歴代サントス進化論の中で最も美しいバーガンディ(ワインレッド)のサントスカレ
この記事では、『歴代サントス進化論の中で最も美しいバーガンディのサントスカレ』という内容でお話しして参ります。
動画でご覧になる方はこちらから⬇️
私の記事をご存知の方はすでにご存知の通り、私は小さい腕時計も大好きです。
もちろん、それはサントスもそうであり、サントスを最も輝かせているのは、このサイズだからというのも周知の事実でしょう。
そして今回は、そんなサントスカレの激レアモデルであるバーガンディ文字盤の個体がオーバーホールから帰ってきましたので、その魅力をお話しして、記事を見終わった頃には、欲しくなったんだがどうしよう・・・・
という方こそ、是非とも最後までお付き合いくださいませ。
サントスカレってどんな時計なの?
最初に超簡単に、サントスカレの魅力を解説します。
1978年に初めて誕生したのがサントスカレなのですが、それまではサントスデュモンの形がメインに作られていました。
サントスデュモンは、高級ドレスウォッチに分類されるので、素材は18Kだけが使われ製造数もかなり絞られています。
1970年代に入ると、腕時計業界はアメリカもそうですが特に日本人の中間層がめっちゃお金持ちになったことで、そこを獲得する動きが活発になります。
ただし、サントスデュモンまでの高価格帯は流石に誰もが買える金額ではないので、そのサントスをもうちょい現代的に作り直そう!
ということで誕生したのが、サントスカレなんですね。
ですので、今のサントス ドゥ カルティエの始祖はサントスカレです。
ちなみに、サントスカレは次にサントスガルベ、サントス100、現行型という進化を辿るようになります。
サントスの詳細な歴史を知りたい方は、こちらの動画で詳しく解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください⬇️
そんな1978年に誕生したカレなのですが、基本的に一番作られたのはこの形です。

ステンとイエローゴールドのコンビで、白文字盤にプリントで黒のローマンインデックスですね。
なぜこうなってるかと言いますと、当時はコンビモデルが人気だったからです。
実はオールステンレスモデルでRef.2960があるのですが、こっちはめっちゃ製造数が少ないです。
そこまで市場から求められてなかったからだと思うんですが、その後にコンビにしたことで大ヒットしたのがサントスカレなんですね。
当時はラグスポブームが起きてて、そのラグスポのスタイルを簡単に解説すると、ステンレスを使ってて、コンパクトにまとまっててスポーティなデザイン。って感じですよね。
と言っても、オールステンもコンビもかっこいいんですけどね。
そして、この時には派生系も作られています。
それこそが今回のバーガンディ文字盤のモデルですね。
ではここからは、サントスカレのバーガンディモデルの魅力を解説して参ります。
サントスカレのバーガンディモデルの魅力
多分なのですが、あまりこのバーガンディ色の文字盤を採用されているサントスは見たことがないと思うんですよね。
というのも、製造数がかなり少ないからです。
オールステンレスのRef.2960も少ないのですが、私の感覚ではそこからまたさらに半分くらいかなぁ・・・・って印象です。
よってこのバーガンディは非常に希少性がある時計なんですよね。
ちなみに、これと同時期にグレーのダイヤルでも作られていたカレがあるのですが、こっちはさらにバーガンディより少ないかなぁ・・・・って印象です。
そんなバーガンディなのですが、通常モデルとはちょっと違うんですよね。
それはリューズです。
もう見えてるので、分かってると思いますがバーガンディ文字盤に合わせたレッドのスピネルが取り付けられています。
このレッドが採用されるのは、今のカルティエのルールに従えば素材がプラチナを使ってるものに、レッドのスピネルが採用されます。

ですので、今はタンクアメリカンにプラチナモデルが存在するのですが、それがレッドのスピネルなんですよね。
じゃあ、このカレもそうなってるかっていうと、実はそうじゃなくて、そのルールが出来上がる前に製造されたものなので、素材はステンとイエローゴールドのコンビです。
でも、他のサントスでは基本的にはダイヤモンドカットされたブルースピネルが取り付けられるのに、バーガンディはレッドのトンガリスピネルが取り付けられるわけですから、特別感がありますよね。
ちなみに、全部18KYGのサントスカレも存在するのですが、それもブルーのとんがりリューズが採用されています。
ではそれぞれの細部を見てきましょう。
まずは文字盤をご覧頂きたいのですが、やっぱり美しいですねぇ。
前述した通り、1970〜80年代の最初に作られているモデルなので、文字盤にはクラックがあります。
クラックってのは、文字盤がひび割れしているように見える状態ですね。
実際にひび割れしているのですが、通常ではこれが現れることがなく、光に当ててある角度で反射させた時に浮かび上がってくる!って感じですね。
そして、これをスパイダー文字盤って言って、蜘蛛の巣状の模様が入っています。
ある人が見れば劣化だし、ある人が見れば芸術として捉えられるのですが、世界的に見てもスパイダー文字盤は需要があり、それはある時期に製造されたものにしか現れない現象だからなんですね。
要するに、これも希少性ということですよ。
日本は世界と比較すれば、まだまだヴィンテージウォッチの認知度や熱量は低いので、あまり知られていませんが、こういったスパイダー文字盤の個体は海外では高値で取引されることも良くよくあります。
このスパイダーは最高に美しいのですが、この個体は『星』も出てきています。
『星』は私が勝手に作った造語なので、一般的な腕時計の話にでは出てくることはありませんが、私が言ってる意味が分かると思うんですよね。

特に9〜12時位置が一番分かりやすいのですが、ここにバーガンディの中からパラパラって感じで、金色が見えるじゃないですか。
12〜3時位置にもあるんですけどね。
この星の降り方が、またヴィンテージらしくて良いエイジングを作り出してくれているわけですよ。
これですねぇ、画像や映像からじゃ、ちょっと分かりにくいと思いますので、オクジーさんがちゃんと言語化してくれてるんですよね。
オクジーさんがトラウマを克服して、再度空を見た時のセリフなのですが、あの時の同じ空ではありませんが、その美しさというのは、
『もっとこう単純に、今日の空、なんか綺麗じゃないですか』
まさにこれですね!
もうほんと単純に、この文字盤綺麗じゃないですか。
ってことですよ。
この流れがわからない方は、ネットフリックスで配信されてる『チ。地球の運動について』をご覧ください。
話を戻しましてこれはラッカー文字盤って言って、真鍮のプレートの上に塗装して作った文字盤に見られる現象なのですが、この文字盤の構造についてはこちらの動画で詳しく解説しておりますので気になる方はこちらの動画もご覧ください⬇️
話を戻しまして、当たり前ですがこれらの現象ってのは新品の時計ではできないんですよね。
30年とか40年の間で醸成されたから、こう言った現象が起きるわけであって、これこそまさにアートだと思うんですよね。
カルティエに文字盤の交換をお願いすれば、44000円で文字盤を交換してくれるんですよ。
でも、それってお金払ったらできることじゃないですか。
その文字盤もいつかはスパイダーになるんでしょうが、それは30年とか40年待たないとできないんですよね。
だからこの30〜40年の間で完成した、この文字盤ってのは大切にしていきたいわけですよ。
交換して、新品みたいな文字盤の方が綺麗だし、日本人であればそっちの方が売れやすい・・・ってのは理解しています。
ですが、誰もができることを私がする必要はないし、実際にこっちのスパイダーもかっこいいとと考えています。
ですので、やはりこう言ったクラックが入ってる時計についてもっとしっかりと、綺麗なものだけが全てじゃない。という価値観の啓蒙に努めて参りますね。
では次に搭載ムーブメントについての解説です。
搭載ムーブメントについて
搭載ムーブメントはETA社製Cal.2671です。
ETAのムーブメントですので、高品質でありそう簡単には壊れない設計になっています。
今でこそ、ETAという会社の凄みが理解されていますが、一昔前まではETAポンなんて言われてたんですね。
というのも、クオーツショックの煽りを受けたスイスの時計ブランド各社は、ムーブメントの研究開発を放棄して、ブランドのイメージで時計を売るという戦略を採用したからです。
ムーブメントは自社では開発せずに、ETA社のを載せて時計を売り出すことをしてたのですが、その結果1990年代のスイスの時計は90%がETA社のムーブメントが搭載されていました。
これがETAポンと呼ばれる所以なのですが、これはETAの凄みを知らないからこのような話になるわけであって、ETAのムーブメントは優秀で高品質です。
ここでETAの話をすると20分くらい喋らないといけなくなるので、割愛しますがここも知識をアップデートさせるべきポイントでしょう。
ETAについては、こちらの動画で詳しく解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください⬇️
伝統的な時計ブランド、ですのでここではロレックス、オメガ、IWC、ロンジンなどがそれに含まれるのですが、基本的には腕時計というのはムーブメントの評価も50%含まれます。
だから今までは、ムーブメントを作れる会社=神みたいな感じだったんですよね。
じゃあ、なんでムーブメントを作れないカルティエのヴィンテージウォッチが評価されるのか?
それはムーブメントのパワーをも凌駕する美しさがそこにあるからですよ。
ヴィンテージのカルティエは、基本的にはETAでハイエンドモデルにはジャガールクルトかピアジェが搭載されています。
ジャガーやピアジェなどは、世界3大時計ブランドも搭載していた実績があるので分かるのですが、ETAが乗ってても評価され年々その価値を向上させているのは、外装の美しさが他者と比べて、抜きん出ているからなんだと私は考えております。
ではここからは、実際に着用してみての着用レビューをお話しします。
サントスカレ バーガンディモデルの着用レビュー
すでに暑い日がちらほらあるので、今回は春でも夏でも行けるように、グリーンのズボン、深いグレーの五部袖のシャツに合わせてみました。
我なりによくぞここまで、カッコよくなったなぁと感心しますが、ご存知の通り私がかっこいいわけではなく、この時計とこの時計を選んでる私のセンスがかっこいいんです。
日陰バージョンでは、かなり深いレッド(ほとんどブラックですね)日向に行けばワインレッド、この怪しい感じがいいんですよ。
暗いところでは、闇に溶け込み、明るところでは爽やかなワインレッドを生み出してくれます。
1日のうちで、文字盤の表情は何回も変わるわけですよ。
ステンレスのシルバー、ベゼルのゴールド、文字盤のバーガンディ、この組み合わせは最高です。
バーガンディがいいアクセントになってるんですが、それを取り囲むベゼルがよりバーガンディを引き立てています。
そして、時針、分針、秒針もゴールドなわけですから、整合性がとれており、誰が見ても美しい・・・と感じるでしょうね。
ベゼルの部分はしっかりとゴールドを主張しますが、全部イエローゴールドでもないし、文字盤も通常時はどっちかっていうとダーク系なので、主張を抑えたいけどよく見たらいい腕時計してるやん・・・
って思われたい方に手にしてほしいですね。
冬場のジャケットスタイルにも当然似合います、しかし大本命はいかにこの文字盤に光を取り込んで、このワインレッドを見せるかなんですよね。
そうなってくると、やはり薄着の夏場に着用して多くの光を取り込んでから、サイレントマウントを決め込むのが理想的だと言えるでしょう。
こんな感じで、バーガンディのカレの魅力を解説してきましたが、こんなんを着用してれば絶対人とは被らないし、何より人生の質が向上しますよね。
弱点と言えば、やっぱ凄くオシャレなので時計の魅力が分かる人からは絡まれるでしょうし、自分の意志が弱かったら時計ばかり見て仕事に手がつかないと思いますね😅