耐えたものは一つもありません。

しかし、このブランドにはこのブランドにふさわしい何かがあります。

「ブシュロンを手に取ると、その品質の高さ、すべてが完璧に調整されていることが感じられます」とアレクサンドルは言います。

「ヴィンテージ・カルティエのリュウズのステムを動かすと、内部ですべてが動いているのが感じられます。

ブシュロンの場合、ケースの内側にそのようなことが起こらないようにするシステムがあります」。

ケビン・オデルは、「この時代のカルティエのものより素敵だと思います。

カルティエはポリッシュかサテン仕上げしかしていませんでしたから」。

コレクターがこの時代のパリで作られた時計を買うということは、そのデザイン、希少性、ハンドメイド性を求めてのことです。ケヴィンは、私がうっとりしたハンドエングレービングについて、カルティエが刻印したエングレービングを挙げています。カルティエのムーブメントの方が優れているという意見もありますが、ケヴィンが言うように、「ムーブメントのためにこの時計を買う人はいない」のです。

カルティエとは対照的に、この時代のブシュロンの時計に関する情報はかなり不足しています。発見がこのブランドをより興味深いものにしています。ブシュロンの時計製造の歴史については、1992年に書かれたフランス語の本が一冊だけあります。私はそれを取り寄せたが、まあ、あまり役には立ちませんでした(ムッシュ・ジル・ネレには申し訳ないのですが)。ブシュロンのアーカイブから抜粋して入手できるようですが、そのアーカイブにはブシュロンが製造した各時計の絵も含まれているそうです(私の鼓動は静まりますように)。

写真提供:アレクサンドル・トリッツ

インスタグラムでブシュロンの時計が販売されたり、コレクションの一部として紹介されたりするたびに、私たちはこのブランドについてより深く知ることになります。これは2023年のヴィンテージウォッチ収集1.0であり、何か特別なものを感じさせられます。時計を手に入れる前に、情報を得るために努力することは素晴らしいことです。ディーラーが「レフ. 1675 gmt mark 1 long e fuschia pepsi 」と、販売店からガチャガチャ言われることもありますが、そうではありません。この発見の感覚は爽快です。

ブシュロンには今、決定的な価値もあります。素晴らしいリフレは1万ドル弱、カレはメタルや仕上げによって3~4千ドル程度です。エッグシェイプや希少な初期のクロノグラフ、長方形の時計など、他のモデルは「持っているなら値段はいくらでも」という感じです。これらの時計を見つけるのは簡単ではありません、彼らは私たちが伝えることができるものから少量生産されたが、彼らが出てきたときに、価格は、少なくともカルティエとの会話を持っている価値があることを考慮すると、彼らがあるべきものではありません。

エングレーバーのガイドラインが残るカレのケースバック。写真提供:アレクサンドル・トリッツ