タンク・サントス・アメリカン何が違う?カルティエの代表モデル3本を徹底比較
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日は「タンク・サントス・アメリカン何が違う?カルティエの代表モデル3本を徹底比較」という内容で解説して参ります。
今回、価格帯もデザインの系統も異なる3本のカルティエヴィンテージが、同時に手元に揃いました。
今日は、この3本を価格・デザインの系統・サイズ感という3つの角度から、じっくり比較していきたいと思います。
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それでは話を進めて参ります。
今回比較する3本の基本情報
まず、今回比較する3本の基本情報から見ていきましょう。
1本目は、マスト ドゥ カルティエ タンク、LMサイズのマルチカラーですね。
1980年代製のヴェルメイユケースで、価格は68万円になります。
文字盤のインナー部分に3色の金属が使われた、現行モデルには見られないヴィンテージらしい色使いが特徴的なモデルで、デザイナーのイブサンローランも愛用していたことで知られていますよね。
ムーブメントはETA Cal.78/1の手巻きで、ケース径23mm、縦31mm(ラグ含む)、厚さ6.5mm、ラグ幅17mmというサイズです。
2本目は、サントスカレ、LMサイズのコンビモデルで、Ref.2961になります。
こちらも1980年代製で、価格は176万円です。
ステンレススチールと18Kイエローゴールドのコンビケースに、希少性の高いゴドロンブレスレットが取り付けられている個体になります。
一般的なサントスカレはビス装飾のブレスレットが主流なのですが、今回の個体はオーダーで別バージョンとして準備されていたと言われるゴドロンブレスレットが取り付けられているんですよね。
ムーブメントはCal.2671の自動巻きで、ケース径29mm(リューズ含まず)、縦41mm、厚さ8.7mm、ラグ幅18mmというサイズになります。
3本目は、タンクアメリカン、18Kイエローゴールドケースの、W2600851というモデルです。
こちらも1980年代製で、価格は278万円になります。
1989年に正式にタンクアメリカンというモデルが誕生する前、1980年代後半に一時期生産されていた、いわば過渡期のモデルなんですよね。
現行のタンクアメリカンにはないMMサイズという、今では見られない中間サイズの個体で、ムーブメントはCal.2671の自動巻き、横23.5mm×縦40.5mm(リューズ除く)、厚さ9.4mm、ラグ幅16mmというサイズです。
この3本、いずれも1980年代製という共通点がありながら、価格帯は68万円から278万円まで、実に4倍以上の開きがあるんですよね。
この価格差がどこから生まれているのか、そしてそれぞれのモデルがどんな方に似合うのか、ここから詳しく解説して参ります。
価格帯で見る、3本の立ち位置
ここからは、なぜこの3本にこれほどの価格差が生まれているのか、その理由を紐解いていきたいと思います。
まず68万円のマストタンクですが、この価格帯の理由は、ケース素材にあります。
ヴェルメイユというのは、シルバーの上にゴールドメッキを施した素材のことなんですよね。
金無垢モデルと比べると素材コストが抑えられるため、タンクというカルティエを代表するデザインを、比較的手に取りやすい価格で楽しめるモデルになっています。
発売当時からも、金無垢のタンクルイよりも入りやい価格設定として、登場したモデルであり、現行型で言うと、タンクマストと同じポジションになりますね。
とはいえ、このヴィンテージのマストタンクは今となっては、単なる入門モデルというわけではなく、前述したケースの作りから、現行モデルと変わらないくらいで取引されるようになった傑作でもあります。
次に176万円のサントスカレですが、こちらはやはりゴドロンブレスの希少性がビス装飾のベルトと比較して上がります。
また、今回の個体はとても大切に扱われてきているようで、裏蓋側のインクが残っていることと、私の目視では文字盤にクラックがないので、とてもコンディションが良いことで、それらが価格に反映されています。
一般的なビス装飾のブレスレットに比べて市場での流通量が少なく、状態の良いものはなかなか出会えないというのが実情ですね。
そして278万円のタンクアメリカンですが、こちらは3本の中で唯一の18Kイエローゴールド無垢モデルです。
ケース全体が金無垢であるという素材の違いが、他の2本との価格差を生む最も大きな要因ですね。
バックルも無垢で作られています。
加えて、1989年の正式発売前に一時期だけ生産された過渡期のモデルであり、現行では存在しないMMサイズという希少なサイズ展開である点も、価値を押し上げているんですよね。
こうして見ていくと、3本の価格差は、単純な「新しいか古いか」ではなく、ケース素材(ヴェルメイユ・コンビ・総金無垢)と、それぞれの個体が持つ希少性の掛け合わせによって生まれている、ということが価格に影響を与えているのが分かりますよね。
では次に、系統で見る、タンクとサントスの違い!という内容で解説して参ります。
系統で見る、タンクとサントスの違い
ここからは、素材や価格ではなく、デザインの系統という視点から3本を見ていきたいと思います。
マストタンクとタンクアメリカンは、どちらも「タンク」というラインに属するモデルです。
タンクというのは、長方形のケースを基本とした、カルティエを代表するドレスウォッチの系統なんですよね。
第一次世界大戦時の戦車(タンク)の形状からインスピレーションを得たと言われていて、直線的でシャープな印象を持つデザインが特徴です。
同じタンク系統でも、マストタンクとタンクアメリカンでは、雰囲気が少し異なります。
マストタンクは、比較的コンパクトなケースサイズと、シンプルな長方形のフォルムが特徴で、より端正でクラシックな印象を持つモデルなんですよね。
一方でタンクアメリカンは、ケースの両端が緩やかにカーブした、手首に沿うようなフォルムを持っています。
このカーブが、直線的なタンクの中に柔らかさを加えていて、マストタンクよりも少し華やかな存在感を持つモデルになっています。
一方、サントスカレは「サントス」というラインに属するモデルです。
現行のサントスドゥカルティエの始祖に当たるポジションで、ぱっと見の印象はほとんど同じに見えてると思いますね。
ですが、細部の作りまで見ていくと、カレの方がそれぞれのパーツが尖っていて、角張を強く押し出しています。
現行型に近づくにつれて、だんだん柔らかく丸まった感じに進化していくのですが、どちらもカルティエらしい上品なスポーツウォッチを体感出来ますね。
タンクが「ドレスウォッチ」としての端正さを持つ系統だとすれば、サントスは「スポーツウォッチ」としての機能美から生まれた系統だといえます。
今回の3本で見ると、タンク系統の2本(マストタンク・タンクアメリカン)は、直線的で落ち着いた印象を持つ一方、サントスカレは、ビス留めのベゼルとブレスレットが一体になった、より存在感のある印象を持つモデルになっています。
つまり、同じカルティエというブランドの中でも、「端正なドレスウォッチを求めるか」「機能美を持つスポーツウォッチ寄りのデザインを求めるか」という、系統ごとの方向性の違いが、この3本にははっきりと表れているんですよね。
では次に、サイズ・厚さで見る、着け心地の違い!という内容で解説して参ります。
サイズ・厚さで見る、着け心地の違い
ここからは、実際に着用したときの印象に直結する、サイズと厚さという観点から3本を見ていきたいと思います。
まず厚さについてですが、マストタンクが6.5mm、サントスカレが8.7mm、タンクアメリカンが9.4mmという結果になっています。
この数字を見ると、手巻きのマストタンクが最も薄く、自動巻きの2本がそれよりも厚みを持つという傾向が見えてくるんですよね。
一般的に、自動巻きムーブメントは、手巻きに比べてローターの分だけ厚みが出やすいという構造上の特徴があります。
着け心地という面では、6.5mmのマストタンクは、シャツの袖の下にすっと収まるような、非常に薄型の着用感になります。
よってスーツスタイルとの相性が良く、控えめな存在感を求める方には、この薄さが大きな魅力になるんですよね。
一方で8.7mmのサントスカレと9.4mmのタンクアメリカンは、手首の上でしっかりとした重みと存在感を感じられる厚みになっています。
特にタンクアメリカンは、総金無垢という素材の重さも加わるため、着用したときの満足感がより強く感じられる一本です。
次に、縦横のサイズについても見ていきたいと思います。
マストタンクはケース径23mm×縦31mm(ラグ含む)、サントスカレはケース径29mm×縦41mm、タンクアメリカンは横23.5mm×縦40.5mmというサイズになっています。
縦の長さで比較すると、サントスカレとタンクアメリカンはほぼ同じ40mm台である一方、マストタンクは31mmと、一回り小さいサイズ感になっているんですよね。
ラグ幅についても、マストタンクが17mm、サントスカレが18mm、タンクアメリカンが16mmと、それぞれ微妙に異なります。
それぞれの個体を比較することがなかったので、こうやって改めてラグ幅が1mmずつ違うのを見てみると、そのモデルに合わせてラグの幅を決めているのが伝わってきて、カルティエデザインの奥深さを感じますよね。
こうして見ていくと、単に「大きい・小さい」というだけでなく、厚みと縦横のバランスによって、それぞれ違った着け心地を持つ3本だということが分かってきます。
では次にそれぞれどんな方に似合うのか?という内容で解説して参ります。
それぞれ、どんな方に似合うのか?
ここまでお話ししてきた、価格・系統・サイズという3つの観点を踏まえて、それぞれのモデルがどんな方に似合うのか、まとめていきたいと思います。
まず68万円のマストタンクは、初めてカルティエのヴィンテージに触れる方や、薄型でスーツにしっかり馴染む一本を求めている方に似合うモデルです。
6.5mmという薄さは、ビジネスシーンでの主張を控えめにしたい方や、腕元にさりげない上品さを添えたい方にとって、大きな魅力になるんですよね。
また、3色の金属を組み合わせたマルチカラーというデザインは、シンプルになりがちなドレスウォッチの中で、ちょっとした遊び心を持たせたい方にも似合う一本です。
次に176万円のサントスカレは、タンクとは違う、機能美のあるデザインを求めている方に似合うモデルです。
ビス留めのベゼルとブレスレットが一体になったデザインは、スーツスタイルはもちろん、カジュアルな装いにも合わせやすいんですよね。
さらに今回の個体は、希少なゴドロンブレスレットが取り付けられているため、一般的なサントスカレでは物足りなさを感じている方や、他の方と被りたくないという方にも特に似合う一本だといえます。
そして278万円のタンクアメリカンは、しっかりとした重量感と存在感を求めている方、そして総金無垢という素材そのものに価値を感じる方に似合うモデルです。
MMサイズという希少なサイズ展開は、LMサイズでは少し大きく感じる方や、SMサイズでは物足りなさを感じる方にとって、ちょうど良い着け心地を提供してくれるんですよね。
また、1989年の正式発売前という過渡期のモデルという背景は、カルティエの歴史そのものに関心がある方にとって、大きな魅力になる部分でもあります。
こうして見ていくと、3本はそれぞれ異なる方向性を持っていて、優劣で比較するものではなく、その方が何を求めているかによって、選ぶべき一本が自然と見えてくる、ということが分かってきます。
ベルモントルの視点
ここまで、価格・系統・サイズという3つの観点から、カルティエの代表的な3本を比較してきました。
弊社が腕時計をご紹介する際、単に「このモデルが人気です」とお伝えするのではなく、その一本がなぜその価格なのか、どんな背景を持っているのか、そしてどんな方に似合うのかという部分まで、丁寧にお伝えすることを大切にしています。
今回の3本のように、同じカルティエというブランドの中でも、素材・系統・サイズによって、まったく異なる魅力を持つモデルが揃っているんですよね。
価格の高さだけで判断するのではなく、自分自身がどんな着け心地を求めているのか、どんなシーンで使いたいのかを踏まえた上で、納得のいく一本を選んでいただきたいと考えています。
3本それぞれの詳しい情報は、店頭やLINEでのご案内の中でも、詳しくお伝えできればと思っています。