カルティエの最高傑作【タンクアメリカン W2600851】 全解説!18Kゴールドの実力
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前半ではタンクアメリカンというモデルそのものの背景と歴史を解説して、後半ではこの個体が持つ具体的な魅力、18Kイエローゴールドという仕様が何を意味するのかを掘り下げていきます。
ヴィンテージのアメリカンってこんなにかっこいいのに、本当に数が少なくてですね、このアールデコ調の美しさを理解して頂ける方には是非とも手にして頂きたいですね。
それでは話を進めて参ります。
【タンクアメリカンという時計の背景】カルティエにおけるアメリカンのポジション
まずタンク アメリカンが、カルティエというブランドの中でどういった位置づけにあるのかというところから解説しますので、こちらの画像をご覧ください。

カルティエのタンクファミリーというのは非常に種類が多いんですね。
タンク ルイ カルティエ、タンク フランセーズ、タンク アメリカン、タンク アングレーズといったモデルがありまして、これらはカルティエ家の3兄弟である長男のルイ、次男のピエール、三男のジャック、がそれぞれ拠点を任されたことと深く結びついています。
ルイがパリ、ピエールがニューヨーク、ジャックがロンドンということですね。
その地名にちなんでフランセーズは(フランス)、アメリカンは(アメリカ)、アングレーズは(イギリス)という名前が生まれているわけです。
ちなみにアングレーズは2017年頃に生産終了になっています。
理由としては価格の問題が大きかったと私は見ています。
2011年時点でアングレーズは90万円近い価格帯で、他のモデルと比べて突出して高かったんですよね。
自社製キャリバー1904MCを搭載していたこともあって値段が高くなっていたんですが、それが市場に受け入れられなかったんじゃないかなぁと。
ただデザイン自体は非常に洗練されていますし、何と言っても、我々が好きなリューズインスタイルなので、今後見直されて価値が上がっていく可能性は十分あると思っています。
話を戻しまして、このタンクファミリーの中でアメリカンというのはカルティエの根幹を支えるモデルだと言えます。
ただ歴史自体は我々が思っているほど浅くて、正式に誕生したのは意外にも1989年なんですね。
まだ37年ちょっとしか経っていないんですが、カルティエを代表するモデルとして確固たる地位を持っているのは、アメリカンの前にサントレというモデルが存在しているからです。
ではここからは、アメリカンとサントレの関係について解説して参ります。
サントレとアメリカンの系譜
サントレは1921年に原型が作られた、非常に歴史の深いモデルです。
ではこちらをご覧ください⬇️

1935年にはムディバニ王女に向けたデッサンが残されていて、それを見るともうほぼアメリカンなんですね。
縦長のケース、伝統的なローマンインデックス、流れるようなラインが、現代のアメリカンと驚くほど重なっています。
そういう意味でアメリカンというのは、1989年に突然生まれた時計ではなくて、1920年代から続くカルティエの美学の集大成として誕生した時計なんだということが分かります。
デザインの源流をそこまで辿れるというのは、やはりブランドの強さだと思いますね。
ではサントレとアメリカンの違いを見てみましょう。
こちらの画像をご覧ください↓

左側が1960年代のサントレで、右側が現行のアメリカンです。
サントレもその長い歴史の中で、いろんなデザインが誕生したのですがサントレも最も大きな特徴は、インデックスが太いことです。
隣のアメリカンと比較すれば、結構太めなのが分かって頂けるのではないでしょうか。
モデルチェンジをする際に、何かしらの変化を加えないといけないので、インデックスを細くしただけだと思うんですが、表面から見える違いというのはこの辺くらいかなぁって感じですね。
それで今回のアメリカンはおそらく1990年代に入った頃か、その直前の80年代だと考えているんですが、明確にラインナップに追加された頃のデザインとは違います。
左側が今回の個体で、右側が現行型ですが、先ほどご覧になったサントレの方に近さを感じて頂けると思います。

インデックスの太さを見て欲しいのですが、現行と比較して明らかにインデックスが太いんですよね。
これはおそらく、サントレのデザインが残っているからだと考えています。
よって、今回のモデルはデザイン的に見れば、サントレとアメリカンの過渡期のモデルなんじゃないかなぁって思うんですよね。
ただ最も本質的な違いは厚さとムーブメントです。
サントレは手首にしっくり馴染む薄型を実現するために手巻きムーブメントを採用しています。
またケースの弧の作り方も違いがあります。
サントレはケースの表面だけでなく裏蓋側にも弧を描かせているんですね。
その中にムーブメントを収めないといけないわけですから、技術的な難易度は相当高いです。
アメリカンはそこまではやっていないんですが、だからといって着用感が劣るかというとそういうわけでもなくて、腕に乗せたときの違和感はほとんどありません。
感覚的には、サントスカレの裏蓋側がボコ!っと出てるようなイメージが近しいですね。
あれも写真ではボコ!って出てるんですが、着用では全く違和感がないんですよね。
このアメリカンもそんな感じで、とても自然に馴染んでくれますね。
では次に、このかっこいい造形を作り出しているケースを作成したのはカルティエじゃない?ということについて解説して参ります。
ケース製造メーカーはカルティエじゃない?
ベルモントルの動画を普段からご覧になってる方であれば、既にご存知の通り、今でこそ、腕時計ブランドはケースもムーブメントもほとんど自社で一気通貫型で作るようになっていますが、これはブランドによっても多少前後するものの、基本的には2000年以降の話です。
それ以前というのは分業体制が一般的で、それぞれのパーツが専門の工房で作られていました。
よって、このケースもカルティエ社で作られたものではありません。
なぜそれがわかるかと言いますと、こちらの画像をご覧ください。

左側には今回のアメリカンの裏蓋の内側の写真があって、右側にはそのケースを作った工房の来歴を載せています。
裏蓋の方の写真を見て頂いたら分かるとおり、「104」というハンマーヘッド刻印が確認できます。
これは、当時のスイスに存在していたケース工房を示す識別番号であり、その系譜を辿ると最終的に「Cristalor」というラ・ショー=ド=フォンの工房へ繋がっていきます。
右側の表を見てもおそらくほとんど意味が分からないと思いますので、超簡単に解説するんですけど、これはその工房の所有者が変わってきた歴史の一覧です。
今回のケース製造はおそらく70年代から90年代に作られたであろう・・・ということが分かりますので、このケースを作っていた当時の会社はクリスタローという会社になります。
今回の個体を見ても分かる通り、ケースサイドの滑らかな曲線や、裏蓋内側のペルラージュ仕上げ、これらは単なる量産品とは違う「工房感」がしっかり残っています。
特にこの時代のカルティエは、「量産」よりも「1個1個の作り込み」を重視していた時代でもあります。
そのため、時計メーカー的な合理性だけではなく、ジュエリー工房のような感覚が強く反映されているんですね。
今回のタンクアメリカンには、そうした「工房文化時代のカルティエ」らしい空気感が色濃く残っています。
【このモデルが持つ具体的な魅力】なぜ今回のモデルを仕入れたのか?
ではここからは、今回の個体に踏み込んで話をしていきます。
このアメリカン、実は以前にも同じモデルを扱ったことがあります。
それでも今回また仕入れを決めたのには理由があって、それが「バックルの仕様」です。

アメリカンの18Kイエローゴールドモデルを見ていくと、ケースやブレスレットはもちろん18金なんですが、バックルについてはステンレスに18金メッキという仕様のものも存在します。
これはこの年代のカルティエに見られる傾向で、おそらく購入時に18Kゴールドかメッキが選べたから、混在してるんじゃないかぁって考えています。
では今回のはどっちかって言いますと、バックルまで18金ゴールドの個体なんですよ。
これが何を意味するかというと、より高級感を感じて頂けるということですね。
どのブランドのバックルもそうなんですが、18Kのバックルだけでももの凄い高額になってしまいましたよね💦
だからバックルが18Kってだけで、より特別感を感じて頂けるんですよ。
18Kブレスだとどうしても重くなりがちなんですが、こちらはMMサイズであるのと同時に、中間は革ベルトですので程よい重たさで、しっかりと18Kの時計を着用しているというズッシリ感も感じられるバランスの取れたモデルだと思いますね。
では次に、18Kイエローゴールドへの偏見について!という内容で解説して参ります。
実機着用レビュー

お客様とお話ししていると、気になってはいるんですが、イエローゴールドってちょっと派手ですよねぇ・・・・って話をされる方もいらっしゃいます。
確かにステンレスと比較すると色味が豪華になりますよね。
そう言ったことから、ゴールドの腕時計って派手じゃないか、いやらしくないかと思う方は一定数いらっしゃいます。
その気持ちは正直よく分かります。
私自身も昔はそういう目線を持っていた時期がありますからね。
ただアメリカンのMMサイズを実際に手に取って腕に乗せると、そういった先入観が消えていくんですね。
理由はいくつかあると思ってまして、まず第1にサイズですよね。
このモデルは、ケース径が23.5mmで長さが40.5mmのMMサイズになります。
これだと大きくもなく程よいサイズ感で、手首回り16.5cmの私が着けると手首の甲を全部覆うことなく、上下で8mmほど肌が見える絶妙なサイズ感になります。
よって、時計が主張しすぎないわけですよ。
あくまで手首に自然に収まるサイズだから、ゴールドであっても嫌らしさが出ません。
第2にタンクアメリカンという縦長のフォルム自体が持つ品格ですよね。
横に広がるケースと違って、縦長に延びるデザインというのはそもそも上品さと直結しています。
タンクでさえ、縦の方が長いし上品なのに、アメリカンはもっと長いので素材がゴールドであっても、そのフォルムが持つ繊細さが先に目に入るんです。
第3に、これが個人的に最も大きいと思っているんですが、着けた人間の印象が変わるということです。
力強さと自信を与えてくれる時計というのがあって、このアメリカンはまさにそれです。
どんなスーツでも、どんなジャケットでも、カジュアルな格好でも、袖口にこれが収まるだけで着ている人の格が上がる感覚があります。
いつもお話ししてることなんですが、こうやって色々と解説してても、実際に腕に乗せてみないことには、この魅力ってほとんど伝わないんですよね。
実機は視聴者様が思っていると異常に、スマートにまとまっててとても洗練されていますので、是非見に来てほしい個体ですよね👍
では次に、どんな方に向いているモデルなのか?ということについて解説して参ります。
どんな方に向いているモデルなのか?
このアメリカンというモデルが誰に似合うかというと、私の感覚では男性なら手首の大きさを問わずほぼ全員に似合うと思っています。
あとは人と同じものを着用したくない!って考えてる方ですよね。
前述した通り、それは現行型ではなくなった、MMサイズが持つ汎用性の高さから来ているんですが、それだけではなくて、タンクという縦長フォルムの普遍性もあると思います。
流行に左右されないデザインですから、10年後も同じように着け続けられるはずです。
カルティエの腕時計全般に言えることですが、5年後にデザインが古く見えてくるということはまずないですよね。
だって、このアメリカンだって前述した通り元々の原型は1921年であり、それを今の我々が見てもかっこいいと思えるわけですからね👍
そういう時計は実はそれほど多くないんですよ。
特にイエローゴールドの時計を一本も持っていないという方に最初の一本としてこそ推したいモデルです。
「ゴールドって自分には難しいかな」と思っている方が最初に手を出すモデルとして、これ以上の選択肢はなかなかないと思いますね。
着けてみて分かる納得感というのが、このアメリカンにはあります。
今回はカルティエ タンクアメリカン、18Kゴールドモデルについて解説してきました。
改めて今回の個体のポイントを整理すると、MMサイズが持つ絶妙なサイズ感。
そして縦長のタンクフォルムが生み出す、ゴールドであっても上品に見えるという絶妙なバランス。
アメリカンには分類されるんだけど、サントレの系譜も感じられる部分。
この3点に尽きると思います。
細部にこだわった時計というのは、着けた瞬間ではなく、着け続けた先に良さが分かってくることがあります。
このアメリカンはその代表的な一本だと私は思っています。
本日の動画は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。
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