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Article: CARTIER サントスデュモンLM エクストラフラット Ref.821054の魅力解説

CARTIER サントスデュモンLM エクストラフラット Ref.821054の魅力解説

動画でご覧になる方はこちらから⬇️

この記事では、カルティエのサントスデュモンLM エクストラフラット Ref.821054の魅力を解説していく動画となります。

一見するととてもシンプルな時計ですが、この一本には「最後に選ばれる理由」があります。

ヴィンテージサントスのスポーツモデルは大人気ですが、その上位互換に当たる今回のデュモンはやはり格が違います。

なぜ今もサントスは選ばれ続けるのか、そしていろんな種類のあるサントスでも、なぜこのモデルは特別なのか。

そこら辺を、できるだけ分かりやすくお話ししていきます。

 

同年代に作られていたサントスカレ/ガルベとは何が違うのか?

まず初めに、同じサントスの中でも同年代に作られていた「サントスカレ」や「サントスガルベ」との違いについてお話ししていきます。

今回の個体は1995年に製造されたものなので、厳密にいうとガルベ時代と被りますので、それと比較して話を進めていきますね。

サントスガルベは、1987年代に登場したスポーツモデルで、現在一般的にイメージされるサントスの形にかなり近い存在です。

ちなみに、サントスのスポーツモデルはサントスデュモンの派生系であり、原型はデュモンの方が先です。

ブレスレット一体型のデザインや、スポーティーさを感じる外観から、日常使いのしやすさという点で多くの方に選ばれてきました。

現行型との違いは、ベゼルの部分が繋がっているか、真四角か、くらいで現行型の始祖と呼んでいいと思います。


詳細については、こちらの歴代サントス進化論の中で解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧下さい⬇️

話を戻しまして、今回ご紹介しているサントスデュモンは、よりクラシックな流れを汲んだモデルです。

もともとの原点である「ドレス寄りのサントス」という位置付けに近く、ブレスレットではなくレザーベルトが基本となっています。

この時点で、ガルベとは用途や役割が大きく異なります。

また、ケースの作りや全体の印象にも違いがあります。

基本的にかなり薄いんですが、デュモンと比較すればガルベはある程度の厚みとボリュームがあり、手元での存在感がしっかり出るモデルです。

それに対してデュモンは、より薄く、軽やかで、腕に自然に馴染むような作りになっています。

感覚的には厚さは半分くらいで本当に激薄です。

主張するというよりも、全体のバランスに溶け込むような印象で、ある程度袖口を絞ってる洋服でも袖の中に入ってしまうと思います。

この違いは、タンクをイメージしていただくとより分かりやすいですよね。

現行型で言えば、タンクマストがあるんですがこれは素材は全部ステンレスで、カルティエの時計いいなぁ・・・・って思った人が導入として手にすることが出来るモデルです。

そして、その上位互換にタンクルイがあるんですがこれは貴金属モデルしか存在せず、より高級で特別なモデルという位置付けになっております。

よって、ガルベは「完成された日常時計」であるのに対して、デュモンは「原点に近い富裕層のサントス」であるという点です。

この立ち位置の違いが、そのまま選ばれ方の違いにもつながっています。

つまりサントスガルベとサントスデュモンは、同じサントスでありながら、用途も魅力も異なるモデルです。

では次に、搭載されたフレデリック・ピゲ社製 Cal.21の凄み!という内容で解説して参ります。

 

 

搭載されたフレデリック・ピゲ社製 Cal.21の凄み!

サントスデュモン-エクストラフラット-フレデリックピゲ社製Cal.21搭載

サントスデュモン エクストラフラット Ref.821054の「Extra Flat」は英語で、「非常に薄い」という意味になります。

実際にそのままの意味で激薄です。

ノギスで測ってみたのですが、厚さは4.35mmしかありませんでした。

これまではデカ厚が評価されていましたので、見た目の「派手さ」や「大きさ」が注目されて来ましたが、薄型は時計製造技術の結晶であり、その価値の本質は、内部に搭載されているムーブメントにあります。

このモデルに使われているのが、フレデリック・ピゲ社製のCal.21です。

フレデリック・ピゲは、いわゆるムーブメント専業メーカーで、表に名前が出ることは少ないものの、ブレゲやオーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンといったブランドにも供給してきた実績を持っています。

詳細についてはこちらの『スウォッチグループのブランパンを甦らせる【フレデリックピゲ】の歴史と代表ムーブメント解説』の中で詳細に解説しておりますので、気になる方はご覧ください⬇️

話を戻しまして、つまりこのムーブメントは、単なる外注ムーブメントではなく、時計としての中身をしっかりと支えるための選択として使われているものです。

そしてこのCal.21の最大の特徴は、「薄さ」にあります。

エクストラフラットという名前の通り、この時計は非常に薄い作りになっていますが、それはケースだけの話ではなく、ムーブメント自体が薄いことで初めて成立しています。

ここが重要なポイントで、この時計は「薄く作られている」のではなく、「薄いムーブメントを前提に設計されている」時計です。

一般的に薄型ムーブメントは、パーツが小さく繊細になりやすく、扱いが難しくなる傾向があります。

ただフレデリック・ピゲのムーブメントは、その薄さを保ちながらも、実用性とのバランスがしっかり取られています。

過度に精度だけを追い込むのではなく、長く安定して動くことを前提とした設計になっているため、日常使いの中でも無理なく使い続けることができます。

また、仕上げの面でも特徴があります。

こちら実際に今回のデュモンに搭載されているムーブメントをご覧ください⬇️

サントスデュモンLM エクストラフラット Ref.821054に搭載されているムーブメント フレデリックピゲ社製Cal.21全体にダブルCのエングレーヴィングが施してありますが、派手な装飾ではなく、全体として整った印象を持つムーブメントで、見えない部分に対しても丁寧に作られていることが分かります。

この「静かな完成度」は、この時計全体の印象にも通じています。

つまりこのRef.821054は、見た目の美しさだけで成立している時計ではありません。

内部にしっかりとしたムーブメントがあるからこそ、この薄さと装着感が実現できています。

前述した通り、こちらは高級機に分類されるために見えない部分であるムーブメントにも、しっかりと手が込んでいることが分かりますよね。

カルティエというブランドの外側と、フレデリック・ピゲという中身。

この組み合わせによって、この時計は初めて完成していると言えるのです。

ちなみに、Cal.21の後ろにMCという刻印が入っていますが、これはマニュファクチュールカルティエの頭文字のMCです。

どういうことかと言いますと、フレデリックピゲから納品されたムーブメントにカルティエは自社で調整と装飾を施します。

するとこれはフレデリックピゲ社製のムーブメントではなく、カルティエ社製のムーブメントという事になります。

よって、カルティエはムーブメントも自社で作ってるんだよ!ってのをアピールするために、あえて最後にMCを入れているんですね。

このカルティエと自社製ムーブメントについては、こちらの「ムーブメントを作れないカルティエの腕時計は2流なのか?」の中で詳細に解説しておりますので気になる方はご覧ください⬇️

では次に、他のデュモンであるRef.78225との違い!について解説して参ります。

 

サントス デュモン Ref.78225との違い

ではこちらの画像をご覧ください⬇️

カルティエ サントスデュモン LMサイズ 18K Deux Ors/ドゥオール Ref.78225と右がRef.821054

同じサントスデュモンのファミリーでありながら、この2本は「何を以てヴィンテージサントスの価値とするか」という問いへの、全く異なる回答です。

Ref.78225が体現するのはオリジナルへの忠実さです。

18Kイエローゴールド、手巻きCal.78-1、25×36mmという仕様は1904年の原型に最も近く、ローマ数字・レイルロードミニッツトラック・ブルー剣先針という文字盤構成も原型にかなり近しく作られています。

一言で表すのであれば装飾的な主張はなく、むしろその静けさが凄みになっている時計です。

対してRef.821054が語るのは時計師の技術的野心です。

フレデリック・ピゲCal.21搭載による総厚4.35mmという超薄ケースは、78225より薄いです。

また、文字盤はギョーシェ彫りの装飾が施してあり、光を纏ったような奥行きのある重層的な美しさが生まれています。

その結果、文字盤を単なる情報表示面ではなく工芸品として成立させています。

素材は同じ18Kイエローゴールドでも、821054はその内側に「薄さ」と「ダイヤル工芸」という二重の主張を秘めています。

これらの違いを私の感覚で表現するのであれば、78225はカルティエというブランドの来歴・哲学・正統性に共鳴する人が選ぶ時計であり、821054は工芸的希少性や時計としての技術的達成に価値を見出す人が選ぶ時計です。

前者は「歴史を手首に巻く」感覚、後者は「見えない技術を纏う」感覚とも言えますね。

これらはどっちが上か下の話ではなく、自分だったらどっちの方を着用したいか。

という感性の部分で選ぶ事になります。

ちなみに私は、どっちも最高傑作なのでどっちも扱います。

では次に、保証書の重要性について解説して参ります。



保証書が残っているという奇跡

ここでは、この個体に保証書が残っていることの意味についてお話ししていきます。

ヴィンテージウォッチにおいて「保証書付き」という言葉はよく使われますが、その価値がどこにあるのかは、意外と正しく理解されていないことも多いです。

まず分かりやすい部分として、保証書はその時計がいつ、どこで販売されたのかを示す情報になります。

製造年ではなく「販売されたタイミング」が分かるという点は、その個体の背景を知る上で一つの手がかりになります。

ただ、それ以上に重要なのは、その時計がどのような状態で残ってきたのかを推測できる材料になるという点です。

保証書が残っている個体は、長い年月の中で一定の管理がされてきた可能性が高く、所有者が変わる中でも大切に扱われてきたケースが多いです。

もちろん、保証書があるからといって状態が必ず良いとは限りません。

ただ、何も情報が残っていない個体と比べると、その時計に対する扱われ方の「丁寧さ」を感じやすい要素ではあります。

前述した通り、断定することは出来ないのですがこれまで私が見てきた保証書がある商品は、他の個体と比較してコンディションが良い傾向になります。

また、将来的な視点で見ても、付属品が残っている個体は評価されやすい傾向があります。

説明するまでもありませんが時計そのものだけでなく、その背景や履歴も含めて価値が見られるようになるためです。

今でこそ、腕時計は資産としての側面で見られるようになりましたが、1995年なんてのは、まだまだ時計も安かったですし、資産として見られるという文化はありませんでしたからね。

そんな背景であるにも関わらず、保証書が残っているというのは、いかにそれが大切に扱われて来たかが分かる大切な証拠なんですよ。

ただしここで注意しておきたいのは、保証書の有無だけで判断するべきではないという点ですね。

あくまで重要なのは時計本体であり、状態やバランスが最優先です。

もちろん、この個体も皆様に自信を持ってお勧めできるコンディションを保っています。

その上で保証書が残っているのであれば、それは一つのプラス要素として捉えるのが自然です。

つまり保証書は、「価値そのもの」ではなく、「価値を補強する要素」なんですね。

この視点を持っておくことで、単なる付属品としてではなく、その個体の背景を含めて理解できるようになると思いますね。

 

 

実際に着用してみてのレビュー

まず前提として、時計における「薄さ」は単なるスペックではありません。

実際に着けたときの印象や使い心地に直結する要素です。

特にサントスのようなスクエアケースの時計は、厚みがあると存在感が強く出やすく、良くも悪くも主張がはっきりします。

その点でエクストラフラットは、ケースの厚みが抑えられていることで、手元に非常に自然に馴染みます。

ケースサイズは、27 x 36mmでありシャツの袖口にも収まりやすく、引っかかることも少ないため、日常の中でストレスを感じにくい作りになっています。

見た目としても、同じサントスであってもより洗練された印象を受けます。

また、薄い時計は「洗練された」とか「上品な」という印象を与えます。

厚みがある時計は安心感や存在感を感じやすい一方で、どこか重たさが出ることがあります。

それに対してエクストラフラットは、必要な要素だけを残して削ぎ落としたような、非常にシンプルでクリーンな印象です。

造形の美しさで魅せるモデルなんですよね。

パテックのステンレスモデルのところでも話しましたが、サテン仕上げと鏡面仕上げの切り替えが非常に素晴らしいです。

ケース表面はサテン仕上げで、ベゼルの部分は鏡面仕上げです。

ですがパテックと違うのは、文字盤がギョーシェかそうじゃないかです。

ギョーシェなので、文字盤の光の当たり方で見えにくくなるというのはあまりありませんでした。

さらに言ってしまえば、ギョーシェ彫が煌びやかに輝いてくれるので、ヴィンテージらしい温もりや高級感を感じさせてくれます。

よって、時計を全体的に俯瞰して見た時に、中央はしっかりと華やかに美しく演出してくれるものの、その周りがサテン仕上げになっているために、しっかりと締まりがあり、工芸と薄さで語れる一本であると表現できます。

そして、ここが重要なポイントで、エクストラフラットは「分かりやすい良さ」ではなく、「分かる人に刺さる良さ」を持っています。

最初からこれを選ぶというよりも、いろいろな時計を見てきた中で、「最終的にこれがちょうどいい」と感じて選ばれるケースが多いモデルです。

ですので、もうサントスカレも持ったし、他の高級モデルも着用してきたし、色々巡って来たけど、最終的にはこれくらいのサイズで、このシンプルな美しさがいいよねぇ・・・・ってなる。

そんな最終到達地点の腕時計なんですよね。

つまり厚みのあるモデルが「安心して選べる腕時計」だとすれば、エクストラフラットは「選び切った後に辿り着く腕時計」とも言えますね。

 

 

なぜこの時計は、最後に選ばれるのか?

ここまでお話ししてきた内容を踏まえて、最後に「なぜこのRef.821054が選ばれるのか」という点について整理していきます。

まず前提として、この時計は「分かりやすい良さ」を持ったモデルではありません。

見た目の華やかさや、強い存在感で惹きつけるタイプではなく、非常にシンプルで、静かな印象を持った一本です。

だからこそ、この時計は最初に選ばれることは少ないです。

むしろ、いくつかの時計を見てきた中で、「ちょうどいい」と感じて選ばれるケースが多いモデルです。

例えば、ある程度存在感のある時計を試してみて、少し主張が強いと感じたとき。あるいは、もう少し自然に馴染む時計を探しているとき。そういったタイミングで、このエクストラフラットの良さが見えてきます。

厚みを抑えたケース、無駄のない構成、そして腕に乗せたときの軽やかさ。こうした要素は、最初は気づきにくいですが、実際に使っていく中でじわじわと実感されていきます。

取り回しの良さは、腕時計の歴代モデルの中でもベスト10に入るくらい着用してる感覚がありませんからね。

また、見た目の情報量が少ない分、その人の装いや雰囲気に自然と馴染むという特徴もあります。時計が主役になるというよりも、全体のバランスを整える存在として機能するため、結果として長く使われる一本になりやすいです。


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