パテック フィリップを購入される方が、本当に買っているものは何なのか?
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では、パテック フィリップを購入される方が、本当に買っているものは何なのか?という内容で解説して参ります。
「パテック フィリップ」という名前を聞いたとき、どんな印象を持ちますか?
高級時計の頂点、一生モノ、資産価値がある!
そういうイメージが浮かぶ方が多いんじゃないかと思っています。
どれも間違いではないんですが、その言葉だけではパテックというブランドの本質が伝わりきっていないと感じることがあります。
長年この仕事をしていて、パテックを買っていかれるお客さまと話す機会が何度もありましたが、そういった方々との会話の中で、パテックを選ぶ理由というのは、他のブランドを選ぶ理由とどこか根本的に違うと感じています。
価格でも知名度でもなく、もっと本質的な何かに惹かれていらっしゃるようです。
今日はその「本質的な何か?」を、私なりに解説して参ります。
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それでは話を進めて参ります。
パテックフィリップを「高級時計の頂点」と呼ぶことへの疑問
パテック フィリップは高級腕時計ブランドの頂点は誰もが認めるところですが、ここにはちょっと疑問を持っています。
これはパテックが頂点ではないと言いたいわけではまったくないんですよね。
ただ「頂点」という言葉が、パテックの本質を少し違う方向に切り取ってしまっているような気がしていて、そこが引っかかっているんです。
「高級時計の頂点」という表現は、どうしても価格やブランドの序列の話になりやすいと思っています。
パテックはロレックスより高い、だから格上、というようなブランドの上下関係の文脈でパテックを語ってしまうと、パテックというブランドが本当に持っているものが見えにくくなるんじゃないかと感じています。
たとえばパテックと同じくらいの価格帯、あるいはそれ以上の価格のブランドや独立時計師の作品は、世界にいくつも存在します。
価格だけで語るなら、パテックより高い時計はいくらでもありますよね。
でもそれらとパテックを比較したときに、パテックには他のブランドとは少し違う種類の価値があると感じている方が多いと思っています。
その違いは何なのか、という問いが、今日の話の起点になっています。
もう一つ気になるのは、「資産価値がある」という語られ方です。
確かにパテックの時計は市場での価値が安定していますし、モデルによっては購入時より高値で取引されることもあります。
というか、感覚的には去年からだと思いますがほぼ全部のモデルが、驚異的なスピードで価格が上がっているのを実感しています。
ただその反面ですね、パテックを買う方の多くは、資産として保有することを第一の目的にはしていないと感じていますね。
まぁ、パテックを買うような方ですので、そんな資産がぁ・・・とかいちいち気にならないでしょうし、ただ純粋に美しいから欲しい・・・って感じでしょうね。
資産価値があることは結果としてついてくるものであって、それを目的にパテックを選んでいる方は、パテックが本当に持っているものとは少し違う理由で買っているんじゃないかと思っています。
では「高級時計の頂点」でも「資産価値」でもないとすれば、パテックの本質はどこにあるのか。
それを次のパートで解説して参ります。
【腕時計ではなく思想を買っている】
パテック フィリップには、有名な言葉があります。
「あなたはパテック フィリップを所有することはできません。次の世代のために、ただ大切に預かっているだけです。」という言葉です。
パテックを所有してある方であれば、一度は聞いたことがあるかもしれませんが、日本ではあまり知られていない内容ですよね。
この言葉が示しているのは、パテックという会社が時計作りに対して持っている根本的な思想です。
自分の代だけで使い切るものを作るのではなく、次の世代、さらにその次の世代に渡っても使い続けられるものを作るという思想です。
そしてその思想は、言葉だけでなく、時計の設計・素材・仕上げのすべてに反映されているというのが、パテックという会社の一貫した姿勢だと思っています。
具体的に言うと、パテックのヴィンテージモデルは数十年後にもオーバーホールができる構造になっています。
ご存知の通り、パテック フィリップは、自社製品のアフターサービスに対して長期的なコミットメントを持っているブランドです。
部品の供給体制と、自社の時計に精通した技術者の育成に継続的な投資をしています。
それが他のブランドと比べたときの、修理・メンテナンス面での信頼性につながっているんじゃないかと考えております。
現代の製品の多くは、ある意味で消費されることを前提に作られていると思っています。
数年で新しいモデルが出て、古いモデルは陳腐化していく構造になっていますよね。
EVとかも、多分どんどん新モデルを作って、それを市場に投入していくような流れになっていくと思います。
カテゴリーによりますが、それ自体は悪いことではないんですが、パテックはそのサイクルとは根本的に違う場所に立っているんですよね。
新しいモデルが出ても、30年前のパテックの価値が下がるわけではありません。
むしろ時間が経つほどに、その時計が持っている物語が積み重なっていきます。
だからパテックを買う方が本当に買っているのは、時計という物体ではなく、この思想なんじゃないかと思っています。
「長い時間軸の中で価値を保ち続けるものを所有する」という考え方そのものを、パテックという時計を通じて手に入れているんじゃないかと考えております。
これは少し抽象的な話に聞こえるかもしれませんが、実際にパテックを手に取ったことがある方なら、その仕上げの丁寧さ、部品一つ一つの精度、全体から醸し出される静かな品格の中に、この思想の痕跡を感じ取れるんじゃないでしょうか。
作り手の思想が、時計の佇まいとして現れています。
それがパテックフィリップの時計が、他のブランドとは少し違う種類の説得力になっているんでしょうね。
では次に、永続性という価値という事について解説して参ります。
【永続性という価値】
先ほど、パテックの時計は数十年後にもオーバーホールができるという話をしました。ここをもう少し掘り下げてお話しします。
時計というのは、精密な機械です。
使い続ければ必ずメンテナンスが必要になります。
ムーブメントの部品は摩耗しますし、油は劣化します。
どんなに良い時計でも、適切なメンテナンスなしに動き続けることはできないんですよね。
ここで重要なのは、修理ができるためには、部品の供給が続いていなければならないということです。
製造から数十年が経過した時計の部品を、メーカーが今も作り続けているかどうか。
これは当たり前のように聞こえますが、実はすべてのブランドができているわけではないんですよね。
分かりやすいところで言うと、ロレックスは製造から一定の年月が経過しているモデルについては、パーツがないから・・・・って理由で断られますよね。
その反面、パテック フィリップは、自社で製造した時計の部品を長期にわたって供給し続ける体制を維持しています。
これはパテックが「永続性」という価値を、言葉だけでなく実際のコストをかけて担保しているということだと思っています。
部品を作り続けるためには、設備も人材も必要です。
それを何十年にもわたって維持していくことは、ビジネスとして決して効率的ではないはずです。
私は以前トヨタで働いていましたが、皆様ご存知の通り現地現物なので、いつ使うかわからない無駄な在庫を持つと言うのは、非常に効率が悪いです。
でもパテックはそれをやり続けているわけです。
この姿勢が、パテックという時計の永続性を裏付けているんじゃないかと感じています。
永続性というのは、単に長持ちするという話ではないと思っています。
時間が経つほどに、その時計が持つ物語が積み重なっていきます。
所有者が変わっても、その物語が次の人に引き継がれていく。
そういう時間軸の長さを持った価値のことを、パテックは永続性と呼んでいるんじゃないかと感じています。
では次に、「所有」ではなく「継承」という概念!と言う事について解説して参ります。
【「所有」ではなく「継承」という概念】
ここからは、パテックを買う方の多くに共通している感覚の話をして参ります。
パテックだけではなく、カルティエを購入されるお客様からも時々言われるのですが、
「子どもに受け継がせることってできますかねぇ・・・」という言葉ですね。
これは投資とも消費とも、少し違う概念だと思っています。
投資であれば、価値が上がったときに売ることが前提になります。
消費であれば、自分が使い切ることが前提になります。
でも「子どもに渡す」という動機は、その両方とも違いますよね。
売ることも、使い切ることも前提にしていません。
自分の手を離れた後も、その時計が誰かの手首の上で生き続けることを想定した所有の形です。
これを「継承」という言葉で表現するのが、最もしっくりくるんじゃないかと思っています。
継承という概念で時計を持つとき、選び方が変わってきます。
自分の好みだけでなく、次に持つ人のことも考えて選ぶようになります。
流行に左右されないデザインであるかどうか、数十年後にもメンテナンスができるかどうか、時間が経つほどに価値が深まるかどうか。などなど。
こうした基準が、選択の中に自然に入ってくるんですよね。
パテックのカラトラバやノーチラスが、世代を超えて愛され続けている理由の一つは、こうした継承という概念に耐えられる設計と哲学を持っているからじゃないかと思っています。
流行のデザインではなく、時代を超えた普遍性を持っているから、40年前のモデルが今の手首にも自然に馴染むんですよね。
その普遍性が、継承という所有の形を成立させているんですよ。
もう少し個人的な感覚を話すと、継承という概念で時計を持つことは、自分の時間軸を少し長くすることだと思っています。
自分の生きている間だけでなく、自分がいなくなった後の時間まで含めて、何かを残そうとする行為です。
時計という小さな物体に、そこまでの意味を込めることができるのは、時計というものが持っている特別な性質があるからじゃないかと感じています。
毎日手首に巻いて、時間という最も個人的なものを計測し続けた道具は、その人の時間の記憶を蓄積していくものですよね。
だからパテックを買う人が本当に買っているものの一つは、この「継承という概念」なんじゃないかと。
自分の時間軸を、次の世代まで延ばすための器として、パテックという時計を選んでいる。
そういう感覚を持っている方が、パテックのお客さまには多いように思っています。
では次に、どんな方がパテックと相性が良いのか?について解説します。
【どんな方がパテックと相性が良いのか】
パテックと相性が良い方とそうでない方の差は、価格が払えるかどうかとはまったく関係がないと思っています。
予算の問題ではなく、パテックという時計が持っている「時間軸の長さ」に共鳴できるかどうかの話なんですよね。
パテックという時計は、短い時間軸の中で評価しようとすると、その本質が見えにくい時計だと思っています。
今この瞬間にかっこいいかどうか、今の流行に合っているかどうか、今の相場で買って得かどうか。
そういう短い時間軸の問いに対して、パテックは必ずしも明快な答えを返してくれる時計ではありません。
おそらくパテック自身も、そういった文脈で見てほしいとは思っていないはずです。
でも時間軸を長くとったとき、10年後・20年後・そして自分がいなくなった後まで含めて考えたとき、パテックという時計が持っている意味は大きく変わってくると思っています。
その長い時間軸の中でものを見る感覚が自然に備わっている方にとって、パテックは深く納得できる答えを出してくれるブランドなんじゃないかと感じています。
パテックと相性が良い方に共通しているのは、この時計を「選択肢の一つ」として検討していないということです。
他のブランドと並べて比較した末に辿り着くのではなく、最初からパテックという時計が持っている世界観に引き寄せられていて、その魅力の正体をある程度自分の中で理解していらっしゃいます。
その理解の深さが、パテックとの関係の深さに比例しているように感じています。
パテックという時計は「なぜこれを選ぶのか?」という問いに対して、自分の言葉で答えられる方にこそ、その本質が伝わる時計なんでしょうね。
価格でも機能でもなく、この時計が持っている時間軸の長さや継承という概念に、自分の価値観が綺麗に共鳴している方。
そういう方の手首にパテックが載ったとき、時計とその方が自然につながって見えるんですよね。
最後にこの動画の話をまとめますとパテック フィリップを買う人が本当に買っているのは、時計という物体ではなく、思想であり、永続性であり、継承という概念なんじゃないかと思っています。
その世界観に共鳴できるかどうかが、パテックとの相性を決める唯一の基準だと言うことでしょう。
価格でも機能でもなく、時間軸の長さで選ぶブランド。
それがパテック フィリップという存在なんじゃないかと思っています。