なぜロレックス・パテックフィリップ・オーデマピゲだけ中古で値崩れしにくいのか?
こんにちは、ベルモントルの妹尾です。
本日の動画では「なぜロレックス・パテック・APだけ中古で値崩れしにくいのか?」という内容で解説して参ります。
腕時計を新品で購入する時に、気になる方も多いのが「もし将来売ったら、いくらくらいになるのか」というところだと思います。
実際、高級腕時計はブランドによって、新品価格と中古市場での価格にかなり大きな差があります。
今回のテーマですが、2026年7月17日に海外の腕時計業界メディアWATCHPRO(ウォッチプロ)が公開した記事でそれを要約して私なりに解説させて頂きます。
この記事では、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)がWatchCharts(ウォッチチャート)のデータを使ってまとめた中古腕時計市場の分析が紹介されています。
元記事は概要欄に入れておりますので、気になる方はこちらからご覧くださいませ。
そこで使われているのが、Value Retention(バリュー・リテンション)、日本語では「価値維持率」という考え方です。

これは簡単に言えば、現在新品で販売されている腕時計が、中古市場では定価に対して何%上、あるいは何%下で取引されているのかを見る数字です。
そして2026年9月現在のWatchChartsを見ると、ブランド平均でパテック フィリップが定価+24.6%、ロレックスが+16.3%、オーデマ ピゲが+4.1%となっています。
もちろん、これは「今日100万円でロレックスを買って、明日お店へ持っていけば116万円で買い取ってもらえる」という意味ではありません。
中古市場で販売される価格と、実際に販売店が買い取る金額は違います。
今回はあくまで、新品定価と二次流通市場での価格を比較した時に、なぜこの3ブランドだけが非常に強いのかという話です。
そして、ここでもう一つだけ分けておきたいのが「中古」と「ヴィンテージ」です。

今回話している中古というのは、今も新品で販売されている現行モデルが、中古市場ではいくらになっているのかという話です。
ですので、今回の動画の定義では、中古は現在も新品があるモデルを指しています。
一方でヴィンテージは、すでに新品では買えない昔の腕時計です。
ここは分けて考えてください。
それでは話を進めて参ります。
数字を見ると、この3ブランドだけ明らかに違う
まず今回の話で一番分かりやすいのは、実際の数字です。

2026年9月現在のWatchChartsによるブランド全体の価値維持率を見ると、
パテック フィリップが+24.6%。
ロレックスが+16.3%。
オーデマ ピゲが+4.1%です。
つまり、それぞれのブランドで現在生産されている腕時計をまとめて見ると、中古市場での平均価格が新品定価を上回っています。
ところが、その次を見ると数字が大きく変わります。
カルティエは-24.3%。
ヴァシュロン・コンスタンタンは-26.3%。
オメガは-30.7%。
グランドセイコーは-31.9%。
A.ランゲ&ゾーネは-32.5%。
IWCは-36.5%です。
ですので、新品で買ってこれらを短期で売りに行った際にはこれくらい下がってしまうとううことです。
ここで誤解してほしくないのは、これらのブランドの腕時計が良くないという話ではありません。
いつもお話ししていますが、腕時計を短期売買で買値より売値の方が高くなるのはせいぜい全体の1%です。
短期売買はそもそもメーカーがやっちゃダメって言ってますし、ほとんどの人はそれは出来ないので、再現性もありません。
だから、ロレックス、パテック、オーデマの方が異常値を示しているというふうに見るのが自然です。

では新品で買った後に、値下がりするブランドに話を戻しますが、例えば新品で300万円の腕時計を購入したとします。
そのブランドの中古市場での価格が平均30%低いのであれば、同じモデルの中古品は単純計算で200万円前後の価格帯まで下がることになります。
一方で、新品価格より中古市場価格の方が高いモデルであれば、「中古になったから安くなる」という普通の商品の動きが起きません。
では、なぜこんな差が生まれるのか。
一つの理由だけで説明することはできません。
これらは複合的に絡み合ってるのですが、それらは
ブランドの知名度。
生産本数。
新品での買いやすさ。
中古市場の大きさ。
モデルそのものの人気。などなど
こういったものが全部重なっています。
ただ、その中でも最も基本になるのは、欲しい人の数に対して、買える腕時計の数が足りているかどうかです。
中古価格も、最後はここで決まります。
というわけで次に、ここをもうちょっと深ぼって「数が少ない」だけではなく、「欲しい方が多い」から値段が残る!という内容で解説して参ります。
「数が少ない」だけではなく、「欲しい方が多い」から値段が残る
値崩れしにくい理由としてよく言われるのが「希少性」です。
もちろん間違いではありません。
ただ、希少であれば何でも値段が上がるわけではないんですよね。

世界に10本しかない腕時計でも、それを欲しい方が5人しかいなければ価格は上がりません。
逆に1万本作られていても、10万人が欲しければ足りません。
ですので重要なのは、
「少ないこと」ではなく、「供給より需要が大きいこと」です。
これはパテック フィリップを見ると非常に分かりやすいです。
ブランド全体では新品定価に対して+24.6%という数字ですが、すべてのモデルが同じように高いわけではありません。

特に強いのがノーチラスやアクアノートです。
Morgan StanleyとWatchChartsの分析でも、こうした人気コレクションは新品定価を大きく上回る価格で中古市場に出ていると分析されています。
なんでこんな現象が起きるのか?という話ですが、正規店へ行けば誰でも買える商品ではないからです。
今すぐ欲しい。
お金も充分にある。
でも新品を購入できない。
そういう方が中古市場へ向かいます。
そして中古で定価以上のお金を払ってでも欲しい方がいれば、中古価格は下がりません。
ロレックスでも同じです。
サブマリーナーやGMTマスター、デイトナなど、世界中に欲しい方がいます。
新品を欲しくてもすぐには買えないモデルもあります。
その需要の受け皿になっているのが中古市場です。
APも特にロイヤル オークが強いです。
しかし全部が強いわけではなく、現行ロイヤル オークの多くが新品定価を上回る価格で取引されている一方で、ロイヤル オーク オフショアやCODE 11.59は同じ動きではありません。
ここを見ると、「ブランドが有名だから価格が残る」というだけでは説明できないことが分かります。
そのブランドの中に、定価より高い金額を払ってでも欲しい方が多いのに、十分な生産数を確保出来てないモデルがある。
だから中古市場にも需要が流れます。
新品市場と中古市場が別々に存在しているのではなく、新品で買えなかった需要が、そのまま中古市場を支えているわけです。
これがまず、この3ブランドが強い大きな理由です。
では次に、「次に買う人がいる」という安心感が、中古価格をさらに強くする!という内容で解説して参ります。
「次に買う人がいる」という安心感が、中古価格をさらに強くする
そして私は、もう一つ大きいのが中古市場そのものの大きさだと思います。
例えばロレックスを一本持っているとします。
売ろうと思えば、買い取ってくれるお店はかなりあります。
ネット上にも大量の取引があります。
つまり、次に買う方を見つけやすいんですよね。
要するにあれらの最強パフォーマンスを発揮するモデルというのは、単純な人気だけではありません。
「この腕時計なら次の買い手が見つかる」という市場の厚さも層の厚さも大きく影響しています。

ロレックスはこの点でかなり強いブランドですよね。
サブマリーナー。
GMTマスター。
デイトナ。
モデル名を聞くだけで、多くの方がどんな腕時計か分かります。
中古市場で探している方も多いし、販売する店舗も多いし、買取する店舗も多いです。
そして取引が多いから市場価格も分かりやすいです。
そうすると購入する側も、
「もし将来使わなくなっても、ある程度売れるだろう」
と考えやすくなります。
するとさらに買いやすくなる。
買う方が増えるから中古市場がさらに大きくなる。
中古市場が大きいから販売店も仕入れやすくなる。
こうして、
「売りやすいから買いやすい。買う方が多いから、さらに売りやすくなる」
という循環ができます。
パテック フィリップやAPはロレックスほど取引本数が多いわけではありませんが、世界中にコレクターがいて、高額でも買う方がいる市場があります。
だから数百万円、1,000万円を超える腕時計でも、中古市場が成立するわけです。
高級腕時計の価値を考える時に、私はここをかなり重要だと思っています。
良い腕時計だから価格が残るのではありません。
良い腕時計であることは大前提として、その腕時計を自分が手放した後にも「欲しい」と言う方がいるから価格が残ります。
中古価格というのは、腕時計そのものの評価であると同時に、次の買い手がどれだけいるのかを表している数字でもあるんですよね。
では次に、とは言っても「ロレックスだから値崩れしない」って訳ではない!という内容で解説して参ります。
「ロレックスだから値崩れしない」って訳ではない
最後になりますが、重要なお話をします。
今回のデータだけを見ると、
「だったらロレックス、パテック、APを買っておけば安心なんだ」
と思うかもしれません。
でも、すでにご存知の通りそう簡単ではありません。
今回紹介している+24.6%、+16.3%、+4.1%という数字は、あくまでブランド全体の平均です。
実際には同じブランドの中でも、モデルによって中古価格はかなり違います。
APを見ると分かりやすいです。
現在はブランド全体では+4.1%ですが、現行のロイヤル オーク15510STは定価が約480万円なのに対して、中古市場では大体741万円となっております。
一方でロイヤル オーク オフショア26470STは、定価が約585万円なのに対して、中古市場では約323万円です。
同じオーデマ ピゲです。
同じロイヤル オークという名前まで入っています。
それでもこれだけ違います。
つまり中古価格を支えているのは、ブランドのロゴだけではありません。
どのモデルなのか。
どの素材なのか。
どのサイズなのか。
どの色の文字盤なのか。
どれくらい流通しているのか。
そして、そのモデルを今欲しい方がどれだけいるのか。
ここまで見なければ分かりません。
ロレックスでも同じです。
ブランド全体では非常に高い価値維持率がありますが、すべての腕時計が定価以上になるわけではありません。
パテック フィリップも、ノーチラスやアクアノートと、クラシックなドレスモデルでは中古市場での動きが違います。
ですので今回の話を、
「ロレックスなら短期売買で儲かる」
という話にはしたくありませんし、前述した通り短期売買には再現性はありません。
見るべきポイントは、なぜこの3ブランドには、新品定価を中古価格が上回るモデルがこれほど多く存在するのか?という仕組みです。
それは
供給より需要が多い。
世界中に欲しい方がいる。
新品で買えなかった方が中古へ来る。
中古市場で取引が多い。
そして「将来売れる」という安心感があるから、新しく買う方も増える。
こうしたものが全部つながって、価格を支えています。
そしてこれは、先ほどお話ししたヴィンテージとは少し違います。
ヴィンテージの場合は、もう新品定価と比べることができません。
50年前に10万円で売られていた腕時計が、今100万円だから価値維持率1,000%というような見方は通常しません。
ヴィンテージでは、
今どれだけ個体が残っているのか。
状態の良い個体がどれだけあるのか。
オリジナルの文字盤なのか。
ケースがきれいに残っているのか。
そして、そのモデルを現在欲しい方がいるのか。
こうした条件で市場価格が作られます。
つまり、現行中古とヴィンテージでは値段の見方が違います。
ただ、最後の一点だけは同じです。
その腕時計を、欲しいと思ってる層が厚いかどうか。
これは現行モデルでもヴィンテージでも変わりません。
腕時計の価格を最後に支えるのは、ブランド名だけでも、定価でも、希少性だけでもありません。
「その金額を払ってでも欲しい」という次の買い手がいることです。
今回のロレックス、パテック フィリップ、オーデマ ピゲの数字を見ると、この3ブランドが現在どれだけ大きな中古市場を持っているのかが、かなり分かりやすく表れていると思いますね。
腕時計というのは本来、値段やブランド名だけでは、その一本が本当に納得できるかどうかは、決まらないんですよね。
その一本が持つ背景まで見えてきたときに、初めて「これだ」と思える自分の一本に出会えるんですよね。
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