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記事: 機能のために大きい腕時計と、デザインのために大きい腕時計の違い

機能のために大きい腕時計と、デザインのために大きい腕時計の違い

こんにちは、ベルモントルの妹尾です。

本日は「機能のために大きい腕時計と、デザインのために大きい腕時計の違い」という内容でお話しして参ります。

腕時計業界を見渡すと、「デカアツ」とひとくくりに語られることが多いですよね。

ですが、その成り立ちをブランドごとにさかのぼっていくと、実は異なる2つの道のりがあることに気づかされます。

視認性や堅牢性といった、実用的な必然性から結果的に大きくなった腕時計と、最初から存在感そのものを目的として、大きく設計された腕時計です。

同じ"大きい"という見た目でも、この2つは根っこにある考え方がまったく違うんですよね。

この違いを知らずに腕時計を見ていると、「大きい=派手」という一つのイメージでまとめて捉えてしまいがちです。

ですが実際には、その大きさがどこから来ているのか?によって、腕時計としての説得力も、時代を超えて評価され続けるかどうかも、大きく変わってくるんです。

今回は、この2つの違いを、具体的なブランドの事例とともに見つめていきたいと思います。

それでは話を進めて参ります。

 

 

"大きい"には、まったく違う2つの成り立ちがある

「大きい腕時計とかデカアツ」というワードを聞いたとき、多くの方は、なんとなく一括りのイメージで捉えているのではないでしょうか。

ですが実際には、腕時計が大きくなる理由には、まったく異なる2つの道筋があるんですよね。

ひとつが、機能を追求した結果として、必然的に大きくなったケースです。

視認性を高めるために文字盤を大きくする、堅牢性を高めるためにケースを厚くする。などなど。

こうした実用上の要件を満たそうとした結果、副産物としてサイズが大きくなった、という成り立ちです。

代表モデルで言えば、ロレックスのサブリーナや、オメガのシーマスター、ロンジンのレジェンドダイバー、でしょうね。

ちなみに、規格外ですがロレックスのディープシー チャレンジ(Deepsea Challenge)」は50mmです。

もうひとつが、最初から"存在感"そのものを目的として、大きく設計されたケースです。

ですので、俺のこの巨大マックス腕時計を見よ!

って見せたい人たちの欲求を満たすことを目的にした意図的にでかいサイズです。

機能的な必要性があったわけではなく、デザインとしての主張やインパクトを狙って、あえて大きく作られたという成り立ちなんですよね。

1番分かりやすいブランドがディーゼルですが、こちらのメガチーフ2.0というモデルはなんと51mmだそうです。

次がパネライのルミノール アストロノモ トゥールビヨンが50mm。

次がウブロのスピリット オブ ビッグ・バンの45mmモデルです。

ただウブロは本当はもっとでかいのがあったんですが、やはりやり過ぎ感があったか分かりませんがそう言ったのは廃盤になってしまいました。 

この2種類は、見た目だけを見れば、どちらも同じ"大きい腕時計"というカテゴリーに分類されてしまいます。

ですが、その大きさが生まれた背景を掘り下げていくと、別の背景が見えてくるんですね。

機能由来の大きさには、「なぜこのサイズでなければならなかったのか?」という、明確な理由があります。

一方でデザイン由来の大きさには、「なぜこのサイズを選んだのか?」という、ブランドの美意識や、その時代の空気を反映した理由があります。

どちらが優れているという話ではありません。

ただ、この2つの成り立ちの違いを理解しておくことは、腕時計というものを、より深く見つめる上で、とても大切な視点になるんですよね。

もう一つ、あらかじめお伝えしておきたいのが、この2つの成り立ちは、必ずしもくっきりと分かれるものではないという点です。

一つのブランドの歴史の中でも、当初は機能由来で大きかったモデルが、時代を経る中で、デザインとしての大きさへと意味合いを変えていくケースもあります。

つまりこの区分は、白か黒かという単純な分類ではなく、どちらの性格がより強く表れているかという、グレーゾーンとして捉えていただく方が、実態に近いといえるでしょう。

この視点を持った上で、それぞれの実例を見ていきましょう。

では次に、機能のために大きくなった腕時計たち!という内容で解説して参ります。

 

 

機能のために大きくなった腕時計たち

まずは、機能を追求した結果として大きくなった腕時計の実例を見ていきましょう。

代表的な存在が、先ほど紹介したパネライです。

パネライはもともと、1930年代にイタリア海軍の潜水士向けに開発された、正真正銘の軍用ツールウォッチでした。

暗闇の海中でも視認できる大きな文字盤、水圧に耐える堅牢なケースという、機能的な必然性から、当時としては規格外のサイズが生まれたブランドなんですよね。

初代ラジオミールは47mmという、1930年代当時としては驚異的なケース径でしたが、これも見た目の派手さを狙ったものではなく、あくまで軍用ツールとしての要件を満たすための結果だったんです。

もう一つの実例が、ロレックスの大径モデルです。

サブマリーナーやシードゥエラーといったダイバーズウォッチは、潜水という用途における視認性の高さを求めた結果、大ぶりなケースサイズへとたどり着きました。

これらのモデルも、パネライと同じく、"機能から必然的に生まれたサイズ"という成り立ちを持っているんですよね。

こうした機能由来の大型化には、共通する特徴があります。

それは、「なぜこの大きさが必要なのか」という問いに対して、明確な実用上の答えが用意されている、ということなんです。

当たり前ですが視認性、堅牢性、防水性。

こうした具体的な機能要件と、サイズという結果に整合性が取れます。

この結びつきの強さこそが、機能由来の大型化を、単なる見た目の主張ではなく、道具としての説得力を持つデザインへと導いています。

さらに付け加えると、こうした機能由来のサイズは、時代が変わっても、その理由自体が色褪せにくいという特徴も持っています。

潜水という用途がある限り、視認性の高い大きな文字盤という要件は、今も昔も変わらず存在し続けるからです。

つまり機能由来の大きさは、流行というよりも、目的そのものに根ざした必然性であり、この点が、次にお話しするデザイン由来の大きさとの、大きな違いになってくるんですよね。

ちなみにパネライも、当初こそ純粋な軍用ツールとしての大きさでしたが、1993年に民間向けの展開を始めて以降、その見せ方を少しずつ変化させていきます。

軍用としての実用性よりも、存在感や個性を打ち出す方向へと軸足を移していったんですよね。

つまり同じパネライというブランドの中にも、機能由来の時代と、デザイン由来の時代が、時系列として存在しているということなんです。

この変化については、次の見出しで詳しく見ていきたいと思います。

 

 

デザインのために大きくなった腕時計たち

続いて、デザインとしての主張を目的に、大きく設計された腕時計の実例を見ていきましょう。

代表的な存在が、ウブロの「ビッグ・バン」です。

ウブロは、異素材同士を組み合わせる"フュージョン"というコンセプトを掲げ、ケースそのものを大きく主張させることで、存在感を打ち出していったブランドなんですよね。

このモデルの大きさは、パネライやロレックスのように、視認性や堅牢性といった、明確な機能要件から導き出されたものではありません。

「大きければ大きいほどかっこいい」という、当時の時代の空気そのものを体現するための、デザイン的な選択だったといえるでしょう。

そして先ほど触れたパネライも、1993年の民製品以降は、この流れに近づいていきます。

軍用ツールとしての実用性よりも、大きさそのものを"存在感"や"個性"として打ち出す方向へと、軸足を移していったわけですよ。

つまり、同じ44mmという数字であっても、1930年代のラジオミールと、1990年代以降の民間向けパネライとでは、その大きさである意味の打ち出しが、まったく異なっているということなんです。

前者は"潜水士の命を守るための必然"であり、後者はデカアツキョダイマックスとしての主張"なんですよね。

デザイン由来の大きさに共通しているのは、「その時代に、その大きさが格好よく見えた」という、感覚的な理由に支えられているという点です。

機能由来の大きさが、普遍的な実用要件に根ざしているのに対して、デザイン由来の大きさは、その時代特有の美意識や流行などなど、その空気感の中に溶け込んでいました。

この違いが、後になって、評価のされ方に大きな差を生むことになります。

補足しておくと、これはウブロやパネライの魅力を否定する話ではありません。

デザインとして大きさを選んだブランドだからこそ実現できた、独自の存在感や個性があることも、また事実なんですよね。

今は下火になってしまったものの、一時期は今のリシャールミルのように飛ぶ鳥をおとす勢いがあったわけで、我々がパネライやウブロというブランドをすぐに連想出来る状態にまで持っていったことは本当に凄い事だと思います。

大切なのは、その大きさが"どこから来たものなのか"を知った上で、その一本と向き合うことなんですよね。

ある時代を象徴するデザインだったからこそ、当時を知る方にとっては、今もなお特別な魅力を放ち続けている、ということも十分にあり得る訳ですよ。

では次に、この2つの違いが、評価の"寿命"を分ける!について解説して参ります。

 

 

この2つの違いが、評価の"寿命"を分ける

ここまで、機能由来の大きさと、デザイン由来の大きさ、それぞれの実例を見てきました。

最後にお伝えしたいのが、この2つの違いが、時間が経った後の評価に、大きな差を生むという点です。

以前の動画でもお話ししましたが、1998年頃から2015年頃まで続いた"デカ厚ブーム"は、すでに終わりを迎えており、パネライの平均再販価格は前年比で約8%下落、ウブロも業界ランキングで順位を落とすなど、当時の勢いは失われています。

一方でロレックスの大径モデルは、ブームが去った今も、変わらず高い人気を保ち続けているんですよね。

この明暗を分けているのが、まさに機能由来かデザイン由来かという、成り立ちの違いなんです。

機能由来の大きさは、"なぜこの大きさが必要なのか"という理由が、時代が変わっても揺らぎません。

潜水という用途がある限り、視認性の高さという要件は、普遍的に成立し続けるからです。

だからこそ、流行とはまた別の軸でそのまま評価され続けることができるんですよね。

一方でデザイン由来の大きさは、"その時代に、その大きさが格好よく見えた"という、感覚的な理由とか、その時代の空気感に支えられています。

時代の気分というものは、当然ながら移り変わっていきますから、その空気感と強く結びついていたデザインもまた、時代が変わると同時に、急速に"古い"という印象を持たれてしまうリスクを抱えているんです。

ロレックスのオイスターケースが1926年の発表以来、基本的な造形をほぼ一貫して守り続けているように、機能由来のデザインは、"今っぽさ"を売りにしないからこそ、時代が移り変わっても急に陳腐化することがありません。

つまり、腕時計の大きさを評価する際には、単に"大きいかどうか"だけでなく、その大きさが、機能から来ているのか、それとも時代の空気感から来ているのかを見極めることが、長く付き合える一本を選ぶ上で、とても大切な視点になるんだと思います。

もちろん、デザイン由来の大きさがすべて色褪せてしまうという話ではありません。

ウブロのビッグ・バンのように、今もなお高い人気を保ち続けているデザイン由来のモデルも存在しますからね。

ただ、一般論としては、機能ありきでそのサイズになった本質を持つ大きさの方が、時代を超えて評価され続けやすい傾向がある、ということは、押さえておいていただきたいポイントなんですよね。

 


ベルモントルの視点

腕時計に正確な時間を求めることも大切ですが、実際のところはほとんどの場合で自分がどんな人なのか?とか、ファッション的な要素でって感じで、着用されてると思います。

そんな時に、自分はこれが好きだからこれを着用する!

って理由でも充分なんですよね。

なぜなら、機能を求めるのであれば日常生活防水があれば充分なんですからね。

ただし、デカアツを今も選んでるいる人は、なんとなく無難にデカアツの方が良いのかなぁ・・・・って思い込みから選ばれてるはずです。

だとすれば、もうデカアツは下火になっていることを理解して、自分が本当に良いなぁって思える1本を選んで頂くのが良いのかなぁと考えております。

腕時計というのは本来、値段やブランド名だけでは、その一本が本当に納得できるかどうかは、決まらないんですよね。

その一本が持つ背景まで見えてきたときに、初めて「これだ」と思える自分の一本に出会えるんですよね。

店舗は表参道駅から徒歩2分の場所にあるので、雨の日でもほとんど濡れずにお越し頂けます。

ベルモントルでは、そうした背景や佇まいも含めて腕時計を選びたい方に向けて、公式LINEで一般公開前の新着商品や入荷予定品をご案内しています。

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