ROLEX ロレックス デイトジャスト Ref.1603 黒文字盤の魅力
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では、ロレックス デイトジャスト Ref.1603 ブラックマット文字盤、この個体について解説して参ります。
デイトジャストという名前を聞いたとき、多くの方が思い浮かべるのはフルーテッドベゼルにジュビリーブレス、白やシルバーの文字盤という、あの王道のイメージだと思います。
ただ今日ご紹介するRef.1603は、そのイメージとはかなり違う顔を持っています。
エンジンターンドベゼル、オールステンレス、そして黒のマット文字盤。
デイトジャストでありながら、どこかスポーツウォッチに近い渋さを持っています。
この独自のポジションが、今コレクターの間で注目されているんですよね。
今日はその理由を、この個体の背景と合わせて丁寧にお伝えしていきたいと思っています。
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それでは話を進めて参ります。
デイトジャストという腕時計の本質
まずデイトジャストというモデルの話から始めていきたいと思っています。
デイトジャストが誕生したのは1945年のことです。
ロレックス創業40周年を記念して作られたモデルで、世界で初めて自動巻きで日付が自動的に変わる機構を搭載した腕時計として登場しました。
ここで少し意外な事実をお伝えすると、デイトジャストはロレックスを代表するダイバーズウォッチのサブマリーナーより、実は歴史が古いんですよね。
サブマリーナーが登場したのは1953年ですから、デイトジャストのほうが8年先輩にあたります。
デイトジャストが誕生したとき、ジュビリーブレスレットも同時に生まれました。
5コマ構造の独特のブレスレットで、当初はゴールドのみの展開でしたが、後にステンレスやコンビへと展開されていきます。
このジュビリーブレスは、今もデイトジャストを象徴するブレスレットとして存在し続けているんですよね。
ロレックスがデイトジャストを作るにあたって目指したのは、「毎日使える完璧な腕時計」というコンセプトだったといわれています。
ちなみに前回の動画でも話した内容ですが、当初はヴィクトリーになる可能性もあったそうですが、当時の世界情勢を考えるとそのままの意味になってしまうことから、デイトジャストに変わったそうです。
今となっては、こっちの方がしっくりくるので、変わって良かったですよね✨
話を戻しまして、日付が変わった際に瞬時にデイトが変わる機構、オイスターケースの堅牢さ、オイスターパーペチュアルの3大機構を兼ね備えたモデルです。
スポーツウォッチほど無骨でなく、ドレスウォッチほど華美でもない。
日常のあらゆる場面に溶け込める腕時計として設計されたのが『デイトジャスト』なんですね。
そしてデイトジャストは1945年の誕生から現在まで、基本的なデザインの骨格を変えることなく作り続けられているモデルです。
これはロレックスの全モデルの中で、最も長い連続生産の歴史を持っているということでもあります。
ただ80年近くにわたって作られ続けているからこそ、世代によってかなり違う顔を持っているのもデイトジャストの面白さです。
今日ご紹介するRef.1603は4桁世代のデイトジャストで、この世代だけが持っている特性が、このモデルの魅力の核心にあるんですよね。
Ref.1603とはどういう型番か?工業的美学
ここからはRef.1603という型番について、もう少し具体的に紐解いていきます。
4桁世代のデイトジャストには大きく分けて3つのリファレンスが存在します。
Ref.1600がスムースベゼル、Ref.1601がホワイトゴールドのフルーテッドベゼル、そしてRef.1603がステンレススチールのエンジンターンドベゼルです。
この3つを並べたとき、最も華やかに見えるのは間違いなくRef.1601です。
ホワイトゴールドのフルーテッドベゼルが放つ輝きは、デイトジャストという腕時計のイメージそのものといえます。
格式があって、洗練されていて、いかにもロレックスらしい存在感を持っています。
実際に現存する個体も、1601が圧倒的に多いですからね。
ではRef.1603はというと、その方向性がまったく違います。
エンジンターンドベゼルというのは、細かい放射状の刻みが入ったテクスチャーを持つベゼルです。
そしてこのRef.1603のベゼルはゴールドではなく、ステンレススチールで作られています。
このステンレスという素材とエンジンターンドという加工の組み合わせが、デイトジャストでありながら工業製品のような無骨な空気感を生み出しているんですよね。
フルーテッドゴールドのベゼルは光を華やかに反射します。
対してエンジンターンドのステンレスベゼルは、細かい刻みが光を均一に分散させることで、ギラつかない落ち着いた光り方をします。
この光り方の違いが、腕時計全体の雰囲気をまったく別のものにしているんですよね。
このエンジンターンドベゼルはRef.1603にしか存在しない仕様で、後継の16030にも引き継がれました。
要するに、16系統だけに採用されて採用されたのも2世代目までなんですよね。
よって現行のデイトジャストには存在しないデザインで、このベゼルを持つデイトジャストは今やヴィンテージ市場でしか出会えません。
そしてRef.1603はオールステンレスのモデルです。
ゴールドの要素がどこにも入っていません。
ベゼルもケースもブレスもすべてステンレスであり、この潔いオールステンレスの構成が、工業的な美しさをさらに強調しています。
腕時計としての品格は持ちながら、どこか機械(ツール)としての役割もしっかり主張しています。
それがRef.1603というモデルの固有の魅力だと思っています。
では次に、パイパンダイヤルが持つ三次元の美しさ!という内容で解説して参ります。
【パイパンダイヤルが持つ三次元の美しさ】
次に、この世代のデイトジャストが持つ最も重要な特徴の一つ、パイパンダイヤルについてお伝えしていきます。
パイパンダイヤルというのは、文字盤の外周部分が中心より少し低くなっているダイヤルのことです。
上から見ると平らに見えますが、実際に手に取ると文字盤に奥行きと立体感があることが分かります。
この独特の形状が、アップルパイの型に似ていることから「パイパン」という名前がついたとされています。
この立体感が何をもたらすかというと、文字盤全体に美しい陰影が生まれるんですよね。
あと、これは私の感覚なのですが文字盤の縁が下がることで、小顔効果があるように感じます。
次期型の16030と比べてみるとぱっと見ではあまり違いは分かりませんが、よくよく見ていくと段差があるとその段差分文字盤が狭まるので、小顔効果が生まれるのでは。
と考えております。
こう言ったことから、全体として非常に奥行きのある表情が生まれます。
この構造は4桁世代のデイトジャストにしか存在しません。
前述した通り、1977年に5桁世代(Ref.16030など)が登場したとき、ロレックスはダイヤルをフラットな構造に変更しました。
また5世代目からは、クイックセット機能を搭載するためにムーブメントの構造が変わり、それに合わせてダイヤルの設計も変わっていったんですよね。
フラットダイヤルは非常にクリーンで現代的な印象を持っています。
それ自体の美しさがあることは間違いありません。
ただ今回は4桁の紹介ですので、パイパンの説明をメインにしますが、パイパンダイヤルが持っていた三次元的な奥行き感は、この世代の変更で失われてしまいました。
だから今、4桁世代のデイトジャストを手に取ったとき、現行モデルや5桁世代にはない独特の表情があると感じる方が多いんですよね。
それはまさにこのパイパンダイヤルが持つ立体感から来ているものだと思っています。
今回のRef.1603の黒マット文字盤にも、もちろんこのパイパン構造が採用されています。
黒いマットな面に外周の影が落ちることで生まれる陰影は、シルバーのダイヤルとはまた違う深みを持っているんですよね。
暗い色味のパイパンダイヤルが持つ表情の豊かさは、実際に手に取って角度を変えながら見ていただかないと、なかなか伝わらない部分でもありますね。
では次に、黒マット文字盤という選択:ドレスとスポーツの境界線!という事について解説して参ります。
【黒マット文字盤という選択:ドレスとスポーツの境界線】
ここからが今日の話の核心の一つです。
デイトジャストの文字盤といえば、シルバーやホワイトのダイヤルが最もポピュラーです。
これは今も昔も変わらない傾向で、デイトジャストというモデルの王道はやはり明るい色味の文字盤にあるといえます。
その中で黒い文字盤を選ぶということは、デイトジャストという腕時計の中でかなり異端な選択をしているということでもあるんですよね。
そして黒い文字盤にも、大きく分けてミラー仕上げとマット仕上げの2種類があります。
この2つは見た目の印象がまったく違います。
ミラー仕上げの黒ダイヤルは、光を反射して艶やかに輝きます。
深みのある黒の中に光が反射することで、華やかでドレッシーな印象を与えます。
では今回のマット仕上げの黒ダイヤルなんですが、言わずもがな光を反射しません。
その代わりに光を吸収するような、深くて静かな黒になります。
マットにはマットの良さがありまして、華やかになりすぎないってところですよね。
かなり落ち着いたデイトジャストになります。
ベゼルもフルーテッドよりも落ち着かせたエンジンターンドですしね。
要するにドレスとスポーツの境界線に立っている腕時計と言えるでしょうね。
それが黒マット文字盤のRef.1603という個体の本質だと思っています。
では次に、ブレスの話をして参ります。
62510H+555エンドリンクの話
ここからは、この個体に装着されているジュビリーブレスレットについてお伝えしていきます。
ジュビリーブレスレットはデイトジャストと同じ1945年に誕生したブレスレットです。
5コマ構造の独特のデザインで、中央の3コマが鏡面仕上げ、外側の2コマがサテン仕上げという組み合わせが生む独特の表情が特徴です。
デイトジャストを象徴するブレスレットとして、長年にわたって愛され続けてきました。
このジュビリーブレスレットには、製造時期によっていくつかのリファレンスが存在します。
今回の個体に装着されているのは62510Hというリファレンスで、フラッシュフィットは555です。
ジュビリーブレスの系譜を簡単に紐解くと、初期の6251Hは折り畳みリンク構造で作られていました。
金属板を折り曲げて成形する製法で、側面から見るとリンクの断面が見えるのが特徴です。
要するに中空という事ですね。
中空ってのは、中が空っぽなので軽いという事です。
それに対して今回の62510Hは中も詰まってる無垢リンク構造になっています。
よってリンクの側面が閉じられていて、より堅牢で重たくすっきりとした印象を持っています。
6251Hと比べると全体的にシャープな仕上がりになっていて、ブレスレット単体としての完成度が上がっているんですよね。
エンドリンクの555というのは、ケースとブレスレットをつなぐ部分の規格です。
その前が55なので、こちらも途中で進化します。
まぁ55から555に進化してもほとんど変わりはないんですけどね。
ベルトの進化に合わせて、フラッシュフィットも番号を進化させた感じでしょうね。
このフラッシュフィットがあることで、腕時計全体の完成度に大きく影響し、これがあるからロレックスに見えると言っても過言ではありません。
ケースとブレスの間に隙間があったり、段差が生じたりすると、どんなに良い腕時計でも見た目の印象が大きく損なわれてしまいます。
でもこれがある事で、ブレスからケースの繋ぎ目をスムースにして、より一体感を強調するんですよね。
今回の個体はこの62510H+555という組み合わせが、Ref.1603にしっかりと適合しています。
ブレスがケースに自然に収まっていて、腕時計全体として一つの塊として見えますよね。
このフィット感が、着用したときの印象を大きく左右するんですよ。
ジュビリーブレスのもう一つの魅力は、オイスターブレスとはまったく異なる着用感です。
5コマ構造が手首の動きに柔軟に追従するので、長時間着けていても負担が少ないです。
中空になってる分、6251の方がもっと手首に馴染んでくれるんですが、伸びが発生してしまうんですよね。
だから、どっちもどっちなのでここは個人がどっちを好むかってところでしょうね。
私はこっちのブレスの方が好きです!
など好みのブレスがありましたら、是非コメント欄から教えてくださいね。
デイトジャストが「毎日使える完璧な腕時計」というコンセプトで生まれたとすれば、このジュビリーブレスの着用感はそのコンセプトを体現しているといえるんじゃないかと思っています。
では次にCal.1570後期型・ハック機能の話という内容で解説して参ります。
Cal.1570後期型・ハック機能の話
次に、この個体に搭載されているムーブメントについてお伝えしていきます。
今回のRef.1603に搭載されているのはCal.1570の後期型です。
1977年製という製造年を踏まえると、ハック機能が搭載された後期型にあたります。
Cal.1570はロレックスが1965年に導入した自動巻きムーブメントで、26石・毎時19800振動という仕様を持っています。
ちなみに4桁デイトジャストにはCal.1560とCal.1570が搭載されているんですが、前期は1560で後期は1570となりまして、さらに1570に前期と後期があって、前期は1570のハックなし、後期は1570のハックありになります。
このように俯瞰して見れば、4桁デイトジャストには4つのパターンのムーブメントが存在してるんですね。
この辺の詳細についてはこちらのヴィンテージ 【ROLEX/ロレックス】 4桁デイトジャストの歴史 Ref.1600 & 1601 & 1603 これら3つのリファレンスは何が違う?で詳しく解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください⬇️
信頼性と耐久性の高さから、デイトジャストだけでなく当時のサブマリーナーやGMTマスターにも搭載された、ロレックスを代表するムーブメントの一つです。
ここで一つ重要な話をすると、Cal.1570にハック機能が追加されたのは1972年のことです。
ハック機能というのは、リューズを引き出したときに秒針が止まる機構のことです。
なぜこれが重要かというと、秒針が止まることで時刻合わせの精度が大幅に上がるからです。
ハック機能がない場合、秒針が動き続けている状態で時刻を合わせる必要があるので、どうしても数秒のズレが生じてしまうんですよね
ハック機能があれば、秒針を止めた状態で正確な時刻に合わせることができます。
1977年製の今回の個体はこのハック機能が搭載された後期型ですから、実用性という観点でも非常に使いやすい仕様になっています。
とは言っても、もはや現代となってみれば「秒」が対象ズレようがそこまで気になる方もいないんじゃないかなぁって思いますね。
一方でこの個体にはクイックセット機能はありません。
日付を変えるには、針を24時間分回し続ける必要があります。
現代の腕時計に慣れている方にとっては少し不便に感じるかもしれません。
ただこれは見方を変えると、この個体がCal.1570という時代の機械をそのまま搭載しているということでもあるんですよね。
クイックセット機能が搭載されたCal.3035に変わるのは1977年以降のことですから、Cal.1570を搭載したこの個体はまさに4桁世代の最終期にあたる一本です。
この「手間がかかる」という感覚も、ヴィンテージ腕時計との付き合い方の一部だと思っています。
毎日巻いて、日付を手動で合わせないといけなせん。
ここもまたデイトなんて合わせる必要もないのですが、あえて手間をとってその小さな儀式のような行為が、腕時計との関係を深めていくわけですよ。
そういう時間の使い方を楽しめる方にとって、Cal.1570を搭載したこの個体は非常に相性が良い腕時計だと思っています。
では次に実機着用レビュー:この個体が持つ本当の威力!という内容で解説して参ります。
実機着用レビュー:この個体が持つ本当の威力
映像でも写真でも十分に格好いいですよね。
なので、流石にこのかっこよさは70%は伝わっていると思います。
それを踏まえて、私の言葉で着用した感想をお話しします。
黒マットの文字盤が持つ渋さ、エンジンターンドベゼルの精密なテクスチャー、ジュビリーブレスの上品な佇まい。
これだけで充分に「良い腕時計だな」ということは十分伝わります。
ただ実際に手に取ると、印象がかなり変わるんですよね。
まず手に持った瞬間に感じるのは、この個体が持つ重さと密度感です。
オールステンレスのオイスターケースとジュビリーブレスが一体になった塊感は、写真では伝わりにくい部分です。
手の中に収まったときの、この「ずっしりとした存在感」が、腕時計としての説得力を作っているんですよね。
あの40mmを超えるようなモデルの重さとは違うんですよね。
ヘッドだけの重さではなく、手首全体で受け止める重さですので、手首に乗せた時の収まりは素晴らしいです。
ヘッドの部分ですが腕に乗せると、まず36mmというサイズ感の絶妙さを感じます。
現代の大径ケースに慣れている方には小さく感じるかもしれません。
ただ袖口に収まったときの自然さは、大径ケースとはまったく違う、主張しすぎないけど上品な存在感があります。
この感覚は、実際に着けてみないと分からないものだと思っています。
次に気づくのが、黒マット文字盤の表情の豊かさです。
黒文字盤にシルバーのインデックスに、インデックスの先にある焼けた夜光ですね。
これだけでヴィンテージらしさがグッと深まるわけじゃないですか。
ヴィンテージってこういうところがいいよねぇ・・・って気持ちにさせてくれます。
そしてこの個体を着けていて一番驚くのが、「デイトジャストらしくない」という感覚です。
デイトジャストといえば、優雅でドレッシーな腕時計というイメージがありますよね。
でもこの個体を腕に乗せると、どこかエクスプローラーに近い武骨さと渋さが滲み出てくるんですよね。
エンジンターンドベゼルとオールステンレスのボディが持つ工業的な空気感と、黒マット文字盤が持つスポーティさが組み合わさることで、デイトジャストでありながらデイトジャストらしくない、独自のポジションに立っている腕時計だということが実機で初めてはっきりと分かります。
ブレスがジュビリーなので、やはりそこはエレガンスですが、上品なエクスプローラーって表現でもいいでしょうね。
普段弊社の動画をご覧になってる方であれば、そうだよねぇ・・・って話だと思いますが普段大型モデルを着用してある方は、こう言った小径を手に取ってみるとまた違った世界が広がると思いますね。