革ベルトが育っていく過程に腕時計との関係が現れる話
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では、革ベルトが育っていく過程に腕時計との関係が現れる話!という内容で解説して参ります。
腕時計を長く使っていると、ベルトに独特の変化が生まれてきます。
新品のときの硬さが取れて、手首の形に馴染んでいくのは視聴者様も経験済みでしょう。
革ベルトの育ち方は、その人と時計の関係をそのまま映し出しているんですよね。
毎日巻いているのか、たまにしか巻かないのか。
丁寧にケアしているのか、無頓着に使っているのか。
その積み重ねが、ベルトの表情としてそのまま現れてきます。
今日はその話を、素材の違いも含めて詳しくお伝えして参ります。
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それでは話を進めて参ります。
革ベルトは使うほどに変わっていく
まず革ベルトがどのように変化していくのか、という話から整理していきましょう。
新品の革ベルトには、独特の硬さがあります。
特にタンニンなめしで作られた革は、使い始めの段階では厚紙のような固さがあって、手首に巻いたときにまだ馴染んでいない感覚があります。
どうですかねぇ、私の時代はレッドウイングのブーツが流行っていたのですが、視聴者様も何かしらブーツを履かれたことがあるのであれば、そんな感覚ですよね。
これを不快に感じる方もいますが、この硬さこそがタンニンなめし革の特性で、ベルトの伸び代の証でもあるんですよね。
使い込んでいくと何が起きるかというと、革のコラーゲン繊維が手の油脂や体温によって少しずつほぐれていきます。
毎日巻くたびに、1日1日の感触は誤差程度ですが1ヶ月経過すると、明らかに柔らかさが増しているのが分かります。
そして数週間、数ヶ月と経つ頃には、自分の手首の形にぴったりと沿うような馴染み方をするようになってくれます。
この「馴染む」という変化は、他の素材にはなかなか起きないことです。
クロムなめしで作られた革ベルトは、最初から柔軟で扱いやすい反面、長期間使用してもほとんど見た目が変わりません。
経年変化がほぼ見られないという特性があります。
タンニンなめし革の育ち方の豊かさは、この対比で見るとより鮮明になってきます。
色の変化も、タンニンなめし革の大きな魅力の一つです。
使い込むほどに色が深みを増して、表面に自然な光沢が生まれてきます。
これは普段、私が着用しているプレマストタンクのステップベゼルですが、元々はもっと明るいキャメルだったのが、こんな感じでブラウンというか、綺麗な茶色になっています。
なんというか、色が均一ではなくて「たまふ」の部分にグラデーションがかかってますよね。
この辺の色が綺麗な茶色って表現できるかなぁって思っています。
新品のときとはまったく異なる表情になっています。
しかもその変化は、同じ素材のベルトでも使う方によって違う方向に進んでいくんですよね。
着用回数が多い方、ベルトを頻繁に触る方、こまめにオイルケアをする方。
それぞれの生活の痕跡が、ベルトの色と艶に反映されていきます。
ちなみに私は、最初の方だけオイルを塗りますが少し柔くなったり、色が変わってきたなぁって感じた時点で辞めますね。
こんな感じで、動画作ったり仕事してますからね。
なかなかそこに時間を割けるってわけでもないのが、今の現状です。
女性の方もご覧になっていることでしょうが、これは「劣化」とはまったく別の概念です。
劣化とは、物が本来の機能や美しさを失っていく過程のことですが、タンニンなめし革の変化は逆で、使い込むほどに深みが増して、新品のときよりも豊かな表情になっていきます。
ヴィンテージウォッチと同じニュアンスで捉えて頂きたいんですが、未来に向かって進化すると言うよりは、今あるものがもっと深いところに深化していくように考えるとイメージしやすいと思いますね。
この方向性の違いを理解しているかどうかで、革ベルトとの付き合い方がまったく変わってくるんですよね。
では次に、ベルトの育ち方にその人の腕時計との関係が出る!と言う事について解説して参ります。
ベルトの育ち方にその人の腕時計との関係が出る
ここからが今日の話の核心です。
革ベルトの育ち方を見ると、その人が腕時計とどういう関係を築いているかが、かなり正確に伝わってくるという側面があります。
まず前提としてお伝えしておきたいのは、育ちのスピードは人それぞれで構わない、ということです。
毎日巻いている人のベルトは変化のスピードが早く、週末だけ巻く方のベルトはゆっくりと変化していきます。
オイルを塗ったから変化のスピードが早くなるってわけでもなく、変化のスピードは着用回数が多いかどうかが圧倒的に優先されます。
なぜなら、エイジングはその方の汗や皮脂で進んでいくからです。
このようなことから、これらはどちらが正解ということはなくて、その時計をどういう場面で使うかによって、自然と育ち方のペースが決まってくるんですよね。
ドレスウォッチはスーツを着る場面や週末の特別な時間に巻く、という使い方をしている方は少なくありません。
その場合でも、革は確実に育っていきます。
ゆっくりと時間をかけながら、その人の使い方のリズムに合わせて変化していってます。
前述した通り、使用頻度が少ないとその変化に気が付きにくいですけどね。
むしろそのゆっくりとした育ち方が、ドレスウォッチという時計の品格と合っているという側面もあるんですよね。
大切なのはスピードではなく、育ちの方向性です。
巻くたびに革に体温と手の油脂が少しずつ馴染んでいきます。
その積み重ねがベルトの表情を作っていきます。
週に一度であっても、その一度一度が確実にベルトに刻まれていきます。
ケアの丁寧さも、育ち方に影響します。
定期的にオイルを入れているベルトは、革の潤いが保たれて深みのある艶が均一に広がっていきます。
一方でケアをほとんどしていないベルトは、乾燥が進んでひび割れが生じたり、寿命が短くなってしまいます。
これもその人の時計への向き合い方が、そのままベルトの状態として現れてくるわけですね。
ただ、実際のところ毎度毎度定期的にオイルを塗るってのは、現実的ではありません。
なので、前述した通り私は最初の厚紙くらいの硬さの状態で、毎日塗りまくって初期状態でオイルをチャージするようにしていますね。
あとは皮脂に任せて、自然の成り行きに任せる。くらいで良いと考えています。
育ち方のスピードは違っても、時間をかけてベルトと向き合ってきた痕跡は、必ずそこに残っていきます。
それがエイジングという現象の本質なんじゃないかなぁ。って思いますね。
要するに、これは今の時代に求められているパーソナライズ化と言うことですよ。
では次に、革ベルトを交換するタイミングが語ること!と言う内容で解説して参ります。
革ベルトを交換するタイミングが語ること
当たり前ですが、革ベルトはいつか交換が必要になります。
どんなに丁寧に使っていても、革は消耗品という側面があって、縫い目がほつれたり、バックル穴周辺が破れてきたり、裏材が剥がれてきたりするんですよね。
その交換のタイミングに対する姿勢にも、その人の時計との向き合い方が出てくるんですよね。
大きく分けると、3つのパターンがあると見ています。
1つ目は、限界まで使い続けるタイプです。
ベルトがかなり傷んでいても、愛着があるからなかなか交換に踏み切れないってところですよね。
このタイプの方は、時計だけでなくベルトとの関係も深く、交換することへの一種の惜しさを感じているんですよね。
長く使い込んだベルトが持つ表情への愛着が、なかなか次のベルトに踏み切れない理由になっていて、これは時計との関係が非常に濃い方に多いパターンです。
2つ目は、状態を見ながら適切なタイミングで交換するタイプです。
革の乾燥が進んできた、縫い目に緩みが出てきた、という変化を観察しながら、まだ使えるうちに次のベルトに移行します。
時計をより良い状態で使い続けることを優先している姿勢で、時計への理解が深い方に多いパターンだといえます。
3つ目は、気分や見た目の変化を楽しむために、頻繁に交換するタイプです。
同じ時計でもベルトを変えると印象が大きく変わるので、季節やコーディネートに合わせてベルトを使い分けます。
これは時計をファッションの文脈で楽しんでいる方に多く、それ自体は一つの豊かな楽しみ方だといえます。
これらはどのパターンが正解かという話ではないんですよね。
自分の性格とか、価値観が入ってくる領域が大きい部分じゃないですか。
ただ一つ言えることがあるとすると、交換のタイミングを意識的に考えている方と、何も考えずに使い続けている方では、時計への向き合い方に差があるということです。
ベルトは時計と直接触れる部分で、着用感にも見た目にも大きく影響します。
その部分への関心の有無が、時計との関係の深さを反映しているといえるんじゃないでしょうか。
もう一つ付け加えると、交換するベルトをどう選ぶかにも、その人の審美眼が出てきます。
純正のベルトにこだわる方、コストを抑えた汎用品を選ぶ方、素材や仕立てにこだわったベルトを選ぶ方。
同じ時計でも、どのベルトを合わせるかで印象がまったく変わりますよね。
時計本体への熱量と同じくらいの意識でベルトを選んでいる方は、時計全体をトータルで考えているということで、その視点は時計選びの精度にも通じてくるんですよね。
では次に、素材による育ち方の違い!と言う内容で解説して参ります。
素材による育ち方の違い
ここからは、革ベルトの表面素材による育ち方の違いについてお伝えしていきます。
ベルモントルでは現在、アリゲーター(竹腑・玉腑)、ポロサスクロコダイル、リザードという3つの素材を中心にオリジナルベルトを展開しています。
あと今製作中なのが、瀬戸内レザーってのがありまして、それは来月の終わりくらいには出せそうです。
ここでそれぞれの素材が持つ特性と育ち方の違いを整理すると、どの素材が自分の時計との関係に合っているかが見えてきます。
と言うわけで、3つのベルトの詳細を解説しますね。
アリゲーター(竹腑・玉腑)
ベルモントルのラインナップの中で最もカラーバリエーションが豊富なのが、このアリゲーターシリーズです。
ブルーグレー・ダークブラウン・モスグリーン・キャメルなど、文字盤の色や素材との組み合わせを楽しめる幅広い選択肢があります。
アリゲーターの育ち方の最大の特徴は、使い込むほどに表面の光沢が増していく点です。
手の油脂がうろこの一枚一枚に馴染んでいくことで、新品のときとは別の深みのある艶が出てくれます。
この変化の過程が、アリゲーターベルト最大の醍醐味といえますよね。
竹腑と玉腑では育ち方に少し違いがあります。
竹腑はお腹側の均一なうろこ模様で、骨板が入っていないため柔軟性が高く、手首への馴染み方が比較的早いです。
玉腑は脇腹の丸みを帯びたうろこが持つ立体感が、使い込むほどに際立ってきます。
どちらも時間をかけて育てていく楽しさがある素材です。
カルティエのマストタンクやタンク系全般との相性が特に優れていて、ドレスウォッチとの組み合わせでその真価が発揮されます。
ポロサスクロコダイル
ポロサスはイリエワニの皮革で、クロコダイル革の中でも世界最高級とされる素材です。
某有名高級ブランドのバッグや財布にも多く採用されていることからも、その希少性と品質の高さが裏付けされています。
アリゲーターと比べてうろこが細かく整っているため、より緻密で格調高い表情を持っています。
ここで一つ、アリゲーターとの大きな違いをお伝えしておきます。
アリゲーターがタンニンなめしで仕上げられているのに対して、ポロサスクロコダイルはクロムなめしで仕上げられています。
先ほどお伝えしたように、タンニンなめしは使い込むほどに色が深まり艶が増していく、いわゆる「育つ」革です。
一方クロムなめしは、製造期間が短く大量生産に適した製法で、柔軟性と耐水性に優れている反面、タンニンなめしみたいなエイジングは起きません。
ただこれは弱点ではなくて、ポロサスという素材が持つ緻密な光沢と格調高い表情が、最初から完成された状態で手元に届くということでもあります。
タンニンなめしの革は使い込みながら育てていく楽しさがある一方で、ポロサスクロコは素材そのものの希少性と美しさを、最初から長く楽しんでいただける革といえるんですね。
ベルモントルのポロサスは、オーデマ ピゲのTVスクリーンに付属していたベルトに近い雰囲気を再現するために設計された経緯があります。
なので、これを職人さんに渡して再現しているので、結構質感とかも近いのかなぁ。といった感じですね。
このポロサスは、現在弊社にあるオーデマピゲのレクタンギュラー型の3Pダイヤモンドモデルに取り付けておりますので、気になる方はそちらからご覧くださいませ。
艶があって光沢があるので、ヴィンテージのドレスウォッチとの親和性が特に高く、1970年代のAPやカルティエなどの時計と合わせたときに、その真価が発揮される素材ですね。
では次にリザードですね。
リザード
リザードはトカゲの皮革で、菱形のうろこ模様が縦方向に規則正しく連続するのが特徴です。
アリゲーターやクロコダイルよりもシボ(うろこの表面の形状のことですね)が小粒で繊細なため、よりスマートで都会的な印象を与える素材といえます。
弊社で扱っているリザードは、クロムなめしなのでこちらもエイジングはありません。
ただその分、長期間にわたって安定した表情を保ちやすいという側面があります。
ブラックは汎用性が高くどんな文字盤にも合わせやすく、ワインカラーはシンプルなホワイト文字盤のクラシックウォッチとの組み合わせで独特の存在感を放ちます。
といった感じで、3種類代表的なベルトの素材をご紹介させて頂きましたが、前述した通り、これからも瀬戸内レザーや姫路レザーを追加していきますので、定期的にショップをご覧頂ければ幸いです。
裏材について
いずれの表面素材も、裏材には栃木レザーのヌメ革(タンニンなめし革)を採用しています。
ただ、この裏材もパーソナライズさせたいと考えておりまして、こちらはピアジェのラピスラズリ文字盤の交換用ベルトですが、こんな感じでオレンジを使っています。
一般的には、裏材はブラックが好まれると思いますが、こんな感じでさりげなくオシャレにしたい!って方もいらっしゃると思いますので、基本は栃木レザーを使いますが、裏材も選んで頂けるように今後進めていく予定です。
革ベルトと腕時計の関係をどう育てるか?
ここまで革ベルトの育ち方と、素材による違いをお伝えしてきました。最後に、では実際にどう育てていくかという話をしたいと思います。
革ベルトを育てるということは、時計との関係を育てることと同義なんですよね。
この2つは切り離せません。
育て方に正解はなくて、その時計をどういう場面で使うか、どういうペースで巻くかによって、自然と育ち方が決まっていきます。
毎日巻く時計のベルトはそのペースで育っていくし、週末だけ巻くドレスウォッチのベルトはそのリズムの中でゆっくりと変化していきます。
大切なのはペースではなく、巻くたびに革と向き合う意識があるかどうかです。
その意識が最も具体的に現れるのが、オイルケアです。
タンニンなめし革は水に比較的弱い素材なので、定期的なオイルケアが革の寿命を大きく左右します。
ただやり過ぎも良くなくて、オイルを入れすぎると革が柔らかくなりすぎて型崩れの原因になることがあります。
月に一度程度、薄く伸ばすように塗り込む程度が適切でしょうね。
週末だけ使う時計であれば、季節の変わり目にケアをする程度でも十分に革の状態を保てます。
水濡れへの対処も覚えておいてほしいことの一つです。
雨の日や汗をかいた後は、乾いた布で軽く拭いてから自然乾燥させてあげてください。
濡れたまま放置するとシミや変形の原因になるので、この習慣だけでベルトの状態が大きく変わってきます。
そして何より、ベルトの状態を時々注意深く観察してみてください。
巻くたびに毎回確認する必要はありませんが、少し艶が出てきた、この部分の色が深まってきた、という変化に気づく瞬間が、ベルトとの関係を豊かにしていきます。
その観察の積み重ねが、革という素材への理解を育てていくんですよね。
ベルモントルのオリジナルベルトは、こうした育ちの楽しさを味わっていただくために、タンニンなめし革を裏材に採用しています。
表面のエキゾチックレザーと、裏材の栃木レザーが共に時間をかけて変化していってくれます。
その変化の過程そのものが、ヴィンテージウォッチと共に時間を重ねるという体験の一部になっていくんじゃないでしょうか。
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