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Article: 「この時計どう思いますか?」という質問についてお答えします

「この時計どう思いますか?」という質問についてお答えします

こんにちは。ベルモントルの妹尾です😊

本日の動画では「この時計どう思いますか?」について解説してまいります。

ずっと前からですが、定期的に「この時計どう思いますか?」というご質問をいただくことがあります。

例えば、他店様で販売されている個体について、気になる点があるのですがどう思いますか、というような内容です。

もちろん、気になるポイントがあれば誰かに聞きたくなるお気持ちは、とてもよく分かります。

ただ、このご質問に対しては、少し考えていることがあります。

今回は、なぜそのように感じているのか、そして時計を選ぶうえで本当に大切なことは何なのかについて、私なりの考えをお話しさせていただきます。

 

なぜ「この時計どう思いますか?」というご質問が定期的に届くのか

まず、このご質問が以前から定期的に届く理由について、少し整理しておきたいと思います。

ヴィンテージウォッチというのは、現行品と比べてもかなり判断が難しい世界です。

新品であれば、基本的には同じモデルなら同じ品質で手に入りますし、状態について大きく悩む場面はそこまで多くありません。

ですが、ヴィンテージウォッチはそうではありません。

同じブランドで、同じ型番で、見た目も似ています。

それでも実際には、コンディションや整合性、過去の修理歴、文字盤や針の状態、ケースの痩せ方などによって、まったく別物のように評価が変わることがあります。

しかも、その違いは写真だけでは分かりにくいことも多いですし、販売ページに書かれている情報だけで判断できるとも限りません。

そうなってくると、買う側としては当然不安になります。

この個体は本当に大丈夫なのか。

気になっている部分は問題ないのか。

価格に見合った内容なのか。

そういった不安が出てきたときに、誰か詳しい人に聞いてみたくなるのは、とても自然なことだと思います。

特に、普段からヴィンテージウォッチについて発信している人間に対しては、この人なら何か分かるのではないか、この人なら判断してくれるのではないか、という期待が生まれやすいのだと思います。

その結果として、「この時計どう思いますか?」というご質問が定期的に届くのだと感じています。

つまり、このご質問そのものが特別おかしいわけではなく、ヴィンテージウォッチという分かりにくい世界の中で、不安を減らしたいという気持ちから出てくる、ごく自然な行動なのだと思います。

ただ一方で、その不安を誰かに預けるということには、少し注意しなければならない部分もあります。

ここについては、次でお話ししていきます。

 

 

その質問の裏にある、本当の心理

では次に、「この時計どう思いますか?」というご質問の裏にある心理について、少し踏み込んでお話しします。

まずですね、そういった疑問に対して私に質問していただけるのはとてもありがたいことですよね。

なぜなら、一定の信頼をして頂いてるからこそ、私に質問したくなるんだと思います。

そして、こういった質問は質問は一見すると、単純に意見を聞いているように見えます。

ただ実際には、「どう思うか」を知りたいというよりも、「この判断で大丈夫かを確認したい」という気持ちが強いケースが多いと感じています。

ヴィンテージウォッチは、正解がはっきりしている世界ではありません。

状態の良し悪しも、どこまで許容するかも、人によって考え方が変わります。

だからこそ、自分の判断に対して確信を持ちにくいという特徴があります。

その中で、「プロが大丈夫と言ってくれたら安心できる」という状態を求めている。

これが、このご質問の大きな背景にあると思います。

つまり、情報を集めたいというよりも、“判断の責任を少し軽くしたい”という気持ちです。

もちろん、その気持ちはとてもよく分かります。

金額も大きいですし、失敗したくないというのは当然のことです。

ただ一方で、この「判断を誰かに委ねる」という考え方には、気をつけなければいけない点もあります。

なぜなら、その判断をしている人自身が、その時計を実際に見ているわけではないからです。

写真や文章だけでは分からない部分も多く、細かなニュアンスまでは共有されていないこともあります。

そういった状態で「大丈夫です」と言ってしまうことは、実はとても難しいことです。

ですので、このご質問は単なる相談というよりも、「安心したい」という気持ちが強く表れているものだと感じています。

そして、この“安心の取り方”については、少しだけ考え方を変えた方が良い部分もあります。

ここについては、次でお話ししていきます。

 

他店様の腕時計についてコメントしない理由

ここまでお話ししてきた内容を踏まえて、私が他店様の時計について具体的なコメントをしない理由をお伝えします。

ここは尖った内容になってしまうので、結構保険をかけながら話していきます。

一番大きな理由は、間接的に他店様に迷惑をかけているからです。

そもそも論として、その商品について疑問があるのであれば、そのお店に聞かないといけないんですよね。

それでもダメだった場合のよくある流れとしては、「お店の人も分かっていないようです」といった言い方や、「はっきりとした答えが得られませんでした」という経緯を相談されることが大抵なんですよ。

そういった背景があって、「私に相談することにしました」という風になっているらしいんですけども、そうなったのであれば、もう「買わない」という風にしたほうがいいと思いますね。

これはおそらく私の予想の話になるんですけども、個体がそこにあって価格も安い状態なんだけど、店員さんはその価値を分かっていないし、ちゃんと喋れない、と。

本来であれば、その個体の魅力や知識といった部分を語り、納得していただいた上で購入してもらうというのがスマートな流れのはずです。

しかし、その個体の魅力や歴史を語れない、あるいは知識がないために、とりあえず値段を下げて売ってしまおうという状況なのだと思います。

こういった質問をされる方はおそらく、ちゃんとした魅力とか歴史とか背景とか、いろんなことを知っている人、そういったちゃんとした答えを知ってる人から購入したいという本音があるにも関わらず、それと一緒に安さも求めているんですね。

そういった時に、私に聞くことによって判断材料を手にし、問題がなければ安く購入することができる、という風に出来ますよね。

ただし、ここの問題点というのは何かと言いますと、私が意見することによって、他社様の購買の判断を決めてしまうことなんですよ。

私が意見しなければ、もしかしたらその他社様の商品というのは購入されていたかもしれませんよね。

というふうに考えれば、私は間接的に他社様に迷惑をかけているということになってしまうんですよ。

実際の商品も見てないくせに。

まぁ、そういった質問をされたとしても、購買の判断に影響が出ないように物凄く微妙なニュアンスというか、どっちのパターンもあり得ますよね。

みたいな返事しかしないんですけどね。

あと何よりですね、私は別に無料案内所というわけではないんでよね。

私が中州に3店舗くらいあるそれをやっているのであれば、「そういったこと全然聞いてください」という話になるんですけども、それを説明したところで、まぁ何の実りもないというか、ただいいとこ取りされているだけじゃないですか。

よって、動画ではそういった違いとか魅力とかってのは話しますが、購買の判断までを私は決めることが出来ないんですよね。

といった感じで、ここまでだと、きもい老害の説教みたいになってしまうので、私のことについても話しますね。

実際に面と向かってしゃべったことはないので、これも私の予想になってしまうんですけども、だいたいですね、こういった質問をされる方って若い方が多いのかな、という感じがあります。

若い頃というのはやっぱりお金がないし、いかに合理的に物を購入していくのかというところが、すごく大事な購買の基準になるんですよね。

私にもそういう経験はあります。

21〜23歳の頃だったと思うんですけども、よく彼女と一緒にマックに行っていたわけですよ。

なんですが、自分はお腹も空いていないし喉も渇いていない。

だから彼女にだけ注文させて、自分は何も買わずに席に座って、そのままおしゃべりする……みたいなことをやっていました。

実際に「お腹も空いていないし喉も渇いていないんだから、そこで無駄なお金を使う必要はないよね」という考えだったんです。

当時の自分は、それがすごく合理的な判断だと思っていました。

ですが実際には、これって自分のことしか考えていないんですよね。

いかにタダで、いかに長く座るかということしか頭にないわけですから。

それがあまり良くないなと気づいたのは、骨董品の先生と26歳の時にフランスに行った時のことですね。

先生と一緒にカフェに入ったのですが、いつものように私は何も頼まず、先生が注文してから自分も隣に座るということをしていました。

そうしたら先生が、「妹尾くん、それは悪いことじゃないけれど、やっぱり何か買ってあげた方がいいんじゃない?」と。

私が「いや、でも喉が渇いていないので」と言うと、「まあそうだけど、座っているからにはやっぱり買ってあげた方がいいんじゃないか」と言われました。

その辺りからですね。なんとなく「全部をタダで済ませないといけない」という考え方が変わってきたのは。

ですので、さっき偉そうなことを言いましたけども、昔の妹尾さんもきっしょい行動をしていたわけですよ。

煉獄さん的に言えば、穴があったら入りたい!ってことですよね。

私の場合は、世の中の流れというか「こうした方が有利に物事を進められるな」と分かり始めたのが、だいたい27歳くらいのことなんですね。

ですので、今回の腕時計の話に置き換えるのであれば、そういった商品に対しての知識や歴史、背景といったものは、目に見える部分ではありません。

そのため、価値を見出しづらい部分ではあるものの、こちら側としては、そこを判断できるようにするための勉強期間があったわけなんですよ。

だから、その勉強代ってことでその見えない価値(ですので妹尾さんが知ってる内容のことですね)を見出して頂けると嬉しいかなぁ。って思います。

もうちょい保険をかけるんですが、私はですね18歳で就職して7年間会社にいたわけなんですね。

その時の上司というのは、どちらかと言うと「昭和価値観でものを言う口が悪いクソ野郎」だったんですよ。

ベルモントルの視聴者様には、本当民度の高い方や人格者しかいないので、コメント欄も全然そんなことになってないので、ありがたいことなのですが、自分の方が年上だから、俺の方が偉いとか、年下には何を言ってもいい!って考えを持ってる老害って一定数いるじゃないですか。

あれですね。

でも、そういう言い方をされて嬉しいわけないじゃないですか。

特に若い方ってそうだと思うんですよね。

実際に私もそうでしたから。

そういったことが重なって会社に行くのも嫌になりましたし、そもそも会社での仕事も全然面白くなかったですからね。

だから「辞める」と言って退職しました。

その後に松浦さんと出会ったのですが、松浦さんは本当にすごく優しい方なんですよね。

基本的には「こうしたらいいんじゃない?」というニュアンスで接してくださるんですよ。

私が間違ったことをやっていても、笑って流してくれるような感じですね。

じゃあ、どちらが正解かというと、私は松浦さんの方が正解だと思います。

あの昭和の価値観で生きている老害のきつい当たり方よりも、松浦さんの接し方、松浦さんの話の方がちゃんと心に入ってくるわけなんですね。

だから私は、そういった人への接し方という部分も松浦さんに教えていただいているわけです。

ゆえに今回は、私自身が映像に出ていない分、声だけで喋っていますから、少し尖った言い方に聞こえているとは思うんですけども、できるだけ早い段階で「こういうふうに捉えた方がいいのではないか」というところを理解していただくために、この動画を作っています。

では次にプロに聞けば安心、は本当に正しいのか?という内容でお話ししてまいります。

 

 

プロに聞けば安心、は本当に正しいのか

まず私は自分のことをプロだと思っていません。

まだまだ未熟者ですし、私より先を行く先輩方はたくさんいらっしゃいます。

それを踏まえて聞いて頂きたいんですが、ここで一度、「プロに聞けば安心」という考え方について整理しておきたいと思います。

確かに、知識や経験がある人に意見を聞くことで、判断の精度が上がる場面はあります。

これは間違いではありません。

ただ、その一方で、「誰かが大丈夫と言ったから安心」という状態には、少し注意が必要だと感じています。

なぜかというと、その判断の責任が、自分ではなく他人に移ってしまうからです。

ヴィンテージウォッチは、どこまでを良しとするかが人によって異なります。

例えば、多少のクラックを味として受け入れる方もいれば、気になる方もいます。

私はクラックは味だと感じますし、あんなん光に当たって浮き出てくるわけですが、まさに芸術だよね。って感覚です。

他にも小さな傷を気にしない方もいれば、できるだけ綺麗な状態を求める方もいます。

つまり、「良いかどうか」は一律ではなく、その人の価値観によって変わるものです。

そういった中で、他人の基準だけで判断してしまうと、購入した後に「思っていたのと違った」と感じてしまう可能性があります。

また、先ほどもお話しした通り、その人が実際にその個体を見ているわけではない場合、判断の前提自体が不完全であることもあります。

ですので、「プロに聞くこと」自体は有効な手段のひとつですが、それをそのまま答えとして受け取るのではなく、自分の中でどう捉えるかが重要になります。

最終的にその時計を使っていくのは、自分自身です。

だからこそ、「安心を誰かに委ねる」のではなく、「自分で納得して選ぶ」という意識が大切だと考えています。

この考え方が持てるようになると、時計選びの精度も大きく変わってきますよね。

 

 

私が大切にしているお客様との関係性

最後に、私がどのような関係性でお客様と向き合っていきたいと考えているのかをお話しさせてください。

私は、時計を「売る・買う」という関係だけではなく、その方が納得して選べる状態を一緒に作っていくことを大切にしています。

ですので、ただ「これが良いです」と断言するのではなく、どういう視点で見ているのか、どこを判断材料にしているのかをできるだけお伝えするようにしています。

そのうえで、ご自身で選んでいただく。

この流れが一番良い形だと考えています。

もちろん、分からないことや不安なことがあれば、ご相談いただくこと自体はとても嬉しいです。

ただ、その中でも私は、他店様の個体について具体的に評価するというよりも、「どう見ればいいのか」という軸をお伝えすることを動画の中で話しています。

その方が結果として、その方にとって納得のいく選択に繋がるからです。

そして、その積み重ねが信頼に繋がり、「この人から買いたい」と思っていただける関係になれば、とても嬉しく思います。

時計は一度買って終わりではなく、長く付き合っていくものです。

だからこそ、その最初の選び方がとても重要だと感じています。

今回の内容が、その判断の一助になれば幸いです。

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