唯一無二の個性
ヴィンテージウォッチの魅力の一つは「同じものが二つとない」という個性です。
新品の時計はどれも均一で、ブランドが意図した完成度の高い姿を保っています。
これはブランドが実現すべき品質であり、個体にムラがあってはいけないので新品ならでは魅力ですよね。
一方でヴィンテージは、そもそも物体がないと言う前提の上に成り立っています。
投資としての側面を持ち始めた、2010年代からそれまで以上に大量の時計が市場で出てくるようになりましたが、年代が古ければ古いほどそもそも時計が作られていません。
オメガなどのブランドは1960年代から大量生産をしていたので、今でもたくさんの同じモデルが出てきますが、それでも現代まで残っている個体は年々減少傾向です。
雲上ブランドなどであれば、大量生産してないからこその手仕上げの凄みを感じることが出来ます。
雲上ブランドであれば、同じモデルは何100本と存在するのですが、現行型と比較すれば、そもそもの母数が少ないし、まず人と被らないはずですね。
年式の古いモデルは、必然的にダメージがありますが、1990年代以降の時計であればかなり綺麗な状態で残っているものがほとんどなので、ダメージ具合と年式を天秤にかけて選ばれると自分の納得出来る1本が見つかるはずです。
そしてそれは所有者だけの一本であり、唯一無二の存在感を放ちます。
また、サイズ感やデザインにも当時ならではの魅力があります。
現代の時計が40ミリ前後を主流とするのに対し、1970年代以前は34〜36ミリ程度が多く、控えめで上品な印象を与えます。
日本人の腕に自然に馴染み、スーツやジャケットにも違和感なく合わせられるのです。
これもまた、新品の大型モデルにはない魅力と言えるでしょう。
今年からダウンサイジングが鮮明になってきましたけどね。
そんな感じで、小型の時計の見直しが入っていることもヴィンテージを手に取るきっかけになりやすいと思いますね。
さらに、ヴィンテージのデザインは現行品に再現されない要素を多く持っています。
手書き風のロゴ、独特なインデックス、細身のケースや独自のラグ形状など、今では効率化の波で失われた美しさが詰まっています。
「どこか懐かしいのに、今つけると新鮮」という感覚は、多くの人がヴィンテージに惹かれる理由のひとつです。
そして大切なのは、この個性が「悪目立ちしない」ことです。
奇抜で派手な色使いや過剰な装飾ではなく、さりげなく人と違う。
それでいて落ち着きがあり、時計に詳しい人には一目でわかる魅力がある。
これは「周囲と同じでありたいが、少しだけ違いを出したい」という日本人の心理にもぴったり合致します。
一本一本が違う表情を持ち、現行にはない上品さを備えたヴィンテージウォッチ。
その「唯一無二の個性」こそ、所有者の魅力を自然に引き立てる最大の要素なのです。
物語が宿る時計
ヴィンテージウォッチのもう一つの大きな魅力は「物語」です。
新品の時計は美しく完成されていますが、その背景にはまだ何の歴史も刻まれていません。
一方、ヴィンテージは何十年という時を経て存在し続け、その間に様々な人の人生に寄り添ってきました。
それぞれの時計には「どんな人物が身につけ、どんな時代を生き抜いてきたのか」というストーリーが宿っているのです。
例えば、戦後の日本に輸入されたスイス時計。
当時の広告やカタログを見ると、人々が憧れの対象として大切に扱っていたことがわかります。
そんな一本を今、現代の私たちが手にすることで、時代を超えた繋がりを感じることができます。
さらに、一本の時計が歩んできた経年の痕跡そのものが物語を語ります。
文字盤の焼け、針の変色、ケースの小さな傷。
これらはすべて「前の持ち主が使ってきた証」であり、消すべき欠点ではなく、その時計のキャラクターを形作る要素です。
新品には存在しない“味わい”が、そこには刻まれているのです。
味わいと一言で言っても、抽象的なのでもうちょい深くお話ししますね。
スマホの中古を買う時には、出来ることなら傷はなくて新品同様が良いわけです。
なぜなら、我々はそれを芸術品とか工芸品としてのカテゴリーに置いておらず、どちらかというと消耗品に分類しているからです。
サイクルが短いものに対して、そこに味などを求める必要はなく、傷が入ってバッテリー消耗が激しくなれば交換の時期だなぁ。
って感情ですよね。
ですが、腕時計になるとそのような傷は『価値』に変わります。
これはスマホなどと違って、我々は腕時計に芸術品とか工芸品としてのカテゴリーを与えているからです。
こういったカテゴリーというのは、綺麗すぎるとダメなんですよね。
もちろん許容を超えた深い傷などは価値を低下させますが、古傷やちょっとしたダメージというのは、逆にその品に渋みや深みを与える要素につながっています。
要するに、これが”味わい”の正体なんですね。
この傷という部分の許容は、女性の方には少し理解し難い部分だと思いますが、前述した通りヴィンテージウォッチのコンディションは年式によってある程度決まってくるので、1990年代以降のモデルを選ばれると、まず外すことはないと思いますね。
人はモノを所有するとき、単なる機能性以上の意味を求めます。
ヴィンテージウォッチを手にすることは、自分だけの時間を刻むと同時に、過去の物語を受け継ぎ、次の世代へと繋げていく行為でもあります。
この「物語を持つ時計」という視点こそ、日本人の感性に強く響くものではないでしょうか。
資産価値という安心感
ヴィンテージウォッチの魅力はデザインや物語だけではありません。
実は「資産性」という側面も、非常に大きな安心感を与えてくれます。
新品の時計を購入すると、多くの場合はその瞬間から価値が下がります。
ロレックスなどは新品で購入できれば、その瞬間から利益を出すことが出来ますが、これは超稀な現象ですしほとんどの物は買ったその瞬間がピークなんですね。
分かりやすく別の例えを出すと車や家と同じで、未使用から一度でも使った瞬間に中古扱いとなり、価格は下がってしまうのです。
一方、ヴィンテージウォッチはすでに市場の評価が定まっていることが多く、購入した段階で「価値」を持っています。
最初の上乗せ分の広告費や人件費が乗ってませんからね。
つまり、新品のように大きく値下がりする心配が少ないのです。
特にロレックスやカルティエ、パテック フィリップなどの人気ブランドは、長期的に見ても安定した価格を維持しています。
むしろ希少性の高い個体は、年々価値が上がっていくことも珍しくありません。
これは「身につけて楽しみながら資産を守る」という、非常に合理的な選択と言えるでしょう。
ただし、これはヴィンテージウォッチを候補に入れるための事象として受け止めて頂きたいです。
私自身は時計に資産性を持たせることは、積極的ではありません。
『物』に資産という側面を含ませると、それはヴィンテージウォッチではなく『商材に変わります』
商材というのは、要するに右から左に流せばお金が稼げる物を言うんですが、そうなってしまうとトケマッチでやられちゃった人みたいになってしまいます。
しかし、リセールというのも含めての腕時計という認識も一般的になってきてますので、ここでは買っていきなり価値が大きく下がるってことはないんだねぇ。
くらいの認識でお願い致します。
また、ヴィンテージ市場の良い点は、世界的に需要があることです。
日本国内だけでなく、欧米やアジアのコレクター市場でも高い評価を受けているため、万が一手放すことになっても買い手が見つかりやすいのです。
これは株式や不動産とは違い、比較的流動性が高い資産であるとも言えます。
新品志向が強い日本人にとって、「購入した瞬間に新品ほどの値下がりをしない」という安心感は大きなポイントになるでしょう。
ヴィンテージウォッチは趣味として楽しむだけでなく、資産性という観点からも十分に価値のある選択肢なのです。
日本人は新品志向で綺麗好き、という気質を持っています。
そのためヴィンテージウォッチは「古い」「壊れやすい」と誤解されがちです。
しかし実際には、専門の整備を受けて清潔で安心して使える個体が多く存在します。
さらに現行にはないサイズ感やデザイン、一本ごとに異なる表情は「唯一無二の個性」として所有者を引き立てます。
また、歴史や物語を背負った時計は、モノ以上の体験を与えてくれます。
清潔さを大切にする日本人だからこそ、ヴィンテージの本当の価値を理解できれば、その世界をより深く楽しむことができるのです。
最後まで動画を見てくださる方は、きっと**“丁寧に腕時計を選びたい”**方だと思っています。
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