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Article: サントスカレとデイトジャストのゴースト文字盤比較/経年変化が芸術に変わる瞬間

サントスカレとデイトジャストのゴースト文字盤比較/経年変化が芸術に変わる瞬間

動画で【サントスカレとデイトジャストのゴースト文字盤比較/経年変化が芸術に変わる瞬間】をご覧になる方はこちらから⬇️

この記事では、経年変化が芸術に変わる瞬間/サントスカレとデイトジャストのゴースト文字盤比較という内容で解説して参ります。

どちらもケースから繋がるように同化してしまう文字盤ですが、おそらく男性の方であれば99%の方は魅力的に感じられるのではないでしょうか。

日本の侘び寂びの価値観に美しさを感じる方も、きっと趣を感じて頂けると思います。

当時からその状態だったサントスカレと経年が生み出したデイトジャスト、それぞれのゴースト文字盤についてしっかりとその魅力を楽しまれてください。

 

ゴースト文字盤とは何か?

今回の動画で事前にお伝えしておかないといけないことは、新品の時計には新品の時計にしかないコンディションやムーブメントの性能があると言うことです。

ヴィンテージウォッチを紹介する時に、必然的に新品の時計と比較しないといけませんが、私は自分の好きな時計を着用してればそれだけで充分だと考えております。

では本題に戻りまして「ゴースト文字盤」とは、ヴィンテージ時計の世界で特別な価値を持つ、経年変化によって文字盤の印字やロゴ、インデックスが薄くなり、まるで“幽霊”のように浮かび上がる状態を指します。

今回のでいうと、ロレックスのデイトジャストの方がそれに当たりますね。

左が通常のグレーで右が動画に出て来ているゴーストですね。

ロレックス-デイトジャストの比較

これは意図的なデザインではなく、長年の紫外線、経年といった自然要因によって生まれる、いわば“偶然の芸術”です。

一般的には「劣化」ととらえられるこの現象ですが、ヴィンテージ愛好家のあいだではまったく逆で、**「一点物の魅力」**として高く評価されます。

とくにロレックスやカルティエのような世界的ブランドで見られるゴーストダイヤルは、流通量も少なく、市場で高額取引されるケースもあるほどです。

なぜ人は“褪色した文字”に美しさを見出すのでしょうか?

それは、新品にはない「時の痕跡」がそこに刻まれているからです。

どれも同じように見える量産モデルが、年月を経ることで“唯一無二”の存在に変わる

それがゴースト文字盤の最大の魅力です。

ここからは、それぞれの美学、経年変化の表情、そしてその背景にあるストーリーを掘り下げていきます。

“完璧”ではなく、“滲んだ美しさ”こそが真の魅力になる世界。

それがヴィンテージウォッチの奥深さなのです。


サントスカレ、デイトジャストそれぞれの簡単なスペック紹介

左:ロレックス デイトジャストRef.1603 右:サントスカレ ゴースト文字盤 ゴドロンブレス

今回取り上げるのは、いずれも「ゴースト文字盤」という独特な表情を持つヴィンテージ時計の名作です。

まず1本目は、Cartier(カルティエ)のサントス・カレ

角型ケースとビス打ちベゼルが特徴的なこのモデルは、カルティエの定番でありながら、年代によって細かなディテールが異なります。

今回ご紹介する個体は、1980年代のサントスで、グレー文字盤にプリントされた「CARTIER」のゴールドのロゴが光の角度によって見えたり見えなかったりする、まさに“ゴースト化”現象が起きることからサントスのゴーストと言われています。

こちらは褪色ではなく、元々からこの色で作られています。

サイズはケース径29mmと現行型の1番小さいモデルの31mmよりもさらに小さです。

ですが、私のチャンネルをご覧頂いてる方であればご存知の通り、程よい小ぶりで、シャツの袖口にも収まるちょうどいいバランスです。

 

そして2本目は、ROLEX(ロレックス)のDatejust(デイトジャスト)Ref.1603です

1969年代に製造された個体で、エンジンターンドベゼルと呼ばれる彫り込みのあるベゼルが特徴です。

この個体の魅力は、シルバーのサンバースト文字盤が時を経てマットグレーに変化し、プリントされたホワイトマーカーのロゴが溶け込むように薄くなっている点です。

これも綺麗な“ゴースト文字盤”であり、サントスとはまた違った味わい深い雰囲気を放っています。

ムーブメントは歴代ロレックスムーブメントの中でも、堅牢性、耐久性で抜群の信頼を誇るCal.1570が搭載されています。

ロレックスらしい巻き上げ感と堅牢さを感じられる自動巻きです。

この2本はどちらも、時計としての完成度はもちろん、“時間が与えた美しさ”を全身で語る個体です。

次章では、それぞれのゴースト文字盤が持つ魅力をさらに深掘りしていきます。


サントスカレのゴースト文字盤の魅力

サントスカレ ゴースト文字盤 ゴドロンブレスを着用した写真

カルティエ・サントス カレといえば、クラシカルな角型ケースとビス留めのベゼルが象徴的な、エレガンスと実用性を両立した名作です。

その中でも今回取り上げる個体は、ひときわ特異な魅力を放つ“ゴースト文字盤”です。

1970年代はラグスポブーム真っ只中だったので、1番多く作られたのはコンビの白文字盤にローマンインデックスモデルです。

その次に、オールステンレスモデルがあって、そこから希少な派生系としてバーガンディ文字盤と今回のゴースト文字盤が作られました。

バーガンディとゴーストの方は、ご覧の通り視認性は0%であり実際に腕に乗せてもぱっと見で何時を示しているのか分かりません。

ですが、これはカルティエの出自が宝飾ジュエリーブランドであることが影響しており、視認性を捨てて、デザイン性に重きを置いているからこそ出来る技なんですね。

このサントス・カレのゴーストダイヤルは、語るほどに奥行きを持ち、見るたびに違う表情を見せてくれる一本です。



デイトジャストRef.1603のゴースト文字盤の魅力

ロレックス デイトジャストRef.1603を着用した写真

ロレックスのデイトジャストRef.1603は、ヴィンテージロレックスの中でも特にクラシックな雰囲気をまとった一本です。

なかでも今回取り上げる個体は、まさに“経年が生み出した美”と呼べるような、極めて味わい深いゴースト文字盤を備えています。

この1603の文字盤は、もともと濃いグレーのサンバースト仕上げでした。

しかし数十年の年月を経て、光沢は落ち着き、放射状の筋目は柔らかく拡散され、全体がマットグレー~スモーキーシルバーの中間へと変化しています。

インデックスやロゴはアプライドになっておりますので、サントスと比べれば視認性は良いです。

ただ、今回の個体普通のモデルと違うところが、夜光が入ってないことです。

デイトジャストの基本スタイルは、針とインデックスの先端に夜光が入るのですが、時たまこんな感じで夜光がないものが存在します。

この年代であれば、夜光は優しいクリーム色に変化して、それが魅力になるのですが、私はこの夜光なしを敢えて選んでいます。

と言いますのも、デザインの洗練性を追求すると出来るだけ色は少ない方が良いからです。

今回のデイトジャストは、プリントのホワイトっと、インデックスとステンレスのシルバーと文字盤のグレーしか色がありません。

この同型の3色のコントラストが美しいんですよね。

ですので、ゴーストであることに美しさを持っていくのであれば、私の考えでは夜光はない方がいいと考えます。

さらに特筆すべきは、このゴースト文字盤に組み合わされたエンジンターンドベゼルの存在です。

デイトジャストと言えば、基本的には18Kゴールドで作られているフルーテッドベゼルを連想されると思われます。

実際に製造されたのが1番多いのが、フルーテッドベゼルで次が今回のエンジンターンドです。

よって、フルーテッドの夜行無しよりももっと数が減るんですね。

フルーテッドも非常に美しいのですが、ケースからの自然なつながりで考えれば、ベゼルも同系色のエンジンターンドが正解だと考えます。

このような感じで1603のゴーストは、ヴィンテージウォッチが本当に好きな人だけが感じ取れる、奥深い魅力を宿しています。

この透明感は、現行モデルでは絶対に再現できない唯一無二のものですね。



なぜ“消えかけた文字”が人を惹きつけるのか?

ロレックス デイトジャストRef.1603

ヴィンテージ時計の中で、「ゴースト文字盤」は一部のマニアにとって熱狂的な人気を集める存在です。

しかし一般的な感覚では、“消えかけている文字盤”は「劣化」と見なされがちです。

では、なぜわざわざそのような“未完成”とも思える状態に、人は魅力を感じるのでしょうか?

その答えの一つは、「経年変化に宿るリアルな物語」にあります。

もっと分かりやすく言うと、新品の美しさは煌びやかな状態で、ヴィンテージウォッチの美しさはその状態になるまでに至った歴史って感じですね。

その枯れた状態に歴史が乗っかってる感じです。

新品の時計は、確かに美しく華やかな差があります。

しかし、そこには“時間の痕跡”がありません。

一方で、ゴーストダイヤルのようにロゴやインデックスが薄れた時計には、確実に**「その時計が歩んできた歴史」**が刻み込まれているのです。

日差しを浴び、湿気にさらされ、ときに引き出しの中で何年も眠っていた……そんな積み重ねが、あの独特のパティナを生むのです。

敢えて、パティナと表現しましたが海外では経年変化によって現れる“味わい”や“風合い”のことを指します。

これは「劣化」ではなく、むしろ価値や魅力を引き立てる要素として歓迎されるものです。

日本語では同じようなニュアンスに『エイジング』って言葉がありますが、こちらは好意的にも使われますが、中立的な時にも使われます。

それに対して、パティナは好意的なニュアンスになるので、その違いですね。

日本ではパティナという言葉は、ほとんど知られていませんので、このパティナってワードは是非とも覚えておいて頂きたいですね。

話を戻しまして、また、コレクター心理として「唯一無二であること」も大きな要素ですね。

ゴースト化の程度や色合い、均一性、フェードの場所はすべて個体差があり、同じモデルでも世界に一つとして同じ文字盤は存在しません。

これは、現行量産モデルでは得がたい特別感です。

あの“うっすらと浮かび上がる印字”には、どこか儚さや静けさを感じさせる美があります。

新品では味わえない、曖昧で、曇ったようで、でも確かにそこにある「消えかけた何か」。

それこそが、ゴースト文字盤の最大の魅力であり、それに惹かれる方の感性は、ただの所有欲を超えた“感覚の共鳴”に近いものかもしれません。



コレクター目線で見る希少性と将来的価値

ヴィンテージ時計市場において、ゴースト文字盤を持つ個体の評価は年々高まりつつあります。

まず第一に、自然に形成された“美しいフェード”は再現不可能であるという点です。

紫外線、使用環境、保管状況など、あらゆる条件が重なって、はじめてあの絶妙な“消えかけ”が生まれます。

第二に、市場に出てこない“個体”が減っていること

近年のヴィンテージブームで、良質なゴーストダイヤル個体は世界中のコレクターの元に渡り、長期保有される傾向があります。

結果として、状態の良い自然劣化の個体はますます希少になり、価格も右肩上がりになってきました。

特に、今回ご紹介しているようなロレックス1603の自然フェードのような個体は、「まさに理想的なゴースト」とされ、国内外問わず需要が高い分野です。

さらに注目したいのは、将来的な価値の安定性です

ロレックスのヴィンテージスポーツモデルは一過性の流行ではなく、数十年の時計史の中で“味わいのある経年変化”として一定の評価を受け続けてきました。

今回のゴーストも流通量の少なさ、デザインとしての人気があるので、今後さらに希少価値が高まりやすいジャンルと言えるでしょう。

 

サントスカレとデイトジャスト1603、それぞれの“ゴースト文字盤”は、時間の経過が生んだ偶然の美です。

完璧さや新品の輝きとは異なる、静かで深い魅力があります。

美しさに正解があるとすれば、それは決して「新品であること」ではなく、「時とともに深まるもの」かもしれません。

あなたの感性が、どちらを美しいと感じるか。

それこそが、ヴィンテージ時計の世界の本質なのです。

最後に繰り返しになりますが、新品の時計もとても素晴らしい魅力があることは理解しております。

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