パテックフィリップ【現行】と【ヴィンテージ】なら魅力があるのはどっち?
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日は「パテック フィリップ現行とヴィンテージなら魅力があるのはどっち?」という内容でお話しして参ります。
ロレックスほど有名ではないものの、パテック フィリップという名前を聞くと、多くの方は、超高級とか、洗練されたデザインを思い浮かべるのではないでしょうか。
一方で、当店のようにヴィンテージ腕時計を専門に扱う店には、あえて古い時代のパテック フィリップを求めて来店される方も、少なくありません。
同じブランドでありながら、現行モデルとヴィンテージモデルとでは、魅力の性質そのものがまったく違うんですよね。
「結局どちらが魅力的なのか」、この問いに答えを出すには、そもそも何を基準に比べるべきなのかを、一度整理しておく必要があります。
今回は、この2つを比較しながら、それぞれが持つ魅力について、あらためて一緒に考えていきましょう。
それでは話を進めて参ります。
そもそも現行とヴィンテージではパテックの魅力が違う
まず最初にお伝えしておきたいのが、現行のパテック フィリップとヴィンテージのパテック フィリップでは、そもそも魅力を感じるポイントが少し違うということです。
これはどちらの方が優れているという話ではありません。
たとえば現行のパテック フィリップを見ると、ケースや文字盤、ムーブメントに至るまで非常に高い水準で作られていて、現在における工芸品としての腕時計とはどういうものなのか?その答えを見ることができます。
当然、製造技術も昔から進歩していますから、精度や耐久性、実用性などを含めて考えれば、現代だからこそ実現できる部分もたくさんあります。
ですから、「パテック フィリップというブランドの工芸品としての技術力を味わいたい」ということであれば、現行には非常に大きな魅力があると思います。
一方でヴィンテージを見ると、少し方向が変わってきます。
私がヴィンテージのパテック フィリップを見ていて面白いと感じるのは、現在ではあまり見かけなくなったサイズやデザイン、そしてその時代ならではの作りを見ることができるところです。
特に昔のパテック フィリップには、非常に小ぶりで薄型がたくさんあります。
今の感覚で見ると、「これが男性用なの?」と思うくらい小さなものも珍しくありません。
ところが実際に腕に着けてみると、その小ささが弱さとか、安っぽさにはつながらないんですよね。
むしろケースを必要以上に大きくしなくても、素材や文字盤、針、インデックス、そして全体のバランスによって、しっかりと高級感を感じさせてくれます。
さらに中を開ければ、美しく仕上げられた当時のムーブメントが収められています。
こうやって少しずつ見ていくことで、その腕時計が持っている魅力が分かってくるんですね。
というわけでここからは、それぞれがどのような魅力を持っているのか?もう少し掘り下げていきましょう。
「パテックを着けている」と分かりやすいのは現行に部がある
ではまず、現行のパテック フィリップにはどのような魅力があるのか!って話ですが私は一番大きなところとして、「今でも最高峰を更新し続けていること」が挙げられると思います。
パテック フィリップというと、1839年創業という非常に長い歴史を持っていることから、どうしても過去の名作や伝統に注目が集まりやすいブランドです。
ただ、パテックの凄いところは、その歴史だけで現在の地位を築いているわけではないということなんですね。
例えば現行モデルの代表にはキュビタスの八角形を思わせるオクタゴンケースや、ノーチラスの比較しようのないプロポーションは、現行モデルとして磨き上げられ続けているからこそ、今の私たちが見ても、迷いのない完成度として映るんです。
他にも、現在でも永久カレンダーやミニッツリピーター、スプリットセコンド・クロノグラフといった非常に複雑な機構を持つ腕時計を作り続けています。
もちろん、こうした複雑機構自体はパテックだけが作っているものではありません。
それでも、これだけ長い歴史を持ちながら、現在も最前線で高度な腕時計製造を続けているというところに、現行パテックの大きな実力と技術力を感じます。
そして現行だからこそ進化している部分もあります。
たとえば機械を加工する技術、素材に関する技術、精度や耐久性、そしてムーブメントの設計など、腕時計を作る環境そのものが昔とは大きく変わっています。
ヴィンテージの腕時計を見ていると、昔の職人だからこそできた仕事に魅力を感じることがありますが、反対に現代の技術がなければ実現できないものも当然あります。
ですから、「昔のパテックの方が手間をかけて作られていたから、現行よりも優れている」と単純に考えるのは、ここは少し早計かなぁといった所でしょうね。
パテックって腕時計ブランドとしては珍しくて、今も職人が介在する領域が広い作り方をしていますからね。
むしろ素晴らしいのは、昔から受け継いできた腕時計作りの考え方を残しながら、現在の技術を使ってどこまで完成度を高められるのかというところです。
これはデザインについても同じです。
パテックにはカラトラバやゴールデン・エリプス、ノーチラスなど、何十年にもわたって受け継がれてきたモデルがあります。
昔のモデルをそのまま作り続けているわけではなく、時代に合わせてケースサイズやムーブメント、文字盤の表現などを変化させながら、現在のパテックとして成立させています。
ヴィンテージが過去に作られたパテックの美しさや価値観を楽しむものだとすれば、現行はパテックが今まさに作っている最高峰を楽しむもの。
そう考えると、現行のパテック フィリップにも、ヴィンテージとはまったく違った魅力があるのではないでしょうか。
では次に、ヴィンテージパテックは「最高級なのに主張しない!」という内容で解説します。
ヴィンテージパテックは「最高級なのに主張しない」
私がヴィンテージのパテック フィリップを見ていて、特に魅力的だと感じるのが「最高級なのに主張しない」というところです。
これはヴィンテージパテックを実際に見てみると、非常に分かりやすいと思います。
たとえば昔のパテックには、ケース径が30mm前後の小さな腕時計がたくさんあります。
現在の男性用腕時計に慣れている方からすると、最初に見たときには「かなり小さいなぁ」と感じるかもしれません。
しかもデザイン自体も非常にシンプルです。
文字盤に大きくブランド名が入っているわけでもなければ、遠くから見て一目でパテック フィリップだと分かるようなデザインばかりでもありません。
腕に着けて街を歩いていたとしても、腕時計に詳しくない方であれば、それがパテック フィリップだと気づかないことも多いはずです。
でも、私はそこが格好いいと思うんですよね。
近くで見るとケースは金無垢だったり、文字盤やインデックス、針が非常に繊細に作られていたりします。
そしてケースの中には、美しく仕上げられた機械が収められています。
つまり、外から見える部分を必要以上に大きくしたり、分かりやすいデザインにしたりしなくても、その小さなケースの中に高級腕時計としての魅力がしっかりと詰まっているわけですよ。
これは「パテック フィリップを着けていることを見せる」というよりも、「自分がパテック フィリップを着けていることを知っている」という楽しみ方に近いでしょうね。
自分の納得感から所有する、より洗練された選び方になります。
もちろん、現行のパテックにも控えめで上品なモデルはたくさんあります。
ですから、現行が主張する腕時計で、ヴィンテージだけが控えめだという話ではありません。
これは車もそうなんですが、やはり現行に近ければ近いほど、もうそのブランドの圧がどんどん強くなるようになってるんですよね。
BMWなんて、10年位前までは鼻の穴は小さくてスマートだったのに、今は物凄くデカくなってしまいましたからね。
ベンツも中国に吸収されてしまって、ベンツのデザインというよりは、フロントキラキラLED、中国人大好きデザインにしてやったぜ感が激しすぎます。
話を戻しまして、ただ、ヴィンテージを見ていると、今以上に小さく、薄く、そして装飾も必要なところだけに留めた腕時計が数多く存在しています。
そこからは、高級腕時計というものに対する当時の価値観が見えてくるように感じます。
大事なとこなので、繰り返しになりますが、そういったところから当時の価値観が見えてくるんですよね。
高級だから大きくする必要もない。
高級だから誰かに気づいてもらう必要もない。
ブランドを知らない方から見れば、ごく普通の小さな腕時計に見えても構わない。
それでも、分かる方が近くで見れば「これは凄い腕時計だ」と分かる。
私は、この距離感こそヴィンテージパテックならではの魅力だと思っています。
そしてこれは、今の時代だからこそ、かえって新鮮に感じる部分でもあります。
現在はSNSがありますから、身につけているものが写真や動画を通して多くの方の目に触れるようになりました。
その中では、腕時計もある程度分かりやすい方が存在感を出しやすいはずですし、やはり自慢したくなる気持ちも出ることは仕方のないことでしょう。
だからこそ、その反対にある小さなヴィンテージパテックを着用することで、自分自身がその作りや歴史を理解しているから選んでいるんだと、改めてパテックの本質に近づけると思いますね。
これは、かなり贅沢な腕時計の楽しみ方ではないでしょうか。
その控えめな佇まいの中に、パテック フィリップというブランドの凄さが凝縮されていることが、現行とはまた違ったヴィンテージパテックの魅力があると思っています。
では次に、ヴィンテージになると、パテックの「デザイン」が面白くなる!という内容で解説して参ります。
ヴィンテージになると、パテックの「デザイン」が面白くなる
ヴィンテージのパテック フィリップを見ていて、もう一つ面白いのがデザインの幅広さです。
パテックというと、現行のノーチラスを思い浮かべる方も多いと思いますが、過去のモデルを見ていくと、実はかなり多彩なデザインが作られています。
丸型はもちろん、スクエアやレクタンギュラー、楕円形、さらに少し変わったケース形状まで存在していて、「パテックにはこんな腕時計もあったのか?」と感じることがあります。
カルティエには「サンチュール」など、明確にモデル名が与えられていましたが、パテックの場合はリファレンスで区分けされていたことと、少数生産なのでそもそもそれが何のモデルなのかはっきりしないのも複数存在します。
メンズモデルにもまぁまぁの割合で、マザーオブパールを使ってる文字盤が存在していたりするんですが、それらも凄く美しいんですよ。
そんな中で、ここは素晴らしいなぁと感じるのが、ただ奇抜な形を作っているわけではないところです。
ケースの形が特徴的であっても、文字盤や針、インデックスはしっかりと作り込まれており、全体として見ると上品なパテックらしさが残っています。
また、ヴィンテージの場合はケースサイズも小ぶりなものが多いため、デザインそのものがより凝縮されて見えるんですよね。
間延びしておらず、無駄がないという表現が近いでしょうね。
現行ではなかなか見かけない形やサイズの腕時計を探せるという点では、ヴィンテージにはかなり大きな楽しさがあります。
有名なモデル名から選ぶというよりも、たくさんの腕時計を見ている中で「この形が好きだな」「この文字盤のバランスがいいな」と、自分の感覚で一本を見つけていく。
私はこの選び方ができることも、ヴィンテージパテックの大きな魅力だと思いますねぇ。
では次に、100年前のパテックまで修理するブランドだからこそ、ヴィンテージが成立する!という内容で解説して参ります。
100年前のパテックまで修理するブランドだからこそ、ヴィンテージが成立する
ここまで、現行とヴィンテージ、それぞれが持つ異なる魅力についてお話ししてきました。
最後にお伝えしたいのが、そもそもなぜパテック フィリップにおいて、ヴィンテージという選択肢が、これほど安心して成立しているのか、その理由なんですよね。
それが、パテック フィリップという会社が持つ、修理・メンテナンス体制の徹底ぶりにあります。
パテック フィリップは、製作された時期にかかわらず、全製品のメンテナンスと修理に対応しているブランドなんです。
オーバーホールの料金は、ロレックスの導入モデルが買えるくらいに高いんですけどね。
ですがその修理体制もしっかりしており、1978年以前に製作された時計については、ジュネーブ本社の専用の修復工房で作業が行われる体制まで整っています。
しかもパテック フィリップは、古い工作機械や工具そのものを今も保存しており、当時の技術やノウハウを用いて、過去のムーブメントを修復できるようにしているんですよね。
これにより、たとえ創業当時、つまり1839年に製作された一本であっても、修復を経て、再びオリジナルとしての価値を取り戻すことができるとされています。
この事実は、ヴィンテージパテック フィリップを選ぶ上で、非常に大きな安心材料になります。
もう部品がないから、ウチじゃ修理出来ないですねぇ。ってのがないってことですからね。
つまりヴィンテージパテック フィリップという選択肢は、単に「古くても魅力的だから」成立しているのではなく、ブランド自身が、過去に作り出したすべての一本に対して、責任を持ち続けているという姿勢があってこそ、成り立っているものなんです。
弊社で現在取り扱っている、カラトラバのステンレスモデルもパテックフィリップによって、修理されているので安心して着用して頂けると考えております。
現行モデルが持つ"今の最高峰"としての魅力も、ヴィンテージモデルが持つ"時代を超えた価値"も、どちらも同じパテック フィリップという一つの会社の哲学から生まれています。
この一貫した姿勢こそが、現行とヴィンテージ、どちらを選んでも後悔しないという、パテック フィリップならではの、大きな安心感につながっているのではないでしょうか。

