ロイヤルオークだけじゃない。知る人ぞ知る"審美眼の腕時計"たち
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日はロイヤルオークだけじゃない。知る人ぞ知る『審美眼の腕時計』たち!という内容でお話しして参ります。
先日投稿しました、オーデマ ピゲとパテック フィリップの売上高を比較した動画に、たくさんのコメントをいただいたんですよね。
まだ見てない方はこちらの『オーデマ ピゲにロイヤルオークがあるのに、なぜパテックフィリップの方が【上】なのか?』も後ほどご覧ください⬇️
その中には「APはロイヤルオークしかない一本足打法だ」とか「コード11.59はロイヤルオークを買うための整理券のようなものだ」といった、かなり率直なご意見も多くいただきました。
そして、その一連のコメントの中に、とても印象的な考え方がありました。
知名度や相場だけでは測れない、本質的な価値を見抜いて選ぶことこそが、時計収集における一番の楽しみなんじゃないか、というご意見だったんですよね。
この視点が、今回の動画のきっかけになりました。
ロイヤルオークという一本だけが、時計選びのゴールではないんですよね。
本日は、知名度という物差しから少し離れて、審美眼で選ぶ時計の楽しみ方について、お話しして参ります。
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それでは話を進めて参ります。
なぜロイヤルオークは"知られすぎた"のか!?
まず初めにですね、誤解のないようにお伝えしておきたいことがあります。
私自身は、ロイヤルオークというモデルそのものには、とても肯定的な立場なんですよね。
1972年という時代に、あれだけ大胆な決断を下し、ラグスポという新しいジャンルを切り拓いた功績は、素直に称賛されるべきものだと考えています。
弊社としても、いずれヴィンテージのロイヤルオークを取り扱いたいという思いは、ずっと持ち続けているんですよね。
その上で、今回はコメントでいただいた率直な視点も踏まえながら、お話を進めていきますね。
コメントの中に「ロイヤルオークの整理券」という表現がありましたが、これはまさに、ロイヤルオーク一本の人気に、AP全体のブランドイメージが強く依存してしまっている現状を、的確に言い当てているんですよね。
コード11.59という新機軸のモデルについても、複数のコメントで「二次流通では値段がつかない」「ロイヤルオークを買うための前段階」という、厳しい評価が並んでいました。
正直に申し上げると、この見方は業界内でもよく聞かれる話でして、決して的外れではありません。
こうした声が積み重なった結果として出てくるのが、「成金の定番ドヤ時計に成り下がってしまった」という、かなり手厳しい表現なんですよね。
ただ、ここで一つ、私なりの大切な視点をお伝えしますね。
ロイヤルオークという時計そのものは、間違いなく素晴らしい一本です。
そして、この時計を選び、実際に着用されている方々も、決して悪いイメージで語られるべき存在ではありません。
問題は時計そのものの価値でも、それを選んだ方の人柄でもなく、この数十年で知名度が急速に高まった結果、時計の本質とは関係のない"イメージ"だけが、独り歩きしてしまっているという点なんですよね。
「成金の定番ドヤ時計」という表現も、時計そのものへの評価というよりは、SNSや一部のメディアの中で作られてしまった、イメージに向けられた言葉だと私は捉えています。
本来評価されるべきは、ジェラルド・ジェンタが手がけた革新的なデザインであり、40年以上にわたって磨き上げられてきた機構であり、そしてそれを選ばれた一人ひとりの審美眼のはずなんですよね。
にもかかわらず、知られすぎたがゆえに、そうした本質的な魅力よりも先に、表面的なイメージだけが伝わってしまった。
これが、ロイヤルオークというモデルが今置かれている、少し残念な状況なんです。
だからこそ、今回は視点を少し変えてみたいと思います。
ロイヤルオークとは対照的に、世間的な知名度こそ高くないものの、余計なイメージに邪魔されず、本質的な価値がそのまま伝わってくる腕時計たちが存在するんですよね。
次の見出しでは、そんなロイヤルオーク以外のAP、そしてパテック フィリップ・ピアジェのヴィンテージという切り口から、"知る人ぞ知る"価値を持つ腕時計たちを、実際の在庫を交えながら紹介していきます。
同じブランドでもヴィンテージにまで目を向ければ全く違う景色が見える
それでは実際に、ロイヤルオーク以外の視点から見えてくる、"知る人ぞ知る"腕時計たちを、具体的に紹介していきます。
ロイヤルオーク以前のヴィンテージオーデマのモデルは、作りもデザインも全く違うのでだいぶブランドのイメージが変わると思いますね。
弊社に今ある一本に、1970年代製の18KWG、ケースとブレスレットが一体になったレクタンギュラーモデルがあります。
ロイヤルオークが発表されたのと同じ時代に作られた一本なんですが、こちらは全く方向性の違う、上品でエレガントな佇まいなんですよね。
文字盤は、一見ブラックに見えるんですが、実はマットな深いネイビーでして、その上に鏡面仕上げの針とインデックスが乗っている、渋みのある一本です。
搭載されているのはAP社製のCal.2090というムーブメントでして、これはジャガー・ルクルト社製のCal.895をベースに、APが独自にチューニングと装飾を施したものなんです。
5姿勢での精度調整、高温・低温環境でも調整済みという、非常に手の込んだキャリバーでして、ロイヤルオークだけがAPの魅力ではないということを、この一本が物語ってくれています。
もう一本、同じく1970年代製のTVスクリーンというモデルもご紹介したいんですよね。
こちらもケースは18KWGでして、クッション型のフォルムが特徴的な、横長のケースにブラックダイヤルを組み合わせた一本です。
華美に主張するのではなく、静かに存在感を放つ、ヴィンテージドレスウォッチが好きな方には、特に相性の良い個体なんですよね。
搭載されているCal.2001も、ジャガー・ルクルト社製のCal.818をベースに、APがチューニングと装飾を施したキャリバーです。
なので、昔のオーデマって結構な割合でジャガーのムーブメントが載ってて、今とは根本的な思想が違うんですよね。
裏蓋の内側には「122」という刻印があります。
これは何を意味してるかと言いますと、当時ケースを手がけた「アルシド・ギヨー」という外部の工房を示す番号でして、この時代のブランドは、こうした特殊な形状のケースを、専門の工房に依頼して製造していたという、当時ならではの背景も垣間見える一本なんです。
どちらも素晴らしい個体ですよね。
続いてパテック フィリップのヴィンテージです。
パテック フィリップというブランドは、ノーチラスやアクアノートといった現行の人気モデルにばかり注目が集まりがちなんですが、実はヴィンテージのカラトラバにこそ、このブランドの本質が凝縮されていると私は考えています。
過度な装飾を排した、シンプルで普遍的なデザインは、何十年経っても色褪せることがなく、むしろ現行モデルにはない静かな説得力を持っているんですよね。
最後にピアジェのヴィンテージです。
プロトコールという有名なモデルがありますが、その中でも非常に珍しいラピスラズリの文字盤を使った個体があります。
昔のピアジェは、薄型ムーブメントの開発と、貴石文字盤の使用という、2つの分野で他の追随を許さない技術力を持ってきたブランドなんですよね。
このラピスラズリという石は、深い青色の中に、金色の粒のような模様が浮かぶ、非常に美しい素材なんですが、これを文字盤に使うという発想自体が、ピアジェならではの美意識を体現しています。
ちなみに、石の文字盤を初めて採用したのがピアジェであって、そこからロレックスも使い始めたんですが、ロレックスとかだと石によって変わってきますが、最低でも800万円くらいはすると思いますね。
このように、ロイヤルオークのような分かりやすいアイコンはないのですが、こうした一本一本にこそ、審美眼で選ぶ楽しみが詰まっているんですよね。
自分が綺麗だなぁ・・・とか、素敵だなぁ・・・っと言った心の奥から湧き出る素直な気持ちによって選ぶ腕時計にこそ、分かりやすさではない、自分だけの審美眼が宿るのだと思いますね。
では次の見出しでは、こうした"知られていない"腕時計たちが、二次流通市場でどう評価され始めているのかを解説します。
二次流通市場は今、こうした"隠れた名品"をどう評価しているか?
それでは、こうした"知られていない"腕時計たちが、実際の市場でどう評価され始めているのかを、直近のデータから見ていきます。
先日、2026年の売り上げランキングの動画を作成しましたが、Bloombergが報じた記事の中に、非常に興味深いデータがありました。
それは中古時計市場全体が、2022年以来最高の伸びを記録しているというんですよね。
EveryWatchという調査会社のレポートによりますと、2026年7月の中古市場は、アメリカでの需要急増に支えられ、半期ベースで過去最高の上昇率を記録していまして、販売総額は前年比37%増、日本円にしておよそ1兆6,500億円にまで達しているんです。
その中でも、まさに今回ご紹介したブランドに関わる、興味深い数字が出ています。
ピアジェの中古市場価格は、2024年1月から2026年4月にかけて、実に30%を超える上昇を記録しているんですよね。
ジャガー・ルクルトも約24%高、ヴァシュロン コンスタンタンも約13%の上昇という結果でして、カルティエやIWCといったブランドも、同様に上向いているとされています。
これは私たちヴィンテージウォッチを愛する人からすれば、素晴らしいデータなんですよね。
知名度という観点では、ロイヤルオークほどの派手さを持たないブランドたちが、二次流通市場という"実際にお金を払う方々の目"を通して、着実に評価を高めているということなんです。
一方で、同じ記事の中では、大ぶりなケースサイズを特徴とするブランドの販売数量が、2024年初頭からほとんど変わっていないという指摘もありました。
つまり市場全体としては、より小ぶりで上品な佇まいを持つ時計、そして知名度だけに頼らない本質的な価値を持つ腕時計へと、評価の重心が移りつつあるということなんですよね。
これはまさに、コメントでいただいた「審美眼で選ぶ」という考え方が、市場全体のトレンドとしても裏付けられ始めている、ということを意味しているんだと思うんですよ。
では次の見出しでは、こうしたデータも踏まえた上で、"審美眼で選ぶ"ということの本当の意味について、改めてお話しして参ります。
「審美眼で選ぶ」ということの本当の意味
コメントの中にあった「審美眼の勝利」という言葉、私はこの表現がとても好きなんですよね。
腕時計を選ぶ時、多くの方はまず「知名度」や「相場」といった、分かりやすい物差しから入ります。
もちろん、これ自体は決して間違ったアプローチではありません。
ただ、そこで立ち止まらずに、もう一歩踏み込んでいただきたいんです。
それは
・その一本が、なぜそのデザインになったのか?
・どんな時代背景の中で、どんな職人の手によって作られたのか?
・そして、その一本を身につけた時、自分がどう感じるか?
こうした問いに向き合うことこそが、審美眼を育てるということなんですよね。
ロイヤルオークが「成金の定番ドヤ時計」と言われてしまうのは、多くの方が、この一本を"知名度"という物差しだけで選んでしまっているからかもしれません。
一方で、今回ご紹介したオーデマ ピゲのヴィンテージレクタンギュラーやTVスクリーン、パテック フィリップのヴィンテージ カラトラバ、そしてピアジェのラピスラズリ文字盤といった腕時計は、知名度という点では決して目立つ存在ではないんですよね。
ですが、その分、「なぜこの一本を選んだのか」を、ご自身の言葉で語れる一本になるはずです。
これこそが、審美眼で選ぶということの、本当の醍醐味なんじゃないかと感じています。
正解は一つではありません。
ロイヤルオークに憧れる気持ちも、知る人ぞ知るヴィンテージに惹かれる気持ちも、どちらも等しい腕時計選びの形なんですよね。
大切なのは、その選択が、他人の物差しではなく、ご自身の審美眼から生まれたものかどうか、その一点に尽きます。
ベルモントルの視点
今回は、前回の動画にいただいたコメントをきっかけに、ロイヤルオークという一本を超えて、審美眼で選ぶ時計の楽しみについてお話ししてきました。
ベルモントルでは、こうしたお声を真摯に受け止めながら、知名度だけに頼らない、一本一本の本質的な価値をお伝えしていきたいと考えています。
ロイヤルオークも、今回ご紹介したヴィンテージたちも、どちらもかけがえのない魅力を持つ腕時計です。
弊社は、お客様それぞれの審美眼に寄り添いながら、その方だけの一本を見つけるお手伝いを、これからも続けてまいります。
コメントをくださった皆様、本当にありがとうございました。
こうして視聴者の皆様と一緒に、腕時計というものの価値を、多角的に見つめ直していけることが、この動画を続けている一番の喜びなんですよね。
これからも、数字や知名度だけでは語りきれない、腕時計一本一本の物語を、丁寧にお伝えしてまいります。