パテック フィリップ・オーデマ ピゲ・ヴァシュロン コンスタンタン、この3ブランドがなぜ「別格」と言われるのか?
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では、パテック フィリップ・オーデマ ピゲ・ヴァシュロン コンスタンタン、この3ブランドがなぜ「別格」と言われるのか、その正体を紐解いていきます。
腕時計の世界には、数えきれないほどのブランドがあります。
その中でロレックス・オメガ・カルティエ・パテック・オーデマ・ヴァシュロンといった名前が特に語られることが多いですが、この中でも後者の3ブランド、パテック フィリップ・オーデマ ピゲ・ヴァシュロン コンスタンタンは、どこか別の文脈で語られることがあるんですよね。
「別格」という言葉を使う方が多いのですが、その「別格さ」の正体を正確に言葉にできる人は意外と少ないと感じています。
価格が高いから、希少だから、というだけでは説明しきれない何かがありますよね。
今日はその「何か」を、できるだけ具体的にして参ります。
ロレックスやカルティエとの違いも含めて、この3ブランドが持っている世界観の正体を一緒に解体していきましょう。
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それでは話を進めて参ります。
「別格」という言葉の中身を紐解いていく
まず「別格」という言葉の中身を紐解いていきましょう。
腕時計の世界で「別格」という言葉が使われるとき、それは大きく二つの意味で使われることが多いんですよね。
1つは「価格が別格」という意味ですよね。
もう1つは「存在感が別格」という意味です。
この2つは同じようで、まったく違う話です。
価格が別格という意味での使われ方は、比較的分かりやすいと思いますね。
パテック フィリップ・オーデマ ピゲ・ヴァシュロン コンスタンタンの腕時計は、ロレックスと比べても一段高い価格帯に位置していることが多く、その価格の高さが「別格」という印象を生んでいるという見方です。
ただこれだけでは、説明がつかないことがあります。
世の中には同じくらいの価格、あるいはそれ以上の価格の腕時計を作っているブランドはいくつも存在します。
F.P.ジュルヌとかは分かりやすく超高額ですよね。
独立時計師ではありませんが、リシャールミルもパテックより遥かに高額です。
でもそれらのブランドが同じ文脈で「別格」と語られるかというと、少し違うんですよね。
つまり「別格」の正体は、価格だけではないということです。
となると『存在感が別格』という意味での使われ方のほうが、より本質に近いのではないかと考えています。
ただ「存在感」という言葉もまだ曖昧で、もう少し掘り下げていく必要があります。
私がこの3ブランドを「別格」と感じる理由を一言で表すとすると、「作り手の哲学の純度が違う」ということです。
多くのブランドは市場の反応・トレンド・売上という外側の基準に少なからず影響を受けながら腕時計を作っています。
それは当然のことで、ビジネスとして腕時計を作るのであれば、市場と対話しながら方向性を決めていくことは必要なプロセスです。
ただパテック・オーデマ・ヴァシュロンの3ブランドは、その外側の基準よりも、自分たちが信じる腕時計作りの哲学を優先してきたという歴史があります。
市場が求めるものではなく、自分たちが作るべきだと信じるものを作り続けてきた。
その姿勢の一貫性が、時間をかけて「別格」という印象を作り上げてきた背景にあるんですよね。
もう一つ、「別格」の正体として重要なのが「時間軸の長さ」です。
パテック フィリップは1839年創業、ヴァシュロン コンスタンタンは1755年創業で世界最古の腕時計メーカーの一つとされています。
オーデマ ピゲは1875年創業です。
いずれも100年・200年という単位で腕時計を作り続けてきたブランドで、その長い時間の中で積み重ねてきた技術・哲学・美意識が、現在の腕時計一本一本に凝縮されています。
この時間軸の長さは、後発のブランドがお金をかけても簡単には手に入れられないものです。
100年以上作り続けてきたという事実そのものが、ブランドの価値の一部になっているんですよね。
「別格」の正体は希少性でも価格でもなく、この「哲学の純度」と「時間軸の長さ」の掛け合わせです。
この2点を理解した上でこの3ブランドの腕時計を見ると、それまでとはまったく違うものが見えてくるはずなんですねぇ。
では次に、ロレックス・カルティエ・オメガとの違い!という内容で解説して参ります。
【ロレックス・カルティエとの違い】
ここからは、ロレックスとカルティエとの違いを掘り下げていきます。
誤解のないようにお伝えしておくと、ロレックスもカルティエもオメガも、世界を代表する素晴らしいブランドです。
どれらも長い歴史を持っていて、それぞれが確立した世界観を持っています。
今日の話は、どちらが優れているという話ではなくて、「何を最優先にしているか」という軸が違うという話です。
まずロレックスについてです。
ロレックスが腕時計の世界で圧倒的な存在感を持っている理由の一つは、「実用性と耐久性の極致」を追求してきたブランドだということです。
防水性・精度・耐磁性・耐衝撃性などなど。
過酷な環境でも動き続けるという実用的な価値を、高い次元で実現してきましたよね。
その信頼性が、世界中で支持される理由になっています。
また資産価値という観点でも、ロレックスは非常に優れた腕時計です。
中古市場での流動性が高く、モデルによっては購入価格より高値で取引されることもあります。
「資産として持てる腕時計」という文脈で語られることが多く、それがロレックスを選ぶ理由の一つになっている方も多いんですよね。
ロレックスが最優先にしているのは、「信頼性と普遍的な価値」だといえるんじゃないかと思っています。
次にカルティエについてです。
カルティエはもともと宝飾品として有名なブランドで、腕時計もその延長線上にあります。
腕時計としてのカルティエが認知されてきたのも、ほんのここ20年くらいの出来事だと思いますね。
タンク・サントス・パシャといった代表的なモデルは、いずれも建築・芸術・ファッションからインスピレーションを受けたデザインで、時計職人よりもアーティストやデザイナーの視点で作られているという側面があります。
カルティエが最優先にしているのは、「美意識とデザインの力」です。
ムーブメントの技術よりも、腕時計がその人の佇まいの中でどう見えるかを重視しています。
だからカルティエの腕時計は、ジュエリーとして腕時計を選びたい方に特に強く支持されているんですよね。
では、パテック・オーデマ・ヴァシュロンは何を最優先にしているのか。って話ですが、一言で言うと「ムーブメントの技術と仕上げの純度」です。
この3ブランドに共通しているのは、ケースの外側のデザインだけでなく、ケースの内側のムーブメントに対して、非常に高い基準の技術と仕上げを求めているということです。
見えない部分にも手を抜きません。
それどころか、見えない部分にこそ最も時間と技術をかけています。
この姿勢が、ロレックスやカルティエとの本質的な違いの一つになっています。
具体的に言うと、この3ブランドのムーブメントは、歯車の一枚一枚・ネジの一本一本に至るまで、熟練した職人が手作業で仕上げています。
面取り・磨き・装飾などなど、これらは腕時計の性能には直接関係しない作業です。
時間も手間もかかるにも関わらず、この3ブランドはそれをやり続けていいます。
なぜかというと、腕時計を「動く精密機械」としてだけでなく、「工芸品」として捉えているからです。
それが分かるのが取得するタグです。
例えば、クロノメーターはその時計の精度がどれだけ素晴らしいかが一目で分かる保証ですよね。
クロノメーターもそうですし、ロレックスもオメガもより精度の部分を追求した自社基準を持ち、そこで精度の追求を行なっています。
要するに、実用ブランドが追求しているのは精度です。
しかし、雲上ブランドはそっちではなくジュネーブシールを取得します。
これは面取り、パール加工などの技法による、見える部分と見えない部分のすべてを洗練させる高品質な仕上げです。
ジュネーブシールもほぼクロノメーターくらいの基準になってるので、精度もかなりシビアに見られていますが、その上に仕上げも乗っかってきます。
要するにジュネーブシールを取得するというのは、より工芸品よりの時計ですよ。
ということをユーザーに認知して欲しいということです。
このように雲上ブランドは、外側からは見えない部分の美しさにまでこだわることが、自分たちの腕時計作りの哲学の一部になっているんですよね。
ロレックスは「信頼性と普遍的な価値」、カルティエは「美意識とデザインの力」、そしてパテック・オーデマ・ヴァシュロンは「ムーブメントの技術と仕上げの純度」。
それぞれが違う方向を向いていて、どれが正解ということはありません。
繰り返しになりますが、これらは精度を追求する工業製品のブランドなのか、仕上げを追求する工芸品のブランドなのかの根本的な違いです。
そしてカルティエは、ちょうどその中間に位置するブランドだと考えられます。
ただこの違いを理解した上で腕時計を選ぶと、自分が本当に何を求めているのかが、かなりクリアに見えてくるんですよね。
では次に、3ブランドに共通している哲学!という内容で解説して参ります。
【3ブランドに共通している哲学】
ここからは、パテック・オーデマ・ヴァシュロンの3ブランドに共通している哲学を掘り下げていきます。
先ほど「ムーブメントの技術と仕上げの純度」という話をしましたが、3ブランドに共通している哲学はそれだけではありません。
もう少し根本的なところに、共通した姿勢があります。
一つ目は、「量産を選ばない」という姿勢です。
この3ブランドの年間生産本数は、ロレックスと比べると圧倒的に少ないです。
ロレックスが年間およそ120万本前後(これは2024年のデータなので今はもっと多いと思います)を生産しているのに対して、パテック フィリップの年間生産本数はおよそ7万本前後、オーデマ ピゲはおよそ5万本前後、ヴァシュロン コンスタンタンはおよそ3万本前後とされています。
ただし、いずれも非公開企業のため公式発表はなく、業界推計の数字です。
大枠の製造数として捉えて欲しいのですが、これは単純に規模の違いではなくて、意図的な選択の結果です。
大量に作れば売上は上がります。
需要があるのに供給を絞るというのは、ビジネスとして非効率に見えるかもしれません。
ただこの3ブランドは、量よりも一本一本の質を優先するという姿勢を、長い歴史の中で一貫して守ってきています。
その選択が、希少性という価値を生んでいるんですよね。
ここ最近のパテックは製造を機械に任せる割合が増えていますけどね。
二つ目は、「自社一貫製造へのこだわり」です。
腕時計の製造は、ムーブメント・ケース・文字盤・針・ベルトなど、多くのパーツから成り立っています。
コストを抑えようとすれば、外部のサプライヤーからパーツを調達して組み立てるという方法があります。
実際にそういう製造方法を取っているブランドも少なくありません。
ただこの3ブランドは、できる限り自社でパーツを設計・製造するという方針を持っています。
特にムーブメントについては、自社開発・自社製造にこだわっています。
これを業界では「マニュファクチュール」と呼びますが、自社でムーブメントを作れるブランドは、実は腕時計ブランド全体の中でもそれほど多くないんですよね。
自社一貫製造にこだわる理由は、品質管理だけではありません。
自分たちの哲学を、設計の段階から最終的な仕上げまで一貫して反映させることができるからです。
外部に委託した部分には、どうしても自分たちのコントロールが及ばない部分が生まれます。
だから自社で作ります。
この姿勢が、腕時計全体に漂う「純度の高さ」につながっているんですよね。
ちなみに、この自社一貫製造に関していえばロレックスとパテックがダントツですね。
ですので、ここまでの内容は3社ではなく4社に共通してること。とも表現できます。
このブランドによって、どこまでが自社で作ってるのか?って話は、こちらの本当に自社製ムーブメントが最強なのか?「インハウス」「プロプライエタリー」「エボーシュ」の違いを理解する !の中で詳細に解説していますので、気になる方は概要欄からご確認ください⬇️
あと、オーデマピゲはほぼ自社なのですが、ちょっと特殊なポジションでムーブメントの研究開発を行なっておりますので、詳細が気になる方はこちらの『オーデマ ピゲ』と『ルノー・エ・パピ』天才時計技師集団を買収して得た複雑機構の頂点!をご覧下さい⬇️
話を戻しまして、3つ目は「時間をかけた仕上げ」です。
この3ブランドの腕時計は、完成するまでに非常に長い時間がかかります。
パテック フィリップの複雑機構を持つモデルの中には、完成までに数年を要するものもあります。
ヴァシュロン コンスタンタンの職人は、一つのムーブメントの仕上げに何週間もかけることがあります。
この時間のかけ方は、効率という観点からは非合理的です。
でもこの3ブランドにとって、時間をかけることは品質を担保するための必要条件であって、省略できないプロセスです。
職人が時間をかけて向き合った腕時計と、効率よく生産された腕時計は、完成した腕時計を手に取ったときに伝わってくるものが違います。
その違いが、「別格」という印象の具体的な中身の一つになっているんですよね。
この3つ、量産を選ばない・自社一貫製造へのこだわり・時間をかけた仕上げ、が3ブランドに共通している哲学の骨格です。
そしてこの哲学は、どのブランドも100年以上にわたって一貫して守り続けてきたものです。
その一貫性こそが、「別格」という言葉が生まれる土台になっているんですよね。
では次に、それぞれが持っている固有の世界観!ということについて解説して参ります。
【それぞれが持っている固有の世界観】
ここまで3ブランドに共通している哲学をお伝えしてきました。
ただ同じ「別格」でも、3ブランドそれぞれが向いている方向は少しずつ違います。
その固有の世界観を、一つずつ掘り下げていきます。
パテック フィリップ:継承という概念
まずはパテックですね。
パテック フィリップを語るとき、切り離せない言葉があります。
「あなたはパテック フィリップを所有することはできません。次の世代のために、ただ大切に預かっているだけです」という言葉ですね。
これは日本ではあまり知られてないと思うんですが、パテックの広告コピーとして世界中に知られていますが、単なるマーケティングの言葉ではなく、このブランドが腕時計作りに対して持っている根本的な思想を表しています。
パテックが最優先にしているのは、「今の所有者だけでなく、次の世代・さらにその次の世代に渡っても使い続けられるものを作る」という思想です。
だから設計・素材・仕上げのすべてが、長期的な耐久性と価値の維持を前提に作られています。
パテックの腕時計が数十年後にもオーバーホールができて、部品の供給が続く体制が整っているのも、この思想の表れです。
現代の製品の多くが数年で陳腐化していく中で、パテックは真逆の方向を向いています。
自分の代だけで使い切るのではなく、子どもや孫に渡せるものを作る。
この「継承」という概念が、パテックという腕時計の固有の世界観です。
パテック フィリップを購入される方が、本当に買っているものは何なのか?
オーデマ ピゲ:革新と伝統の共存
次にオーデマですね。
オーデマ ピゲを語る上で避けられないのが、1972年に発表されたロイヤルオークの話です。
当時、ステンレススチール製のスポーツウォッチに高い価格をつけるというのは、業界の常識を覆す挑戦でした。
ステンレスは当時、貴金属よりも格下の素材とみなされていたからです。
ただジェラルド・ジェンタがデザインしたロイヤルオークは、八角形のベゼルとケースから繋がる工業的なブレス形状で、それまでの腕時計の概念を刷新しました。
素材の格ではなく、デザインと仕上げの質で価値を作るという新しい基準を示したわけです。
ただオーデマ ピゲは革新だけのブランドではありません。
ロイヤルオーク以前のクラシックラインを見ると、薄型のレクタンギュラーケースや端正なドレスウォッチが並んでいて、伝統的な腕時計作りへの深い理解があってこそ、ロイヤルオークという革新が生まれたことが分かります。
オーデマ ピゲの固有の世界観は「革新と伝統の共存」です。
常識を覆す挑戦をしながら、職人の技術と伝統的な仕上げへのこだわりを失わない。
この二つが同居しているブランドは、腕時計の世界でもなかなか珍しいんですよね。
ヴァシュロン コンスタンタン:最も長い歴史が生む静かな品格
最後にヴァシュロンです。
ヴァシュロン コンスタンタンは1755年創業で、現存する腕時計ブランドの中で最も長い歴史を持つブランドの一つです。
270年近くにわたって、一度も途切れることなく腕時計を作り続けてきました。
この事実だけで、他のブランドとは違う種類の重さがあります。
ヴァシュロンを手に取ったとき、多くの方が最初に感じるのは「静かさ」だと思っています。
華やかさや主張ではなく、深いところから滲み出てくるような品格。
これは270年という時間の積み重ねが作り出しているものだと思っています。
ヴァシュロンが「地味」と言われることがありますが、それは表面的な見方です。
ヴァシュロンの腕時計は、じっくりと向き合えば向き合うほどに、その仕上げの精緻さ・ケースのプロポーションの美しさ・全体から漂う気品の深さが伝わってきます。
一目見て分かる派手さより、使い込むほどに分かる深さを持っているブランドです。
ヴァシュロンの固有の世界観は「最も長い歴史が生む静かな品格」です。
270年間作り続けてきたという事実が、腕時計の一本一本に宿っていて、その重さは、言葉で説明するよりも、実際に手に取ったときに伝わってくるものです。
パテック・オーデマ・ヴァシュロンが「別格」と言われる理由は、価格でも希少性でもなく、「作り手の哲学の純度」と「時間軸の長さ」の掛け合わせにあります。
量産を選ばない・自社一貫製造へのこだわり・時間をかけた仕上げ。
この3つが共通した哲学の骨格で、それぞれが100年以上にわたって一貫して守り続けてきたものです。
ただ同じ「別格」でも、3ブランドが向いている方向はそれぞれ違います。
パテックは継承・オーデマは革新と伝統の共存・ヴァシュロンは最も長い歴史が生む静かな品格。
この違いを理解した上でそれぞれの腕時計と向き合うと、どのブランドが自分の価値観と共鳴しているかが、少しずつ見えてくるんじゃないかと思っています。
この3ブランドの腕時計をご覧になりたい方、あるいはどのブランドが自分に合っているか相談したい方は、ぜひベルモントルにお越しください。