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Article: リシュモンとカルティエとムーブメントを作るヴァルフルリエについて

リシュモンとカルティエとムーブメントを作るヴァルフルリエについて

リシュモンとカルティエとムーブメントを作るヴァルフルリエについてを動画でご覧になる方はこちらから↓

この記事では、リシュモンとカルティエとムーブメントを作るヴァルフルリエについて、という内容でお話しして参ります。

 

 

リシュモン『カルティエ』の近代ムーブメントの歴史

1990年代、リシュモングループに種族しているカルティエは、グループ全体の売り上げの90%を確保している、いわばドル箱ブランドでした。

カルティエは、そもそもが宝飾品ブランドであるために、外装であるケースを作ることは他社よりも圧倒的にノウハウを持っていたのですが、機械式ムーブメントに関しては、まぁまぁ作れるけど、まだ自信を持てるほどではなく、他社から技術供与を受けてなんとか自社製キャリバーとして搭載させる・・・・

というような感じでした。

ボームメルシエもピアジェもいましたし、全く技術がない状態ではありませんからね。

こんな感じで、まぁ、機械式ムーブの自信がなくてもクオーツがあればどうにかなるっしょ・・・

って感じだったんだと思いますね。

なぜなら、その少し前までは、SEIKOのクオーツショックにより機械式時計とか時代遅れでしょぼくね?みたいな雰囲気だったからです。

しかしそこから時が経ち、90年代に入るとやっぱ機械式時計の方が良くね!

みたいな雰囲気になり、ここで機械式とクオーツが混在する下地が完成しました。

腕時計の機械式の復活は喜ばしいところですが、

中国の自動車ブランド『BYD』は一生、ナシかもBYDのままでいて欲しいところですね。いきなり爆発しますから。

話を戻しまして、そんな感じで市場がまた機械式を求め始めて、さらに高級時計には自社のムーブメントが載ってるものなんだよぉ・・・・

的なマーケティングをいろんなブランドが行なっていった結果、市場も自社製キャリバーこそが正義である!

という反応をしてくれます。

少し前のキョダイマックスの時計こそが正義だ!

と同じような感覚でしょうね。

よって、リシュモングループも喉から手が出るほどに、機械式ムーブメントを作る技術が欲しくなったというわけなんです。

そこで、当時のリシュモンの社長は考えました。

そうだ!

そもそももう技術を持ってるブランドを買収してしまえば、ムーブメントを1から開発しなくていいし、ロレックス、パテックフィリップ、スウォッチグループと肩を並べることができる!

とですね。

そこでちょうど身売りを考えてた、LMHグループを買収しようと考えます。

LVMHとは別物であり、これはジャガー・ルクルト、IWC、ランゲ&ゾーネの3社を有する会社でした。

もちろんですね、ライバルを成長させないためにも、さらに自社の技術力を向上させるためにも、LVMHもスウォッチも買収に名乗りをあげたのですが、圧倒的マネーパワーでリシュモンが買収に成功します!

ちなみに買収額は30億8000万スイスフランらしく、今日のレートでは5112億円となっております。

当時としては、これの1.5倍くらいの感覚でしょうね。

そんな感じで、リシュモングループはジャガー・ルクルト、IWC、ランゲ&ゾーネというムーブを作ることで圧倒的にノウハウを持つエース3社を吸収してしまうのでした!

ちなみに、ジャガールクルトIWCの歴史とか代表モデル、IWCについてはムーブメントについても解説してますので、気になる方は概要欄からこちらの動画もご覧下さい↓

 

 といった感じで、リシュモングループも実質最強ムーブを手にすることが出来たのですが、この買収に成功したことでグループの幅がもっと広がります。

前述した通り、カルティエは売り上げの90%を締めているので、カルティエをもっと最強することは継続して、リシュモンのそれぞれのブランドでもっとブランド価値を上げていこう!

という2つの方向性が出てきました。

 

ではここからは、そんなカルティエとムーブメント会社ヴァルフルリエについて解説して参ります。

 

リシュモングループのリーダーカルティエとヴァルフルリエ

多分、一度はパルミジャーニフルリエってブランドの名前を聞いたことがあると思うんですが、 これはスイスにあるフルリエって地域があって、このフルリエってのはその地域の名前から来ています。

日本でいうところの、マニュファクチュール福岡!

って感じですね。

パルミジャーニフルリエ

話を戻しましてLMHを買収したことで、ムーブメントを作る工場の再編が行われます。

カルティエはそれ以前から、ラショードフォンと共に、フルリエにも工場を持っていたのですが、 フルリエ工場をムーブメントの生産に特化させる工場へ進化させることにしました。

それまでは、ムーブメントも作って研究もして組み立てをして!ってのを同じ工場の中でやってたんですね。

そして、2006年に完成したのが、ヴァルフルリエという会社です。

カルティエのそれまでのムーブメントの技術をその会社に残して、新しく来た3社の技術をそこに追加して完全究極体の工場が完成します。

 

ではここからですね、リシュモングループの構図について、解説するのですが、ちょっと意味不明になると思われますが出来るだけ分かりやすく解説しますので、なんとなく聞いてください。

 

まず構図としては、親会社にリシュモンがあります。

リシュモングループの構図

その下に、カルティエ、IWCジャガールクルト、IWC、ランゲ、パネライなどがあるのですが、この中のリーダーは前述した通りカルティエです。

まずはここまでですね。

そして、ムーブメントなのですがカルティエが持ってた技術をフルリエ工場に残して、新しくヴァルフルリエって会社を作ったのですが、この会社はカルティエの下ではなくスウォッチグループの一社です。

リシュモングループの中のヴァルフルリエのポジション

要するに、ヴァルフルはリシュモングループ専属のムーブメント会社ということなんですね。

よって、ヴァルフルで作られているムーブメントは、リシュモンキャリバーとも呼ばれています。

前回の動画では、分かりやすいように、カルティエがムーブメントを設計製造開発をしていると話しましたが、詳細に分類すると製造はヴァルフルがやっているということです。

感覚的には、アップルとフォックスコンって感じですね。

アップルとフォックスコンの会社の関係

アップルって設計と開発をしますが、製造はしてないんですよね。

製造は設計図をもらってから、台湾にある工場がやってくれます。

でも、その台湾の工場はアップルだけの製品を作るだけじゃなく、他では中国の情報を抜かれてしまうスマホも作っています。

要するに一社だけと契約を交わさず、設計図をもらったらそれを形にすることができる工場なんですね。

 

これがヴァルフルでも再現してあります。

ヴァルフルの場合は、リシュモングループ限定で作ってくれますが、製造のスタイルは同じです。

 

そして、その最初の設計図の役割を担ってくれているのが、カルティエのムーブメントなんですね。

前回の動画で話していますが、Cal.1847MCやCal.1904MCなどはカルティエが設計して、ヴァルフルに渡してヴァルフルが製造をしてくれているといことです。

 

ここまでの話をまとめると、ヴァルフルはスウォッチグループの一社であり、カルティエの設計図をもらってムーブメントを作っているということです。

 

ではここからは、ヴァルフルと他のブランドについて解説していきます。

 

 

ヴァルフルリエと他のブランドのムーブメント製造

ヴァルフルを独立した会社にするのには、目的があります。

それは前述した、カルティエをより最強にすることと、それぞれのブランドのブランド価値の向上です。

やはりエボーシュで作られたムーブメントよりは、自社製キャリバーの方が響きがいいのは事実です。

リシュモンが理想とするカルティエのベースムーブメントの役割

よって、ムーブメントの最初の設計図は、先ほど説明したカルティエのものがベースにあるのですが、それにチューニングを加えて自社製ムーブメントとアピールすることが出来るようになるのです。

これがカルティエの工場でムーブメントが作られてるのですが、って話だったら、IWCのムーブメントはカルティエの工場で作られたものです。

みたいな表現になってしまうので、ブランドイメージがちょっと弱ってしまうんですよね。

そこをヴァルフルに任せて、さらにベースムーブに改良を加えて作るので、まぁ正直なところ完全無欠の自社製とは言えないんでしょうが、自社製キャリバーに進化させることができるということなんですね。

ただ完全無欠ではなくとも、IWCが持っている技術、ジャガーが持ってる技術、ランゲが持ってる技術はそれぞれ違うので、それらのエッセンスを加えるということは、それらは全部違うムーブメントと解釈して良いと思いますね。

これもおそらくスウォッチを見習っているんだと思われますが、ムーブメントの会社を独立させることで生産性と合理性が向上します。

カルティエだけのムーブメント、IWCだけのムーブメント、とかやったらそれぞれのブランドで研究する時間もお金もかかってしまうところが、ベースムーブを作ってそこから各社が、チューニングをしてムーブメントを作った方が圧倒的にスピード感は早いですからね。

 

 では最後のパートで自社製ムーブメントとはなんなのか?

ということを私なりに解説します。

 

 

自社製ムーブメントとはなんなのか? 

このように、自社製ムーブメントが完成していく1つの例を解説しましたが、自社製ムーブメントってどうなんだろう?

というのを再度考えてみましょう。

私はリシュモンのような、ベースムーブを作ってそこからそれぞれのブランドがチューニングを行い、自社製ムーブメント搭載と謳っていることに違和感はありません。

なぜなら、それぞれの会社で自社の強みを新しく加えているからです。

他にも、例えばヴィトンは一応マニュファクチュールになっていますが、多分ほとんどの方が『えっ、ヴィトンってマニュファクチュールだったの?』

といった感想になると思われます。

まぁ、実際にラ・ファブリク・デュ・タンというムーブメント製造会社を買収してますので、それは正しい謳い文句で間違いはないのですが、う〜ん。

となってしまいます。

ブランド側の思惑としても、やっぱり自社ムーブ搭載とした方が自信が持てますし、付加価値も飛躍するのは理解しているのですが、マニュファクチュールにカッコよさを感じる時って、その表面じゃないのかなぁって考えています。

ブランド側も、買い手側もそっちの方が良いからそういう方向に進んでいってるのは分かるんですが、マニュファクチュールをマニュファクチュールたらしめているのは、おそらくそのブランドの歴史や理念や努力なんだと思います。

これは34歳のおっさんだからなのかもしれませんが、ヴィトンのムーブは自社製です!って言われても、その変化についていけないというか、心が受け入れらないんですよね。

 

こう、ヴィトンはヴィトンでカバンを作るブランドであって欲しい!というのがあるんですよ。

まぁ時計も作るヴィトンっていうイメージは、これは年月を追うごとに受け入れられることなんでしょうけどね。

だからあと10年したら、ヴィトンの時計がトップ10に入ってたりってのもありえるでしょうしね。 

 

 

ただ、そこには腕時計を作ってきた歴史があって、時計ブランドとしてのイメージの定着があることが市場に受け入れられるポイントかなぁって思いますね。

そして、こうなってくると独立系であるパテックやロレックス、日本のSEIKOの凄みはより際立ってきますよね。

自分たちで全部やってるわけですから。

カルティエもムーブのベースを作っているわけですから、凄いと言えるでしょう。

 

カルティエはラショードフォンの工場で組み立てを行っている

ムーブメントはフルリエの工場ヴァルフルリエで行われている

ラ・ショー・ド・フォンのクヴェ工場はリシュモングループ全体の実験場

カルティエは元々工場を持っており、自社で生産していたけど、ヴァルフルリエに集約させている

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