腕時計初心者向け【自動巻】【手巻き】何が違うの?
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この記事では、腕時計の自動巻と手巻きって何が違うの?
という内容でお話しして参ります。
この記事をご覧頂きたいのは、コレらの違いについて何となく分かってるつもりだけど、ちょっとまだ確信が持ててない。
そんな腕時計にちょっと興味が湧いてきた頃です。
って方に向けての記事になっておりますので、ここで再度事前知識を身につけてくださいませ。
腕時計の手巻き自動巻の特徴を理解しよう
ではまず腕時計のムーブメントの歴史を見ていきましょう。
ムーブメントとは、腕時計の中に入っている機械(これは動力源)のことですね。
そんなムーブメントなのですが、最初の始まりは手巻きからになります。
厳密にいうとイギリスにあるビッグベンみたいな巨大な時計から始まってるのですが、今回はそこじゃないので腕時計からのスタートとします。
ではまず手巻きからの解説です。
手巻き腕時計の特徴
まず1つ目の特徴として薄型である。
ということですね。
手巻きというのは、動力源であるゼンマイを自分の手を使って巻くことから、手巻きと表現されます。
このあと解説していきますが、自動巻と比較するとパーツが少ない分、薄型でコンパクトに仕上がることが特徴です。
よって薄型の時計と相性が良いドレスウォッチには、自動巻きではなく手巻きが採用してあることが多いです。
とは言っても、現代では自動巻のパーツも薄型化が大きく進んでいますので、自動巻であっても薄型のものはたくさんあります。
では2つ目の特徴ですが、これは巻かないといけない。
ということですね。
ゼンマイを巻いて、そのゼンマイが解ける力を利用して時計の針が動いていくのですが、そのゼンマイが解けきってしまったら、再度巻き直さないといけません。
この2つ目が大きな特徴だと言えるでしょう。
ゼンマイに対して、結構大きく意見が分かるのですが特に女性はゼンマイを回すという作業自体に負担を感じる方が多いように感じられます。
負担というか、面倒に感じるってことですね。
その反面男性は、ゼンマイを巻くという作業に対して作業というよりは、工具を扱う!のような感覚になるので、ほとんどというか全く負担に感じることはないです。
ただし、ゼンマイは解けきってしまう前に再度巻いておかないと、また最初から時刻を合わせないといけないために、その時刻を合わせる作業に負担を感じる男性が多いのも特徴です。
ですので、手巻きを手にしたい!と思った時に男性の方であれば、ゼンマイを巻くという行動はクリア出来るとして、その次の時刻を合わせる!
という動作まで出来るのか?
というところが一つの境界線になるのだと思いますね。
普段のライフスタイルが結構影響してきます。
生活の中で、朝起きたらすぐに仕事に行く準備をして、会社に着いたらすぐに仕事が始まる方などとは相性が悪いように感じられいます。
休憩時間に入ったタイミングで、スマホを触るように、その都度ゼンマイを巻ける方であれば、解けきるという状態にもならないはずなので、小豆に巻ける方であれば問題なく仕事場でも使用できると思いますね。
あとはゼンマイを巻くタイミングを仕事終わりにするってパターンにしておけば、朝がバタバタの方でも上手に使っていけるはずですね。
では3つ目の特徴ですが、着用している時のストレスが少ないことです。
コレは特徴1に繋がる部分なのですが、パーツが少ないということはそれだけ時計の重さは軽くなります。
ケースだけがステンレスで作ってあるのであれば、そこまで重さを感じることはありませんが、これがブレスもステンレスとか、ケースがデカくて18Kの素材とかであればまぁまぁの重さを感じます。
重さがあるということは、振れ幅も大きいということになります。
例えば、駒を回した時には重い方が遠心力が働き長い時間回るのは、何となくわかって頂けると思います。
その反面軽い駒は、遠心力が弱くすぐに止まってしまいます。
このように、重いものを腕に着用していれば1つのモーション(例えば肘から先を下げてあげる)という動作をした時にも、その重さ分のエネルギーと遠心力(振れ幅)が働きます。
その反面、軽い時計であればエネルギーは少量でいいですし、遠心力もかなり小さいです。
日常生活の中で、私たちは思ってる以上に腕を動かしています。
ちょっとしたモーションであったとしても、その動作が何百回、何千回と繰り返されていれば、その分腕に負担がかかり重い時計がストレスとなってしまいます。
もっとわかりやすく言い方を変えるのであれば、腕へのフィット感が良いか悪いかです。
薄型でコンパクトになればなるほど軽いですし、手首へのフィット感は向上していきます。
勘違いしないよう補足しておきますと、コレは手巻き時計の大まかな特徴であって手巻きでも大きいものはありますし、自動巻でもコンパクトにまとめてあるものがあります。
大まかな特徴であるということを再度認識しておいてください。
4つ目の特徴はメンテナンス費用が相対的に安いことです。
特徴1、3につながってくるところですが、部品点数が少ないということは、それだけ修理(腕時計の修理のことをオーバーホールって言うんですが)それが安くなります。
コレは何となくイメージ出来ると思われますが、部品点数が多いクロノグラフと普通の3針時計だったら、3針時計の方がシンプルだし部品点数も少ないから比較的修理しやすいですよね。
自動巻と手巻きを比較しても、自動巻より部品点数が少ない手巻きはメンテナンス費用は低く抑えることが出来ます。
このメンテナンスについても、腕時計を購入する前に意識しておかないといけません。
修理については、『腕時計』と『車』は同じと考えていただいた方がいいですね。
車には強制力がありますが、腕時計には強制力がないですし、動くものであれば8年くらい修理しなくても動き続けます。
ただし、その中身はもう限界を突破して動いてる状態ですので、使用頻度によって変わってきますが定期的なメンテナスはしなければなりません。
このメンテナスについての私の見解については、
『その腕時計はもう末期かも、使用頻度別オーバーホール周期解説』の中で話しておりますので、気になる方は概要欄に入れてますので、そちらからご覧ください。
このメンテナンス費用もある程度は頭の中に入れた状態で、腕時計を購入するのが理想的です。
大まかな目安なのですが、腕時計を購入した時の1割程度をイメージして頂けると分かりやすいと思いますね。
では次に自動巻の特徴を解説して参ります。
自動巻腕時計の特徴
まず初めの特徴は、その名の通り自動的にゼンマイを巻いてくれることです。
手巻きはゼンマイを手で巻いてあげないといけませんでしたが、自動巻はムーブメントにローターが追加されていて、そのローターが手首の動きに合わせてゼンマイを巻いてくれます。
腕につけていればゼンマイが巻かれるということなので、仕事中には腕時計を必ず着用する方にとっては、自動巻は何もせずとも毎日ゼンマイが巻かれることになり、とても使い勝手がいいです。
構造的には、手巻きムーブメントがベースにあってその上にローターを乗せてるだけなので、手巻きでも回せます。
ただし、手巻きのカチカチカチとか、チチチチチという機械的なパーツを扱ってる感じはなく、シャリシャリシャリって感じで、手巻きとはだいぶ雰囲気は違います。
まぁ、手巻きの時計を巻いてるという感覚は自動巻では味わうことができませんよね。
味わいというよりは、便利さが勝るのが自動巻の特徴です。
2つ目の特徴はケースが厚くなる傾向にあることです。
要するに、手巻きムーブメントの上にローターを乗せるわけですから、ローター分の厚さが追加されるということになります。
ただしこれは、時計自体の密閉性が向上していることを表しています。
時計の内部に水気が侵入する経路はたくさんあるのですが、もっとも脆弱なのがケースとリューズの接続部分とかケース本体と裏蓋との隙間なんですね。
元々は、ロレックス社がオイスターケースを使った時計(防水できるケースをオイスターケースと言います)をメルセデス・グライツというスイマーに提供して、その方がイギリス海峡を横断してことが始まりです。
ここで水気の侵入を防ぐというのは、証明できたのですがやはり巻くという作業は必要でした。
この時はまだ自動巻は搭載されてなかったんですが、その後1931年に自動巻が誕生し、それをオイスターケースに搭載しことで最初に時刻を合わせれば、あとは基本的にはリューズを引いたり押し込んだり回したりしなくても良い!
というのが機能的でかっこいい!
と評価されて一気に自動巻が広がっていくことになったんですね。
このように、自動巻と密閉性とか相性がよく、どちらかというとバリバリ現場で働く労働者の方に求められてきた歴史があります。
よってケースは厚く大きめになる傾向にあります。
では次に3つ目の特徴なのですが、これは特徴2につながってきますが着用感が良くないものもある。
ということです。
自動巻に限った話ではありませんが、傾向的に自動巻がその傾向にあるので、自動巻の特徴として分類します。
ケースがデカくなれば、手巻きのところで話した通り遠心力は働きますし、些細な動作であっても、それが繰り返されればストレスになってしまいます。
例えば、こちらは1970年代に製造されていたオメガのスピードマスターのテレビスクリーンってモデルなのですが、デザインは物凄くかっこいいですよね。
実物を見るまでは、めっちゃ欲しかったのですがケース径は40mmで厚さも1.7cm程度となかなかのボリューム、そしてこのケースに合うようにステンレスベルトが付けてあるので、時計だけどなかなかの重さを感じてしまいました。
その反面、同じ時計ではありませんがこちらのサントス100の18Kピンクゴールドモデルは、ケース径は38mmで18Kが使ってあるので、オメガよりは軽いですがやはり時計の中では重いほうです。
ですが、こちらの時計はそうであっても着用してみて、どうしても欲しいと思わせてくれました。これが人によって変わってくる価値観ですね。
もうこの時計がめちゃくちゃカッコ良すぎて、この重さも気にならない!
そう思える時計であれば、全然アリでしょうがそれを凌駕できるほどのトキメキを感じられない場合は、重さというのはボディブローのようにジワジワとダメージを与えてきますね。
自動巻だけでなく、腕時計は実物を見ておかないと自分が思ってたんと違う!
って現象が起きやすいので、可能であれば現物をご覧になることをお勧めします。
再度、確認のためにお話ししますが自動巻=巨大ではありません。
自動巻でもコンパクトにまとめてあるのもありますし、カルティエのサントスガルべなんかは自動巻を載せているのにケース径は30mmですからね。
ロレックスのエクスプローラーも自動巻を載せていても、36mmですしね。
傾向的に自動巻は大きいのが多いんだなぁ。
程度の認識でお願い致します。
では4つ目の特徴ですが、スケルトンの場合であれば手巻きに部があるということです。
これはおまけみたいな特徴なのですが、ここ最近腕時計の裏蓋側がスケルトンになっている時計が増えてきています。
何のためにこんなことをしてるかというと、ガラスの強度が向上したことでそう簡単に割れなくなったことで、ガラスを採用できるようになったことと、時計のムーブメントにも価値を出すためです。
裏蓋がスケルトンであることで、ムーブメントにしっかりと装飾を施している会社はそこを強みに出来ます。
そもそも現代においてはスマホがあるので、腕時計なんて別に必要ではいのですがなんで絶滅しないかというと、オシャレのためのアイテムの側面とかステータスの側面が強いからです。
今回はオシャレなアイテムとしての話になるのですが、やはり裏蓋がスケルトンでムーブメントの機械パーツが組み合わさっている様子が見えると、より機械式時計を持つ大義名分が生まれます。
そのような時に、美しさという側面で見るとムーブメントの半分を隠し切ってしまうローターが搭載されている自動巻よりも、1つ1つのパーツがしっかりと見れる手巻きに部があります。
とは言っても、ローターの部分が肉抜きされて結構土台の部分が見えていたり、ローターの部分にそのブランド独自の装飾を入れていたりしてあるので、一概に機械パーツの組み合わせが見れることが美しさの基準とは言えないでしょうね。
マイクロローターって言って、小さいローターを使って巻き上げる自動巻があるのですが、巻き上げ効率の観点からあまり採用されていないのですが、カルティエから発売されていたサントスデュモンなんかは、このローター部分を上手にデザインに落とし込んでおり、やはり宝飾品ブランドだなぁと感心させられます。
この飛行機の部分がローターなんですが、これがくるくる回って飛行機が飛んでるように見えるんですよね。
といった感じで、手巻きと自動巻の特徴を解説してきましたが、どっちが良いのか?というのは個人個人のライフスタイルによって変わってくるところであり、どちらが相性が良いのか?
という視点で見ていくのが理想的でしょうね。
例えば自動巻の特徴を理解していれば、仕事場では自動巻を着用して休日にはこっちの手巻きを着用しよう!
などの判断も出来ると思いますし、仕事をしてる時であっても隙間時間や休憩がある程度取れる職場の方であれば、その時にゼンマイを負けるから手巻きでいっか。という判断も出来ると思います。
私は毎日腕時計をしなければならない!
というライフスタイルではないので、手巻きで毎度時間を合わせて、ゼンマイを巻いてる時間が楽しく感じるので手巻きが好きですね。
でも、デザインがかっこいいものには自動巻モデルしかなかったりなどもありますので、もう最終的にはデザインってことでしょうね。