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Article: 腕時計の購入は「予算内で妥協する」より「予算を上げて納得する」ほうがいい理由

腕時計の購入は「予算内で妥協する」より「予算を上げて納得する」ほうがいい理由

2本の時計が並んでて、本当はこっちが欲しいけど、これは予算外だから、見送るべきだろうなぁ・・・

まぁ、別に2番手も悪くないし、多分だけど妥協してるわけでもないから、こっちが正解だろう。

って思って買った腕時計がなんだかしっくりこない。

こんな経験ありませんか?

 

こんにちは、ベルモントルの妹尾です。

本日の動画では、「予算内で妥協する」より「予算を上げて納得する」ほうがいい理由、という内容で解説して参ります。

時計を探しているとき、予算というのは誰もが一度はハマるテーマでしょう。

「本当はあれが欲しいけど、予算オーバーだからこっちにしよう」という選択を、経験したことがある方は少なくないんじゃないかと思っています。

ただ長年この仕事をしていて感じるのは、予算内で妥協した買い物が長く手元に残るケースは、思っているよりずっと少ないということです。

そしてその逆に、少し予算を上げて納得した一本を選んだ方のほうが、結果として満足度が高く、長く大切に使っているケースが多いです。

今日はその理由を、具体的にお伝えして参ります。

ベルモントルは金曜と日曜がフリーオープンで、その他の日を予約制でご対応させて頂いております。

気になる商品がございましたら、そちらから予約をお願い致します。

弊社では、価格だけではなく背景や佇まいも含めて腕時計を選びたい方に向けて、公式LINEで一般公開前の新着商品や入荷予定品をご案内しています。

こうした商品選びに共感してくださる方は、概要欄から公式LINEのお友達登録をよろしくお願い致します。

それでは話を進めて参ります。

 

 

予算内で妥協するとはどういうことか?

まず「予算内で妥協する」という選択の正体から一緒に見ていきましょう。

時計を探しているとき、多くの方は最初にある程度の予算の上限を設定しますよね。

それ自体は当然のことで、何も問題はないと思っています。

問題が生まれるのは、その予算の範囲内で「本当に欲しいもの」が見つからなかったときに、「じゃあこっちでいいか」という選択をしてしまう瞬間です。

「予算内で妥協する」というのは、言い換えると「選んだ理由が、本当に欲しかったからではない」という状態です。

その時計のここが好きで、この背景に惹かれて、この佇まいが自分の感性と一致していて、という理由ではなく、「予算に収まったから」「似たようなデザインだから」「まぁこれでもいいか・・・」という理由で選んでいる。

その選択の起点が、時計そのものへの納得ではなく、予算という外側の制約になっているわけです。

これが後々どういう影響を及ぼすかというと、買った直後はそれほど気にならないんですよね。

手元に新しい腕時計が来た喜びがありますから、最初のうちは魔法がかかっていますし満足感があります。

ただその喜びが落ち着いてきた頃に、ふとした瞬間に「やっぱりあれが欲しかった」という気持ちが戻ってくることがあります。

もっと言ってしまうと、なんで俺これ買ったんだろう・・・・と急に冷めた気持ちになってしまうものです。

これは意志の弱さとか、贅沢とか、そういう話ではなくて、選んだ理由が自分の本音と一致していなかった結果として、自然に起きる現象なんですよね。

もう少し具体的に話すと、妥協して選んだ時計というのは、手首に巻くたびに微妙な違和感が残り続けることがあります。

この時計は嫌いではない、良い時計だということも分かっているんだけども、どこかしっくりこない。

その「しっくりこない」感覚の正体は、選んだ理由が本音ではなかったことへの、自分自身の正直な反応なんじゃないかと感じています。

時計屋としてお客さまと接していると、この経験をされてるお客様は大体9割はいらっしゃいますね。笑

 

だから、なんというかもう登竜門みたいなことなんでしょうね。

「前に買った時計があるんですが、なんとなく巻かなくなってしまって」という相談の中身を聞いていくと、いい周りは違いますが多くの場合、共通点がありまして、その時計を選んだ理由が「本当に欲しかったから」ではなかったことが見えてきます。

予算の都合、タイミングの都合、あるいはその場の雰囲気などなど。

そういう外側の理由で選んだ時計は、時間が経つほどに手首から離れていくことが多いと感じています。

 

では、もうちょっと深ぼって妥協した時計が手元に残りにくい理由と言う事について解説します。

 

妥協した時計が手元に残りにくい理由

では実際に、妥協して選んだ時計がなぜ手元に残りにくいのか、という話をしていきたいと思っています。

一番大きな理由は、「やっぱりあれが欲しかった」という気持ちが、時間とともに戻ってくることです。

妥協した時点では「これでいい!」と思っていたはずなのに、数ヶ月後、あるいは一年後に、最初に諦めた時計のことをまた調べている自分に気づきます。

そういう経験をされた方は、少なくないんじゃないかと思っています。

これは意志が弱いとか、欲深いとか、そういう話ではなくて、人間の審美眼というのは、自分が本当に納得したものをきちんと記憶していて、妥協という選択をしても、その記憶は消えないようになってるわけですよ。

それでそれがなくなった後に、それまで以上にもっとそれが欲しくなってしますよね。

更に、手元に妥協した時計があることで、「本当に欲しかったもの」との比較が日常的に起きてしまいます。

それが「やっぱりあれが欲しかった」という気持ちを強化していくんじゃないかと感じています。

そしてここが重要なんですが、この状態が続くと多くの場合、結局モヤモヤした時間がかなり長くなるか、もしくはもう一度買い直しが発生します。

妥協して買った時計を手放して、改めて最初に欲しかった時計、あるいはそれに近い時計を探し始めます。

つまりトータルで見ると、最初から予算を上げて納得のいく一本を選んでいた場合と比べて、出費が増えているケースがほとんどなんですよね。

この仕事をしていると、こういう買い直しのサイクルに入ってしまっている方を目にすることがあります。

一本買っては手放し、また買っては手放す。

一本一本の金額は予算内に収まっていても、そのサイクルを繰り返すことで、気づいたら相当な金額が動いています。

それならば最初から、少し背伸びをしてでも本当に納得のいく一本を選んでいたほうが、長い目で見て合理的だったということになります。

ただし、その売り買いを楽しむと言うのも1つの楽しみ方ですので、自分は飽きやすい性格なんだ。と言うのを理解して、売ったり買ったりしてるのであれば、それはそれで全然問題ないと思いますね。

いつも言ってますが、人の購買にあーだこーだ言っても、老害の説教みたいになってしまいますからね。

話を戻しまして、もう一つ付け加えると、妥協して買った腕時計は、愛着の育ち方が違うと感じています。

納得して選んだ時計は、使い込むほどに愛着が深まっていくんですよね。

傷がついても、それがその時計との時間の記録に見えてきます。

でも妥協して選んだ時計は、同じように傷がついたとき、どこかで「やっぱり違う時計にすれば良かった」という気持ちが顔を出しやすいです。

要するにモヤモヤした状態が続いてるから、ちょっとしたことがなんか違う・・・・ってなりやすいんですよね。

愛着というのは、選んだ理由の深さに比例しているんじゃないかと感じています。

納得して選んだ一本が長く手元に残り、妥協して選んだ一本が手元から離れていく。

この現象は、時計の良し悪しとはあまり関係がないんですよね。

妥協して選んだ時計が悪い時計だということではまったくなくて、その時計とその人の間に、最初から本音の一致がなかったということだと思っています。

これも男女の関係のように、付き合ってみないと分からない、って部分もありますし、特に深く考えることなく、まぁこれも経験だよね。

くらいに受け止めておくくらいでちょうどいいでしょうね。

ではここからが本題なのですが、次に予算を上げることへの心理的ハードル!と言う事について解説して参ります。

 

 

予算を上げることへの心理的ハードル

では実際に「予算を上げる」という選択が、なぜ難しいのかという話をして参ります。

多くの方が予算の上限を設定するとき、その数字には明確な根拠があるように見えて、実はそうでもないことが多いんじゃないかと感じています。

「100万円まで」「150万円まで」という上限は、自分の資産状況や生活への影響を慎重に計算した結果というより、「これ以上出すのはさすがに」という漠然とした感覚から来ているんじゃないでしょうか。

お客様によって、倍くらい値段の違う時計を見比べて高い方を選ばれる方もいらっしゃいますからね。

その「さすがに」という感覚の正体は、大きく分けて2つあるんじゃないかと思っています。

一つは、自分自身への罪悪感です。

これだけの金額を時計に使っていいのか、という問いですよね。

特に時計に理解のないご家族がいる場合、この罪悪感はより強くなりやすいと感じています。

「家族に言いにくい金額」という基準が、予算の上限になっているケースもあるんじゃないかと思っています。

この家族の形というのは、100組あれば100通りの主従関係がありますので、なんとも言えませんが、9割くらいはこちらの動画で喋ってる内容を実践して頂ければ綺麗に収まるはずなので、是非こちらの

なぜ既婚男性の65%は【精密機械】と【営業所留め】が好きなのか?

の動画もご覧ください⬇️

話を戻しましてもう一つは、失敗への恐れです。

予算を上げて買ったものが、もし自分の期待に応えてくれなかったとき、後悔の大きさも上がってしまいます。

だから安全圏の予算内に収めておこうという心理が働くわけです。

これは非常に自然な感情だと思います。

ただここで少し立ち止まって考えてほしいのは、「予算を上げることへの恐れ」と「妥協して買った後の後悔」を天秤にかけたとき、どちらのリスクが本当に大きいのか、ということです。

予算を上げて納得のいく一本を選んだ場合、その時計は長く手元に残る可能性が高いはずです。

結果として一本あたりの使用期間が長くなり、トータルで見たときのコストパフォーマンスは、むしろ良くなることが多いと感じています。

一方で予算内で妥協して、先ほどお話ししたような買い直しのサイクルに入ってしまうと、トータルの出費はむしろ増えていきます。

失敗への恐れを持つこと自体は自然なことですが、その恐れが「妥協という別の失敗」を生んでいるとすると、少しもったいない話だと思っています。

話は変わるんですけども、私は「人が死ぬ前に何に後悔するのか」ということをよく調べるんですけど、やはり「あれをやってこなかった」「これをやってこなかった」、あれらをやってたら、別の人生を歩んでたかもしれない。

ということに、死ぬ間際に後悔するらしいんですよね。

今回の(時計選びの)話も、それと近しいのかもしれないですね。

もう一つ正直な話をすると、腕時計の世界において予算を上げたときに広がる選択肢の質は、思っているよりずっと大きいと感じています。

たとえば100万円と150万円では、単純に50万円の差があるだけでなく、その価格帯に入ってくる時計のクオリティや希少性が、かなり違う次元に変わることがあります。

ヴィンテージ市場においては特にそれが顕著で、あと少し予算を伸ばすことで、それまで届かなかった本当に良い個体に手が届くようになることがあります。

だから予算の上限を設定するとき、その数字が本当に自分の状況を反映した根拠のある数字なのか、それとも漠然とした「さすがに」という感覚から来ているのかを、一度正直に問い直してみてほしいと思っています。

ある程度、自分が沼にハマってしまってることは既に理解してあるでしょうから、後はどれだけ自分からはまり込んでいけるかってとこでしょうね。

というわけで、次にここももうちょっと深ぼって予算を上げるべき場面と、そうでない場面という事について解説して参ります。

 

予算を上げるべき場面と、そうでない場面

ただここで一つ、正直にお伝えしておきたいことがあります。

すべての場合において予算を上げるべきだと言いたいわけではまったくないんですよね。

予算を上げることが正解になる場面と、そうでない場面があると思っています。

予算を上げることが合理的だと感じるのは、「この時計でなければならない理由」が自分の中に明確にある場合です。

たとえばある特定のモデルに長い時間をかけて惹かれてきた、そのブランドの歴史やムーブメントの背景まで理解した上で欲しいと思っている、実際に現物を手に取って確信が生まれた、という状態であれば、その「欲しい」という気持ちには十分な根拠がある状態といえます。

その根拠がある上での予算不足であれば、上げることを真剣に検討する価値があると感じますし、そこまで行ってしまうともはや手にして欲しいものです。

一方で、予算を上げることを少し立ち止まって考えてほしい場面もあります。

それは「なんとなく良さそう」「有名なブランドだから間違いないだろう」という理由で欲しいと思っている場合です。

この状態で予算を上げても、「選んだ理由の根拠が薄い」という本質的な問題は解決されていないので、金額が上がった分だけ後悔のリスクも大きくなってしまうんじゃないかと感じています。

もう一つ、予算を上げることよりも先にやるべきことがある場面があります。

それは「本当にこの時計が欲しいのか?」という問いに、まだ自信を持って答えられない段階です。

その段階で予算を上げることは、迷いを金額で解決しようとしているだけで、本質的な答えにはなっていないと思っています。

だからこそ予算を上げる判断をする前に、一度自分に問いかけてほしいことがあります。

その時計を選ぶ理由を、自分の言葉で説明できるかどうかです。

なぜこのブランドなのか、なぜこのモデルなのか、なぜこの個体なのか。などなど。

その問いに対して、納得のいく答えが出せる状態であれば、予算を上げることには十分な根拠があるはずです。

逆にその答えがまだ曖昧な状態であれば、先に時計との対話を深めることのほうが、予算を上げることよりも大切なんじゃないかと感じています。

では次に、これらを踏まえてのヴィンテージ時計市場における特殊性について解説して参ります。

 

ヴィンテージ時計市場における特殊性

ここまでの話は、腕時計全般に言えることですが、ヴィンテージ市場においては予算の考え方が現行品とは根本的に違います。

その点について、少し掘り下げてお伝えして参ります。

現行品の場合、気に入ったモデルがあれば基本的にはいつでも買えます。

今月予算が足りなければ来月にすればいい、という選択が成立しやすいです。

ですがヴィンテージは皆様ご存知の通り、そうではないんですよね。

同じ個体が再び市場に出てくるとは限らないですし、自分の好みに合った個体というのは、出会えたとしても次にいつ出会えるか分かりません。

この一点が、ヴィンテージにおける予算の考え方を大きく変えると思っています。

現行品であれば「予算内で妥協して、来年また考えよう」という選択が合理的な場面もあります。

まぁ、ここ5年は毎年10%ずつくらい上がってるので、一概に来年買えばいっか。とはいえませんが、それでもヴィンテージと比べればまだ予測が経ちます。

でもヴィンテージの場合、その「また考えよう」が通じないことが多いんですよね。

今日目の前にある個体が、自分の理想に近いものであれば、それを逃した後に同じ条件の個体に出会えるかどうかは、正直分からないんですよね。

しかも、これまた不思議なことに、自分が気になってるって思ってる時ってなぜか裏では他の人も一定数の人が同じように気になってることが多いじゃないですか。

それまでは何にもなかったのに、いきなりその個体について予約がまとまって入ることって結構ありますからね。

だからヴィンテージを探している方に対して私が思うのは、予算の設定を現行品と同じ感覚でやってしまうと、良い個体との出会いを何度も逃してしまう可能性があるということです。

「あと少し予算があれば」という後悔は、ヴィンテージの世界では特に起きやすいと感じています。

もう少し具体的な話をすると、ヴィンテージ市場では価格帯が少し上がるだけで、個体の質が大きく変わることがあります。

予算を少し抑えた結果として妥協した個体を選ぶと、その個体を手にするたびに「あのときもう少し出していれば」という気持ちが残りやすいんじゃないかと感じています。

しかもここ最近は、あの時もう少し出していれば・・・・のその個体が次の年には1.5倍とか2倍になってるパターンってのも珍しくはありませんからね。

ヴィンテージウォッチ市場においての買い物上手とは、いかに安いものを求めて探し回るよりも、それに出会えたということを理解し、それを手にする決断力の方が大切だと私は考えております。

 

今日お伝えしたことを簡単に整理します。

予算内で妥協した時計は、時間が経つほどに手元から離れていきやすいです。

一方で予算を上げて納得した一本は、長く手元に残り、愛着も深まっていくはずです。

トータルで見たときに、どちらが合理的かは明らかじゃないかと思っています。

ただ予算を上げることはあくまで手段であって、その前提として「この時計でなければならない理由」が自分の中にあることが大切です。


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