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Article: 経年劣化が生み出す美しい文字盤【スパイダーダイヤル】の魅力はどこにあるのか?

経年劣化が生み出す美しい文字盤【スパイダーダイヤル】の魅力はどこにあるのか?

こんにちは、ベルモントルの妹尾です😊

本日の動画では、経年劣化が生み出す美しい文字盤【スパイダーダイヤル】の魅力はどこにあるのか?

という内容でお話しして参ります。

ヴィンテージウォッチの世界では、通常の劣化やダメージとは違い、時計愛好家にとって非常に魅力的に映るものがあります。

そのひとつが「スパイダー文字盤」です。

経年劣化の色味や形というのは、それを作ろうと思って作れるものではありません。

それこそ経年が生み出す1つの芸術です。

誰もが美しいと感じるわけではないと思いますが、ヴィンテージウォッチを愛する方であれば、きっとこの魅力が分かって頂けると思いますので、是非とも最後までお付き合いくださいませ。

インスタも頑張っておりますので、そちらもフォローして頂けると幸いです。

 

それでは早速やって参りましょう!

 

 

 

腕時計のスパイダー文字盤とは?

「スパイダー文字盤」とは、経年劣化によって文字盤の表面に細かいひび割れが生じ、まるでクモの巣のような模様が広がったものを指します。

このように蜘蛛の巣のように見えることから、スパイダー文字盤と言われてるんですね。

ぱっと見でその現象が見られるものもありますが、ほとんどの場合は光の当たり具合や、角度を変えた時にその現象が見られ、世界的にも「偶然が生み出したアート」として高く評価されることがあります。

この現象がよく見られるのは、1980年代頃のロレックスやオメガのスポーツモデル、特にサブマリーナやエクスプローラーなどで見かけることが多いですよね。

また、パテック・フィリップやIWCなどのドレスウォッチにも、ごくまれにスパイダー文字盤が現れることがあります。

ちなみに今回、映像で流れてるのがサントスガルベのバーガンディ文字盤ですね。

1980年代に製造されているものです。

ではなぜこれらの時計は、このような現象が発生するのかを解説していきますね。

 

 

なぜスパイダー文字盤になるのか?

スパイダー文字盤が生まれる主な原因は、コーティングの経年劣化です。

1980年代頃に製造された時計の文字盤には、ラッカー仕上げのコーティングが施されていました。

土台は基本的には真鍮が使用され、その上からラッカー塗料を吹き付けていきます。

そういった塗装関係の意味が分かる方なら、なんとなくイメージできると思うんですが、バーガンディの色を出すためには、その色をダイレクトに吹き付けるわけではありません。

まず真鍮のベース素材の上に、プライマーという塗料を塗ります。

これでその上に吹き付ける塗料が乗っかる準備が出来た状態なんですね。

いきなり、その塗料を吹き付けてもすぐに剥がれてしまうので、しっかり乗せるためのプライマーってことです。

そこからバーガンディの色で吹き付けを行い、そこから次に保護コーティングって言って、透明の塗料を吹き付けます。

これがあることで、文字盤が艶やかで美しい光沢のある文字盤に変わるんですね。

例えば、車でもゲレンデとかで良く見かけるんですが、マットな車とかたまーにあるじゃないですか。

あれって、最後にクリアっていう塗料を塗るんですが、その工程を省くからあんな感じのマットな質感になるんですよね。

一応その上から、別の塗料を塗っていると思われますが、そんな感じで保護コーティングをしていないので、色が抜けるのも早いと思われます。

では話を文字盤に戻しまして、このコーティングが長年の間に縮み、細かいクラック(ひび割れ)が入ることで、クモの巣状の模様が浮かび上がるのです。

また、温度や湿度の変化、紫外線の影響もスパイダー化を促す要因とされています。

ほんなら、なんで温度や湿度の変化、紫外線の影響で割れるのか?って疑問が生まれるのですが、これは収縮率の違いです。

ポーセリンダイヤルも同じような原理なので、そのままこれからの話を聞いてみてください。

分かりやすいように、貫入を例に挙げるのですがこんな感じの、表面が割れたように見える、皿とかコップって1度は見たことがあると思います。

これが貫入なのですが、この作られ方って下地は磁器って言って、白い石を砕いて作ったもので出来ています。

正式に言えば、カオリンってのを使ってるんですがここは覚えなくていいです。

ここまでで一旦900度くらいで焼いて、収縮させます。

そして収縮した後、その上から、ガラス質の釉薬っていうこれまた保護コーティングの役割をする液体にドボンって落としたり、塗ったりするんですよね。

そして、もう一回1400度の窯に入れて焼き締めを行い、土台の磁器に釉薬が引っ付くって原理なんですね。

基本的には、ポーセリン文字盤もこの原理で作られています。

そして、このような工程で作られた商品というのは販売されているその時点では、光沢があって艶やかな状態で販売されています。

では何が原因で、あんな風に割れたように見えるのかと言いますと、これがさっき出てきた温度や湿度の変化です。

我々ではそれが呼吸してることは、到底分かりませんが湿気を吸って吐いて、ってのを一応やっています。

ポーセリン文字盤もラッカー文字盤も同じ原理です。

ラッカー文字盤の場合を話すと、金属である真鍮も同じように吸って吐いてをやってくれればいいのですが、真鍮はそこまで吸って吐いてをしなくていいです。

その反面、ラッカーの方では結構吸って吐いてをしないといけないから、この伸縮率のずれによってクラックが発生するのです。

そのラッカー塗料というのも、最初はしっかりと柔軟性があって、バシッと真鍮に乗っていたとしても、温度が上がっては下がって、湿度が上がっては下がってのように、吸って吐いてを何十年も経験していくうちに、柔軟性が下がりその部分が、クラックとして表面に出てくるということなのです。


     

    スパイダーダイヤルの価値は?

    ではそんなスパイダー文字盤なのですが、これはどのように評価されるのでしょうか?

    一般的に、オリジナルの状態を保ち、均一で美しいクラックが入った文字盤は高評価され、プレミア価格が付くこともあります。

    冒頭でお話しした通り、元々このスパイダーダイヤルが評価されるきっかけになったのが、ロレックスのサブマリーナやエクスプローラーのクラックであり、このクラックが美しいということで1つのジャンルが確立しました。

    よって、人気モデルにスパイダー文字盤があると、通常の個体よりも希少性が高まり、コレクターズアイテムとして価値が上がる傾向があります。

    ただし、クラックが不均一であったり、劣化が進みすぎて視認性に影響がある場合は、価値が下がることもあります。

    そのため、スパイダー文字盤を購入する際は、バランスの取れたひび割れ具合をしっかりチェックすることが重要です。

    今回のサントスカレのバーガンディは、均一にクラックが入っているために希少な個体として分類していいと思いますね。





    スパイダー文字盤ってどんな人におすすめ?

    スパイダー文字盤は、通常のラッカー仕上げとは異なる独特のエイジング(経年変化)を楽しめることから、以下のような方に特におすすめです。

    まず、ヴィンテージウォッチの個性やストーリーを楽しみたい方、もっというとこの魅力を理解できる方にとって、スパイダー文字盤は非常に魅力的な選択肢です。

    スパイダー文字盤のこの現象は、すべてのラッカー文字盤に起こるわけではなく、特定の時期や環境でのみ見られるため、まさに“時の芸術”ともいえる一本となります。

    よって、時計に個性を求め、単なる道具ではなく歴史やストーリーを感じたい方には、特におすすめです。

    また、コレクターや投資目的で時計を購入する方にとっても、スパイダー文字盤は魅力的な選択肢の一つです。

    一般的に時計の価値は、オリジナルの状態が保たれていることが重要視されますが、スパイダー文字盤のような特殊な経年変化は、むしろ希少性が高まり、コレクター市場での価値が上がるケースもあります。

    特に、ロレックスのスポーツモデル、今回のサントスカレのバーガンディ文字盤などでは、スパイダー文字盤が希少なバリエーションとして注目されており、通常の文字盤とは違った価値を持つことになります。

    さらに、一点ものの個性を楽しみたい方にもぴったりです。

    同じモデルでも、スパイダー文字盤の割れ方は一つとして同じものがなく、それぞれ異なる模様を持っています。

    そのため、「誰とも被らない時計を身に着けたい」「独特で美しいデザインのヴィンテージウォッチを探している」という方には、スパイダー文字盤の持つ唯一無二の魅力が響くでしょう。

    ただし、実用性を重視する方や新品の美しさを求める方には向かないですよね。

    スパイダー文字盤は、あくまで経年劣化の一種であり、人によっては「ヒビ割れたダメージ」と捉えることもあります。

    そのため、「綺麗な状態の時計を長く使いたい」「新品の美しさを維持したい」と考える方には、通常のラッカー文字盤やエナメル文字盤の方が適しているかもしれません。

    ちなみに、以前作った動画なのですが【サントスカレ/ガルベで国際永久保証書を使っても6万7380円請求された】話の中で、メーカーが交換しないといけないって言われたから致し方ないということで文字盤を交換しました。

    という内容の話をしたのですが、それを半分程度、もしくはサムネだけで判断されたんかもしれませんが、それを見た同業者から電話があってなんでか怒られました。

    その人が言うには、そんな簡単に交換してはいけない!

    みたいな言い方だったんですが、なんか動画で言ってたことがちゃんと伝わってないなぁと思いながら聞き流したんですけども、それだけ当時のものでなければならない。

    と考えている人も多いんだろうなぁ。

    って思いましたね。

     

    何度も言ってますが当時のものでも、交換されたものでも、その人が良いと思えばそれが正しいですし、人に価値観を押し付けてはいけません。

    腕時計はこだわりが強く出てしまうアイテムなので、そうなってしまう人も出てきて仕方のないことなのでしょうが、自分がそれを着用してて純粋に楽しめていれば私はもうそれだけで良いと考えております。

    これら全てを総じて、スパイダー文字盤は、ヴィンテージの魅力を深く理解し、経年変化を楽しみたい方やコレクターの方に特におすすめです。

    機械式時計の世界では、「完璧な美しさ」だけでなく、「時間が生み出す独特の味わい」を楽しむという価値観も重要視されます。

    そのため、スパイダー文字盤は、まさに「時間の経過が作り出したアート」として楽しむのにふさわしい一本と言えるでしょう。

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