スイスの高級腕時計輸出ランキングで日本が2位についての考察
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では、スイスの高級腕時計輸出ランキングで日本が2位についての考察について解説して参ります。
以前作った動画で、スイスの人件費の高騰が原因でそれを反映させるために、時計自体の値段も高騰し、時計の売り上げが下がっていることをお話ししました。
その時の動画で、時計の物作りはこのまま高額なものは高額のままで、普及ラインや汎用性が高いパーツや部品については、コスト削減されるのではなかろうか?
ということを話しました。
興味のある方は、概要欄に入れておりますので詳細はそちらからご覧ください↓
それに付随してくる内容なのですが、これまでの上得意様であった中国の没落によって、スイスの時計の輸出先が変わってきているということをここではお話しして参ります。
話を進める前に告知をさせて頂きます。
12/14〜15(土日)に祐天寺で腕時計のポップアップストアを開きます。
住所はこちらで、概要欄にも入れておきます。
中目黒駅から徒歩10分くらいの場所ですので、腕時計に興味があるという方は是非お越しください。
それでは早速やって参りましょう!
スイスの高級腕時計のシェアの変化について
https://www.fhs.swiss/file/59/comm_241010_a.pdf
それではこちらをご覧ください。
こちらはスイス時計協会(スイスウォッチインダストリー)から出されている表です。
これは概要欄にも入れておきますので、気になる方がそちらからご覧ください。
英語だらけでよく分からないと思われますが、私が数字を読み上げていくだけなので、そこまで深く見なくて大丈夫です。
スイス時計業界が11/19日に発表した統計データによると、10月の輸出は前年同月比-2.8%の23億スイスフランとなっております。
本日のレートが1スイスフラン175円となっておりますので、23億スイスフランを円に直すと4050億円になります。
月間でってことですね。
ちなみに2023年のスイスの腕時計の輸出総額は4.3兆円です。
話を戻しまして、その他の製品は11%の増加を見せていますが、これはおそらくパーツなどではなかろうか。
と考えています。
正確な物品は不明です。
-2.8%なので、去年の同じ月と比較すればそこまで大きな差はないのですが、その内訳を見ていくとまた違った見え方になります。
それではもう少し深ぼって見て行きましょう。
https://www.fhs.swiss/file/59/comm_241010_a.pdf
こちらもスイス時計業からからのデータなのですが、それぞれの輸出先の統計を表したものです。
こちらも前年の10月と比較して、輸出がどのように変化しているのかを表しているグラフです。
ここも英語ばかりなので、分かりにくいでしょうが私が数字の部分を読み上げるので、とりあえず流して聞いてください。
画像が小さくて見えにくいと思われますので、拡大して見て見ましょう。
マーケットはメインのマーケットを表しています。
スイスの高級腕時計を購入してくれるお得意様A〜Gって感じですね。
ランキングではありません。
ここ何年間かは、結構この国勝ってくれてるよねぇ・・・
って国がここに載っているだけです。
この表の見る場所なのですが、一番左のマーケットから3番目のチェンジのところです。
チェンジのところが、前年同月比と比較してどのようになったのかを表している部分になります。
まず最初に出てきているアメリカですが、プラス11%になっておりアメリカ経済が絶好調なのを表しています。
まぁ絶好調と言いながらも、ってところがありますがここはまた後ほどまとめてお話しします。
次が、日本のプラス20%です。
日本の経済も絶好調なのでまぁ確かにそうなるのも自然なことでしょう。
と言ったら、『えっ!なんで』って感じる方がほとんどだと思われますが、それが普通の感覚です。
ここも実態と数値に誤差が出ていると感じられるので、後ほどまとめて解説します。
次が中国の-38%と香港の-15%です。
大きく下がっているのですが、これはもう火を見るより明らかというか、コロナの時の閉じ込めるの制作からの不動産バブルの崩壊ですので、テレビしか見てない人でも、中国はもう崩壊しているのは周知の事実です。
香港も中国に飲み込まれてしまったので、まとめているのですがこちらも中国に足を引っ張れる形で不景気になっていることが大きな要因でしょう。
現在のシェアは7.1%とかろうじてイギリスよりも0.1%大きいですが、これはおそらく来年にはもう抜かれてるでしょうし、なんならシンガポールにも抜かれてるかもしれません。
香港も現在は6.9%のシェアを誇っていますが、おそらくシンガポールに抜かれることでしょう。
中国と香港を合体させて見れば、そのシェアは14%と巨大なマーケットのように見えますが、この先はシェアを減らして8年後くらいにここにインドが入ってくるのではなかろうか・・・といった感じですね。
次がユナイテッドキングダム/イギリスのプラス3%です。
こちらは特に大きな変化はありませんが、前年同月比と比較して少し伸びてるのを見れば、景気は横ばいに近い上昇といった感じでしょう。
このように大まかなスイス腕時計の直近輸出先を話してきましたが、実態をそのまま表しているところと、そうでないところがなんとなく分かってきます。
アメリカなのですが、インフレが続いていますしそれによって、人件費の上昇に繋がり高級腕時計を購入できる人(そういった層)が増えていることが想定されます。
ただし、アメリカも格差社会ですので、労働者階級では結構キツキツの生活をしているのだけれども、資本家の富は増える一方ということで、そういった人たちがどんどん時計を勝っていることも考えられます。
要するに、アメリカ全体の経済は脆弱な部分が見られるものの、腕時計に関して言えば富裕層がそれを下支えしており、これは結局、富の格差が拡大しているとも捉えることができます。
ではここからなのですが、本題の日本です。
先ほど日本経済の実態は絶好調!
とワードの中に違和感を感じる方もいらっしゃったと思いますが、アメリカと同様に資本家はそのまま資産を増やし、労働者階級はその実感を受けてないからです。
日本の大きなトレンドは円安で、この円安が大きな影響を与えていると考えています。
ここからは、私の考察ですので話半分で聞き流してください。
私を含めた労働者階級の人々は、円安になると輸入品の価格が上がるために一昨年と同じ生活をしていても、出費が3割増などといった感じで生活がキツく感じます。
日本のトレンドは、長らく給料は横ばいだけど物価は上がっていくばかりなので、ほとんどの人がそういった背景があり、絶好調とは全く無縁の捉え方になってしまいます。
その反面、大きな円安によってこれまで以上に利益を上げる業界もあります。
例えば、インバウンドが増えたことによってそういった腕時計が、これまで以上に大きくなったことが考えられます。
時計の販売店、百貨店なども外国人観光客向けが結構な割合を占めていることでしょう。
実際にこの割合が一番高いのは確実なはずです。
このように、大半の人が負けている状態であっても、お金が舞い込んでくるところには、湯水のように湧いてくる業界があり、その業界に身を置いていれば資産はどんどん増えていくのです。
とはいっても、現場で働いている人にはそこまで還元されてないと思いますけどね。
ただし、その反面それだけではないとも考えています。
日本人の資本家も、海外の株式に投資をしている人も多くいます。
ここ最近の積立NISAってのは、すでに円安が始まってからのスタートだったので、ほとんどの人は資産に影響ないはずですが、その前から(一旦ここでは2020年以前としましょう)
そんな方であれば、資産はアメリカ株式の最高値と同時に、円安の効果によって大きく増えているはずです。
そういった資本家の方も少なからず、日本へ高級時計が入ってくることを後押ししてるのではないかと考えています。
要するに、ここまでの日本の大きな雰囲気を捉えると、資産家はそのまま富を増やして、円安が追い風になるセクターでは不景気を感じる所か、好景気といったところでしょう。
また、この可能性は低いでしょうし実態に現れるか現れないかの微妙なところでしょうが、輸出産業で強い会社で働いている役員の給与は上がっているはずです。
分かりやすい例で言えば、トヨタですが1円の円安で年間の営業利益が約450億円増加するとされています。
白物家電こそ中国や韓国に明け渡しましたが、日本のものづくりは最強ですし、やはり品質がいいのは今も昔も変わっていません。
そんな感じで、これまたこのセクターで大きく利益を出せたところがトリクルダウン的に、役員にまわってそれらの人たちの購買力が上がっていることが考えられます。
百貨店と異なるところは、そもそもそういった製造業の会社はデカさが違うのでその中の役員数もボリュームも多いであろう、それが購買力を底上げしてるのではないか?という私の考えです。
もちろん、先ほども言いましたがこの割合はかなり少ないと考えております。
よって、日本でも労働者と資本家の富の格差は拡大しており、そもそも資産を持っていた人、円安で大きく稼いでいる人との差は今後も広がっていくことでしょう。
ではここからは、スイスの立場になって腕時計のことを考えてみましょう。
スイス高級腕時計の今後の可能性
前回の動画でもお話ししましたが、スイスは安全資産とみなされているので、フラン安にはなりにくい傾向があります。
元々日本もそのポジションにいたのですが、ここ何年かで足元がぐらついてるのがバレて、安全資産として見られていた日本円に回ることがなくなり、これまで以上にスイスフランの独歩高になっています。
そんな感じで、スイスの腕時計産業は常にフラン高によって困難を極めてきていたのですが、腕時計が投資につながるということが世間に浸透し始めたことで、高くても売れる、というか高ければ高いほど売れる・・・・
みたいな空気感に変わりました。
ただし、その空気感もここ最近はちょっと変わりつつあります。
これまでもこれからもアメリカがそこを支えるのは、変わらないと思われますが、これまで上得意様だった中国はもう完全に没落してるので、復活することはまずありません。
現状維持でもなければ、年々悪化といったところでしょう。
そこを日本がカバーすることで、単月で見れば-2.8%で止めることが出来たのですが、今はそうであってもこの円安はある種の異常値と捉えていますので、この円安パワーは長続きしないのでは?
というのが私の見立ててです。
トランプさんがそういったことを許さないのは理解しているのですが、まだそのことには言及されてないですし、もしかしたら見逃してくれるかもしれないので、そのまま円安パワーは維持されるかもしれませんが、ここは大体いつも予想を外している経済アナリストにお任せするしかないでしょう。
となってくると、アメリカを筆頭に日本、イギリス、シンガポールが下支えをしないといけないのですが、日本以外でイケイケな国は今の所見当たらないので、スイスの時計輸出は今後はインドが出てくるまでは厳しいのではないかなぁと考えております。
一番の理想は、円安の特需でインバウンド消費によって、時計が売れてるというのが間違いで、日本人の資本家や役員の購買力が上がっていることなのですが、それももう少し先にならないと見えてこないところでしょう。
ではここからがまとめなのですが、円安によって日本国内に眠っている最高の腕時計は、海外に流れていってるんだろうなぁ、と考えていました。
もちろん、大きなトレンドとしては、私の見えないところでそういった状態になっていることが想定されるのですが、数字を見てみると意外にも意外に日本は大量の腕時計を購入しているのが分かりました。
まぁ、インバウンド客向けである!ということに置き換えれば、結局それは海外に流れているということになりますが、全部が全部そうではないはずですので、この期間に大量に入ってきた時計というのは、これまた日本市場に流通する時計が増えていることを表しますので、悲観するだけではないのかなぁ・・・
とも考えております。