100万円以上の腕時計の値段はどのような要素で価格が決まるのか?
こんにちは。
ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では、100万円以上の腕時計の値段はどのような要素で価格が決まるのか?
という内容でお話ししてまいります。
腕時計を見ていくと、星の数ほどモデルがあります。
値段も500円から上は1億円以上まで存在します。
では、値段が高ければ高いほど良い時計なのか?
というと、もちろんそうではありません。
ここでは、腕時計の価格というのは様々な要因が絡んでその値段になっているんですよ。
という内容をお話しします。
これから腕時計買おうと思ってるんだよなぁ。
って方もいらっしゃると思いますので、へ〜そんなもんなんだねぇ・・・って感じでなんとなく聞いて頂けると幸いです。
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それでは早速やって参りましょう。
100万円以上の腕時計の値段はどのような要素で価格が決まるのか?
ではまず値段が高いの定義は人それぞれ違うと思いますので、一般的に腕時計にしては高いなぁ、と思われる金額の100万円以上を値段が高い時計にしましょう。
100万円以上の腕時計というのは、基本的にはどの時計も最高でしょう!
ただし100万円の中でも、その内訳がどうなっているのか?
ここを見ていくと、腕時計の見方がまた変わってきます。
ではこちらの画像をご覧ください↓
左上から素材、右にブランド力、下に行って、左側が希少性、右側が物作りの良さで分解しています。
これらを簡単に解説すると、素材とはそのままで18Kとかプラチナとかダイヤモンドを使ってあると高くなりますよね。ってことですね。
次のブランド力ですが、これは説明せずとも人気ブランドであれば求める人が多いから、必然的に値段は高くても売れるので、価格設定も高くなります。
次の希少性ですが、これは廃盤モデルのことですね。
これから生産されることはないので、年を追うごとに球数はどんどん減っていきます。その減っていく球数の中で取り合いになるので、相場がどんどん上がっていくことで高額になるパターンですね。
最後が物作りの良さですが、一般的にはクオーツよりも機械式が良いと言われてますし、機械式の場合は職人技や手仕上げを施す部分が多くなるので、そこで値段は高くなります。
これらは分かりやすいように、4つの項目に分解しているのですが、1つの項目でそれが完結するわけではありません。
素材が2割、ブランド力が8割などのように複合的な要素が混ざり合って、その時計の値段が決まっていることがほとんどです。
ではそれぞれの例を一緒に見ていきましょう。
素材のパワーが比較的大きなカルティエ
今となっては、ロレックスも18Kを積極的に採用していますがやはりこういった素材の魅力を引き立てるのに力を持ってるのは、カルティエでしょう。
では分かりやすいように、1つの例を一緒に見ていきましょう。
こちらはタンクアメリカンのミニって言って一番小さいサイズで、その通りめっちゃ小さいです。
ですが値段は123万円と高い時計に分類されます。
小さいのに高いということは、それだけこの空間にいろんなものが圧縮してあるという意味でもあります。
じゃあその圧縮はと言いますと、これが素材ですね。
18Kのピンクゴールドが使用されているのですが、その素材自体の価格でこの時計の価値の70%程度をカバーしてるでしょう。
特に2年前から金の価格は高騰してるので、よりその比重は高いと考えられます。
じゃあ残りの30%はというと、ブランド力ですね。
カルティエも今となっては、オメガを抜いて2位の腕時計販売本数を誇っているため、男性は信じられないのでしょうが世界ではそのようになっています。
よって、カルティエのブランド力は結構なパワーがあるのです。
詳細についてはこちらの動画で詳しく解説しておりますので、気になる方はご覧下さい↓
大まかに分類すると、この2つの要因でこのモデルは123万円の価値があるということなのです。
こう考えていくと、今のレートで18Kを作った時計なのか10年前のレートで18Kを使った時計とでは、同じ比重の金であってたとしても、10年前に作った方が安く作れていますので、時計の製造コストも大きくありません。
これがステンレスだと、そこまで大きな差にならないのですが、18Kだとかなり開きが出てくるのでゴールド特有の特徴だと言えるでしょう。
よって、新品じゃなければならない。
というこだわりがない方は、中古で探すとだいぶ落ち着いた値段で見つけ出すことも出来るんですね。
では次のブランド力を見ていきましょう。
ブランド力で訴求するロレックス
現行型のエクスプローラー36mmモデルRef.124270なのですが値段が104万円なので、これを例に見ていきましょう。
腕時計と言われて、まず最初に連想されるのがロレックスであり、腕時計に興味がない人でも知らない人はいないであろうブランドです。
今回のエクワンですが、素材はステンレスでムーブメントはロレックス自社製のCal.3230が搭載。
文字盤もクロマライトが使用されており、ステンレスも通常のものではなく高い耐蝕性を誇る904Lが使用されています。
とは言っても、ステンレスはステンレスなのでそこまで素材自体の値段は高くないので、素材だけで見れば100万円を超える時計にはなりえないはずです。
ではどの部分が値段を押し上げているかというと、ブランド力が70%くらいを締めていると思います。
ブランド力というのは、一朝一夕で手に入れることが出来ません。
それを作り出すのには、最低でも5年は必要でしょうしロレックスの場合は、オイスターケースを生み出した時から現代まで、歩みを止めていないことが現在の爆発的な人気の理由に繋がっていると言えます。
私の個人的な感想ですが、顧客の足元を見る商売のやり方はいつかは終わりが来ると思っているのですが。
話を戻しまして、そのブランド力は人気とも言い換えることが出来ますし、その裏付けをしているのが素材やムーブメントの品質です。
ここで残り30%の割合を占める物作りの良さが入って来ます。
実際にはロレックスのムーブメントはもっと評価されるべきなのですが、もうブランドネームだけが一人歩きしており、そんなムーブに興味がない人でもロレックスである。
というだけで安心感がありますよね。
物作りの良さがあってのブランド力で値段が高くなるパターンだと言えるでしょう。
では次の希少性を見ていきましょう。
人気モデルが廃盤になることで高騰するパターン
ブランド力もあって人気モデルだった場合は、廃盤になって時間が経過すると値段はどんどん上がっていきます。
先ほどのエクワンは現行型の紹介でしたが、1960年代に作られたエクワンのRef.1016などはもう300万円代が普通になっています。
これは現行のエクワンが人気だから、それの昔のモデルを欲しいと考える人が一定数出てくることと、元々市場にないものを人々が求めることが起きる現象です。
エクワン、サブマリーナ、デイトナは分かりやすいモデルなのである程度イメージしやすいと思われますが、他にも現行のエアキングの前のモデルもそれぞれ上昇を続けています。
他のブランドでは、ここ最近はカルティエはロレックスほどではありませんが、廃盤モデルは右肩上がりです。
例えば、現行のサントスの進化前のサントスガルべというモデルがあるのですが、これの一番生産数の多いコンビモデルはまだ100万円の大台には入っていませんが、これのオールステンレスモデル、文字盤がバーガンディやグレーダイヤルのモデルは100万オーバーが相場になっています。
詳細が気になる方はこちらの動画で解説しておりますのでご覧ください↓
ロレックスの廃盤モデルが高騰することは想像しやすいと思うのですが、カルティエも裏では高騰しており、これはブランドの人気が高まったことで昔のモデルが見直され高騰している現象です。
これらの内訳を見てみると、希少性が50%、ブランド力が50%といったところでしょう。
なぜこのような内訳になるかというと、希少性だけでは100万円代の大台を突破することが出来ないからです。
例えば、マニアックな世界にヴィンテージミリタリーウォッチというジャンルがあるのですが、ダーティダースというのがあります。
第二次世界大戦で実際に使われた時計であり、1950年代の腕時計もあるので希少性で言えば圧倒的なのですが、そこで採用されていたロンジン、ジャガールクルト、IWCなどのモデルは100万円超えることが出来ても、その他のエテルナ、シーマ、バーテックス、ビューレン、レコードなどなどそんなのがあるんですが、これらのブランドは100万円を突破していません。
ゆくゆくはするんでしょうけど、まだまだ先になりそうな緩やかな上昇です。
よって、廃盤になって高騰するパターンってのは希少性だけでは力不足であり、それを補完するブランド力が必要なのです。
では最後に物作りの良さを見てみましょう。
物作りの良さで高くなる時計
物作りの良さで言えば、世界5大時計ブランドをイメージして頂くのが一番分かりやすいと思われます。
これらはパテックフィリップ、ヴァシュロンコンスタンタン、オーデマピゲ、ブレゲ、ブランパンなのですが、これらのブランドの特徴は1つ1つの時計を丁寧にしっかりと作り込むことです。
外装はもちろんのこと、どちらかというと中のムーブメントにかなり繊細な装飾を施したり、見えないところに手間と時間をかけます。
また基本的には18Kの素材を使うモデルが多く、時にはムーブメントにまでそのような素材を使います。
よってもはや小さいな工芸品を持ち歩いている、と言っても過言ではありません。
要するに、高級素材も使うし人件費がかかっているから時計自体の値段が上がるし、人件費は微増ではありますが年々上昇してるので、人の手が入る余地が大きいこれらのブランドは必然的に高額になります。
ランゲは一旦長い製造中止期間があったのですが、他のブランドはかなり歴史が古くブランド力もロレックス程度に最強です。
特に御三家のパテック、ヴァシュロン、オーデマは貴族にも時計を納品していたので、雲上ブランドとも言われます。
そのために、我々のイメージする高額時計の100万円より上の、最低500万円くらいからがスタートになってしまいます。
よって大まかに分類すると、これらのブランドは素材30%、ブランド力35%、物作りの良さ35%の比率で値段がついていると考えられます。
この5大時計ブランドの詳細については、こちらの動画で詳しく解説しておりますので気になる方はご覧ください↓
と1つの例をお話ししましたが、これだけだと物作りの良さが評価されてることが分かりずらいので、あと1つ見てみましょう。
こちらは日本では、ほとんど知られていないエニカというブランドの『アクアグラフ』というモデルなのですが、これは100万円を超えています。
一応ですね、世界的にコアなファンがいるブランドなんですよね。
現在でも存続してるんですが、経営者が変わってほとんど別ブランドみたいな感じで、存続してる感じです。
話を戻しまして、1960年代に作られたこのモデルなのですが、割合的にはブランド力30%、希少性20%、物作りの良さ50%で評価されてるのかなぁと言った感じです。
物作りの良さが評価される理由なのですが、こちらのムーブメントをご覧下さい↓
こちらムーブメントの写真なのですが、バルジューというクロノグラフの名門が設計して製造したムーブメントが搭載されています。
バルジューは半完成品を作って、それぞれのブランドに売るエボーシュであり、自社でクロノグラフを作れない会社のほとんどは、このようにバルジューからムーブメントを購入して、自社でバラして面取りや装飾を施して、再度組み立てて販売していました。
ちなみに、ロレックスの初代デイトナにも、バルジューのムーブメントが搭載されています。
今これと同じものを作ろうとすれば、それこそこのムーブメントだけで130万くらいの値段が付くと思われます。
というのも構造上自動巻よりも手巻きのクロノグラフの設計の方が複雑になりますし、これは初期の設計なのでコラムホイールが採用されているからです。
コラムホイールってのは、ここのパーツのことですね。
これは職人が手作業で調整して、パーツを作るんですが現代でこんなことやったら人件費がかかりすぎてしまうんですよ。
先ほど紹介したパテックとかは、このコラムホイールを使った手巻きクロノグラフモデルを販売していますが、多分機械で作ってそのあとやっぱり手作業が入ってると思います。
本当はバルジューのムーブメントの話をもう少ししたいところですが、これ以上話すと意味不明になると思うので、とりあえずバルジューのムーブって凄いんだなぁ程度で流して下さい。
このバルジューのムーブメントの詳細を知りたい方はこちらの動画からご覧下さい↓
このように、あまり知られていないブランドであっても、その物作りの良さによって値段が高くなるパターンは良くある話です。
では次に自分はどんな時計を選んだら良いのか?
というのを解説します。
自分に合う腕時計とは何か?
色々喋って来ましたが最初に結論を話してしまうと、自分が好きな時計を買えばそれが正解だということです。
それがアップルウォッチであれ、100円ショップに売ってる500円の腕時計であっても、自分がそれを選んだのであればそれが正しい選択です。
この前提を踏まえて、先ほど解説してきた内容につなげていくのですが、自分の価値観は4つのマトリクスの中で、どこが一番大切なのか?
という軸があれば選びやすいと思いますね。
多分9割の方が、ブランド力が影響してるからロレックスを買うのでしょうが、それはその選択肢しか知らないから。
というのも少なからず影響してると思います。
私も腕時計に興味がない頃は、とりあえずメジャーなオメガかロレックスから選べばいっかって感じでしたからね。
ただし、これは誰もが誰も相性が良い訳ではなく『ちょっと違うんだよなぁ』っていうもどかしさが発生する人も一定数います。
いろんな動画で話して来てるのですが、新品だけの範囲で選ぼうとすれば選択肢は結構狭まってしまうのですが、中古もヴィンテージも含めていくことで選択肢は1000倍くらい広がります。
広がりすぎても迷っちゃうよ。
って感じもあると思われますが、そんな時にこのマトリクス図を見て自分はどこのフィールドに興味関心があるのかを再度考えてみて、そこを重点的に見ていくことで自分が納得出来るお買い物が出来るんじゃないかなぁって思いますね。
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