Article: コンビ素材の腕時計は、なぜ一度古く見えて、また評価されるのか?
コンビ素材の腕時計は、なぜ一度古く見えて、また評価されるのか?
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では「コンビ素材の腕時計は、なぜ一度古く見えて、また評価されるのか?」という内容で解説して参ります。
腕時計でいう「コンビ」とは、ステンレスとゴールドのように、異なる素材や色を組み合わせたデザインのことです。
代表的なところでは、ロレックスのデイトジャストやサントス、パンテールなどにも、ステンレスとイエローゴールドを組み合わせたモデルがあります。
こうしたコンビの腕時計を見て、「ちょっと昔っぽいな」とかバブルの時に流行ったスタイルだよなぁ・・・と感じる方もいると思います。
実際、コンビというデザインには、ある時代の高級腕時計を強く連想させる部分があります。
ただ、ここで考えてみたいのは、コンビという素材の組み合わせ自体が本当に古いのかということです。
ステンレスとゴールドを組み合わせるという考え方そのものは、別に古くなったわけではありません。
それなのに、一度は「昔っぽい」と感じられ、今改めて見ると逆にカッコよく、爽やかに感じることがあります。
今回は、なぜコンビ素材の腕時計にそうした印象の変化が起きるのか。
そして、コンビの腕時計を見る時に本当に見るべき部分はどこなのかをベルモントルの妹尾さんと一緒に見ていきましょう。
コンビ素材そのものが古いのではなく、「ある時代の象徴」になりすぎた
まず最初に考えたいのが、なぜコンビの腕時計を見ると「昔っぽい」と感じることがあるのか?ということです。
私は、コンビという素材そのものが古くなったわけではないと思っています。
私はバブルの時代に生まれてはいましたが1989年生まれなので、その時に終わったんですよね。
なので、その時代背景が分からないのですがお客様と話している時には、定期的にこのこの時代にはロレックスのコンビを誰もが持ってたんですよぉ。って話を伺います。
例えば大体のモデルはステンレスのケースに、イエローゴールドのベゼルで、ブレスレットも外側はステンレスで、中央だけゴールド、場合によってはリューズにもゴールドが使われているみたいなスタイルですよね。
こういうデザインを見ると、「昔の高級腕時計」というイメージを持つ方もいらっしゃることでしょう。
こんなイメージを持つのは、デザインそのものが悪いからではありません。
単純に、前述した通りその時代によく見たデザインだからです。
例えば昔の車や服装でも、特定の色や形を見るだけで「これは何年代っぽい」と感じることがありますよね。
ネットフリックスのファッションを見ても全裸監督とか、地獄に落ちるわよとか、極悪女王とか『あ〜この頃って確かにこんな感じだったんだろうなぁ』って、生まれてない私が見ても懐かしい気持ちになりますからね。
確か極悪女王の斎藤工さんは、ロレックスのコンビをしてたと思うんですよね。
話を戻しまして、これは腕時計でも同じことが起きます。
コンビというデザインが、その時代の高級感を象徴するほど多く使われた結果、後の世代から見ると素材そのものではなく、「その時代の記憶」まで一緒に見えるようになったわけです。
ここはヴィンテージ腕時計を見る時にも非常に奥深い部分です。
今見ると古く感じるデザインでも、作られた当時は古かったわけではありません。
当時はむしろ新しく、高級感のある選択だったものが、時間が経つことで特定の年代を象徴するデザインになっていきます。
つまり、私たちが「古い」と感じているものの中には、本当にデザインそのものが古い場合と、単純にその時代の印象が強く残っている場合があります。
コンビの腕時計は、後者の要素がかなり大きいと思います。
だから、単純にその時代の印象が強く残っているだけってことですね。
例えばロレックスのデイトジャストは分かりやすいですね。
コンビモデルは長い間作られてきています。
それだけ長く続いているということは、ステンレスとゴールドの組み合わせそのものが一時的な流行だけで成立していたわけではないということです。
ただ、ある時代にそのイメージが非常に強くなったから、後になって「昔の腕時計」という印象が先に立つようになったんですね。
ですからコンビの腕時計を見る時は、
「昔っぽい組み合わせ」なのではなく、「昔の記憶が強く付いている素材の組み合わせ」
と考えると、かなり見え方が変わってくると思います。
というか、ヴィンテージのコンビって風情があって普通にかっこいいですからね。
ヴィンテージを愛用してる方なら、そうそう!って感じだと思いますが、まだ見たことなくてイメージが先行されてらっしゃる方は一度見てみたら、意外に良いじゃん!って気持ちになるはずですよ👍
では次に、コンビが一度敬遠されたのは、「高級感の見せ方」が変わったから!という内容で解説して参ります。
コンビが一度敬遠されたのは、「高級感の見せ方」が変わったから
では、なぜそのコンビが一度少し敬遠されるようになったのでしょうか。
ここには、高級腕時計に求められる見え方の変化も関係していると思います。
コンビというのは、非常に分かりやすいデザインです。
ステンレスの中に金色が入るので、一目見ただけでもオールステンレスとは違います。
つまり、
「普通のステンレスモデルではありません」
ということが外から見ても伝わりやすいんですね。
これは高級感を表現する方法として非常に分かりやすいですよね。
ところがその後、ステンレスだけで構成された高級スポーツウォッチが非常に強い存在になっていきました。
ステンレスなのに高級で高価って価値観です。
それらは金色を使わず、シンプルな外観のまま価格やブランド価値を成立させる腕時計が増えていきます。
そうなると、高級感の表現方法そのものが変わってきます。
以前であれば、
「金が入っているから高級」
という見え方が分かりやすかったんですよ。
ところが徐々に、
「金色を使わなくても高級なものは高級」
という感覚が広がっていきます。
そうすると、コンビの分かりやすい金色が、逆に少し前の時代の表現に見えるようになることがあります。
ここで重要なのは、コンビの質が落ちたわけではないということです。
腕時計そのものが急に悪くなったわけでもありません。
高級感をどう見せるのかという価値観の方が変わった・・・・
私はここが大きいと思います。
例えばオールステンレスのスポーツウォッチが強く支持される時代になると、ゴールドが入っていること自体が少し強く見えることがあります。
逆にホワイトゴールドやプラチナのように、外からは分かりにくい貴金属が好まれる方向にも裾野が広がります。
つまり高級品の価値が、
「誰が見ても分かること」
から、
「分かる人には分かること」
へ少しずつ広がっていったわけです。
その中で、ステンレスとイエローゴールドをはっきり見せるコンビは、少し前の時代の高級感の見せ方に感じてしまうわけです。
だからコンビが古く見えた理由は、素材が古くなったからではありません。
コンビが表現していた「高級感の見せ方」が、一度時代の中心から外れた。
こう考える方が分かりやすいと思いますね。
それでは次に、ではなぜ今見るとコンビが逆に新鮮に見えるのか?という内容で解説して参ります。
ではなぜ今見るとコンビが逆に新鮮に見えるのか?
今日の話で1番大事なところがここですね。
一度「昔っぽい」と感じるようになったコンビを、時間が経ってから改めて見ると、今度は逆に魅力的に見えることがあります。
なぜこんな現象が起きるのか。
私は、コンビを「高級感を分かりやすく見せるための素材」としてではなく、デザインとして見られるようになるからだと思います。
要するに、時間が経つことで高級に見せるという役割からデザインという役割に変わるんですね。
例えばオールステンレスの腕時計であれば、基本的にはケースもブレスレットも白い金属です。
オール金無垢であれば、腕時計全体が金色になります。
コンビはそのどちらでもありません。
白い金属と金色の金属が、一つの腕時計の中に同時に存在します。
つまりコンビには最初から、色と素材のコントラストがあります。
ここを単純に「金が入っているから豪華」と見るのではなく、「どこに金を置いて、どこをステンレスとして残しているのか?」
と見ると、デザインがかなりかっこいいんですよね。
例えばロレックスのコンビであれば、ベゼルやリューズ、ブレスレット中央にゴールドを使うことで、腕時計の中心に金色のラインができます。
一方、サントスのコンビを見ると、スクエアケースの中でゴールドのベゼルやブレスのビスのゴールドがアクセントになります。
同じステンレスとゴールドの組み合わせでも、ブランドによって使い方が全く違うんですよね。
ここまで見ると、コンビは「素材が二種類使われている腕時計」ではなくなります。
これは
2つの色を使って腕時計全体のデザインを作っている!
という見方ができるようになります。
そして時間が経つことで、当時の「分かりやすい高級感」というイメージが少し薄れてくると、今度は純粋にこのデザインを掴むことができます。
要するに、昔っぽいでろうバイアスを外して一歩引いた状態で見ることが出来るんですね。
だからサントスなんては、若い方に購入していただくことが多いのですが、そもそも私みたいにその頃の記憶がないから、バイアスが0の状態なんですよね。
よって純粋な気持ちでコンビの腕時計を評価できるのではないかなぁと考えております。
では次に、コンビが再評価される時、見られているのは「金の量」ではなくデザイン!という内容で解説して参ります。
コンビが再評価される時、見られているのは金の量ではなくデザイン
では最後に、コンビ素材の腕時計を見る時に、どう捉えたらもっと魅力的に見えるのか?という話をしていきます。
ステンレスとゴールドを組み合わせれば、それだけで良いデザインになるわけではありません。
むしろコンビは2つの色を使うので、バランスが非常に重要です。
ゴールドの面積が大きくなれば、当然金色の印象は強くなります。
逆に金を使う場所を限定すれば、ステンレスを基本にしながら部分的なアクセントとして見せることができます。
つまり同じコンビでも、
「金をどれだけ使っているか」より「金をどこに使っているか」
の方が重要なんですよね。
例えばベゼルだけゴールドなのか。ジェラルドジェンタのインジュニアとかですね。
ブレスレット中央までゴールドなのか。サントスのゴドロンブレスとかですね。
文字盤までシャンパン系にするのか。デイトジャストの4桁とかですね。
この違いだけで、同じコンビでも見え方はかなり変わります。
そして、この見方をするとブランドごとの考え方も見えてきます。
ロレックスのコンビには、ロレックスなりの使い方がありますし、カルティエのコンビには、カルティエなりの使い方があります。
単純に高価な素材を足しているのではなく、元々持っているケースやブレスレットのデザインの中に金をどう入れるかを考えているんですね。
私は、今コンビ素材を魅力的に捉える力はここにあると思っています。
昔は「ステンレスより金が入っているから豪華」という見方が強かったかもしれません。
でも今改めて見ると、それだけではないんです。
むしろオールステンレスでもなく、オール金無垢でもないからこそ作れるデザインがあります。
ステンレスだけでは出ない色の変化があります。
金無垢だけでは出ないコントラストがあります。
二つの素材が同じ腕時計の中にあるからこそ、ケースの輪郭やブレスレットの構造まで分かりやすく見える場合もあります。
そしてこれは、コンビを評価する時にかなり大事なことだと思います。
「コンビがまた流行っているから良い」
という話でもありません。
流行はまた変わります。
今後オールステンレスがさらに強くなるかもしれませんし、金無垢が強くなるかもしれません。
ただ、そうした流行とは別に、
コンビという素材の組み合わせそのものに、デザインとしてのそのブランドの哲学が含まれています。
だから、この哲学の共鳴とかもすごく大事ですよね。
ロレックスのコンビはいいけど、カルティエのコンビはちょっとねぇ・・・って方もいらっしゃると思いますし、その逆もあると思います。
でもこれまた面白いことに、片方を受け入れることができたら他のも受け入れることができるんですよね。
ここに気づくと、昔の腕時計全体を見る時の印象もかなり変わります。
昔のコンビモデルを見て、
「これは古いデザインだから」
触らない・・・で終わらせるのではなく
なぜここをゴールドにしたのか。とか
なぜここはステンレスのままなのか。とか
なぜこのブレスレットの中央だけ色を変えたのか。とか
そうやって見ていくと、当時のデザイナーが素材をどう使って腕時計の形を作ったのかが見えてきます。
まぁ、別にそこまで考えなくても全体像を見ただけで凄く風情があってかっこいいですからね。
ですので、コンビ素材の腕時計は一度古く見えて、また評価されるというより、
コンビ自体が古くなったわけではなく、一度その時代のイメージに隠れていたデザインの奥深さが、もう一度見えるようになった。
そう考えると、もっと自分の腕時計を選ぶ幅を広げることが出来ると思いますよ✨
腕時計というのは本来、値段やブランド名だけでは、その一本が本当に納得できるかどうかは、決まらないんですよね。
その一本が持つ背景まで見えてきたときに、初めて「これだ」と思える自分の一本に出会えるんですよね。
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