オメガよりロレックスの方が格上、という考え方は正しいのか!?
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では「オメガよりロレックスの方が格上、という考え方は正しいのか」という内容で解説して参ります。
腕時計に興味を持ち始めた方が、ある段階で必ずといっていいほど意識、無意識に関わらず、頭をよぎる考え方が生まれます。
それは「ロレックスはオメガより格上だ」というものです。
価格帯が近く、どちらも世界的に知られた高級腕時計ブランドでありながら、腕時計好きの間ではロレックスの方が上という認識が広く浸透しています。
ではこの考え方は本当に正しいのでしょうか。
今日はこの問いに正面から向き合いながら、「格」という言葉が腕時計の世界でどういう意味を持つのかを考えていきたいと思います。
最初にお伝えしておきたいのは、この動画はオメガを下げるためのものでも、ロレックスを持ち上げるためのものでもないということです。
それぞれのブランドが持つ本質的な価値を正直に見た上で、「格」という概念そのものを問い直してみたいと思っています。
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それでは話を進めて参ります。
ロレックスがオメガより「格上」とされる、三つの現実
まず最初に、「ロレックスはオメガより格上」という考え方が生まれる背景を、正直に見ていきたいと思います。
この考え方には、一定の合理的な根拠があるんですよね。
一つ目は、リセールバリューの差です。
ロレックスの人気モデルは定価を上回る価格で市場に流通することが当たり前になっています。
サブマリーナーは定価およそ168万円に対して市場では200万円以上、デイトナは定価250万円に対して300万円から400万円以上という価格がつくケースもあります。
一方オメガの現行品は、定価と同水準かそれを下回る価格で流通することがほとんどです。
資産性という観点で見ると、ロレックスの方が明確に上という数字が出てしまうんですよね。
二つ目は、正規店での入手困難さです。
ロレックスの人気モデルは正規店に行っても簡単には買えません。
購入履歴を積み重ね、店員の方との関係を築き、長い待ち時間を経てようやく定価で手に入れられるかもしれない程度です。
この「定価で買えること自体が特別」という状況が、ブランドとしての希少性と特別感を高めています。
一方オメガは、正規店に行けばほとんどのモデルが在庫としてあり、その日に定価で購入できますよね。
この入手のしやすさの差が、希少性という観点での格差として認識されやすいんですよね。
三つ目は、世界市場における販売規模と認知度の差です。
ロレックスは世界の腕時計市場において売上シェアで圧倒的な首位を維持し続けており、その認知度は腕時計に詳しくない方でも知っている、という点で他のブランドの追随を許しません。
オメガも世界的に知られたブランドではありますが、「高級腕時計といえば」という文脈で真っ先に名前が出てくるのはロレックスであることが多いです。
この認知度の差が、世間一般での「格の差」として感じられやすいんですよね。
こうして三つの現実を並べてみると、確かにロレックスの方が上に見えるという感覚は、まったく根拠のない話ではないことがわかります。
リセールバリュー・希少性・認知度という三つの観点では、ロレックスがオメガを上回っているというのは事実です。
ただここで立ち止まって、一つの問いを立ててみたいと思います。
この三つの物差しは、腕時計の「格」を測る本当の基準なのでしょうか。
というわけで、次は「格」とは何の格なのか!?という問いについて考える!という内容で解説して参ります。
「格」とは何の格なのか!?という問いについて考える
前のパートでは、リセールバリュー・希少性・認知度という三つの観点でロレックスがオメガを上回っているという現実をお伝えしました。
ではこの三つは、腕時計の格を測る本当の基準なのでしょうか。
ここで改めて、「格」という言葉の意味を考えてみたいと思います。
リセールバリューは、腕時計そのものの価値を測る物差しではありません。
それはブランドの供給戦略と市場の需給バランスが生み出した結果です。
ロレックスが意図的に生産本数を絞り、入手困難な状況を作り出しているからこそ、二次市場での価格が定価を上回る現象が発生します。
これはブランド戦略の巧みさを示すもの(要するにマーケティング戦略がめちゃくちゃ上手ってことです)であって、腕時計としての本質的な価値とは切り離して考える必要があるんですよね。
では技術という観点から見るとどうでしょうか。
オメガはNASAの厳しい審査を経て、アポロ計画の公式腕時計として採用されたブランドです。
極限の環境下でも正確に時を刻むという信頼性は、ロレックスとはまた異なる文脈で証明されてきました。
さらにオメガは独自のマスタークロノメーター認定という精度基準を設けており、スイス公認クロノメーターの基準を大幅に上回る精度を実現しています。
腕時計としての技術水準という観点では、オメガはロレックスと引けを取らない存在です。
ロレックスも独自の厳しい精度基準を設けていますが、オメガはNASAの極限環境下での審査を経て宇宙開発の公式腕時計として選ばれたという実績を持っています。
この事実は、腕時計としての信頼性という観点でオメガが持つ固有の価値を示しているといえます。
歴史という観点でも同様です。
オメガの創業は1848年で、170年以上にわたって腕時計を作り続けてきたブランドです。
ロレックスの創業が1905年であることを考えると、歴史という物差しではオメガの方が長いです。
もちろん歴史の長さだけがブランドの格を決めるわけではありませんが、少なくとも「格が下」という評価が当てはまらないことは明らかです。
さらにブランドの方向性という観点から見ると、両者の目指しているものがまったく異なることがわかります。
ロレックスが追求してきたのは、過酷な環境でも機能し続ける堅牢性と乱れることのない精度です。
一方オメガが追求してきたのは、精密機械としての極限の精度と、宇宙という人類最大の挑戦の場での信頼性です。
どちらが上でも下でもなく、目指している山がそもそも違うんですよね。
つまり「格」という言葉は、何の物差しを使うかによって答えがまったく変わってくるということです。
資産性という物差しではロレックスが上かもしれません。
しかし技術・歴史・哲学という物差しで見ると、オメガはロレックスと対等か、ある観点ではそれ以上の評価ができるブランドなんですよね。
「格上・格下」という単純な二項対立で語ることが、いかに一面的な見方であるかが見えてくるのではないでしょうか。
では次に、ヴィンテージ市場で見ると話が変わる!という内容で解説して参ります。
ヴィンテージ市場で見ると話が変わる
ここまで、現行品の市場という観点でロレックスとオメガを比較してきました。
ここで視点を少し変えて、ヴィンテージ市場という観点から見ていきます。
現行品の評価とヴィンテージ市場での評価は、必ずしも一致しないんですよね。
現行品のリセールバリューという観点では、ロレックスが圧倒的に上というお話をしました。
ただヴィンテージ市場に目を向けると、オメガというブランドの評価はまったく違う景色を見せてくれます。
まず、腕時計の精度という観点から見てみると、オメガとロレックスは実はライバル関係にありました。
1940年代から始まったクロノメーターコンクールでは、オメガの30mmキャリバーとロレックスがシーソーゲームのようにお互いの記録を更新し続けてきた歴史があります。
オメガが1940年の天文台のコンクールで腕時計部門に初参加していきなり1位を獲得し、その後もロレックスと互いに記録を塗り替え合いながら精度の限界を追い続けてきた歴史があります。
つまり技術力という物差しで見ると、オメガはロレックスに劣るどころか、同じ土俵で激しく競い合ってきたブランドなんですよね。
さらに、皆様ご存知の通り、この30mmキャリバーは1939年から1963年まで生産されたムーブメントで、当時のクロノメーターコンクールで規定されていた最大径30mmをフルに活用して設計されています。
その特徴は、大きなテンプを搭載することで精度の安定性と耐久性を高め、イギリス軍にも公式採用されるほどの信頼性を誇りました。
そしてこの30mmキャリバーを搭載したオメガのヴィンテージは、今日のヴィンテージ市場において腕時計愛好家から非常に高い評価を受けています。
次に、コンステレーションというモデルについてです。
1952年に登場したコンステレーションは、オメガが天文台コンクールでの実績を背景に生み出した高級ラインで、裏ぶたに天文台と8つの星の刻印を持つモデルです。
1960年代から70年代に製造されたコンステレーション、特にパイパンダイヤルと呼ばれる特徴的な文字盤を持つ個体は、ヴィンテージ愛好家の間で非常に人気が高く、状態の良い個体は市場で高値がつくことがあります。
こうしたヴィンテージ市場での評価を見ていると、「オメガは格下」という認識がいかに現行品の二次市場という一面的な視点から生まれたものかがわかります。
現行品の市場では供給量の多さからリセールバリューが出にくいオメガも、1940年代から70年代という時代の個体に関しては、その歴史的な価値と製造品質が正当に評価されているんですよね。
さらに興味深いのは、ヴィンテージ市場においてオメガの30mmキャリバーやコンステレーションを求めるコレクターの層は、資産性よりもその腕時計が持つ技術的な背景や歴史への共鳴から購入を決める方が多いという点です。
つまりヴィンテージのオメガを選ぶ方は、格という概念ではなく、その腕時計が持つオメガの技術の到達点や、固有の物語に惹かれているんですよね。
重要なことなので、繰り返しになりますが現行品の二次市場だけを見て「オメガはロレックスより格下」と判断することは、腕時計の世界の一側面しか見ていないということになります。
では次に、そもそもネームバリューで腕時計を選ぶことに意味はあるのか?という内容で解説して参ります。
そもそもネームバリューで腕時計を選ぶことに意味はあるのか?
ここで改めて、そもそも「ネームバリュー」で腕時計を選ぶことに、どういう意味があるのか?という問いについて考えてみましょう。
ネームバリューで腕時計を選ぶというのは、簡単に言えば「ブランドの名前が持つ社会的な影響力を根拠に選ぶ」ということです。
「ロレックスはオメガより名前が通っているから、ロレックスを選ぶ」という判断がその典型です。
これは一見すると合理的に見えます。
誰もが知っているブランドを選べば、周囲に伝わりやすく、資産性も高く、選択として間違いがないように感じられますよね。
そういった安心感が、ネームバリューで選ぶ動機の背景にあることが多いんですよね。
もちろん、腕時計を購入するときに『このような純粋な気持ちを持って購入しなければならない!』などのルールは存在しないので、その動機はなんだっていいですし、なんならネームバリューで選ぶことも正当化される1つですよね。
ただ、ここで一つ考えてみたいことがあります。
ネームバリューというのは、その腕時計そのものの価値を示しているわけではないということです。
ネームバリューは、そのブランドが長年にわたって築いてきた認知度と信頼感の積み重ねであり、腕時計の技術・歴史・製造哲学とは切り離された概念です。
つまりネームバリューが高いブランドの腕時計が、腕時計としての本質的な価値も高いとは限らないんですよね。
ベルモントルにお越し頂くお客様とお話しするときに、時々出てくるんですが、まずはロレックスを選んだけど、自分が求めてたのはこれじゃなかったみたいです。
というニュアンスの話ですね。
これは定期的に話題に持ち上がりますよね。
これはネームバリューという外側の基準が、自分の内側の共鳴よりも優先されてしまった結果だといえます。
私のところにも、SNSの途中にロレックスのカッコいいPVが流れてくるんですが、あれをみたらなんだかカッコいいなぁ・・・・って気持ちになりますからね。
とはいえ、私の場合は毎月それらを触ってるので、実物を知ってるから欲しくはならないんですけどね。
ネームバリューという外側の基準で選んでしまうと、最初の頃は自分で自分を納得させることは出来ても、いずれそこに限界が訪れてしまいます。
一方で、その腕時計の背景や哲学に心から共鳴して選んだ場合、その共鳴は市場の評価がどう変わっても揺らぐことがありません。
オメガの30mmキャリバーが天文台コンクールでロレックスと競い合ってきた歴史に惹かれて選んだ一本は、リセールバリューや知名度に関係なく、その方にとって特別な意味を持ち続けるんですよね。
ネームバリューで腕時計を選ぶことが間違いだとは言いません。
ただ、ネームバリューだけが選ぶ理由の中心になってしまうと、本当に長く愛用できる一本との出会いから少し遠ざかってしまうかもしれません。
ではいつも通り、最後にベルモントルの視点という内容で締めくくりとさせて頂きます。
ベルモントルの視点
「オメガよりロレックスの方が格上」という問いに対する、ベルモントルとしての答えはこうです。
資産性という一つの物差しで見たときは、確かにロレックスの方が市場での評価が高いです。
しかしそれは格の話ではなく、ブランド戦略の違いが生み出した結果に過ぎないというのも忘れてはなりません。
そして腕時計を選ぶ上で本当に大切なのは、格という外側の基準ではなく、そのブランドの哲学や歴史に自分が心から共鳴できるかどうかだということです。
ロレックスを選ぶ方には、ロレックスを選ぶだけの理由があります。
世界中で通じる普遍的なブランド力、過酷な環境でも機能し続ける堅牢性、資産性という実用的な裏付け。
これらに価値を感じる方にとって、ロレックスは間違いなく最良の選択肢の一つです。
オメガを選ぶ方には、オメガを選ぶだけの理由があります。
人類初の月面着陸に同行したという唯一無二の歴史、極限の精度を追求し続けてきた技術力、そしてヴィンテージ市場で高く評価される1960年代から70年代の個体が持つ物語。
これらに価値を感じる方にとって、オメガは他のどのブランドとも異なる意味を持つ存在になるんですよね。
ベルモントルがヴィンテージ腕時計を専門に扱っている立場からお伝えすると、オメガのヴィンテージは非常に魅力的な選択肢だと感じています。
現行品の二次市場でのリセールバリューだけを見てオメガを格下と判断してしまうと、1960年代から70年代のスピードマスターやコンステレーションが持つ、ロレックスとはまったく異なる種類の価値を見落としてしまうことになります。
格という物差しではなく、その腕時計が持つ固有の物語と、自分がその物語のどこに共鳴するかという視点で向き合ったとき、オメガというブランドはロレックスと対等か、ある観点ではそれ以上の深みを持つ存在として見えてくるんですよね。
「ロレックスとオメガ、どちらが格上か」という問いの答えは、何の物差しを使うかによって変わります。
そしてどの物差しを使うかは、視聴者様が腕時計に何を求めているかによって変わってきます。
だとすれば、この問いに対する本当の答えは、格という概念の外側にあるのかもしれません。
視聴者様がロレックスに惹かれているなら、ロレックスがあなたにとっての格上です。
あなたがオメガに惹かれているなら、オメガがあなたにとっての格上です。
腕時計の魅力や格は、市場が決めるものではなく、視聴者様自身が決めるものだということが、今日お伝えしたかったことの本質です。
本日は「オメガよりロレックスの方が格上、という考え方は正しいのか」という内容で解説してまいりました。