オメガが5位転落。2026年最新の腕時計ブランド売上高ランキング
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では「オメガが5位転落。2026年最新の腕時計ブランド売上高ランキング」という内容でお話しして参ります。
腕時計業界の中で、長年"2位・3位の常連"として揺るぎない地位を築いてきたのがオメガというブランドなんですよね。
ところが、2026年2月に発表された最新の業界レポートによりますと、このオメガが、なんと5位にまで順位を落としているという事実が明らかになったんです。
一体何が起きているのか、そして代わりに順位を上げたのはどのブランドなのか。
本日は最新のデータをもとに、腕時計業界の"本当の序列"を紐解いて参ります。
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それでは話を進めて参ります。
2025年スイス腕時計ブランド売上高ランキング、トップ5の全貌
まず、今回の情報源から明確にしておきたいのですが、これからお伝えする数字は、モルガン・スタンレーとリュクスコンサルトが2026年2月に発表した「第9回Annual Swiss Watcher」というレポートに基づいています。
スイスの腕時計ブランドの多くは、業績を公式には発表していないんですよね。
そのため、このレポートは金融機関による推計値ではあるものの、業界内で最も広く引用されている、いわば"事実上の決算書"のような存在になっているんです。
それでは、2025年通期の実績をもとにしたトップ5から見ていきましょう。
まずはこちらの画像をご覧ください⬇️

出典:モルガン・スタンレー
こちらは原型のレポート内容なのですが、結構見にくいので私の方で見やすく作成し直しました。
それが下記になります⬇️

1位はロレックスで、推定売上高はスイスフランで110億200万フラン、日本円にして約2兆1,528億円でした。
これは市場シェアにしておよそ33%という、圧倒的な数字なんですよね。
2位はカルティエで、推定売上高は34億8,800万フラン、日本円で約6,825億円です。
3位はオーデマ ピゲで、推定売上高は26億フラン、日本円で約5,087億円でした。
4位はパテック フィリップで、推定売上高は25億フラン、日本円で約4,892億円となっています。
そして5位がオメガで、推定売上高は22億1,000万フラン、日本円で約4,324億円という結果だったんです。
このオメガという順位こそが、今回の動画の中心テーマなんですよね。
実はオメガは、2024年までは3位という地位を保っていたブランドだったんです。
それが2025年、前年比8%の減収、販売本数でも9%の減少となった結果、オーデマ ピゲとパテック フィリップの両方に追い抜かれる形で、5位まで後退することになりました。
このオメガの衝撃については、また後のパートで詳しく解説しますね。
ちなみに、いやいやそれもそうだけどパテックはオーデマに抜かれてるの?って思った方もたくさんいらっしゃると思いますので、そのことについてはこちらの『オーデマ ピゲにロイヤルオークがあるのに、なぜパテックの方が"上"なのか?』の中で詳細に解説しておりますので、こちらも一緒にご覧ください⬇️
話を戻しまして、このランキング、実はトップ5だけを見ても興味深いのですが、その先にも面白いデータが隠れています。
スイス国内で活動する腕時計ブランドはおよそ450社にのぼるとされているんですが、そのうち年間売上高が10億スイスフランを超える、いわば"10億フランクラブ"に入っているのは、わずか6ブランドしかないんです。
それがロレックス、カルティエ、オーデマ ピゲ、パテック フィリップ、オメガ、そしてリシャール・ミル、この6社だけなんですよね。

ちなみに今回のレポートで話題になったのが、これまでこのクラブに入っていたロンジンが、前年比18%の減収により脱落してしまったという事実です。
ロンジンが10億フランを下回ったのは、実に10年以上ぶりのことだったんですよね。
もう一つ興味深いデータをご紹介しますと、ロレックスの小売ベースでの推定売上高は160億スイスフラン、日本円にすると約3兆1,300億円規模にのぼるとされていまして、これはApple Watchの売上高を上回る規模だという指摘もあるんです。
さっきロレックスの売り上げって「2兆1000億円」と言ってなかったっけ?と思われた方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、ここには1兆円の開きがあるんですよね。
この1兆円は何かと言いますと、それぞれのブティックで販売された金額をベースにした金額ということです。
ですので:
• 工場からブティックに下ろされた金額が、2兆1000億円
• ブティックから実際に顧客に販売された金額(もちろんここには利益を乗せて販売しないといけませんからね)
その乗っかった分が、約1兆円近くになっているということですよ。
そもそもロレックスは昔から無双状態に入っていましたが、もはや年々加速していっているという表現でも言い過ぎではないということですよね。
では次に、この1位・2位のロレックスとカルティエが、いかに他のブランドを突き放した存在であるかを、より詳しく見ていきましょう。
ロレックスとカルティエの"独走"がどれほど圧倒的か?
ここからは、1位のロレックスと2位のカルティエが、いかに他のブランドから離れた存在であるかを、数字を追いながら見ていきましょう。
まずロレックスの売上高110億スイスフランという数字なんですが、これは2位のカルティエ(34億8,800万フラン)のおよそ3.15倍にあたる規模なんですよね。

つまりロレックス一社だけで、2位以下のブランドとは"次元が違う"と言ってしまってよいほどの差がついているということなんです。
さらに市場シェアで見ると、ロレックスは単独でおよそ33%を占めているとされていまして、これは3位から5位のオーデマ ピゲ・パテック フィリップ・オメガの売上高を全部足し合わせても、まだロレックス一社に届かないという計算になるんですよね。
前述した通り、もはや無敵状態に入ってますよね。
そしてもう一つ、今回のレポートが指摘している重要な視点が、業界全体の"寡占化"がますます進んでいるという点なんです。

上位4ブランド、つまりロレックス・カルティエ・オーデマ ピゲ・パテック フィリップの4社だけで、スイス腕時計市場全体の55%を占めているとされています。
これは2024年の52.4%から、さらに寡占が進んだ数字なんですよね。
つまり、市場全体で見た時に、上位のごく一部のブランドに売り上げがますます集中していく、という構造が年々強まっているということなんです。
さらに興味深いのが、この上位ブランドの中でも、非上場・独立系のオーナー企業という括りで見た時の存在感なんですよね。

ロレックス、パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、そしてリシャール・ミルという、いわば"独立系四天王"とも呼べる4ブランドだけで、市場シェアのおよそ49.1%を占めているとされています。
これは前年から2.2ポイントの上昇、そして2019年と比較すると、実に12.4ポイントもの上昇なんです。
しかもこの4ブランドは、業界全体の営業利益の実に76%程度を稼ぎ出しているという推計もあるんですよね。
この業界全体の営業利益ってのがちょっと分かりにくいと思いますので、少し解説しますね。
スイス腕時計業界には、ロレックス、パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、リシャール・ミルのような大手から、名前も聞いたことのないような小規模ブランドまで、全部でおよそ450社が存在しています。
この450社が1年間で稼いだ「利益」を全部合計したとします。
それが100だとすると、そのうちの76を、たった4社だけが稼いでしまっている、ということなんですよね。
よって残りの446社が、力を合わせても、たった24しか取り分がないという計算になります。
つまり、売上高だけでなく、利益という観点でも、業界の富がごく一部のブランドに集中しているという構造が、はっきりと数字に表れているんです。
腕時計ブランドの中でも格差社会が濃厚になっています。
もう一つ、今回のレポートで語られている重要なキーワードが「超高額化」という現象なんです。
スイス腕時計業界全体としては、実は2年連続で市場が縮小していまして、輸出額はマイナス1.7%、販売本数にいたっては2011年のピーク時と比べて半分以下という水準にまで落ち込んでいるんですよね。
それにもかかわらず、5万スイスフラン、日本円で約977万円を超える高額帯の腕時計は、輸出額全体の37%を占め、しかも2025年の成長分の実に89%を、この高額帯だけで生み出しているという、驚くべきデータもあるんです。
えっ!高級とは言え、結構高くない!?って感じた方もいらっしゃると思いますが、サブマリーナやエクスプローラーだけではなく、一部の貴金属モデルやダイヤモンド、プラチナモデルも含めての平均になるので、それらが平均を一気に押し上げるんですよね。
だから、日本人の所得が実態より大きく見えてるのも一部の富裕層が平均を上げまくってる現象と一緒ですよね。
これは販売本数で見ると、わずか1.4%にすぎない超高額帯の腕時計が、業界全体の成長のほとんどを牽引しているということを意味しているんですよね。
つまり今の腕時計業界というのは、「本数を売る」時代から「一部の富裕層に、より高い単価で売る」時代へと、構造そのものが大きく変わりつつあるということなんです。
別の表現をするのであれば、四天王が最強すぎてミドルレンジが霞んで見えてしまう。といっても良いかもしれませんね。
では次は、こうした業界全体の流れの中で、なぜオメガだけが順位を落とすことになったのか、その理由をより詳しく見ていきましょう。
オメガはなぜ5位に転落したのか!?
それでは、なぜオメガはこれほどまでに順位を落とすことになったのか、詳しく見ていきたいと思います。
まず数字として押さえておきたいのが、オメガの2025年の実績です。
売上高は前年比でマイナス8%、そして販売本数はマイナス9%という結果だったんですよね。
これは、単価が多少上がっていたとしても、それを上回るペースで販売本数そのものが落ち込んでしまった、ということを意味しているんです。
実はオメガは、2025年の年初から複数回にわたって価格改定、つまり値上げを行っていたんですよね。
それにもかかわらず売上高そのものが減少してしまったということは、値上げによる単価上昇分を、販売本数の減少が上回ってしまったということになります。
ここで一つ、興味深いデータをご紹介します。
ではこちらの画像をご覧ください⬇️

今回のレポートでは、各ブランドの卸売ベースでの売上高だけでなく、小売ベースでの推定価値も算出されているんですが、実はオメガの小売ベースでの推定価値は31億3,800万スイスフラン、日本円で約6,140億円とされていまして、これはオーデマ ピゲの小売ベースでの推定価値、27億1,200万スイスフラン、日本円で約5,307億円を上回っているんですよね。
つまり、今回の順位はあくまで卸売ベースでの売上高を基準にしたものであって、小売という観点で見れば、オメガは依然としてオーデマ ピゲよりも大きな規模を持っているとも言えるんです。
これは非常に重要なポイントでして、「オメガが弱くなった」という単純な話ではなく、あくまで「今回のランキングの基準においては」オーデマ ピゲとパテック フィリップに抜かれた、という理解の方が正確なんですよね。
とはいえ、かつて2位という地位にまで上り詰めていたオメガが、小売ベースで見てもオーデマに突き上げられているという事実は、業界内でも大きな話題になった変化だったんですね。
この背景には、先ほどお伝えした「超高額化」という業界全体のトレンドが関係していると考えられます。
オーデマ ピゲやパテック フィリップは、生産本数を絞り込みながら平均単価を高く保つという戦略を取っているブランドでして、この戦略が、まさに今の市場環境と噛み合った形になったんですよね。
一方でオメガは、比較的幅広い価格帯・幅広い客層に向けて展開してきたブランドという性格が強く、こうした市場全体の"二極化"の波に、やや苦戦を強いられた形になったのではないかと考えられます。
オメガというブランド自体の技術力や歴史的価値が損なわれたわけでは決してなく、あくまで市場構造の変化にどう対応するか、という戦略上の課題が数字に表れた結果だといえるのではないでしょうか。
以前、こちらの『オメガよりロレックスの方が格上、という考え方は正しいのか!?』の動画の中でも話しましたが、オメガは供給量を絞る事なく、欲しい人にちゃんと届くように販売しています。
ですので、売り方は素晴らしいんですよね。
そして、そういう哲学のもとに、このような販売方法を取っているのですが、もしかするとこのやり方自体が、売り上げという観点で見れば時代と少し違うのかもしれません。
しかし、これは売り上げだけを見た場合の話です。
よって次では、こうした売上高というものさしと、腕時計の"格"という感覚的な評価が、必ずしも一致しないという点について、掘り下げて参ります。
売上高ランキングと"ブランドの格"は必ずしも一致しない
ここまで、売上高という数字を軸にランキングを見てきましたが、ここで一つ、大切な視点をお伝えしておきたいんですよね。
それは、この売上高ランキングと、私たちが普段感じている腕時計の"格"というものは、必ずしも一致しないという点なんです。
分かりやすい例として、以前の動画でもお話しした、パテック フィリップとオーデマ ピゲの関係を思い出していただきたいんですよね。
売上高だけで見れば、2025年はオーデマ ピゲの方がパテック フィリップよりもわずかに上回っているんです。
ところが、腕時計のオークションにおける最高落札額という指標で見ると、パテック フィリップはオーデマ ピゲの実に十数倍から二十数倍という、圧倒的な差をつけているんですよね。
つまり「たくさん売れている」ということと、「一本あたりの資産価値・希少価値が高い」ということは、まったく別の物差しだということなんです。
同じことは、今回のランキング全体にも当てはまります。
例えばロレックスは売上高で圧倒的な1位ですが、これは生産本数がおよそ110万本という、非常に大きな規模で展開しているブランドだからこそ実現できている数字でもあるんですよね。
一方でパテック フィリップは、生産本数を意図的に絞り込みながら、限られた本数の中で高い単価と高い資産価値を維持するという、まったく異なる戦略を取っているブランドです。
つまり、売上高ランキングというのは、あくまで「事業としての規模」を測る指標であって、「一本一本の腕時計が持つ価値の高さ」を測る指標ではないんですよね。
この違いを理解しないまま、「売上高が高いブランド=価値が高いブランド」と単純に捉えてしまうと、腕時計選びの本質を見誤ってしまう可能性があると思うんです。
また、今回オメガが順位を落としたという事実についても、同じ視点が当てはまります。
売上高という指標では順位を落としたとしても、オメガというブランドが長年培ってきた技術力や、スピードマスターに代表される歴史的なストーリー、そして根強いファン層といった価値は、何一つ失われていないんですよね。
売上高ランキングは、あくまで「今、市場でどれだけ選ばれているか?」という一つの断面を切り取ったものにすぎず、それがそのままブランドの本質的な価値や魅力を決定づけるものではない、ということを、改めてお伝えしておきます。
数字は数字として、正確に押さえておくことはとても大切です。
ただ、その数字の先にある物語まで含めて理解することが、腕時計選びの本当の楽しさなんじゃないかと、私は考えているんですよね。
では最後にいつも通り、ベルモントルの視点をお話しして締めくくりと致します。
ベルモントルの視点
ここまで、2025年の腕時計ブランド売上高ランキングを、数字とともに詳しく見てきました。
ロレックスの圧倒的な独走、寡占化が進む市場構造、そしてオメガの順位変動、どれも業界の"今"を映し出す興味深いデータだったと思います。
ベルモントルでは、こうした売上高という指標を、常に頭に入れながらも、それだけで腕時計の価値を判断することはありません。
売上高は、あくまでブランドという"事業"の規模を示す数字であって、お客様お一人お一人にとっての「本当に価値のある一本」を教えてくれる指標ではないんですよね。
ランキングが何位であっても、その腕時計が持つ歴史、作り手のこだわり、そしてその一本をご自身がどう感じるか、こうした部分にこそ、本当の価値が宿っていると私たちは考えています。
数字に振り回されるのではなく、数字を正しく理解した上で、ご自身の物差しで選んでいただく。
そのお手伝いができる存在でありたいと、改めて感じさせられるデータでした。