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Article: カルティエとアール・デコ。切っても切れない関係を紐解く

カルティエとアール・デコ。切っても切れない関係を紐解く

こんにちは、ベルモントルの妹尾です。

本日の動画では「カルティエとアール・デコ。切っても切れない関係を紐解く」という内容で解説して参ります。

カルティエの腕時計を手に取ったとき、他のブランドとは少し違う「何か」を感じたことがある方は多いのではないでしょうか。

ロレックスのような堅牢さでもなく、パテック フィリップのような複雑機構でもなく、カルティエにはどこか建築物のような佇まい、あるいは美術品のような端正さが感じられますよね。

この「何か?」の正体は何なのか?

今日はその問いを入り口に、カルティエという腕時計ブランドを語る上で欠かせない「アール・デコ」という時代の美意識について、じっくりと解説して参ります。

アール・デコという言葉を初めて聞く方も、なんとなく知っているという方も、今日の動画を見終わった後に、アールデコとカルティエの関係が綺麗に繋がるのと同時に、カルティエの腕時計の見え方が少し変わるはずです。

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それでは話を進めて参ります。

 

 

アール・デコとは何か!?

まず最初に、アール・デコとは何かというところから解説します。

この時代背景を理解することによって、カルティエとどのような相乗効果が発揮されたのかが分かるパートになってるので、時計の話はここではありませんが、是非理解を深められてください。

アール・デコとは、1920年代から1930年代にかけて、主にフランス・パリを中心に花開いた芸術運動のことです。

1925年にパリで開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」をきっかけに世界的に広まり、建築・インテリア・ファッション・グラフィックデザイン・腕時計など、あらゆる分野に影響を与えた時代の様式です。

アール・デコの最大の特徴は、幾何学的な形状と装飾の簡略化です。

では幾何学について簡単に説明します。

いくなんがくと書いて、幾何学と読むのですが、幾何学的な形状というのは、簡単に言うと「定規とコンパスで描けるような、数学的に整った形」のことです。

丸・四角・三角・六角形といった、どこか計算されたような形状のことを指しています。

たとえば建物の外観を思い浮かべてみてください。

窓が整然と並び、縦と横のラインがきれいに交差し、左右が対称になっている。そういった「人工的な整然さ」がアール・デコの視覚的な特徴です。

自然界の花や葉のような有機的な曲線ではなく、人間が設計した機械や建築物のような、精密で端正な美しさ。

これがアール・デコという様式の根底にある美意識なんですよね。

カルティエのタンクを正面から見たとき、思わず「きれいに整っている」と感じる方が多いのは、まさにこの幾何学的な美しさが直感的に伝わっているからだといえます。

左右対称、水平・垂直のライン、三角形・四角形・六角形といった幾何学的なモチーフが多用されるのが、アール・デコの視覚的な特徴です。

なぜこうした様式が1920年代に生まれたのかって話ですが、背景には、第一次世界大戦後の時代的な変化があります。

戦後のヨーロッパでは、産業化・機械化が急速に進み、社会全体が新しい時代へと移行していました。

機械が生み出す精密さや合理性が美しいものとして捉えられるようになり、その感覚がデザインの世界にも反映されていったんですよね。

アール・デコが持つ直線的で幾何学的な美しさは、まさにこの時代の花形だったといえます。

さらに、アール・デコは「上質な素材と精巧な技術の組み合わせ」という点でも特徴的です。

幾何学的なシンプルさの中に、象牙・べっ甲・エナメル・貴石といった高級素材を組み合わせることで、簡略化されながらも豊かな表情を持つデザインが生まれました。

シンプルだからこそ、素材と技術の質が直接的に作品の印象を左右する。

これはアール・デコという様式が、単なる流行ではなく、工芸の水準を引き上げる役割も担っていたことを示しています。

アール・デコは1930年代後半には徐々に下火になっていきますが、その美意識は現代のデザインにも大きな影響を残しています。

そして、この時代に生きたブランドの中で、アール・デコの美意識を最も深く、最も長く、自分たちのDNAとして取り込んできたのが、カルティエという存在なんですよね。

では次に、カルティエとアール・デコの出会いについて解説して参ります。

 

 

カルティエとアール・デコの出会い

ここでは、カルティエがその美意識とどのように出会い、どのように自分たちのものにしていったのかについて、お話しして参ります。

カルティエは1847年にパリで創業したジュエリーハウスです。

創業者のルイ=フランソワ・カルティエから始まり、その後を継いだ孫の世代、ルイ・カルティエ、ピエール・カルティエ、ジャック・カルティエという三兄弟の時代に、ブランドとして大きく花開いていきます。

この三兄弟がブランドを率いていた時期が、ちょうど1900年代初頭から1930年代にかけて、つまりアール・デコの全盛期と完全に重なっているんですよね。

中でも特に重要な役割を果たしたのが、長男のルイ・カルティエです。

ルイはパリの芸術シーンと深く関わりながら、当時最先端だったアール・デコの美意識を積極的にジュエリーや腕時計のデザインに取り入れていきました。

彼はデザイナーや芸術家との交流を大切にし、時代の空気を敏感に感じ取りながら、カルティエのデザイン哲学を形作っていった方です。

アール・デコが持つ幾何学的な美しさと、カルティエが得意とする精巧な職人技術が組み合わさったとき、他のどのブランドにも真似できない独自の世界観が生まれていきました。

この時期にカルティエが生み出したデザインの中で、最も象徴的なものの一つがタンクです。

1917年にルイ・カルティエが考案したタンクは、第一次世界大戦中に活躍した戦車の上部から見た形状にインスピレーションを得たとされています。

長方形のケース、左右に伸びるブレスレットと一体化したラグ、縦横のラインが作り出す端正な幾何学。

これはまさにアール・デコの美意識を腕時計という形に凝縮したものだといえます。

タンクが100年以上経った今も現行品として作り続けられているという事実は、このデザインが単なる流行ではなく、普遍的な美しさを持っていることの証でもあるんですよね。

さらにカルティエは、エナメルや貴石を使った文字盤の装飾、幾何学的なインデックスの配置、シンプルでありながら存在感のあるケースのラインなど、アール・デコの美意識を腕時計のあらゆる要素に織り込んでいきました。

こうした積み重ねが、カルティエという腕時計ブランドの視覚的なDNAを形成していったんですよね。

カルティエとアール・デコの出会いは、偶然ではなく必然だったといえます。

時代の美意識を最も敏感に感じ取れる場所にいたブランドが、その美意識を最も深く自分たちのものにした。

その結果として生まれたのが、今日のカルティエという存在なのです。

では次に、アール・デコがカルティエの腕時計に与えた具体的な影響!と言う内容で解説して参ります。

 

アール・デコがカルティエの腕時計に与えた具体的な影響

ここではより具体的に、アール・デコの美意識がカルティエの腕時計のどこにどのように反映されているのかを、モデルを挙げながら掘り下げていきたいと思います。

まず、ケースの形状についてです。

言われてみればって感じだと思いますが、カルティエの腕時計を見渡すと、丸いケースよりも、長方形・正方形・クッション型といった幾何学的な形状のモデルが多いことに気づきます。

タンクの長方形、サントス カレの正方形、アメリカンの長方形、そしてサントスオクタゴンやサンチュールなどのような時折、現れるヘキサゴンケース。

これらはすべて、アール・デコが持つ「幾何学的な形への傾倒」という美意識から来ています。

丸いケースは時計製造において最もオーソドックスな形ですが、カルティエはあえてその常識から外れ、建築物のような直線的な美しさを腕時計に持ち込んだんですよね。

次に、文字盤のレイアウトについてです。

カルティエの文字盤は、余白の取り方が非常に独特です。

全てのモデルではありませんが、インデックスを文字盤の外周ギリギリに配置し、中央に大きな余白を作る傾向にあります。

また、積極的にローマ数字を使うことで、数字そのものがデザインの一部として機能するようになっています。

アールデコの特徴を理解していると、言われてみればローマン数字もアラビア数字よりか圧倒的に幾何学だよねぇ。ってのが分かりますよね。

こうしたレイアウトは、「必要なものだけを、最も美しい形で配置する」というアール・デコの思想を体現しています。

余計なものを削ぎ落とした結果として生まれる美しさ、これがカルティエの文字盤が持つ独特の端正さの正体なんですよね。

そして、ラグとブレスレットの一体感についてです。

タンクのように、ケースからブレスレットへの流れが一つの建築物のように設計されているモデルは、腕に乗せたときに手首全体が一つの作品になるような感覚を与えます。

これはアール・デコが建築から学んだ「全体として調和した美しさ」という視点が、腕時計というミニチュアの世界に落とし込まれた結果だといえます。

こうしてそれぞれをに見ていくと、カルティエの腕時計におけるアール・デコの影響は、デザインの表面的な話ではなく、腕時計を構成するあらゆる要素の根底に流れる哲学であることがわかります。

ケースの形、文字盤のレイアウト、ブレスレットとの一体感。

これらすべてが、一つの美意識のもとで設計されているんですよね。

では次に、なぜ100年経っても色褪せないのか!?と言う内容で解説して参ります。

 

 

なぜ100年経っても色褪せないのか!?

ここまで、アール・デコという時代の美意識がカルティエの腕時計のどこに宿っているかを、具体的に紐解いてきました。

ここで改めて、なんでカルティエの腕時計は昨今ここまで人気なのかを考えてみましょう。

アール・デコは1920〜30年代に花開いた様式です。

それから100年近くが経った今も、カルティエのタンクやサントスは現行品として作り続けられ、ヴィンテージ市場でも高い評価を受け続けています。

なぜアール・デコの美意識を纏った腕時計は、これほど長く色褪せないのでしょうか。

一つ目の理由は、幾何学という普遍性です。

アール・デコが採用した幾何学的な形状は、流行に左右されにくい普遍的な美しさを持っています。

丸・四角・三角といった幾何学的な形は、人間が美しいと感じる根本的な感覚に訴えかけるものです。

これは時代や文化を超えて共通する感覚であり、1920年代に美しかったものが2020年代にも美しく見えるという事実の根拠になっています。

流行のデザインは時代とともに古びていきますが、幾何学的な美しさは時代を選ばないんですよね。

 

二つ目の理由は、余白の力です。

アール・デコが追求した「余計なものを削ぎ落とした美しさ」は、現代のデザイン哲学とも深く共鳴しています。

情報過多の現代において、シンプルで端正なデザインは、むしろ時代が進むほどに際立って見えてくる側面があります。

別のブランドだったら、もっと付け足したくなっているであろうポイントをカルティエはあえて、それをせずに美しく見せています。

これがカルティエの引き算であり、それによって生まれる余白の美しさですよね。

 

三つ目の理由は、様式として定着したという点です。

アール・デコは一時的な流行ではなく、建築・デザイン・工芸の世界において一つの「様式」として認められています。

様式というのは、流行が終わった後も文化的な遺産として残り続けるものです。

ゴシック建築やバロック様式が今も美しいと感じられるように、アール・デコも時代を超えた様式として、人々の審美眼の中に定着しているんですよね。

カルティエの腕時計はその様式を最も純粋な形で体現しているからこそ、骨董品としてではなく、今も現役の美しさを持つものとして評価され続けているといえます。

 

四つ目の理由は、カルティエが一貫してその美意識を守り続けてきたという点です。

100年近くにわたって、タンクのデザインの根幹を変えずに作り続けてきたということは、ブランドとしての並々ならない意志の表れです。

素材や技術は時代とともに進化しながらも、アール・デコが生み出した幾何学的な美しさと余白の哲学は変えない。

この一貫性が、カルティエというブランドへの信頼と、そのデザインへの普遍的な評価を支えてきたといえます。

色褪せないデザインとは、時代に迎合しないデザインのことです。

カルティエがアール・デコの美意識を守り続けてきたことは、流行を追わなかったという意味でもあります。

その選択が、結果として100年という時間を超えた普遍性を生み出してきたのではないでしょうか。

ではいつも通り、最後に、ベルモントルの視点をお伝えして、今日の話を締めくくらせて頂きます。

 

 

ベルモントルの視点

今日の動画を通じてお伝えしたかったことは、カルティエの腕時計を手に取るということは、単にブランドの名前を手に入れることではないということです。

その腕時計の中には、1920年代のパリで花開いたアール・デコという時代の美意識が、100年近い時間を経た今も静かに息づいています。

タンクのラインを指でなぞるとき、サントス カレの文字盤をじっと見つめるとき、そこにはルイ・カルティエが時代の空気を感じながら生み出したデザインの哲学が、確かに存在しているんですよね。

ベルモントルでカルティエのヴィンテージをお選びいただく方を見ていると、この感覚を自然と持っていらっしゃる方が多いことに気づきます。

「なんとなく他のブランドとは違う佇まいがある」「手に取ったときに、腕時計というよりも美術品を持っているような感覚がある」こうした言葉をいただくことがよくあります。

その感覚の正体が、今日お話ししてきたアール・デコという美意識なんですよね。

言葉では説明できなかった「何か」に、名前がついた瞬間、その腕時計との関係が少し深まる。

そういった体験を、ベルモントルではお客様と一緒に楽しんでいます。

カルティエのヴィンテージという選択肢が特別なのは、新品のカルティエとはまた異なる理由があります。

1960年代から80年代にかけて作られたヴィンテージのカルティエは、アール・デコの美意識が最も純粋な形で残っている時代のものです。

現代の生産技術や素材ではなく、当時の職人が手作業で仕上げたケースのライン、当時の素材が持つ独特の質感、そして数十年という時間が文字盤に刻んだ経年変化。

これらすべてが重なり合って、新品では決して再現できない佇まいが生まれています。

アール・デコの美意識を手首に乗せるなら、その時代に最も近い一本を選ぶことが、最も純粋な体験につながると思います。

今日の動画をご覧いただいた後で、カルティエの腕時計を見る目が少し変わっていれば幸いです。

本日は「カルティエとアール・デコ、切っても切れない関係を紐解く」というテーマで解説してまいりました。

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