なぜロレックスは世界3大時計ブランドに入れてもらえないのか?
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この記事では『なぜロレックスは世界3大時計ブランドに入れてもらえないのか?』
という内容で解説して参ります。
皆様ご存知だと思いますが、世界3大時計ブランドに入っているのがパテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンです。
ちなみに5大時計ブランドになると、それに追加してブレゲとランゲゾーネが入ってきます。
このように5大になっても、ロレックスは入れて貰えていません。
本来であれば、3大時計ブランドに入っても良さそうな実力がありそうですが、なんでそうなってないのか?
というのを出来るだけ分かりやすく解説して参りますね。
ベルモントルは・・・
世界3大時計ブランド『雲上ブランド』とロレックスは根本的に目指している場所が違う
3大時計ブランドに入れるか入れないかの明確な基準はないのですが、ここで大事なのは、技術的にどちらが上か下か、という話ではなく、ブランドの哲学や市場での戦略、その根本的な違いなんですね。
ロレックスは「最高のツールウォッチ」を目指しています。
ダイビング、探検、レースといった過酷な環境で信頼される堅牢性と精度こそが、ロレックスの価値なのです。
このように方向性の違いによって、雲上ブランドからは外れている、というわけです。
つまり、ロレックスと雲上ブランドは成功へのアプローチ、そして何を価値と見なすか、その哲学が徹底して異なるということです。
ではもう少し分かりやすいように、生産規模から見ていきましょう。
大きな特徴として生産規模がその違いを際立たせています。
ロレックスは年間およそ100万個生産しているとされていますが、例えばパテック フィリップは年間約60,000個と、その差は歴然です 。
年間100万個作っても世界中で足りていないという事実は、ロレックスのブランド力がどれほど凄まじいかを物語っています。
ちなみにこの100万個という数字の出所なのですが、ロレックス自身もクロノメーター検定機関COSCも、総生産数に関する結論を導き出すような数字を公表していませんが、モルガン・スタンレーの年次報告書
「業界の現状 – 2022年 スイス時計製造」
では、おおよそ105万本と推定されています。
ですので、今はそれよりももう少し多いかもしれませんね。
このパテックの6万本とロレックスの100万本のことが記載されている記事は概要欄に入れておきますね。
話を戻してまして、一見すると100万個は多いように思えるかもしれませんが、世界中の何千ものロレックスブティックで販売される時計の数を考えると、実際にはそれほど多くはありません。
このようにロレックスの哲学は、創業から一貫して「最高の実用時計」を作ることです。
信頼性、堅牢性、機能性を徹底的に追求してきました。
デイトナやサブマリーナーといったモデルは、まさにこの哲学を体現しています。
性能についても、「Superlative Chronometer/スーパーレティブクロノメーター」認証という、スイス公式クロノメーター検定協会(COSC)の基準を上回る、日差-2秒から+2秒というロレックス独自の厳格な基準で極めて高い精度を維持しています 。
ただ、これは雲上御三家が追い求める超複雑機構や芸術的な手仕上げとは、目指している方向が違うんです。
では次に、ロレックスとは対角にある雲上ブランドが目指している場所を見ていきましょう。
雲上ブランドが目指している場所
ロレックスが実用性の頂点だとすれば、雲上御三家を定義付ける要素、その凄みはどこにあるのでしょうか。
価格や歴史だけではありません。
主に4つの要素が挙げられます。
まず1つ目に何世紀にもわたる歴史と伝統です。
ヴァシュロン・コンスタンタンは1755年、パテック フィリップは1839年、オーデマ ピゲは1875年に創業して以来、一度も歴史を途絶えさせることなく続いています。
これらのブランドは二度の大戦やクォーツショックといった時計産業の危機を乗り越えており、他の時計ブランドと比較して歴史の重みが違います。
またそれと同時に、ブランドの価値と顧客との絆を守り続けてきました。
パテック フィリップが創業以来製造した全ての時計を「永久修理」することを約束しているのは、その永続的な伝統を体現するものだからです。
ヴァシュロンは圧倒的ですが、このようにこれらの会社は圧倒的に古くからの歴史を持っているブランドです。
2つ目が芸術品の域に達する職人技と設計力です。
これらのブランドの時計は、単なる精密機械ではなく、熟練した職人による精巧な仕上げが施された芸術作品と評されます。
例えば、文字盤に繊細な手彫りの模様を施す「ギョーシェ彫り」や、ムーブメントのプレートやブリッジのエッジを滑らかに仕上げます。
他にも全てのパーツは職人が丁寧に磨きを入れますし、それはネジにも及びます。
3つ目が高度な複雑機構への絶え間ない挑戦です
雲上御三家は、永久カレンダー、ミニッツリピーター、トゥールビヨンといった「世界三大複雑機構」に代表される、技術のを追求しています。
パテック フィリップは1925年に世界初の永久カレンダー付き腕時計を開発し、ヴァシュロン・コンスタンタンは世界最多となる57種の機構を搭載した懐中時計を製造するなど 、常に技術の限界を押し広げることに挑戦しています。
3社に共通しているのは、このように複雑機構に時間と労力を惜しまず、投資し続けていることです。
4つ目は限られた人しか持つことができない徹底した少量生産です
これらの時計は、熟練した職人の手作業に依存するため、物理的に大量生産が不可能です。
ブランドは厳格なマニュファクチュール体制を確立しており、需要を大幅に下回る供給量しか生み出していません。
この意図的な少量生産こそが、彼らの時計が持つ圧倒的な希少性と独占性を生み出す源泉となっています。
このようにロレックスと雲上ブランドは、目指している方向性が全然違うというのが分かって頂けと思います。
ではここからは、それを理解した上で自分はどっち側に寄り添うべきなのか?
これをもう少し分かりやすくして解説していきます。
自分はどちらのブランド哲学に共感すべきか
ロレックスにもドレスウォッチがありますし、雲上ブランドにもステンレスモデルはたくさんあります。
しかし、ロレックスは工業製品が得意で、雲上ブランドは時計という名前の工芸品を作っている。
というのは、なんとなく分かっている頂けたと思います。
高級時計市場は、伝統的な嗜好品市場から、新たな投資対象としての側面を急速に強めています。
ロレックスと雲上御三家は、それぞれ異なる戦略を通じて、この新しい市場を牽引しています。
ロレックスは、需要を喚起するマーケティングと徹底した品質管理によって、市場の枯渇状態を意図的に作り出し、大衆的でありながら独占的なブランドとしての地位を確立しています。
これに対して、雲上御三家は、希少な職人技と歴史的遺産によって価値を創造し、真のコレクターや愛好家からの需要に応えています。
雲上ブランドは単に時間を知るための道具ではなくて、長い歴史、圧倒的な芸術性、揺るぎない哲学、そして意図された希少性によって形作られる、高級時計文化そのものを体現している存在だと言えます。
特にクオーツショックという技術革新の波に対して、ある意味で抗うことで機械式時計を単なる古い技術じゃなくて、文化遺産として再定義して、その価値をこれまで以上に高めた。
これはやっぱり注目すべき歴史のターニングポイントだと思いますね。
その結果として、雲上ブランドの時計は世代を超えて受け継がれる資産となり、その価値っていうのは単なる素材とか機能だけじゃない、ブランドが紡いできた物語、そして時計に込められた職人の魂と深く結びついているんです。
そこが単なる工業製品との決定的な違いだと言えるでしょうね。
ロレックスが雲上御三家に含まれないのは、優劣の問題ではなく、ブランドが選んだ道、そしてその哲学が異なるからです。
ロレックスは、優れた実用性と品質を比較的「大量」に生産することで、より多くの人に届けることを目指しました。
そしてそれが、世界で一番有名な時計ブランドであることを証明しています。
一方、雲上御三家は、手作業による芸術性、歴史、そして限定性という価値を守り抜いたのです。
高級時計が単なる時計ではなく、投資の対象としても見られるようになった今、その価値を支えるのは「希少性」です。
つまり、需要が供給を大きく上回ることで生まれる希少性と、生産数そのものが物理的に極端に制限されることで生まれる希少性。
長期的に見たときに、どちらがより持続的な価値を持つとお考えでしょうか。
ぜひ、コメント欄からご自身の意見を入れて頂けると幸いです。