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Article: 「この腕時計、昔は10万円でした」から考える腕時計の価値とは!?

「この腕時計、昔は10万円でした」から考える腕時計の価値とは!?

こんにちは、ベルモントルの妹尾です😊

今日はタイトルにもある通り「この時計、昔は10万円でした」という言葉から、腕時計の“価値”について一緒に考えてみたいと思います。

ベルモントルは基本的には予約制で対応しておりますが、金曜日と日曜日だけフリーで予約なしでお越しいただける様に開けておりますので、気になる商品があるんだよねぇ・・・って方がいらっしゃいましたら、お気軽にお越しくださいませ。

それではお話しを続けて参ります。

 

 

「この時計、昔は10万円でした」から考える腕時計の価値とは!?

まず、実際にお店でもよく耳にするのがこの言葉。

例えばマストタンクなど、今では中古で40万円を超えるようなモデルが、かつては中古で10万円台で買えた時代があったという話は、時計好きの間では有名なエピソードです。

この「昔は安かった」という話、たしかに事実です。

でも、私はこの言葉を聞くたびに、「今の価値とは何だろう?」と改めて考えることになります。

「価値」と「価格」は、似ているようで全く違います。

価格はそのときの市場で決まるものです。

需要と供給、為替、ブランド力、時代の空気感、今で言えばロレックスが無敵状態ですが、50年後も確実にロレックスが1位かどうかは、その時にならないと分かりませんよね。

この様に複合的な要因が、すべてが反映されて値段が決まります。

今で言えば、円安ですから世界のどこで買うよりも日本で購入した方が安いでしょうからね。

 

一方で「価値」はもっと主観的で、持つ人にとっての意味や背景、ストーリーが加わって決まります。

たとえば、今あなたが買おうとしている50万円の腕時計。

もしかすると、それは10年前には20万円だったかもしれません。

でも今のあなたにとって、それが一生モノで、背中を押してくれる存在なら、それは50万円どころか、プライスレスな価値があるはずなんです。

ではここからは、価格の推移が語る””その腕時計の評価の歴史””についてお話しをして参ります。

 

価格の推移が語る“評価の歴史”

価格が上がるというのは、それだけ世の中がその腕時計の魅力に気づいた!という証でもあります。

たとえばカルティエのマストタンクを例に挙げますね。

6年前には中古で10万円程度で見かけることもあったモデルが、今では最低でもレディースは30万円以上、メンズのLMだったら大体40万円するのが当たり前ですよね。

これって、「物価が上がったから」だけでは説明できませんよね。

物価が上がったから、この値段になっているのであればディズニーランドは6万円くらいになってないとおかしいわけですよ。

「カルティエのデザイン性や職人技が再評価された」という、文化的な価値の変化も背景にあるんです。

これまではロレックスの一強で、その下にはロイヤルオークやノーチラス、オーヴァーシーズなどが続いていたのが、そこにカルティエも入ってくるようになっているのは、やはりカルティエの総合的な評価が底上げされているからだと言えるでしょう。

そして、ここで問題になってくるのが、昔の価格を知っているからこそ、高騰してしまった現在の価格を見て、損した気持ちになってしまうことです。

例えば、私の場合だと去年マストタンクのアールデコ文字盤を仕入れようと思ってたんですが、別のモデルを仕入れたんですよね。

でもその時はアールデコ文字盤は50万円くらいが市場の相場だったのが、たった1年で100万になっており倍増しているんですよ。

そうなる!って分かっていれば、アールデコ文字盤のマストタンクを仕入れてたのに、今から仕入れようとしても、去年より圧倒的に高額でしょ💦

みたいな気持ちになります。

立場は違えど、こんな感じで昔の価格を知っている方ほど、「今買うのは損だ」と感じてしまうことがあります。

でも、時計は株や不動産とは違って、利益を出すために買うものではなく、人生を彩るために持つものですよね。

だからこそ、「この時計、昔は10万円でした」という言葉を聞いたとき、私はこう思うようにしています。

「現在の価格が今の正しい価格である!」

とですね。

皆さんも、それっぽい内容の記事を見たことあると思うんですが、最近ではテスラとかエヌヴィディアの株を10年前に買ってたら今では1億円になってる。

みたいな記事がラインニュースで流れてきます。

若い頃はそれを見て、羨ましがったり損した気持ちになってましたが、そもそもそれが分かってたら自分で購入してたはずだし、それがフォーカスされることでそこでやっと自分も欲しい!みたいな気持ちになるんですよね。

でも、それって結局誰かの後追いだし、高くなったものがよく見えてしまう現象なんだと思います。

株と腕時計を一緒に出来ませんが、昔と比べてそこまで上がっているということは、『その時計は良い腕時計であり、誰もが認める腕時計市場の代表作である!』という安心料なのかもしれませんね。

 

では次に、価格が高い時計=高級時計なのか?

ということを考えてみましょう。

 

 

価格が高い時計=高級時計なのか?

前述した通り、価値と価格は一緒にして考えがちです。

しかし、こう繋げてしまうのも別におかしな話ではありませんよね。

なぜなら、私たちは腕時計というブランドの価値にお金を払うわけですからね。

例えば、ロレックスの腕時計かそうじゃない無名のブランドの腕時計であれば、50万円の価格差があったとしても、ほとんどの人はロレックスを選ぶでしょう。

なぜなら、それが価値だからです。

 

では、価格が高ければ高級時計に分類できるのか?というとそうでもないと考えています。

無名のブランドが100万円の時計を販売していても、それを誰もが高級時計とは認識出来ないでしょう。

多分ですが、ただの高い時計として認識されるはずなんですよね。

これは私の考えなのですが、高級時計になるためにはブランド力50%、価格50%が影響していると考えています。

ロレックスの腕時計が100万していれば、高級時計として分類して良いでしょう。

ブランド力も価格も高級時計にふさわしいと言えますからね。

その反面、今のハミルトンが100万円の腕時計を出しても、それが高級時計になれるかっていうと、ちょっと難しいのかなぁ・・・という印象があります。

ハミルトンをディスってるわけではなく、私はハミルトンは大好きなブランドです。

イギリス軍にも時計を納品していた歴史を知っていますし、ビューレンっていうマイクロローターを量産化させたブランドを買収して、ブランド価値を向上させた物作りの本質を追求しているブランドです。

でも、ネームバリューで言えばやはりまだまだ知る人ぞ知るブランドなのかなぁ・・・って印象ですね。

よって私は、ブランド力が50%で価格が50%の割合で高級時計と言えるかどうかが決まるのかなぁ・・・と考えております。

では最後に、その腕時計の価値は誰が決めるのか?ということについてお話しします。

 

自分にとっての“価値”を信じていい

今、時計を選ぶときに迷っている方も多いと思います。

でも、他人がどう思うか、昔いくらだったかに左右されるより、自分がその時計に感じる価値こそが正解です。

・「この時計を見ると気分が上がる」

・「誰かから受け継いだ思いがある」

・「売るつもりはないと思える」

それって、価格以上に大切な“価値”だと思いませんか?

 

普段このチャンネルでは、小さい時計が良いですよ!

ってことを発信しています。

実際に私はそう思っていますし、私自身がそっちの方が似合うと思ってるからです。

ですが、私が身長180cmあって手首周りも17.5cmくらいあれば『最低でも腕時計は40mmからですよ!』

とか言ってるかもしれませんよね。

こんな感じで、所詮はこれも腕時計にまつわるいろんなバイアスの1つであって、参考程度に取り入れる。というのが一番正しいやり方なんだと思います。

 

それが良いものかどうかと言う判断は自分がするものです。

そして、自分が『これは良い!』と思って選んだ腕時計というのは、自分の自信に繋がります。

その自信は表面に出ますし、その結果、姿勢が正されたり大きな声で話せたり、などなど自分の心が評価するものなんですね。

こういった気持ちにさせてくれる腕時計というのは、必然的にあなたに似合うようになります。

だから私に身長が170cmの普通の体格の日本人なら36mmの腕時計がいいですよ。

とか言われても、自分が選ぶ40mmの腕時計が一番の正解ということなのです。

 

最後に結論なのですが、もう一度だけ言いたいのは、過去の価格にこだわりすぎると、本当の価値を見逃してしまうということです。

確かに、「昔はもっと安かった」と思うこともあるかもしれません。

でも、その時計があなたの人生に彩りを添えてくれるなら、その価格は決して高くないはずです。

繰り返しになりますが、昔はもっと安かったという思いが出てくるのであれば、現在の価格は世間のみんなが『良い腕時計の代表モデルに押し上げてくれた安心料(これは自分は間違いのない腕時計をつけているという気持ちにさせてくれる差額ですね)を払っていると考えれば、少しだけ納得することが出来ます。

「この時計、昔は10万円でした」という言葉を、ただの価格比較ではなく、時計の奥深さや歴史の厚みを感じるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。


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