Skip to content

Cart

Your cart is empty

Article: 腕時計は何本持てばいいのか?そしてどれを手放すべきか?

腕時計は何本持てばいいのか?そしてどれを手放すべきか?

こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
  
本日の動画では、「時計は何本持てばいいのか?そしてどれを手放すべきか?」という内容で解説してまいります。
 

「何本持つか」と「何を手放すか」。

一見すると別々の問いに見えますが、この二つは実は同じ問いの表と裏です。

どちらも突き詰めていくと、「自分にとって腕時計とはどういう存在か?」という一点に戻ってきます。

本数を増やすことと、手放すことの両方を今一度考え直すことで、自分と時計との関係が初めてクリアになると私は思っています。

 

ベルモントルは金曜と日曜がフリーオープンで、その他の日を予約制でご対応させて頂いておりますので、気になる商品がございましたら、そちらから予約をお願い致します。

弊社では、価格だけではなく背景や佇まいも含めて腕時計やリングを選びたい方に向けて、公式LINEで一般公開前の新着商品や入荷予定品をご案内しています。

こうした商品選びに共感してくださる方は、概要欄から公式LINEのお友達登録をよろしくお願い致します。

それでは話を進めて参ります。

 
 

【腕時計は1本派の考え方】

 

まず「1本あれば十分」という考え方から解説して参ります。

この考え方の本質は、腕時計を「道具」として捉えているということです。

時間を確認するための道具として、自分の手首に最もしっくりくる1本を選び抜いて、それを使い続ける。

非常に潔い考え方だと思います。

この生き方をしている方に共通しているのは、その1本に対する理解が非常に深いということです。

どんな背景で作られたのか、ムーブメントの特性は何か、経年でどう変化していくのか。

1本に絞ることで、その時計との関係が深まっていきます。

道具として時計を持つことのかっこよさというのは、確かにあります。

ただ私の経験上、本当の意味で「1本で完結している」という方は意外と少ないです。

というか、やっぱり1本持ってしまうともう止まらなくなってしまうんですよね。

よって多くの場合、1本のつもりが気づいたら2本になっている。

みたいな感じで、それはその方が時計に対して、道具以上の何かを求め始めているサインだと思っています。

ということで、ほとんどの方が1本派に当てはまってないと思われるので、次は複数本持つ考え方について解説していきますね。


 

【複数本持つ考え方】

では複数本持つことをどう考えるかという話をしていきます。

これはシーンで使い分けるという実用的な理由もあれば、審美眼を広げたいというコレクション的な動機もあります。

どちらも正しいんですが、私が思う複数本持つことの本質的な意味は「比較することで理解が深まる」という点です。

1本しか持っていないと、その時計の何が特別なのかが分かりにくいと考えています。

でも2本・3本と持つようになると、それぞれの個性が際立ってきます。

フランセーズのしなやかさとアメリカンの縦長の凛とした感じは、両方持って初めてその違いの深さが分かります。

一見同じデザインのヴィンテージモデルのデイトジャストRef.1601とオイスターパーペチュアルデイトRef.1500も横に並べることが、サイズの違いが明確になり、片方にあって片方にないものに気がつきます。

ロレックスのがっしりした腕時計と、ピアジェの薄型モデルを並べることで、ブランドが持つそもそもの哲学の違いを理解することが出来ます。

このように比較対象があることで、1本1本への理解が格段に上がるんです。

ただここで一つ気をつけなければいけないことがあって、それは「なんとなく増えていく」という状態です。

気づいたら5本あるけど、どれも中途半端に好きでどれも中途半端にしか理解していない。

これが一番もったいない持ち方だと私は思っています。

というわけで、次はたくさんの本数を持つことより大切なこと。という内容で解説して参ります。

 


【たくさんの本数を持つことより大切なこと】

ここが今日の前半で一番伝えたいことです。

しかし、話を進める前に前提として、人のコレクションのやり方に対して正解はないと考えていますし、あくまで私の考えはこうです。

くらいの程度で聞いてください。

では話を戻しまして、何本持つかよりも、1本1本に「納得があるか?」のほうがはるかに重要だと考えています。

10本持っていても、そのほとんどが衝動買いや相場が上がっているからという理由で買ったものであれば、正直なところ自分の審美眼はほとんど育っていません。

一方で2本しか持っていなくても、その2本を選ぶまでに相当な時間をかけて、自分なりの理由を持って選んだのであれば、その方の時計との関係は非常に豊かなものになっています。

時計屋として多くの方と話してきた中で感じるのは、本数が多い方よりも、少ない本数でも深く理解している方のほうが、次の選択がぶれない、ということです。

「自分はこういう時計が好きで、こういう理由で選ぶ」という軸が明確にあるから、余計なものを買わなくて済む・・・・みたいな感じですよね。

結果として一本一本の満足度が高くなっていきます。

ここで少し、「納得」という言葉の解像度をアップします。

私が思う「納得」は、単に「好き」とか「かっこいい」という感覚的な話ではありません。

「なぜこの時計でなければならないのか?」

を、自分の言葉で説明できる状態のことです。

このブランドがこの時代にこの形を作った理由、このムーブメントが持つ技術的な意味、自分がこの時計を手首に巻くことの文脈。

それらが自分の中に腑に落ちているとき、初めて「納得がある状態」と言えると思っています。

ですので、めちゃくちゃめっちゃかっこいいから、これを買ったんだよね!

というのも充分な理由ですし、ほとんどの場合、購入の動機はそれないので違和感はないんですが、もう一歩進めるとしたら、そのモデルについてある程度話せる状態で、それを保有してる状態がいいんじゃないかなぁって思っています。

もう一つ、本数に関して多くの方が陥りがちなパターンがあります。

それは「コレクションを完成させようとする」という発想です。

あのブランドのこの年代、このモデルのこの文字盤、というように、外側から定義された「揃えるべきセット」を追いかける買い方ですね。

この発想自体は否定しませんが、コレクションを完成させることが目的になった瞬間、時計との関係は「所有のゲーム」に変わってしまいます。

これまた、人のコレクションについてどうこう言う必要はありませんので、その揃えることに楽しみを感じるのであれば、それはそれで全く問題ないと考えています。

ただし、自分の審美眼ではなく、他者が定義した価値の体系に従って買い続けることになっている場合は、それは本当の意味での満足とは、少し違うものだと私は感じています。

本数の話をするとき、正直に言うと「何本が正解」という答えは存在しないはずです。

答えは、100人いれば100通りの正解がありますからね。

ただ一つだけ言えることがあるとすれば、今持っているその時計に対して「なぜこれを選んだのか?」を語れる人は、次の選択でも後悔しないことでしょう。

そういうシンプルな原則は、長年この仕事をしていて確かに実感していますね。

では次に、増やす前に問うべきこと。

ということについて解説して参ります。

 


【腕時計を増やす前に問うべきこと】

では実際に「もう一本欲しい」という気持ちが出てきたとき、どう考えればいいか。ってことを話していきます。

私が一つの基準として持っているのは「今持っているこの時計を本当に理解しているか?」という問いです。

今持っている時計を深く理解した先に次の1本を選ぶ、という順番を意識するだけで、選択の質がまったく変わってきます。

もう少し解像度を上げて話をします。

「もう一本欲しい!」という気持ちが生まれるとき、その感情には大きく分けて二種類あると思っています。

一つは「今の時計では補えない何かが明確にある」という欲求ですよね。

もう一つは「なんとなく飽きてきた、新しいものが気になっている」という欲求です。

たとえばずっとラウンドケースしか持っていなくて、このスタイルの魅力はもう完全に理解できている!

なんだけど、レクタンギュラーケースの持つ凛とした佇まいを自分の手首で経験したい、という具体的な動機があるなら、それは審美眼が広がろうとしているサインですよね。

その欲求に従って選ぶ1本は、ほぼ間違いなく満足のいくものになります。

その反面、後者の「なんとなく飽きてきた」という感覚については、私はこれを必ずしも悪いことだとは思っていません。

時計への飽きというのは、多くの場合、ある日突然やってきます。

毎日当たり前のように巻いていたのに、ふとした瞬間に「この時計、最近しっくりこないな」と感じるその感覚は、たいてい正直です。

人の趣味や嗜好は、年齢とともに確実に変わっていきます。

30代で惹かれたものが、40代では物足りなくなることもあるはずです。

若い頃は地味だと思っていたものが、歳を重ねるほどに深く見えてくることもありますよね。

弊社もたくさんのイケおじの方にお越し頂くんですが、昔は大きい時計が好きだったけど、今はもうコンパクトにまとまってる時計の方がいいんですよねぇ・・・・ってのは良く話題にできます。


その変化は審美眼が退化しているのではなく、成熟していっているということだと思っています。

だから「飽きた」という感覚は、むしろ自分の感性が動いているサインとして、素直に受け取っていいんですよね。

問題があるとすれば、飽きたことに気づかないまま惰性で持ち続けることや、飽きたことを認めたくないがゆえに手放せず、また別の時計を増やしてしまうという状態のほうです。

「飽きた」と気づいたなら、それは次の話、つまり「手放す基準」の話に自然につながっていきます。

というわけで、ここからは手放す基準という内容で解説して参ります。

 


【腕時計を手放す基準】

ここからは、もう一つの問いである、「どれを手放すべきか」という話をします。

増やすことと同じくらい、手放すことにも基準が必要です。

そして正直に言うと、手放す経験を積み重ねることが、審美眼を育てる上で最も効果的な方法の一つだと私は思っています。

手放すことに踏み切れない理由は大きく2つあります。

一つは「もっと値上がりするかもしれない」という期待ですよね。

もう一つは「せっかく買ったのに」という後悔への恐れです。

ただこの2つの感情を手放す判断の基準にしてしまうと、本当に必要な時計を見極める力がいつまでも育ちません。

相場に引っ張られた選択は、買う時も手放す時も、自分の審美眼ではなく市場の空気に従っているだけです。

そんな時にどう考えるべきか?って話ですが「これまで一緒に付き添ってくれてありがとう。もうあなたは充分に役割を果たしてくれた」

これですね。

手放す時って、なんとなく、後ろめたい気持ちが出て来るんですが、感謝して手放してあげて、次の方が活用してくれる未来を想像できれば、結構罪悪感は減るものです。

手首に巻かなくなった時計を引き出しの中に眠らせておくことは、トイストーリーのアンディが、遊ばなくなったおもちゃを屋根裏にほったらかしにしてるくらい勿体無いことですよね。

だから、惰性で持ち続けるよりも、活躍できるシーンを与えてあげる方がその相棒もきっと喜んでくれるはずだと私は考えています。

一方で「手放して後悔した」という経験をする方もいます。

そして、それもいろんな背景があるはずなんですよ。

ただそれも、1つの経験なんですよね。

手放してみて初めて、自分がその時計のどこを好きだったのかが改めて分かります。

その後悔の中身を正確に言語化できれば、次に選ぶ腕時計の精度がもっと確実に上がります。

これらのことから、手放すことは失敗ではなく、自分の好みを解像度高く知るための経験だと私は捉えています。

なんとなく増えていく状態が一番もったいない、という話をしました。

手放す基準を持つことは、その「なんとなく」を防ぐための、もう一つの守りの方法なんですね。

 


【私自身の考え方】

少し個人的な話をすると、私はヴィンテージ時計を扱う仕事をしていますから、当然多くの時計に触れます。

ですので、本当に良い腕時計って無限に出てくるんですよね。

お客様に、これが上がりの時計になると思います。って言われても、イヤーそう言いながら、多分またほとぼりが冷めたら次を買ってるはずですよ。

みたいな話をするんですが、実際に上がりきれていない方はたくさんいらっしゃると思います。

ですが、それで良いんですよね。

冒頭で話した通り、何本が正解かという問いに対して、私の答えは「自分が説明できる本数だけ持てばいい」です。

大切なのは、今持っている時計に対して納得があるかどうか。

そして次の1本を選ぶ前に、今ある時計を本当に理解しているかどうかを問うことなんだと思います。

手放す基準を持つことも、本数を考えることと同じくらい重要です。

腕時計は数ではなく、1本1本の関係性だと思っています。

 

Other articles

40代

40代・50代が選ぶべきおしゃれなヴィンテージウォッチはどれ?

こんにちは、ベルモントルの妹尾です。 本日の動画では、40代・50代が選ぶべきおしゃれなヴィンテージウォッチはどれ? という内容で解説して参ります。 100万円以下の時計なら、新品の現行型辺りで「正解」が見えています。 でも、ある程度の人生経験を通したときに見えてくるのが、ヴィンテージの魅力であり、100万円中盤から、200万・300万・400万という価格帯になると、一気に世界が広がってきま...

Read more

「センスがいい」と言われる方の腕時計選びに共通していること

こんにちは、ベルモントルの妹尾です。 本日の動画では、「センスがいい」と言われる人の時計選びに、共通していること、という内容で解説して参ります。 腕時計に限らずいろんなシーンで「センスがいいね」ってワードを聞きますが、そもそもその「センスがいい」という言葉の中身を、きちんと分解して考えたことがある方は意外と少ないんじゃないかと思っています。 センスというのは生まれつきの才能で、あるかないかの...

Read more