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記事: カルティエとピアジェってなんとなく似てるけど何が違うの?

カルティエとピアジェってなんとなく似てるけど何が違うの?

こんにちは、ベルモントルの妹尾です。

本日は「カルティエとピアジェってなんとなく似てるけど何が違うの?」という内容でお話しして参ります。

どちらもスイスを代表する名門メゾンでありながら、実はこの2つのブランド、成り立ちから技術、資本関係に至るまで、勉強していけばなかなか面白いんですよね。

店頭でも「カルティエとピアジェ、どちらが格上なんですか?」といったご質問をいただくことがあるのですが、実はこの2ブランド、単純に優劣で語れるような関係ではないんです。

似ているようで哲学が違い、違うようで実は深く結びついています。

今は同じグループの傘下にありながら、片方は宝飾から、もう片方はムーブメント製造から出発しているという、対照的な歴史を持っていることをご存知でしょうか。

さらに掘り下げていくと、両ブランドの間には、技術的な協力関係を示す具体的な証拠まで見えてきます。

こうした背景を知ってから両ブランドの一本を手に取ると、これまでとは違った視点で、その一本の魅力を感じていただけるはずです。

そんなカルティエとピアジェの関係を、今回は紐解いて参ります。

それでは話を進めて参ります。

 

 

カルティエは"宝飾"から、ピアジェは"ムーブメント製造"から始まった、対照的な成り立ち

カルティエとピアジェ、この2つのブランドがどのように生まれたのか?その出発点から解説して参ります。

カルティエは1847年、パリでルイ=フランソワ・カルティエによって創業されました。

その成り立ちは、腕時計メーカーとしてではなく、宝飾商(ジュエラー)としてなんですよね。

貴族や王侯といった上流階級を顧客に持ち、宝飾品の分野で確かな地位を築いていったカルティエが、腕時計の製作に本格的に乗り出すのは、それからしばらく後のことになります。

一方でピアジェは、カルティエよりも27年遅れた1874年、スイスのラ・コート・オ・フェという小さな村で、ジョルジュ=エドワール・ピアジェによって創業されました。

こちらはカルティエとは真逆で、宝飾ではなく懐中時計やムーブメントの製造からスタートしているんです。

高精度なムーブメントを制作していたピアジェのもとには、次第に数々の有名時計ブランドから注文が寄せられるようになり、いち早くその名は業界内で広く知られるようになりました。

よって、老舗マニュファクチュールはジャガールクルトが有名ですが、ピアジェも同じスタイルです。

ただ、これまでに作ってきたムーブメントの数が全然違うから、ジャガーの方が際立ってるんですよね。

つまりピアジェは、創業当初から自社ブランドとして表舞台に立つのではなく、"他社を支える存在"として時計業界に関わってきたブランドだったといえるでしょう。

宝飾から時計へと歩みを進めたカルティエと、ムーブメントから時計ブランドへと歩みを進めたピアジェですが、この2つのブランドは、同じ"高級腕時計"という到達点を目指しながらも、まったく逆の方向から歩み始めていたんですよね。

同じ"高級"という言葉で語られる2ブランドですが、その根っこにある強みは、実はまったく異なる場所にあったんですよね。

この違いを知っておくと、次にお話しする技術面での特徴が、より深く理解していただけるはずです。

では次に、ピアジェの"薄さ"へのこだわりが生んだ腕時計業界を変えた技術革新!について解説して参ります。

 

 

ピアジェの"薄さ"へのこだわりが生んだ、時計業界を変えた技術革新

ムーブメント製造から出発したピアジェが、ブランドとして大きく飛躍する転機となった年があります。

それが1957年なんですよね。

この年、ピアジェは厚さわずか2.0mmという、驚異的な薄さの手巻きムーブメント「Cal.9P」を発表します。

当時の時計業界において、これほどまでに薄いムーブメントを量産レベルで作り上げることは、極めて困難だとされていました。

Cal.9Pの登場は、時計業界全体に衝撃を与える出来事だったんですね。

ピアジェはこの成功にとどまらず、1960年には世界最薄となる自動巻きムーブメント「Cal.12P」を発表し、厚さ2.3mmという記録を打ち立てました。

こうした極薄ムーブメントの開発によって、ピアジェはそれまで実現できなかった、まったく新しいデザインの腕時計を生み出せるようになります。

薄いムーブメントだからこそ実現できる、繊細でエレガントなケースデザイン。

そしてこの薄さは、天然石を文字盤に用いるという、宝飾的な表現にも道を開くことになりました。

ラピスラズリやマラカイト、オニキスといった天然石は、本来ある程度の厚みを必要とする、割れやすくデリケートな素材です。

それまではムーブメントに厚さがあったことで、そのような貴石を使った文字盤は採用することができませんでしたが、ピアジェの薄型ムーブメントの誕生によって、それを実現することができるようになったというわけです。

ムーブメント自体が極限まで薄いからこそ、そうした繊細な天然石文字盤を採用しても、時計全体としては驚くほどスリムでエレガントな佇まいを保つことができたんですよね。

つまりピアジェにとっての"薄さ"は、単なる技術的な自己満足ではなく、宝飾的な美しさを腕時計というかたちで表現するための、必然の選択でもあったといえます。

ムーブメント製造から始まったピアジェが、機械としての技術と、宝飾としての美しさを両立させていった。

この歩みこそが、ピアジェというブランドの独自性を決定づけたといえるのではないでしょうか。

薄さという機械的な挑戦と、天然石という宝飾的な挑戦。

この2つが同じ一本の腕時計の中に共存しているところに、ピアジェならではの奥深さがあるんですよね。

では次に、Cal.430MCが証明する、両ブランドの技術協力の実例!という内容で解説して参ります。

 

 

Cal.430MCが証明する、両ブランドの技術協力の実例

ここまでお話ししてきた、対照的な成り立ちを持つカルティエとピアジェですが、実はある時期、両ブランドの技術が結びついた出来事があります。

それが「Cal.430MC」というムーブメントなんですよね。

1998年、ピアジェは1957年のCal.9Pの後継となる、新世代の手巻き極薄ムーブメント「Cal.430P」を発表しました。

このムーブメントは、量産を前提とした堅牢な設計でありながら、9P由来の薄さを実現した傑作だとされています。

そしてこのCal.430Pがカルティエにも提供されることになります。

カルティエが独自にチューニングと装飾を施したこのムーブメントは「Cal.430MC」と名付けられ、カルティエの最上級ライン「コレクション プリヴェ カルティエ パリ(CPCP)」に搭載されました。

CPCPは1998年から2008年にかけて展開された、時計愛好家に向けた本格機械式時計のコレクションで、タンク ア ヴィス、サントス デュモン、アメリカン、タンク シノワーズといった、カルティエの名作モデルへのオマージュとして製作されました。

このコレクションのムーブメントには、ピアジェ以外にもジャガー・ルクルトやジラール・ペルゴ、フレデリック・ピゲといった一流メーカーの技術が投入されており、装飾はすべてカルティエ自身の工房で仕上げられていたんですね。

このCPCPについては、こちらの『プリヴェ・カルティエ・コレクション・パリ『CPCP』を超詳しく解説!』の中で詳細に解説しておりますので気になる方はこちらの動画もご覧ください⬇️

話を戻しまして、ムーブメントには、カルティエを示す「ダブルC」の刻印とコート・ド・ジュネーブ装飾が施され、多くのモデルではサファイアクリスタルのケースバックから、その美しい仕上げを見ることができる仕様になっていました。

カルティエ社製Cal.430MC

つまりCal.430MCは、ピアジェが培ってきた極薄ムーブメントという"機械としての技術"と、カルティエが培ってきた宝飾的な"装飾の美意識"が、一本の中で融合した、まさに高級モデルに相応しい存在だったといえるでしょう。

では次に、1988年、資本の傘の下で"兄弟ブランド"になったカルティエとピアジェ!という内容で解説して参ります。

 

 

1988年、資本の傘の下で"兄弟ブランド"になったカルティエとピアジェ

先ほどお話ししたCal.430MCのような技術協力が、なぜ実現できたのか?という話ですがその背景には、両ブランドの資本関係という、もうひとつの重要な事実があります。

1988年、ピアジェは後にリシュモングループに進化するヴァンドーム・グループという持株会社の資本参加を受け入れることになりました。

ここで興味深いのが、このヴァンドーム・グループの母体を作ったのが、カルティエ側だったという点なんです。

カルティエの持株会社であるカルティエ モンドが土台となり、後にヴァンドーム・グループ、そしてリシュモン グループへと発展していきました。

つまり「カルティエが先に作った資本の下に、後からピアジェが加わった」という順番になっているんですよね。

ただしここで誤解していただきたくないのは、これは決してピアジェがカルティエに"吸収"されたということではない、という点です。

ピアジェは現在も、独自のブティック展開、独自のマニュファクチュール、独自のコレクションを持つ、独立したブランドとして存在し続けています。

リシュモン グループには、カルティエやピアジェのほかにも、ヴァシュロン コンスタンタンやジャガー・ルクルト、IWCといった、それぞれ独立したブランドが数多く所属しており、いわば"兄弟ブランド"として、同じグループの傘の下に共存しているという構図なんです。

このことについては、こちらの『リシュモングループ内での序列はどうなってる?』の中で詳細に解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください⬇️

話を戻しまして、1993年には、ピアジェは完全にこのグループの傘下に入ることになりました。

この資本関係があったからこそ、先ほどお話ししたCal.430MCのような、グループ内でのムーブメントの共通化が可能になったといえるでしょう。

資本関係というビジネス上の結びつきと、Cal.430MCという実際の製品への結びつき。

この両方が揃って初めて、2つのブランドの技術協力は成立していたんですよね。

では次に、今、あらためてこの2ブランドをどう選ぶべきか?ということについて解説して参ります。

 

 

今、あらためてこの2ブランドをどう選ぶべきか?

ここまで対照的な成り立ち、それぞれが極めた技術、そして資本関係で結びついた歴史と、カルティエとピアジェの関係性を見つめてきました。

こうした背景を知った上で、あらためて「では、どちらを選ぶべきか?」と考えたとき、両ブランドの個性が最も色濃く表れているヴィンテージという選択肢なんですよね。

現行モデルも、もちろん優れた選択肢です。

ですが現行モデルの多くは、自社製ムーブメントを軸に展開されており、今回お話ししてきたような、ブランド同士の技術協力の歴史など、語れるストーリーは、そのモデルの中に直接は表れにくくなっています。

一方でヴィンテージ、特に1960年代から90年代にかけて製造された個体には、それぞれのブランドが最も勢いよく個性を発揮していた時代の空気が、色濃く残っているんです。

たとえばピアジェであれば、1957年のCal.9Pから発展したCal.9P2を搭載し、天然石文字盤と組み合わせた1970年代の一本は、まさに"薄さ"という技術と宝飾的な美しさが両立した、ピアジェの黄金期を象徴する存在だといえます。

ベルモントルでも、Cal.9P2を搭載したラピスラズリ文字盤のピアジェ プロトコールをお取り扱いしています。

鮮やかなブルーの天然石にパイライトが星のように散りばめられた文字盤は、この世に二つと同じ表情のものが存在しない、一点物の魅力を持っているんですよね。

カルティエであれば、先ほどお話ししたCal.430MCを搭載したCPCP期(1998〜2008年)のモデルが、両ブランドの結びつきを最も直接的に感じられる一本になります。

ただしCPCP期のモデルすべてにピアジェ製ムーブメントが使われていたわけではなく、ジャガー・ルクルトやフレデリックピゲ、ジラール・ペルゴといった、他メーカーのムーブメントを搭載したモデルも数多く存在する点は、あらためてお伝えしておきたいところです。

ちなみに弊社では、サントスデュモンエクストラフラットがそれに当たります。

同年代に作られたタンクやサントスの普及モデルには、このようなハイスペムーブメントは搭載されていませんが、宝飾商としての美意識が色濃く残るという意味では魅力的です。

ですが、今日の話はみんなが外観で時計選びをするところを、内部も含めて評価すべきモデルが存在することを知って欲しいと思っています。

つまりヴィンテージを選ぶということは、単に古い一本を選ぶということではなく、そのブランドが最も自分たちらしさを発揮していた時代の"物語"ごと、手に入れるということなんです。

カルティエとピアジェ、それぞれの歴史と技術を知った上で選ぶヴィンテージには、現行モデルにはない、深い納得感が宿るのではないでしょうか。

もし、まだどちらのブランドに惹かれるかご自身でも分からないという方は、まず店頭で両ブランドの一本を実際に手に取り、重さや薄さ、文字盤の表情を比べてみることをおすすめします。

言葉で説明されるよりも、実際に手首に乗せた印象の方がご自身にとっての答えを、はっきりと教えてくれるはずです。

 

 

ベルモントルの視点

カルティエとピアジェは、宝飾から始まったブランドと、ムーブメント製造から始まったブランドという、対照的な出発点を持ちながら、1988年の資本参加をきっかけに"兄弟ブランド"として結びついていきました。

その象徴が、ピアジェのCal.430PをベースにしたカルティエのCal.430MCであり、CPCPという最上級ラインの中で、両ブランドの技術と美意識が一本の腕時計として融合していたんですよね。

こうした背景を知った上で選ぶヴィンテージには、単なるデザインや価格を超えた、ブランドの歴史そのものへの納得感が宿ります。

視聴者様がカルティエとピアジェ、それぞれの一本と向き合う際には、この2ブランドが歩んできた道のりも、ぜひ思い出していただければと思います。

腕時計というのは本来、値段やブランド名だけでは、その一本が本当に納得できるかどうかは、決まらないんですよね。

その一本が持つ背景まで見えてきたときに、初めて「これだ」と思える自分の一本に出会えるんですよね。

ベルモントルでは、そうした背景や佇まいも含めて腕時計を選びたい方に向けて、公式LINEで一般公開前の新着商品や入荷予定品をご案内しています。

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