フレデリックピゲの現在と薄型ムーブメントCal.1185が搭載されていたモデル解説 3分ショート
ブランパン専属のフレデリックピゲの薄型ムーブは何が凄いのか?
現在のポジションを解説する。
ブランパン専属のムーブメント製作・製造ブランドであり、ブランパン・マニュファクチュールという名前に変わって現代にも存続している。
ではフレデリックピゲのムーブは何がすごいのか?
先に説明してしまうと、薄型のクロノムーブを作ることが出来ることである。
例えば、3針の薄型ムーブメントを作れるブランドにジャガールクルトやピアジェがあるのだが、これらのブランドは薄型のクロノグラフムーブメントは作ることができていない。
そもそもクロノグラフとは、3針時計の3倍のパーツが必要と言われており、パーツが多ければ多いほどムーブも厚くなってしまうのは想像しやすいだろう。
ただし、フレデリックピゲのCal.1180とCal.1185は、極薄で仕上げられている。
Cal.1180は手巻きのクロノグラフで、Cal.1185は自動巻のクロノグラフである。
まずCal.1180であるが厚さは3.95mmである。
単体で見てみると分かりにくいために、比較を出すと、手巻きクロノグラフの高級モデルに、レマニアのCal.2310があるのだが、このムーブメントの厚さは6.74mmである。
その差は2.8mmだ。
500円玉の厚さが2mmあり、500円玉を被せてもフレデリックピゲのCal.1180の方が薄いのである。
このように、元々の手巻きクロノグラフのムーブが薄いために、それをベースに作ってある自動巻バージョンのCal.1185も5.5mmと極薄で仕上げてあるのだ。
それまでの常識では、クロノグラフは厚くなって仕方がないし、ドレッシーなスタイルとは対角にあるジャンルであったものを、Cal.1185を誕生させたことで、『スーツスタイルでも相性の良いクロノグラフ』という新しいジャンルを生み出したのである。
ではここからは、実際にCal.1185が搭載されていたモデルを紹介していく。
カルティエ パシャ 38mm クロノグラフ
カルティエのサントスやタンクに比べて、よりスポーティーなデザインが特徴のパシャシリーズだが、このモデルにはCal. FP1185が搭載されたモデルが存在する。
当時で100万円超えの高級モデルに分類されていた。
実際にムーブメントもピゲのCal.1185をチューニングしているCal.205が搭載されており、文字盤はギョーシェ装飾が施されており、高級モデルにふさわしい作りになっている。
ムーブメントの造形美も確認できるように、裏蓋がスケルトンになっている。
ブランパン ヴィルレ 自動巻クロノグラフ
ブランパン専属のエボーシュになったためか、ムーブメントNoをそのまま引き継ぐ傾向があり、このヴィルレのNoも1185である。
上品なシリーズのヴィルレであるが、クロノグラフであっても、薄型ケースに仕上がっており、フォーマルなシーンにも合う時計である。
オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク クロノグラフ
オーデマピゲではCal.2385として搭載されている。
ちなみに、ロイヤルオークの3針の方はジャガールクルトのCal.920をベースに作っており、クロノグラフではフレデリックピゲを採用している。
要するに、ここを見るだけでもルクルトとフレデリックピゲがどれだけ薄型ムーブの実力を持っているかが分かるのである。
1998年から採用されているのだが、その後も長らく搭載されており3代目までのRef.26320STまでこのムーブメントが搭載されていた。
ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ クロノグラフ
ヴァシュロンコンスタンタンではCal.1137として搭載されている。
こちらも1999年から2016年までと2代に渡って搭載されていた。
このムーブメントがもたらした「薄型でありながら高精度」「耐久性と信頼性の両立」は、他のムーブメントメーカーにも大きな影響を与え、クロノグラフの新たなスタンダードとして認識されることとなる。
また、Cal.1185を採用した多くの時計ブランドは、このムーブメントを搭載することでブランド価値を高め、クロノグラフモデルにおいてもドレスウォッチとしてのエレガンスを提供することができるようになったのである。
詳細については本編動画からご覧頂きたい。