"格下"と思われがちな日本の時計、実は売上高トップ10級だった!
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日は「"格下"と思われがちな日本の時計、実は売上高トップ10級だった」という内容でお話しして参ります。
先日の動画で、スイス腕時計ブランドの売上高ランキングをご紹介したんですよね。
まだ見てない方はこちらの『オメガが5位転落。2026年最新の腕時計ブランド売上高ランキング』の動画をご覧ください⬇️
話を戻しまして、その時にふと気になったことがあったんです。
俺たちのSEIKOは何番なんや?とですね。
本日は、実際のデータをもとに、この疑問を検証して参ります。
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それでは話を進めて参ります。
セイコー・シチズン・カシオの売上高は実際いくらなのか?
まず、今回参照するデータの出典を明確にしておきたいのですが、これから紹介する数字は、イギリスの時計業界専門メディアWatchProが、各社の決算発表をもとに報じた内容に基づいています。
それでは、セイコー・シチズン・カシオ、日本を代表する3社の腕時計事業の売上高から見ていきましょう。
こちらの画像をご覧ください⬇️

まずセイコーグループです。
2025年4月から2026年3月までの1年間で、腕時計事業の売上高は203億円でした。
これをスイスフランに換算すると、およそ10億3,800万フランという水準になります。
前年からの伸び率は27%と、かなり大きな成長を遂げているんですよね。
続いてカシオです。
同じく2025年4月から2026年3月までの1年間で、時計事業の売上高は185億円、スイスフラン換算でおよそ9億2,000万フランでした。
前年比では18.8%の増収と、こちらも力強い伸びを見せています。
G-SHOCKの好調が、この成長を牽引しているんですよね。
そしてシチズン時計です。
シチズンについては、公表されている情報の範囲では、正確な円建ての数字までは今回確認が取れなかったのですが、業界メディアの報道によりますと、腕時計事業の売上高はスイスフラン換算で10億フランを超える水準にあるとされています。
つまり、セイコー・シチズンの2社は、いずれもスイスフラン換算で10億フランを超える規模、カシオもおよそ9億フラン台という、結構な規模の売上を上げているということになるんですよね。
「日本の時計メーカーは、安価な量産品を大量に売っているだけ」というイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、こうして数字にしてみると、その規模感はもはや一昔前と言わざるを得ないでしょう。
これらのリンクは概要欄に入れておきますので、気になる方はそちらからご覧ください。
https://www.watchpro.com/casio-watch-sales-rise-to-chf-900-million/
https://www.watchpro.com/seiko-joins-chf-1-billion-watchmaker-club/
https://www.watchpro.com/seiko-and-grand-seiko-put-swiss-in-the-shade/
では次は、この3社の売上高を、以前ご紹介したスイスのランキング表に実際に当てはめてみると、何位に入るのかを一緒に見ていきましょう。
スイスランキングに当てはめると、日本勢はまさかの"7位"相当
それでは、この3社の売上高を、以前ご紹介したスイス腕時計ブランドのトップ10ランキングに、実際に当てはめてみたいと思います。
改めて、スイスのトップ10を振り返っておきますと、
1位 ロレックス(CHF110億200万、日本円で約2兆1,528億円)
2位 カルティエ(CHF34億8,800万、約6,825億円)
3位 オーデマ ピゲ(CHF26億、約5,087億円)
4位 パテック フィリップ(CHF25億、約4,892億円)
5位 オメガ(CHF22億1,000万、約4,324億円)
6位 リシャール・ミル(CHF17億5,000万、約3,424億円)
7位 ロンジン(CHF9億2,000万、約1,800億円)
8位 ヴァシュロン コンスタンタン(CHF9億1,400万、約1,788億円)
9位 ブライトリング(CHF8億2,000万、約1,604億円)
10位 ティソ(CHF7億2,000万、約1,409億円)
という順位でした。
ここに、セイコー(CHF10億3,800万、約2,031億円)
シチズン(CHF10億超、約1,957億円超)
カシオ(CHF9億2,000万、約1,800億円)を当てはめてみます。
ではこちらの画像をご覧ください⬇️

まずセイコーとシチズンなんですが、この2社はCHF10億を超えているため、なんと6位のリシャール・ミルと7位のロンジンの間に食い込む水準なんですよね。
つまり、実質的な順位で言えば、セイコー・シチズンはスイスの老舗名門であるヴァシュロン コンスタンタンやブライトリングよりも上で、7位相当という結果になるんです。
そしてカシオなんですが、こちらはCHF9億2,000万という数字が、7位のロンジン(CHF9億2,000万)とほぼ完全に一致しているんですよね。
G-SHOCKで知られるカシオが、あのロンジンと肩を並べる水準にまで来ているというのは、正直なところ想定外でしたね。
つまり今回のランキングに日本の3社を当てはめると、上位から順に、ロレックス・カルティエ・オーデマ ピゲ・パテック フィリップ・オメガ・リシャール・ミルに次いで、セイコー・シチズン・カシオがまとめて7位前後の集団を形成し、その下にヴァシュロン コンスタンタン・ブライトリング・ティソが続くという、かなり驚きのある並びになるんですよね。
一般的に「格が高い」と語られることの多いヴァシュロン コンスタンタンよりも、セイコーやシチズンの方が売上高では上回っている、という事実は、多くの方にとって意外なのではないでしょうか。
もちろん、これはあくまで「売上高」という一つの物差しで見た結果であって、ブランドとしての格や資産価値がそのまま逆転するという話ではありません。
この点については、後の見出しで改めて詳しくお伝えしますね。
では次に、なぜ日本の時計メーカーが、ここまで健闘できているのか、その理由を掘り下げていきたいと思います。
なぜ日本勢の売上高がここまで健闘しているのか!?
それでは、なぜ日本の時計メーカーが、これほどまでに売上を伸ばしているのか、その背景を見ていきましょう。
一つ目の理由が、円安による海外での価格競争力の高まりなんですよね。
日本円が対ドル・対ユーロで安い状態が続いていることで、海外のお客様から見ると、日本製の腕時計が相対的に割安に映るんです。
これによって、アメリカ・ヨーロッパを中心に、セイコーやカシオの海外売上が大きく伸びているという構造があります。
二つ目の理由が、単価を上げる戦略が効いてる、という点なんです。
セイコーは近年、グランドセイコーをはじめとする高価格帯のラインナップを強化していまして、これが売上を押し上げる要因になっています。
三つ目、そしてこれが今回最も驚いた点なんですが、日本の時計メーカーは、実は利益率という観点でも、スイスの老舗ブランドを上回っているケースがあるんですよね。
セイコーの腕時計事業の営業利益率は、直近で15%を超えています。
これに対して、カルティエを傘下に持つリシュモングループの時計部門は、直近の決算で営業利益率3.2%、オメガを傘下に持つスウォッチ グループも4.5%程度にとどまっているんです。
つまり、売上規模だけでなく「稼ぐ力」という点でも、セイコーはこれらのスイスの名門グループを大きく上回っているということになるんですよね。
カシオの時計事業に至っては、直近の四半期で営業利益率が19.4%という、非常に高い水準に達しています。
これは、円安による輸出競争力の向上に加えて、G-SHOCKというブランドが持つ強いファン層のおかげで、値引きに頼らない販売ができているからだと考えられます。
つまり日本の時計メーカーは、単に「安く大量に売っている」のではなく、円安という追い風を活かしながら、着実に単価と利益率を引き上げるという、しっかりとした経営戦略のもとで成長しているんですよね。
では次に、それでもなお、スイスの高級ブランドとの間に確実に存在する"格"の違いについて、お伝えして参ります。
それでも"ブランドの格"では、スイスと日本の間に確実に差がある理由
ここまで、売上高という物差しで見ると、セイコー・シチズン・カシオが、スイスの名門ブランドに匹敵する、あるいは上回る水準にあるということをお伝えしてきました。
円安の下駄を履いてるとはいえ、今日の利益は研究開発に使われ、将来の売り上げに繋げてくれるはずです。
それはもっと日本のものづくりの力を向上させてくれるはずです。
ただ、ここで一つ、やはり浮かれるだけではなく非常に大切な視点をお伝えしておきたいんですよね。
それは「平均販売単価」という物差しに変えた瞬間、両者の間には、埋めがたいほど大きな差があるという事実です。
以前ご紹介したスイスのランキング表には、各ブランドの平均小売価格という項目もあったんですが、これを見ると、ロレックスは1本あたり平均で1万3,968スイスフラン、日本円でおよそ273万円です。
えっ!ロレックス結構高くない!?って感じた方もいらっしゃると思いますが、サブマリーナやエクスプローラーだけではなく、一部の貴金属モデルやダイヤモンド、プラチナモデルも含めての平均になるので、それらが平均を一気に押し上げるんですよね。
だから、日本人の所得が実態より大きく見えてるのも一部の富裕層が平均を上げまくってる現象と一緒ですよね。
パテック フィリップにいたっては、1本あたり平均4万7,413スイスフラン、日本円で927万円、オーデマ ピゲは5万1,166スイスフラン、日本円で1,001万円という水準なんですよね。
リシャール・ミルに至っては、1本あたり平均29万4,118スイスフラン、日本円でなんと5,752万円という、まさに桁違いの世界です。
一方でセイコー・シチズン・カシオの場合、主力となる量産モデルの多くは、1本数千円から数万円という価格帯が中心でして、グランドセイコーのような高価格帯ラインナップを含めたとしても、平均単価は、スイスの高級ブランドとは比較にならないほど低い水準にとどまっているんですよね。
つまり、日本の時計メーカーは「数多くの本数を、手頃な価格で販売する」ことで売上高を積み上げているのに対して、スイスの高級ブランドは「少ない本数を、圧倒的に高い単価で販売する」ことで売上高を積み上げている、というまったく異なる構造なんです。
この違いは、単なる「価格帯の違い」以上の意味を持っています。
スイスの高級ブランドが持つ「資産としての価値」「オークションでの評価」「何十年経っても価値が落ちにくい希少性」といった要素は、平均単価の桁が違うからこそ成立している側面が大きいんですよね。
売上高というものさし一つを取っても、これだけ単価と売り上げ本数の相関関係が見られるのは、非常に興味深いことだと思います。
要するにやはり日本のブランドは、ブランド力を上げるために今の最上位モデルの3倍くらいの価格の特別モデルが必要なんじゃないかなぁと考えております。
では最後にいつも通り、ベルモントルの視点をお話しして締めくくりと致します。
ベルモントルの視点
ここまで、日本の時計メーカーとスイスの高級ブランドを、売上高という切り口で比較してきました。
セイコー・シチズン・カシオが、売上高という物差しでは、名門ブランドに匹敵する規模を持っているという事実は、率直に、日本の時計産業の底力を感じさせるものでした。
同時に、平均単価という物差しに変えた瞬間、その差が歴然と表れるという事実も、改めて浮き彫りになったんですよね。
しかし、これはそもそものブランド哲学が影響してるので、どっちが正解でどっちが間違いではありません。
あくまで売り上げという物差しで見た時の話です。
ベルモントルが扱っているヴィンテージ腕時計は、まさにこの「単価」の世界に属するものです。
私たちが大切にしているのは、単に「売れる本数」ではなく、一本一本が持つ歴史や希少性、そしてその一本にどれだけの物語が宿っているか、という部分なんですよね。
日本の時計メーカーが積み上げてきた技術力や、ものづくりへの真摯な姿勢には、心から敬意を持っています。
その上で、私たちベルモントルは、これからも「数」ではなく「価値」を軸に、一本一本の腕時計と向き合っていきたいと考えています。
今回の数字が、腕時計という存在を、また違った角度から見つめ直すきっかけになれば幸いです。